ペルソナカグラ FESTIVAL VERSUS -少年少女達の真実-   作:ゆめうつつ

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久しぶりの日常回。皆さんお待ちかねのあのキャラも漸く登場します。
しかし作者は、日常話を描くのがどうも苦手なようです……(汗
理が若干キャラ崩壊しているかもしれませんが、コミュ回という事でスルーして下さい。


閑話Ⅱ 心の力 Side:街の記憶

 理が半蔵学院へと編入してきてから数週間が経ち、始めの頃は取っ付き難い物であったという彼への評価が、ここ数日で変わり始めていた。

 それというのも、結城理を訪ねる美少女達というイベントがあったからだ。黒髪ロング美少女に始まり、黒髪ポニーテール美少女、金髪ロング美少女と、三人もの巨乳美少女が訪れたのである。これでは、気にするなと言うのが無理であろう。

 それに伴い、結城理という人間が再評価される。クラスの自称・情報通である松笠は(半蔵学院の)(日々の)(クエスチョンに答えたい)という組織を発足し、彼の周辺を調査することにしたのだ。

 

「それをふまえて、我らHHQは全力をあげて我がクラスの転校生を調査いたします!」

「指令、私はA組なので『我がクラス』というのはやめていただきたい」

 

 組織と言っても、メンバーは松笠とα(はじまり)Ω(終わり)という3人のみであり、HHQそのものが生徒会未承認という有様なのだが、まぁそこは目を瞑ってやってほしい。

 兎に角彼女達は聞き込み調査を行い、理の人となりを測るのであった。

 

「まずは基本データと印象調査の結果発表です」

 

 松笠は私見だが、理に対するステータスを開示する。

 

 彼女はまず理の『学力』を“わりと”と判断した。

 同じクラスである松笠は理が質疑応答する場面を何度か眼にしているが、その全てにおいて彼は完璧な回答をしていたのだ。

 授業で『旧石器時代と新石器時代の違いは?』などと問われても、松笠にはちんぷんかんぷんであるというのに、理はその問いに「……石器の形」と正解を答えている。

 それと同時に、授業中に居眠りをしている場合も有るのだ。それでいて成績が良いのだから、松笠達には全く理解が及ばない。……だからこそ“わりと”なのだが。

 そのうえでE組の担当教師に理の具体的な成績を尋ねてみると、何と編入試験は満点でパスしたのだという。本当に訳が分からない。調査をしたばかりだとというのに、逆に謎が深まるばかりだ。

 

 次いで、理の『魅力』は“選り好み”と言った所だ。

 クラス内の印象調査では、彼の第一印象、容姿に対する評価は“地味そう”“墓地にいそう”“ねむそう”“ヘッドホン”等である。得てして、良い評価であるとは言い難い。というか、二番目はもはや悪口ではないのか?

 とは言えど、理が普段から発している陰鬱な雰囲気を目にしたならば、この様な評価も仕方がないのだろう。容姿もまた、長くうっとおしい前髪が顔を半分覆い隠し、その雰囲気を助長していた。

 しかし前述した通り、理に対する評価は変わり始めている。何があったのかは知らないが、最近はその陰鬱な雰囲気が和らいできており、先述のイベントも有って彼の容姿を再確認するクラスメイト達――主に女性陣――が、その整った容姿に気が付き始めたからだ。徐々にではあるが、前三つの印象も“クール”にへと統合され始めていた。

 

 最後の要素、『勇気』は知らない。しかし、数々のイベントを「どうでもいい」と流すその胆力は凄まじい物であるのは間違いないだろう。

 

「続いて街での目撃情報をご覧ください!」

 

 ~証言1 CDショップ・大和撫子風黒髪美少女との接触~

 

 とある日の学校帰り、理は近場のCDショップを訪れていた。音楽鑑賞を数少ない趣味の一つとする彼であるが、少し前まで貧乏学生であった彼ならばこのような店を訪れるのは有り得なかっただろう。大体は、レンタルショップ――それも割引日限定で――か、図書館での無料レンタルで視聴していたのだから。

 しかし最近の理は羽振りが良くなっていた。忍学科からの給金・援助金を得て、以前ほど貧困に喘ぐことが無くなったからだ。

 とは言えど、理は散在する気などさらさら無い。本当ならばその金も貯蓄する気でいたのだが、忍学科のメンバー全員から「結城(くん)(さん)はもう少し贅沢をしてもいいの!」と押し切られたのである。

