星崎 祈は勇者になる   作:小鴉丸

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第五話です。遅くなりすいません、ペースは早くしていくつもりです。

では、どうぞ。


第五話 別未来の戦闘

「……とか言っちゃったんだけど」

 

本音を言えば戦う気なんてないんだよね。だって友達だし、園子って実際頭いいらしいし(須美談)それに周りのバーテックスが二つの意味で邪魔。一つは普通に鬱陶しい僕に来るのか園子に行くのかが分かんない。もう一つはバーテックスが目の前に来た時に……

 

……………ヒュッ

 

「うぉっ!?」

 

キィン!

 

慌てて剣で弾く。園子の槍が敵を倒してくれるのはいいんだけど、そのまま僕も狙ってくるんだよね。要はバーテックスが壁になって園子の攻撃が見えなくなる。

 

「(バーテックスを倒せばいいけど、数がな……)」

 

そう考えてる間にも園子の攻撃、バーテックスが襲ってくる。僕はそれを剣で弾く。

 

「………………」

 

園子は無言のまま槍を操っているだが敵に背後を取られ攻撃される。その直前にバリアのようなものが張られる。

 

「……っ」

 

体勢を立て直しバーテックスを攻撃。槍を操り僕を狙う。

 

「(バリア?どちらかというと結界か?神樹め面倒くさいシステムを作ったな。でもあれがある限り僕の攻撃は通じないのか、試してないけど)」

 

愚痴を言いつつも僕は園子に向かって空を駆ける。とりあえず普通に斬ることにした。間合いを一気に詰める、襲い来るものを全て避ける。園子の反撃を弾きそのまま斬りかかる。

 

「くらえっ!」

 

パチッ……

 

斬りかかるが見えない何かに拒まれる。そして近距離での打ち合い。

 

キィン!キィン!

 

「(神力を流して……)だあっ!!」

 

速度を上げて全部弾き返しもう一度攻撃。園子がバリアを先に張る。弾かれるはずの攻撃、だが

 

「らぁぁっ!」

 

「え………」

 

バリアを切り裂く、それに園子は驚いて距離を取る。そのあいだに策を考える。

 

「(神力は通るのか。なら、楽勝じゃん)」

 

周りの敵を一掃する。その為に神力を貯めて解き放つ。

 

「焼きつくせ!神光!」

 

神力の開放。神の光が敵を焼く、それとともに照らされていく樹海。園子は攻撃をよけるが槍は光に飲み込まれ消える。輝く樹海を僕は駆けて……

 

 

 

園子に剣を突きつける。

 

「諦めろ。園子」

 

「くっ………私は」

 

勝ちが決まった。そう思っていた、そこにどちらの声でもない声が響く。

 

「乃木さん!」

 

驚いて僕は横を向く、拳が目の前まで来ていた。それをギリギリでガードする。

 

「(なんだ!?)」

 

「はぁぁぁぁぁ!!!」

 

次は大剣。それを弾く、そして二刀流の赤の剣士。

 

「やぁぁっ!」

 

「ちっ!くそっ!」

 

一刀目をかわし二刀目を弾いた。だが……

 

「いつきぃぃぃ!!」

 

「!!!」

 

剣にワイヤーのようなのが絡みつく。

 

「乃木さん!下がって!」

 

園子が後退する。直前、ピンクの女の子が叫ぶ。

 

「東郷さん!」

 

遠くから光が飛んでくる。だが、それは僕に当たらず空に消えた。

 

「東郷さん!?」

 

それと同時に攻撃が止んだ。剣に絡みついたワイヤーを切り裂き後退する。そして敵を見回す。

 

「(五人か。ちょっときついかな……)」

 

相手は全員ボロボロの状態だ。だけど。

 

「先代勇者を守るのも勇者のやることっしょ!そうよね、樹、夏凜!」

 

「(こくっ!)」

 

「おう!」

 

三人はいつでも迎撃できるようにしている。もう一つはというと。

 

「東郷さん大丈夫?無理しなくてもいいんだよ?」

 

「友奈ちゃん……(あの男の子、私はどこかであっている?)」

 

あの砲台の子ってどことなく須美に似てるな。気のせいか、それよりどうやって抜け出そう……

 

「戦況は五対一……あんたに勝ち目はないわ!これでも戦いを挑むと言うのなら勇者が相手をするわ!」

 

眼帯の人が言う。確かにそうだ勝ち目はない。普通ならだ、だが神力を使えば抜けないこともないのではないか?一か八かで試してみるか。

 

「まさか、未来の勇者と戦うことになるなんてね。相手になるよ勇者達」

 

僕が剣を構えると相手も一斉に構える。ややこしいことになったと後悔しつつ僕は敵に近づこうとした、そのときだった。

 

「(花びら?もしかして……)」

 

来た時みたいに花びらが舞っていた。そして僕の体が消えていく。

 

「ごめんね勇者達。もともと戦う気なんて無かったんだよ」

 

相手は何がなんだかという表情だ。それと敵にだが別れの挨拶を言う。

 

「じゃあね未来の勇者。それと園子と須美みたいな人、銀にもよろしく言っててね」

 

言い終わったあとに園子が心配そうな表情で駆け寄って来る。

 

「祈くん……」

 

「園子、僕は死なないよ。だから安心して」

 

それを言うと同時に僕はその場から消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつくと僕はイネスの前、あの別世界に行く前に戻っていた。

 

「須美、園子、銀………」

 

「?どうしたの祈くん?」

 

「あ、いや」

 

思わず声が出ていた。適当に誤魔化す。

 

「ああ、気にしないで。行こっか」

 

銀が近づいてくる。

 

「祈どうしたの?急にさ」

 

僕は黙って銀の手を握り歩く。

 

「い、祈!?」

 

 

なぜだろう銀がいなくなる気がした、銀は恥ずかしがりながら。

 

「祈、その……」

 

「いっときでいいこのままでいさせて」

 

「う、うん」

 

いつもと違う僕に銀は戸惑っていた。

 

 

 

 

 

決意は固まる。誰の為に戦うのか。僕は心の中で強く、強く思ったことを言う。

 

「(神樹。僕は……)」

 




次はイネスでのフラグ立てです。

次回予告

「ふぁ!?」

「そういうところだよ〜」

「なんで!手を繋いでるの!」

「ぼ、僕が悪いのか?」

「祈と私が……」

第六話 それぞれが心に秘める思い

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