ベイビー・パニック   作:高嶺 蒼

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ベイビー・パニック 6

 「それにしても乙女先輩、遅いわねぇ」

 

 レオを抱っこしたまま、姫は竜宮の入り口の方を伺う。

 乙女は大分前に出て行ったまま、まだ帰ってくる様子は無かった。

 

 レオは、色々な人に会って疲れたのか、少しうとうとしている。

 時折頭が船をこぎ、はっとしたように持ち直す様子が何とも愛らしい。

 乙女が来るまで寝かせておいてあげようかとも思うのだが、腕の中の存在が余りに暖かく愛らしい仕草を見せてくれるので、中々手放す気持ちになれなかった。

 

 その時、不意に腕の中のレオの体がぷるぷるっと震えた。

 寒かったかしらと、そっとレオの様子を伺うと、何となく赤い顔をしてこちらを見上げてきた。

 

 

 「レオ?どうかした?」

 

 「えっと、レオ、おしっこ・・・・・・」

 

 

 恥ずかしそうに、もじもじしながらレオが訴えた。

 それも仕方がないことだろう。乙女がここにレオを連れてきてからそれなりに時間がたつ。

 それに、待つ間にジュースも飲んだし、小さな子供がトイレに行きたくなっても仕方がない。

 

 「おしっこ?トイレに行きたいって事ね」

 

 姫は一つ頷き、レオを抱き上げたまま、トイレの前に連れて行って上げた。

 トイレの前でレオを降ろし、ドアを開けて、

 

 「ここがトイレよ。さ、どーぞ」

 

 とにっこり微笑んだ。

 姫はもちろん本気だ。3歳の子供が1人でトイレを出来ない可能性などみじんも感じてない。

 レオはもじもじしながら困った様に姫を見上げていた。そんな2人の様子を見かねて、

 

 「エリー、レオ君は小さいんだから、トイレを手伝って上げなきゃだめだよ」

 

 苦笑混じりにそう教えると、姫はびっくりした顔で良美を見返した。

 

 

 「トイレを手伝うって、どうやって?」

 

 「えっと、ズボンとパンツを脱がせて上げて、便座に座らせて上げればいいと思うんだけど・・・・・・といっても、私もやって上げた経験はないから、それが正解かは分からないけど・・・・・・」

 

 「・・・・・・ズボンとパンツを脱がせてって・・・・・・なんか卑猥ね。私がやっちゃって良いものなの?乙女先輩を待った方がいいんじゃない?」

 

 「今のレオ君はどっちもはいてないから、服をめくり上げて便座に座らせてあげるだけでいいんじゃないかな?」

 

 「めくりあげるって、そんな事したら見えちゃうじゃない」

 

 「もう、エリーったら考えすぎだよぅ。レオ君、小さいんだから。もう、早くして上げないとレオ君、もらしちゃうんじゃない?」

 

 

 戸惑う姫に、どこまでも冷静な良美。

 姫は頬を赤くして、ちらりとレオを見た。

 レオは、一生懸命我慢している。

 我慢しすぎているせいで顔が真っ赤だし、前を押さえてプルプルしている様子は可愛いが可哀想だった。

 潤んだ瞳が姫を見上げる。

 

 「お姫しゃま、レオ、もれゆ・・・・・」

 

 そんなレオの様子を見かねたのだろう。

 

 「エリーが無理なら私がするよ。レオ君、可哀想だし」

 

 そういって良美が進み出てきた。

 言葉は至極まっとうだ。

 だが、何となく目が妖しいのは何でだろうか。頬を染め、息もやや荒い。そんな良美に純真なレオを任せるのは何だか危険な気がした。

 姫は慌ててレオを抱き上げる。良美から守るように。

 良美は少し不満そうな顔をしたものの、大人しく引き下がった。

 

 

 「もう、エリーってばずるいんだから。レオ君可哀想だから、早くしてあげてね?」

 

 「わ、分かってるわよ」

 

 

 姫はそう答え、レオと共にトイレにこもった。

 狭い個室の中でレオを下に降ろすと、姫もその前にしゃがみ込む。

 

 「えっと、じゃあ、服をめくるわね?」

 