 という訳で、現在の理は新品の音楽CDを見繕っていた。なお、彼の音楽嗜好は洋楽よりであり、特にクラシックやジャズを好む。そして、上側の棚にクラシックの名盤が有るのを発見し、手に取ろうとした時それは起こった。

 

「……ん?」

「あっ……」

 

 CDを挟んでの反対側から伸ばされた手に、理の手が触れる。細くしなやかな指と、すべすべとした肌触りの白い肌は、間違いなく女の子のそれだ。

 思わず顔をそちらの方に向け、同じく相手方からも顔を向けられた為に、バッチリと眼が合ってしまった。

 取り敢えず、まずは謝罪。意図しない接触と云えど、下手をすればセクハラ扱いを受けかねない昨今だ。理は最近、葛城からの激しいスキンシップ――もはや逆セクハラの域だ――を受けているが、其処ら辺の良識は当然あるのだから。

 

「……失礼しました」

「いえ、こちらこそ」

 

 理にとっては有り難いことに、少女は彼をいきなりセクハラ犯罪者扱いするような突飛な思考を持っていなかった。寧ろ、軽く会釈をしただけであった理に対して、深々とお辞儀をしてみせるほどに礼儀正しい。

 そんな応対をされた理は興味を惹かれ、改めて彼女を見やる。そして相手方の少女は、そういった感性が薄い理ですら気後れしてしまう程の美人だったのであった。

 

 一目で見た印象は、『雪』であっただろうか。触れるだけで儚く融けて消え去ってしまいそうな雰囲気でありながら、そのアイスブルーの瞳には月光の様な確かな光を宿している。

 セミロングの黒髪は、大きな白いリボンによってキッチリと後頭部で束ねられ、所謂ハーフアップと呼ばれる髪型だ。

 彼と同じく学校帰りであろう彼女は、灰色のワンピースタイプという珍しい制服に身を包んでいる。理が彼女に興味を抱いた要因の一つだ。……別に、その制服の胸囲部分が突出していたことなど全く関係が無い。

 総評して、完全無欠の美少女である、と言っていいだろう。街中で見かけたならば、10人中9人は振り返ってしまうという、そんな魅力を持っていた。尤も、理はその残る一人という少数派であるのだが。

 

「……これだね、どうぞ」

「え? あ、どうも――――いえ、ちょっと待ちなさい!」

 

 理は自分及び少女が取ろうとしていたCDを手に取り、彼女に手渡す。しかし彼女はそれがお気に召さないのか、理に待ったをかけた。手渡された筈のCDを、今度は理へと押し付ける。

 どうやらこの少女は、かなりの生真面目らしい。このCDを買うべきなのは、理だと主張してきた。

 

「このCDは貴方も取ろうとしたモノでしょう? ならば、当然貴方が受け取るべき権利が有る筈です!」

「……それはそっちだって同じことだから、俺はいいよ」

 

 しかし、互いの主張は平行線である。謙遜は日本人の美徳とは言うが、それが二人集まればややこしい状況になるようだ。互い互いがCDを交互に押し付け合うその姿は店内でも注目の的となり、周りの人間は何処か微笑ましい目付きで見守っているのだった。

 そして話はどんどんと脱線していく。現在は互いの音楽嗜好と、それらに関連する趣味を語り合っていた。

 

「俺は聴く以外だと、歌ったり、楽器を弾いたりするかな」

「おや、歌うだけでなく、楽器も嗜んでいるのですね」

「歌うといっても、最近一人カラオケに通う様になっただけだし、楽器を弾くのも学校の授業だけだね。音楽系の部活に入ってみたいとは思っているけど」

「素晴らしい向上心です。私も日本舞踊を学んでいますが、流石に楽器までは――――」

 

 ふと、その二人の傍を通りがかる影が有る。二人とはまた別の学校の改造セーラー服に身を包んだ女生徒は、こそこそと怪しい動きをしており、この上なく不審である。

 店内中の注目が理達に集まっている中、怪しい少女は二人の傍を何気なく通り抜けようとして――――

 

「「待て」」

 

