星崎 祈は勇者になる   作:小鴉丸

4 / 23
急展開です。では、どうぞ。


第四話 平和な日。それは……

「なんなんだよ。あいつ」

 

僕は少しイライラしていた、人を呼びだすなり変なこと聞いてきやがって。

 

『大赦のために戦うか、勇者のために戦うか』

 

どういう意味だ?勇者は大赦、神樹のために戦うということは知っている、だが考えると僕は何のために戦っている?勇者のために戦っている、いや勇者を守ることが僕の役目だ。でも何か裏がありそうな感じがする。

 

「寝よう。うん、考えてもわからん」

 

明日は三人とお出かけだ、こんなことを考えていては明日の楽しみが減る気がする。明日を楽しむためにまた今度考えよう。僕はそうして眠りについた。

 

 

 

~翌日~

 

なんか下が騒がしい。

 

「祈~、起きなさい。お友達が来てるわよ~」

 

母親が下で何か言っている。友達誰だろう?予想は付くけど。

 

下の階に行き扉に耳をあててなんの話をしているか聞いてみた。

 

「おい、須美。祈の部屋に入ってみようぜ」

 

「駄目よ銀。いくらなんでも失礼でしょ」

 

「そうだよ~ミノさん~」

 

「じゃあなんだ?興味無いのか?」

 

「う、興味無いと言ったら嘘になるけど……」

 

「私はどっちでもいいかな~」

 

母さんが話に入ってくる。

 

「あら、貴方達祈の部屋に興味あるの?」

 

「はい!」

 

「私は……」

 

「どっちでも~」

 

「祈の部屋はね~」

 

ちょっとめんどくなる前に扉を開け中に入る。

 

「母さん変なこと言わないでね。あと、みんなおはよう」

 

「あら、おはよう祈。変なこととは失礼ね」

 

「お!祈おはよう!」

 

「おはよう祈くん。お邪魔してるわ」

 

「祈くん~おはよう~」

 

やっぱり鷲尾さんたちだった。起きる時間が遅かったから迎えに来たのか?でもまだ七時だぞ、集合時間は九時半の筈なんだけど。

 

「鷲尾さん、なんでこんなにみんな早いの?てか、なんで僕の家にいるの?」

 

「う、それは……」

 

鷲尾さんは目をそらして……

 

「ぎ、銀!パス!」

 

「え!私か!?」

 

鷲尾さんが銀に話を振った。急なことだから銀は困っている。

 

「祈の家に来た理由だよな?」

 

「うん」

 

動揺している銀。そこに乃木さんが……

 

「わっしーとミノさんはね~、祈くんに早く会いたいからきたんだよ~」

 

「は?」

 

鷲尾さんと銀が顔を赤くして慌てて言う。

 

「そそそ、そのっち!?何言ってるの!」

 

「そうだぜ!園子!」

 

冗談だろ?そんなことあるはずが。

 

「青春ね~祈~」

 

母さんが朝ごはんを並べながら言う。

 

「う、うるさ……」

 

並べられたご飯を口に運ぼうとしたら。

 

「これから三人とデートでしょ?モテてるわね~」

 

「「「え!?」」」

 

「はぁ!?」

 

母さんがそんなことを言う。いつもマイペースな乃木さんでも慌てている。僕は箸から食べ物が落としてしまう。

 

「何言ってんの!そんな訳ないだろ!?」

 

「いや、祈が珍しく女の子を呼んだからそうなのかと」

 

 

 

 

その後の二時間は大変だった。母さんの質問攻めで全員やられていた、聞いてるこっちが恥ずかしくなるくらい。でもそのおかげで全員を名前で呼ぶようになった。

 

「さっきのことは忘れて、今日はたのしもうね~」

 

園子が元気に言う。

 

「そういえばさどこに行くの?」

 

そう、僕は行き先を聞いていない。みんなは知っているっぽいけど。

 

「ここは銀さんに任せなさい!」

 

銀が手を挙げて言う。行き先はイネスという場所らしい。イネスに着く前に僕は母さんに言われた言葉を思い出した。

 

