東方変幻録   作:大神 龍

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 明けましておめでとうございます!

 せ、先週休んだのは…その、もう一つの方の作品のコラボで夜中の2時まで頑張ったので疲れ切っちゃったのが原因です。はい、すいません<(_ _)>


第二十七話

「貴様!!何者だ!!」

 

「止まらなければ斬るぞ!!」

 

「止められるモノなら止めてみろ」

 

 前から襲い掛かってくる二人の白い犬耳犬尻尾の、白狼天狗と言われる種族の妖怪。

 

「遅い。その程度の速さで侵入者から山を守ろうなんて思いあがるな」

 

 振り下ろされた二本の凶刃を指にはさんで止めると、力任せに後ろへと投げ飛ばす。

 

「「ぐわぁ!!」」

 

 ただ投げ飛ばされただけ。幻魔がやったのだからそんなことがあるわけが無い。

 

 投げ飛ばされた後、空中で刀が爆発し、白狼天狗は黒煙に飲み込まれて見えなくなる。

 

「ほら、行くぞ」

 

「は、はい…って、これじゃあ思いっきり悪役ですよ!?」

 

「だから?別に、殺してない。むしろダメージ最小限に気絶させただけだ。1時間もしないで回復するさ」

 

「で、でも!侵入したことに変わりは無いですよ!?」

 

 しつこく言ってくる紫に、若干イラッとする幻魔。

 

「何度でもいうが、私はその『生命の掌握者』と互角に渡り合える自信があるぞ。運が良けりゃ勝てる。それでも私を止めるのか?」

 

「…え?勝てるんですか?あの人に…?じゃ、じゃあ私ももしかしたら…?」

 

「貴方くらい目を瞑っていようとも勝てる。ノーダメージでな」

 

「な、なんか、色々と自信無くします…」

 

 がっくし。とうなだれる紫。

 

「さてと。取りあえず、鬼の所まで行こう。どうせ、『生命の掌握者』もそこまで行ったのだろう?」

 

「えぇ。というか、そこに住んでましたよ。だから修行の為にそこまで行かなくちゃいけないので苦労しました…」

 

「なんだ。稽古を付けて貰ってたのか?」

 

「少しだけ。ほとんど遊ばれてましたし、最終的に飽きて遊んでましたが」

 

「ハハハ!それはあいつらしいな。どうせその場のノリで言って収拾がつかなくなったんだろう。中々災難だったな」

 

「えぇ、全くです。それでも一応鬼以外はまとめて相手にしない限りどうにかなるんですけど…あと少しなんですよ」

 

「そうかそうか。それなら、しばらくの内は妖力を増やすように修行をすればいい。大方最終的に体力不足で倒れるだろうからな」

 

「な、なんでそこまでわかるんですか!?」

 

「あいつの修行方法は最小限回避と技の量を増やす事。だけど、それじゃあ数に押されて負ける。それに、肉体回避を専門としてるから能力の増強まではしない。だからそのほかの力がおろそかになって、身体能力で負けたら打つ手が無くなるんだ。だから妖力を増やせば飛んで回避したり身体能力を上げたり出来る。技の使用量が増えるんだな。まぁ、それ以外にもあるが、だいたいこんな感じだろう」

 

「そ、そう言えば師匠と修行するとずっと走り回ってた気がします」

 

「だろう?まぁ、大抵の相手ならそれでどうにかなるが、さすがに鬼まで行くと物理が効かなくなるだろうからな。妖力方面も鍛えた方が良いぞ」

 

「は、はい!分かりました!」

 

 途中から授業をしているのだが、二人とも気付いておらず、そのまま歩き続けて行く。

 

 たまに妨害の為に出てくる天狗を紫に気付かれない様に撃ち落としながら。

 

 

 * * *

 

 

「それにしても、今日は天狗が静かですね」

 

「そう思ってる時点でお前は修行不足だよ」

 

「え?」

 

「まぁ気にするな。さて、あそこが鬼の住処か」

 

 疑問を浮かべる紫を軽く受け流し、幻魔は鬼の住処に足を踏み入れる。

 

「おいおい。ここは鬼の住処だって知っててその行動をとったのか?」

 

 声につられ、反射的に振り返ると、眼前に拳が迫って来ていた。

 

「ッ!!」

 

 瞬間、幻魔はテレポートで回避、そして即座に数本のナイフを投げつける。

 

 だが、ナイフは先ほど放たれていた拳の拳圧に吹き飛ばされる。

 

 ナイフは地面にぶつかると共に爆発を起こし、砂煙が舞う。

 

「やれやれ。反撃で刃物が飛んでくるとは…しかも爆発するなんてね。想定外だ」

 

「……呼吸、足音、挙動音、気配の全てを消せるなんて、相当な実力者って所か?」

 

「さぁな。俺はそこまで強さにこだわってないんだ。鬼としてどうなんだ。って姐さん達には言われるけどな」

 

 目の前に居る鬼。銀色のウルフカットの髪に、額に深紅の角。服は青に白い雪の結晶の柄が付いているモノ。

 

「それで、お前は私を止めるのか?」

 

「当たり前だ。むしろ、止めないわけが無い。お前はそれなりに強いだろうからな」

 

 彼はそう言い、頬を緩める。

 

「そうか…はぁ。別に、鬼の村に来て何かしようって訳じゃないんだがな?」

 

「鬼は『ケンカ』が好きな種族だ。知ってるだろ?」

 

 彼の口角は上がり、それとは反対に幻魔は面倒臭そうな表情に変わる。

 

「そういえばそうだったな……仕方がない。実力試しのついでに叩きのめしてやろう」

 

「その傲慢な考え。絶望と共に砕いてやるよ」

 

 瞬間、暴風と共に二人はぶつかり合う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから、あの人も、幻魔さんも、どうしてもっと穏便にできないんですかぁ!!」

 

 涙目で叫ぶ紫の言葉は誰にも届く事は無く、暴風に飲み込まれて消えて行ってしまった。




 では、今年も一年、よろしくお願いします!

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