 ――――がっしりと、その肩を掴まれた。

 この怪しげな少女、実は万引き犯である。店内の注目が二人に集まっていることを良い事に、幾つかの商品を鞄やポケットに詰めていたようだが、そんな悪徳行為を見逃せるほど理は倫理観が喪失している訳でもなく、生真面目な少女は元から規律順守の性格の様だ。

 

「……万引きは窃盗で、犯罪だ。みっともないことするもんじゃないよ」

「窃盗犯、即ち悪です!」

「あ゛? 放せ手前ら、痛い目に逢いてえのか!」

 

 不良少女が叫ぶと、店内のあちこちから同じ改造セーラー服を着た何人もの女生徒が集まってくる。どうやら、集団万引きの現場でもあった様だ。

 理は呆れ果てた様に不良少女を蔑んだ眼付きで見るが、少し眼を離した隙にその彼女は生真面目な少女に絞め落とされていた。

 

「……容赦ないね」

「悪は断じて許しません。申し訳ありませんが、警察への通報をお願いできますか?」

「了解。あと、警察だけじゃなくて、うちの学校のクラス委員にも連絡していいかな? 自警団みたいなこともしているから」

「ええ、構いません」

 

 理が言うクラス委員とは、勿論彼が所属する忍学科の事である。彼女達は時折、街中を巡回してこの様な不良撲滅運動も行っているのだ。

 そのため、理がこの様な現場に遭遇した際は必ず連絡をするように言われている。表向きの彼は半蔵学院に通う普通の生徒である以上、無用なトラブルに関わる訳にはいかないのだから。

 

「……というか、そっちだって別に不良(コイツ)等に関わらなくても――――」

「ゴチャゴチャイチャついてんじゃねぇぞッ!!!」

 

 少女の身を案じる理であったが、話の最中に割り込んでくる無粋な輩が居る。熊のように大柄な不良、少……女…………? が、二人に向かって素手で殴りかかってくる。

 理は思わず迎撃しようと身構えるが、それよりも生真面目な少女の方が速かった。

 

「――――ふッ!」

「ごバっ?!」

 

 眼にも止まらぬ速度となって放たれた掌底が、不良の顎を打ち据えた。全身の関節を連携させ、下から上に打ち上げる様にして放たれた為、不良の身体が僅かに浮き上がる。その威力に理は僅かに不良に同情するが、結局は自業自得である以上、すぐさまその考えを振り払った。

 そして反撃とはいえ、躊躇なく手を出した少女に理は目を見張る。どうも最近の自分の周りにはバイオレンスな女の子が集まっているな等と、首を捻りたくなった。

 というか、この私刑を黙認している辺り、彼自身とてわりとアレであることを自覚してほしいのだが。

 

「なッ! やりやがったな、このアマ! ヒィヒィ言わせてやるから、覚悟しな!」

 

 リーダー格と思しき熊の不良少女? を攻撃したことにより、不良グループはこの少女を完全に敵とみなしたらしい。臆面もなく、全員で襲い掛かって来た。

 しかし少女は臆することなく不良達を見据え、迎撃の構えを取っている。念の為に、理は少女へと問う。

 

「……手助けは?」

「無用」

 

 短い答えと共に、少女は駆け出す。タン、タタン、タタン、タン、と軽やかなステップを刻み、不良達を翻弄し、素手の一撃で以て気絶させていった。戦闘時間、僅か十秒の出来事である。

 ヒィヒィ言わせるどころか、自分達が言う間も無く沈黙させられた不良達に理は憐れみを覚え、願わくば心を入れ替えて真人間にならんことを切に望んだ。

 不良退治という一仕事を終えた少女は、何処か満足気な雰囲気を漂わせながら理の方に近づいてきた。取り敢えず、労いの言葉を掛けることにする。

 

「お疲れ様、恰好良かったよ。ステップのリズムは、モーツァルトの『怒りの日』かな?」

「…………」

「……どうしたの?」

「いえ、そこまで見抜けるとは……」

 

 ステップのリズムだけで曲名を看破した理の慧眼に眼を瞬かせる彼女は、粛々としていた先程までの態度とは打って変わって年相応の可愛らしさを魅せていた。因みに、理は気付かずにタメ口なのだが、実は彼女の年齢は理よりも一つ年上であったりする。