 そっと手を伸ばし、レオには長すぎるYシャツをめくりあげる。

 その時、思わず喉がごくりとなってしまったのはご愛敬だ。

 なるべく直視しないように気をつけながら、抱き上げて便座に座らせてあげた。

 そしてそのまま手を離そうとしてはっとした。便座の穴が大きすぎて手を離したら中に落ちてしまいそうなのだ。

 

 「ちょっとよっぴー。手を離すと中に落ちちゃいそうなんだけど」

 

 困ったときのよっぴー頼みとばかりに声をあげると、

 

 「じゃあ、そのまま終わるまで支えててあげたらいいんじゃないかな」

 

 ちょっと苦笑混じりの呆れたような声。

 でも、律儀にきちんと答えてくれるところが良美の良いところだ。

 彼女の言葉になるほどと頷いて、姫はそのままレオを支えたまま、

 

 「ほら、レオ。支えてるから、おしっこして良いわよ?」

 

 そう促した。

 その言葉にほっとしたように、レオは体の力を抜き、気持ちよさそうにぷるっと体を震わせた。

 それからしばらく、ちょろちょろと音が続き、そして終息する。

 ほーっと息をついたレオの、すっきりした顔が可愛いなぁと顔をとろけさせていた姫は、あることに思い至りはっとする。

 おしっこの後、女の子であれば必ずしなければならないことは、男の子の場合はどうなのだろうか?

 

 拭くべきか、拭かざるべきか。

 

 拭かなくてもいいのかもしれない。

 だが、今日のレオはノーパンだ。拭かないでおいたら、滴が落ちるかもしれない。

 そう考えて、姫は心を決めた。よし、拭こう、と。

 

 片手でレオを支え、片手でトイレットペーパーをとる。

 目線を、レオの股間に落とした。そこにあるのは何とも可愛らしいゾウさんだ。

 ごくり、と唾を飲んだ。悪いことをするわけではない。

 だが、これからその部分に触れるのは事実。男の子の、大事な部分に。

 

 「お姫しゃま?」

 

 おしっこは無事に終わったのに、いつまでも便座から降ろしてくれないことを不審に思ったのだろう?レオの純真な瞳が姫を見上げる。

 その瞳に下心を見透かされた気がして、うっとひるむ。だが、あえて平気な様子を装い、姫はにこっと微笑んで、

 

 

 「拭いてあげるから、じっとしてね」

 

 「レオの、拭くの?」

 

 「そ、拭くの」

 

 

 そんなやりとりの後、姫は意を決して手を伸ばした。レオの、大事な部分へと。

 そっと先端の部分へ触れる。

 ふよっと柔らかい感触が、ペーパー越しに伝わってきてドキッとする。

 しかし、そんな心の動きを押し殺して丁寧に拭い、ペーパーを便器の中へ落とした。

 

 

 「はい、綺麗になったわよ」

 

 「レオの、きえい?」

 

 「ん~?そうねぇ」

 

 

 首を傾げたレオへ微笑みかけてから、もう一度目を落とす。ドキドキはするが、一度見てしまった為か、抵抗なく観察できた。

 ツルンとしてプルンとしたそこは、何というか、可愛らしかった。

 大人になるにつれグロテスクに変わってしまうのだろうが、今はそんな様子などかけらもない。

 姫は顔を寄せ、まじまじとそこを観察した後、レオの顔へと視線を戻した。

 

 

 「ん。文句なしに綺麗で可愛いわよ、レオ」

 

 「えへへ~。ありあとぉ」

 

 

 姫の言葉を誉め言葉ととるべきかどうかは、男としてはちょっと微妙なところだが、今のレオは素直に喜んでにこにこ笑った。

 そんなレオを、姫は再びひょいと抱き上げ、抱きしめる。腕の中にすっぽりと納まる小さな存在が愛おしい。

 くすくす笑うレオに頬ずりをしながら、

 

 「ん~、可愛いなぁ。やばい、本気でお持ち帰りしたくなっちゃったかも。元に戻るまでに一日くらいお持ち帰りさせてもらえるように、よっぴーには内緒で乙女先輩に頼んでみようかなぁ」

 

 そんな事を、割と真剣な様子で呟くのだった。

 

 

 

 




 読んで頂いてる皆様、お気に入りに登録して頂いている皆様、本当にありがとうございます。
 つたない文章ですが、頑張って書きます。
 次回投稿予定は未定ですが、なるべく早めにUPします。

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