「両手に花状態ね。祈、楽しんできなさいよ」

 

「(両手に花、ね)」

 

「じゃあみんな今日は楽しもう!」

 

「「おおーー!!」」

 

銀が言った後に須美と園子が元気に言う。それに続いて僕も言おうとした。しかし……

 

――――ピタッ。

 

「(樹海化か……)」

 

時間が止まる。全部止まった。お役目の時間だろう。神力を発動して、勇者と連携して行こう、そう思い声をかける。

 

「須美たち、大橋に……!?」

 

何故か勇者である三人も止まっていた。異変だ。こんな事が起きるなんて、神樹に話をしようと思って僕は言葉を飛ばした。

 

「神樹!どういうことだ!?」

 

だけど神樹から返信はこない。だが……

 

「(花びら?)」

 

花びらが周りで散っていてた。それが僕を包んだ、そうして目をあけて見た光景は。

 

 

 

 

 

 

 

 

「(なんだ、バーテックスか?でも数が多すぎる)」

 

知らない場所だ。だけどバーテックスがいる、ということはここは樹海だろう。それに、おくに誰かいる。神力を使い宙に浮く。

 

「(神力を最大限に使ってみるか。ここなら人目を気にしなくていい、例え誰かにバレても僕のことは知らないだろう)」

 

剣を取り出す。そして頭の中に思い浮かんだ単語を口にする。

 

「――神装『天照』」

 

僕は光に包まれる。そこから現れたのは一言で表すなら『神』。全てを照らす光。天を照らす光。『天照大御神』。剣も強い光を宿している。

僕は白を基調とした神装を身にまとっている。神力が溢れているのが分かる、無限に力が湧いてくる。自分の力を試すために剣を振った。

 

「(衝撃波を飛ばすイメージで……)せいっ!」

 

横薙ぎに剣を振る。すると、光の衝撃波が敵を飲み込んでいく。

 

「おおぉ…………」

 

自分でもびっくりしている、まさか神力がここまで凄いとは思わなかったから。力を確認しおくに向かおうとした……そのときだった。

 

 

 

 

 

「君は誰?どうしてここにいるの?」

 

 

 

 

 

この声は……

 

「園子?どうしてここに、止まっていたはずじゃ……」

 

そう言い後ろを振り向く、そこにいたのは。

 

「え?そ、園子だよね?」

 

金髪、声、瞳、それに紫の槍。乃木園子だろう。

 

「なんで私の名前を…………!?」

 

園子は目を見開いて僕を見ている。体が震えてる中、震える口を動かして

 

「い、祈……くん………」

 

そう言うと槍の先端部分が僕を狙い飛んでくる。

 

「!?園子!どうし「い……ん……そ…して……」て?」

 

「祈くんこそどうして!!!」

 

「っ!?」

 

園子の声とともに槍の先端が分裂する。自由に飛び回り僕を狙う。

 

「あの時に約束したじゃん!『また、みんなで遊ぼう』って!なのに、どうして!?どうして死んだの!?」

 

死んだ?僕が?だが考えている暇はない。まずは園子を止めないと。

 

「園子。何か勘違いしているのかは知らないけど、僕は死んでいないし、死なない」

 

「…………………」

 

園子は黙り込んでいる。だけど武器を構え

 

「私は大赦の勇者、乃木園子。私は神樹様に最も近い人間……神として、星崎祈。あなたを排除します。昔を繰り返さないために」

 

園子から神力が出ている。それに応じ僕も剣を構え、言葉を発する。

 

「僕は神、星崎祈。邪魔をするものは神の力を振るい殲滅させる。例え、それが友達であっても」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして「『半神』乃木園子」と「『神』星崎祈」の戦いが始まった。




テレビアニメのあの最終バトルのところです。祈が飛ばされた世界の祈は死んでいるという設定です。そこのところは活動報告にて書いておきます。


次回予告

「焼きつくせ!神光!」

「東郷さん!?」

「祈くん……」

「神樹。僕は……」

「まさか、未来の勇者と戦うことになるなんてね」

第五話 別未来の戦闘

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。