 そして、店内が俄かに騒がしくなっていく。喧嘩騒動が起こった以上、その発端ともいうべき自分達が此処にいることは好ましくないだろう。傍目には現場から逃走する犯罪者だが、大本の原因はこの不良集団である。理と少女は後始末を警察や忍学科に任せ、CDショップを後にすることにした。と、その前に――――

 

「ほら、これ」

「えっ? これは……」

 

 理が少女に手渡したのは、先程まで二人が諍いを起こす原因となったクラシックのCDであった。勿論万引きなどでなく、包装されている為、何時の間にか彼が購入していたらしい。

 

「いや、だからこれは貴方が――――」

「……もう埒が明かないから俺が買って、まずそっちに貸してあげるよ。それでいい?」

 

 少女も流石にこれ以上の問答は不毛だと察したのか、そのCDを胸に抱いたまま、またしても深々と頭を下げた。

 

「ありがとうございます。有り難く借り受けさせてもらいます」

「……そんなに畏まらなくていいよ。俺もキミと話し合うのは結構楽しかったし、そのお礼みたいなものだから」

 

 そういって理は踵を返し、帰路に就く事にする。少女はその背に微笑みを浮かべながら、別れを告げるのだった。

 理にとっても少女にとっても、この一時はさながら『運命』であったと言えるだろう。

 

「……じゃあ、また」

「ええ、また会いましょう、()()()()

 

 少女は告げていない筈の理の名前を呼びながら、街の人混みの中に消えていくその姿を見送っていた。

 ……この後、忍寮に帰還した理が飛鳥達に給金の使用先を尋ねられた際、女の子へのプレゼント代に使ったと正直に話して、彼女達の機嫌が物凄く悪くなったのは全くの余談である。

 

 

     ◆

 

 

 理の姿が見えなくなった頃、少女の傍に別の人間が歩み寄ってきた。

 その姿は異様だった。少女と同じ灰色のワンピース制服に身を包んだ、歳の頃を同じくする長身の女性だ。整ったプロポーションに、茶髪をリボンでサイドテールに結い上げている。

 しかし、その顔は般若面に覆われ、容姿を窺い知ることは出来ない。何より異常なのは、そんな姿をしながらも通行人に誰一人として見咎められることが無いことだ。実際、この二人は既に周囲の人間からは認識されなくなっていた。

 

「……それで、会ってみてどうだ? 件の『ペルソナ使い』とやらは?」

 

 仮面の少女、(むらくも)は、隣に立つ少女、雪泉(ゆみ)に尋ねる。言わずもがなこの二人は、飛鳥達と同じく忍であった。

 善忍育成学校『死塾月閃女学館』に所属する彼女達は、かのシャドウという存在と事件について把握しており、それを唯一倒すことが出来るというペルソナ使いについても聞き及んでいた。当然、結城理の事もだ。

 雪泉が理に会ったのは偶然でこそあるものの、容姿や名前などを資料で確認しており、すぐさま彼だと気付く事が出来た為、その人となりを測ろうとしたのだった。

 

「ええ。話してみた限りでは、邪な所など無い清廉潔白な人物だと思います」

「ほう? 雪泉にそこまで言わせるとはな。……噂通りの男という訳か」

 

 叢の言う噂とは、資料に書かれていた理の人間性――――『人誑し』であるという部分だ。字面で見れば不名誉な事かもしれないが、どうも周囲の人間は彼をそう見る傾向にあるらしい。

 というか、この資料を纏めたのが斑鳩である為、そういった偏見が付く事も致し方ないだろう。叢はもう既に、その評価を揺るぎない事実として認識している。

 眼の前で、にこやかな雰囲気を漂わせながらCDを胸に抱いている己の親友の姿を見たならば、それも当然であった。

 そんな普段の雪泉らしからぬ光景を見て、叢は溜息を吐く。そして、身に纏う般若面を撫でた。

 

「結城理、ペルソナ使い。……Persona(仮面)か……」

 

 ペルソナという言葉には、ラテン語で『仮面』という意味が有る。異形を召喚し、魔法を操り、化け物を屠る力を持つ異能にしては、まるで似合わない名前だと叢は思う。

 酷く名前負けをしていると思わざるを得ないのは、彼女自身がある出来事から『仮面』を被ったからだ。故に叢は、理とペルソナについて興味を持ったのだった。

 

「……出来れば我も、結城と話を――――ああ、駄目! やっぱり恥ずかしいぃ……!」

 

 ……尤も、この調子ではそれが果たされるのは、当分先になりそうだ。

 

 

     ◆

 

 

 ~証言2 商店街八百屋・金髪お嬢様風美少女との接触~

 

 理の食生活は、基本的に自炊中心である。忍寮では食堂が無く、入寮者である理や飛鳥達の食事は、自分で作るか外で食べるかの二択であったのだ。

 幼い頃から一人暮らしを始め、炊事のみならず基本的な家事全般を苦としない理は、節約の為にも自炊を行っており、現在は食材の買い出しの為に商店街を訪れていた。

 なお、忍学科のメンバー達は全員が料理スキルを備えている。以前強烈なイカモノ弁当を創り上げた斑鳩でさえ、和食系統に限ればプロ並みの腕前を持っていた。是非ともその腕前は、創作料理を作るのに発揮しないで欲しいと切に願う。

 そして理の料理の腕前は、その全員から太鼓判を押されるほどであったりする。彼の創り上げたトマトとアサリのパスタ(ボンゴレ・ロッソ)に誰もが舌鼓を打ったのは記憶に新しい。

 とはいえ、彼の好物・得意料理はそんなパスタ料理だけに限らず、和洋中何でも御座れだ。強いて挙げるなら、作りやすくて安価な物といった所か。

 

(今日の特売は……)

 

 セール広告を片手に、八百屋の店先に並ぶ特売の野菜を矯めつ眇めつ眺める。理は今日の献立を肉料理にしたいと考えていた為、それに合う野菜を探していた。

 万能食材たるタマネギでもあればいいのだが、生憎今日は安売りを行っていないらしい。落胆しつつ辺りを見回すと、ふと目に付く食材があった。

 『もやし特売!』――――そのポップを見て、買う買わない以前に理の脳裏に過ぎったのは、とある少女の姿――――

 

「間に合いましたわあああぁぁぁっっっ!!!」

 

 ……脳裏どころか、目の前を過ぎ去った。理と同じ年頃で、やや幼げに見える顔立ちに翠の瞳、ふわりとした長い金髪と、黒色のセーラー服。

 その礼儀正しい口調を聞けば、どこぞのお嬢様とさえ思ってしまいそうな風貌の美少女。しかしそれが偽りであることを、理は知っている。

 そしてそれ以上に、彼女はもやしが大好物であるという特徴を持っていた。

 

「本日限定、特売もやし! うふふ、まだこんなにたくさん残っていますわ! 店主、ここからここまでのもやしを買わせて頂き――――」

「はいストップ、買占めは止めようよ」

 

 少女の前で理は、もやしの袋を一つ見せつける様にして、ひょいと取り上げる。生憎彼女の関心を惹くならば、声を掛けたりド突いたりするよりもこっちの方が有効だ。

 取り上げられたもやしの袋を追う様に視線を動かし、そのもやしを持つ人物が眼に入ると、彼女は途端に顔を綻ばせた。

 

「まあ! 貴方は何時ぞやの、もやしをお譲り頂いた殿方では有りませんか! その説はどうも」

「……いや、別に感謝されるほどの事じゃないよ」

 

 理の言う通り、本当に感謝される程度の事ではない。単に理が彼女に、もやしを一袋譲ってあげただけだ。

 つい先日、奇しくもこの八百屋で最後の一つとなっていた特売もやしを理が入手した際、遅れて現れて完売となったもやしコーナー前で崩れ落ちる彼女が眼に堪え忍びなかったので、彼女に譲ったのである。当然というか何というか、物凄く喜ばれた。

 彼女との出会いにもなった一幕でもあるそれは、理の中では主に喜劇として扱われている。

 

「むう、仕方ありません。わたくしがもやしを買い占めてしまったら、他の方々がもやしを食べれませんからね」

「是非そうして欲しいね。俺ももやしを買おうと思っていたから、ちょっと困る」

 

 実はこの少女、激安食材であるもやしを買い占めようとする所から察して頂けると思うが、物凄い貧乏人である。いや、理自身直接聞いたことは無いのだが、彼の金銭に関する勘はそう言っていたのだ。

 色々な事情から金銭絡みのトラブルに巻き込まれた経験のある理は、何となくのレベルで相手の金銭事情を察することが出来る。斑鳩などがその筆頭で、俗な言い方をすれば『お金の匂いを発していた』とでも言えばいいのか。

 目の前の少女はその逆で、そういった雰囲気が全く感じられない。おそらく少女も同じ感性を持ち、理が金に縁が無いことを察しているのだろう。それに故か、二人は気が合ったのだ。

 

「今日はどんな料理を作られるのでしょう? もやしのミルク煮? もやし炒め? 茹でもやし?」

「いや、肉料理の嵩増しに……、まあいいや。レシピは――――」

 

 理はメモ帳にさらさらとレシピを記載し、少女に手渡す。理と少女は、この店で顔を合わせる度に料理のレシピを交換し合うのが常となっていた。

 

「ふふっ♪ やはり貴方のもやし料理のレパートリーは豊富ですわね。わたくしも大助かりです」

「……それはどうも。こっちも結構助かってるから、お互い様だね」

 

 ……正確には、少女が伝えてきたレシピをアレンジし、彼女に返還しているというのが真相なのだが。彼女のレシピは何というか、もやしありきと言うか、もやししかないと言うか。斑鳩の創作料理と良い勝負だ。

 このままもやし漬けの生活が続けば、彼女の魂をmo ya siて――もとい、栄養が偏う事に成りかねないと理は判断し、食生活の改善に努めようとした。最近の自分は、随分とお節介になったなと実感する理である。

 尤も、こうしてもやしを買い占めようとするあたり功を奏しているとは言い難く、それでいて斑鳩にも勝るプロポーションを持つのだから、もうどうでもいいんじゃないかと思っていたりもするが。

 そして少女は買い物かごにもやしを入るだけ突っ込むと、嬉々としてレジを済ませ、帰路に就くのだった。

 

「それでは、わたくしはこれにてお暇致しますわ。御機嫌よう♪」

「……ああ、また」

 

 同じく会計を済ませた理は、ひらひらと手を振って別れの挨拶を告げる。そうして、スキップでもしそうに足取り軽い彼女の背を見送るのだった。

 

 不思議な雰囲気を持つ少女だ、と理は思う。それは勿論、あどけない性格や、もやしに対する愛情と言った部分ではない。彼が少女に抱いた違和感は、彼女の金銭面への執着だった。

 先述の通り理は金に縁が無く、寧ろお金に関しては本当に碌な目に逢っていない。だからこそ彼は、金銭への執着が全く無いと言っていい程だ。

 逆に彼女は、ここ数回の出会いで金銭への強い執着を時折見せていた。それ自体は別に悪いことではないものの、恨み辛みと言った感情すら入り混じるようでは、決して良い事とは言えないだろう。

 理はそんな彼女の過去に何が合ったか知る由も無いし、そもそも名前すら知らない仲なのだ。そんな雰囲気を持つからこそ、必要以上に踏み込むのは憚られたのだから。

 

「……儘ならないな」

 

 最近の自分は、本当にお節介になった。絆を得て、それが本当に貴いものだと知り、結城理という人間は少しずつ変わり始めている。こうして、彼女を如何にかしてやりたいと考える程度には。

 ならばこそ、自分に出来るだけの事をしようと理は考える。金銭といった俗な物など関係無い、『正義』の公平さを持って、彼女と係わろうと彼は心に決めた。

 取り敢えず、まずは――――

 

「もやし料理のレパートリー、増やすかな……」

 

 彼の今日の夕食が、『もやしの肉味噌炒め』となった瞬間であった。

 

 

     ◆

 

 ~証言3 夜の街・不思議な双子との接触~

 

(遅くなったな……)

 

 時刻は夜十時ごろ、理は夜の街を歩いていた。最近の彼は運動系の部活――水泳部である――を始め、今日もその活動によって帰宅時間が遅くなっていた。

 勿論シャドウ討伐と言う使命がある以上、積極的な参加は出来ないでいる。だが、部活動を通じて何人かの友人ができ、彼らへの義理も有る為に疎かにも出来ない。何より理自身、部活動を楽しんでいた。

 そして、忍学科に本日のシャドウ討伐は無しと連絡を伝えた後、何処かに食事でも寄ろうかと考えながらのんびりと脚を進めていた理の前に、“それ”は現れたのだった。

 

「わぉーん❤」

「…………」

 

 ――――何 だ ア レ は !?

 

 理の思考はそれ一色に染まる。今までの人生の中で、此処まで混乱したことはないと断じることが出来るほどに、目の前の光景は彼の常識を逸していた。

 くるくると跳ねたセミロングの金髪、ジト眼に形取られた瞳は左眼は緑で右眼が青というオッドアイ、その整った容姿と豊満な体付きは十分に美少女と言っても過言ではない。

 身に纏う衣装は、バレリーナを思わせる白のドレス。金色の装飾と翼の意匠があしらわれており、この上なく彼女に似合っている。喜悦に歪む口元から漏れた声は、明らかに理に向けられたものだ。

 尤も、この真夜中に露出過多のドレスを着込み、犬の様な鳴き声を発しているのは、明らかに正常な人間と判断していいモノではない。漸く理は、目の前の少女が何者であるのかを察した。

 

「痴女だッ?!」

 

 思わず大声で叫ぶ。物凄く失礼な物言いなので、本来ならば内心に留めるべきであろうが、混乱しきっている彼にそんな余裕など存在する筈が無い。それどころか、理に罵られて身悶えするという彼女の反応が、さらに混乱を加速させた。

 

「あはぁ~ん❤ イイ! すっごくイイよ、今の! もっと罵ってぇ~♪」

「うわっ!? 近い!」

 

 痴女の少女は、そのまま四つん這いで理の方へと擦り寄ってくる。ドン引きしてその場から飛び退くが、少女はやはりその後を追ってくる。ハァハァと息を切らせながら、四つん這いのままで。……物凄く怖い!?

 いつしか壁際にまで追い込まれ、壁に背を付けながらも尚逃げようとする理の前に少女は跪き、こう告白するのだった。

 

「うふふ~❤ キミ、すっごく素質有りそう~♪ ねぇねぇ、両奈(りょうな)ちゃんのご主人様になってくれないかな、かな~❤」

「御免被る!」

 

 焦りと恐怖で口調も崩壊しかけているような気もするが、彼の薄っぺらいキャラ――と、本人は思っている――如き、彼女の前では塵芥に等しいのだろう。

 じりじりとにじり寄ってくる少女、両奈に怯えながら、理の脳はこの状況の打破の為にフル回転する。考えろ、考えろ、考えろ! この状態から抜け出すのに、最善の一手を!!!

 その時理に電流走る――――! 思い起こされるのは、つい先日学校での友人達との会話。と言っても、健全な男子高校生の友人間で交わされる会話など、大抵は猥談である。

 理は左程興味が湧かず、話半分で聞いていたが、それらの会話により世の中には特殊な性癖を持つ人間が居ることは理解していた。尤も、こうしてそんな性癖を持つ少女が眼前に現れる等予想していなかったが。

 そして、一応はこういった性癖――マゾヒズム――への対抗策は記憶に残っている。こうなってしまった以上、嫌だが、本当に嫌だが、実行するしかない。理は覚悟を決めた。

 

「……両奈」

「はいっ❤」

 

 深呼吸をして、すぅっと理の眼が細められる。絶対零度の視線で両奈を睨みつけ――両奈はその時、ゾクリとした感覚を覚えた――告げる。

 

「――――《おすわり》ッ!!!」

「わんっ❤」

 

 理の指示に――言うまでも無く、半ばヤケクソである――両奈はすぐさま反応し、その場に《おすわり》をする。両足は大股開き、両手もキッチリと地面につけた。

 その体制に移行するとき、スカートがふわりと靡いてちらりとライトグリーンのショーツが見えたが、そんなモノは最早どうでもいい。重要なのは、両奈の動きを止めたという点である。

 

「よーし、そのまま《待て》だよ……」

「くぅーん……♪」

 

 理は両奈の動きを制したまま、ゆっくりと彼女から距離を取る。両奈はその間、期待に満ちた目で理を見据えていたのだが、当然の如く彼はスルーしていた。

 しかし、そのまま十分に離れて後は全力で逃走するだけだという所で、新たな闖入者が現れた。

 

「何やってんのよこのバカ犬ーーーッ!!!」

「わぉんっ❤」

 

 突如現れた少女は、お座りの体勢を取っていた両奈を思いっきり蹴っ飛ばす。しかし両奈はやはり嬉しそうに嬌声を上げて、その攻撃を甘んじて受けていた。突然の出来事に、理は行動できないでいる。

 この少女は、恐らく両奈の親族であろう。彼女によく似た顔立ちに、それを丁度ツリ目にした瞳の形。特徴的なオッドアイは鏡映しの様に左右入れ替えだ。

 茶色の長髪を黒い紐リボンでツーテールにし、前髪を赤いカチューシャで纏めている。服装は以前見た灰色のワンピース制服であり、あの生真面目な少女と同じ学校であるのだろう。

 尤も、彼女は兎も角、親族の両奈にさえ胸囲的――否、驚異的にプロポーションの差が有るようだが、そこは流石に口を噤んだ。

 

「姿が見えないから何処に行ったかと思えば、こんな所で発情しているだなんて! ちょっとは人様の迷惑を考えなさいよッ! 分かってんのこの愚図ッ!」

「あ~ん❤ 両備(りょうび)ちゃんもっとぉ~♪ でもでも、このお兄さん両奈ちゃんをイジメるのがすっごく上手くて~♪ ご主人様になって欲しいの~❤」

「……うわぁ」

 

 何だコレは。もうわけがわからない。誰か説明をしてくれ。理の脳内では、そんな思考がぐるぐると廻る。

 両備は地面に伏せた体制となった両奈の尻をげしげしと踏み付け、彼女を散々罵っている。マゾヒストの両奈とは対照的に、サディストであるようだ。いや、そんな情報を一体どうすればいいのか、理にはてんで分からない。

 後、両奈は理にご主人様とやらになって欲しいそうだが、それがどういう意味なのか理解するのを彼は放棄した。寧ろ、理解したら色々アウトだ。

 そして、そのご主人様と言う単語に反応し、両備は理の存在に気が付いたようだ。彼女は両奈の尻をぐりぐりと踏み躙りながら、彼の方へと顔を向ける。

 

「へぇ? アンタがアタシの姉のご主人様? こんな駄犬に付き合ってくれるなんて、物好きも居たのね」

「(妹か……)いや、そんな事実は無いよ」

 

 理は両備の言葉を否定する。自身にそんな性癖などないからだ。それに、彼を混乱させていた両奈が抑えつけられたことによって、理も幾分平静を取り戻すことが出来たのもある。

 オッドアイの双眸は彼を射抜くようにギロリと見据え、妙な迫力を見せるが、同じくオッドアイの知り合いが居た彼にとってはあまり気にならない。

 兎に角、一刻も速くこの場から、両奈から離れたいというのが、理の心情である。彼女のご主人様などという世迷言を、断じて認める訳にはいかなかった。

 少なくとも、妹に踏み躙られて悶えている両奈を如何にかするという事は、二人の共通認識の様である。

 

「ま、アンタの行動は正当防衛で、間違ってはいなかったでしょうけど、コイツには眼を付けられちゃったみたいね、ご愁傷様」

「勘弁してくれ……。俺は恋愛とかよく分からないし、するにしても純愛な方が良いんだよ……」

「恋愛? バカねぇ、この駄犬に有るのは肉欲だけよ。恋や愛だなんて二の次だわ」

「一番駄目な奴だろそれ?!」

 

 本当に勘弁してほしい。本来ツッコミキャラではない理でさえツッコミに回らざるを得ない程に、この姉妹はキャラが建ち過ぎている。

 取り敢えず両備は、理の非ご主人様宣言と言う答えに満足した様であり、何処からか首輪を取り出して両奈に装着する。引くほどに手際が良すぎだ。

 

「じゃあね。一応アンタの名前は聞かないでおいてあげるわ。寧ろアンタの名前なんかコイツが知ったら、何処までも追いかけてくるわよ」

「ああ、そうしてくれ……。俺も今日キミらに会ったなんて忘れる様にするよ」

「いや~、忘れないでご主人様~! やっと見つけたご主人様なのに~! きゃうんっ❤」

「黙りなさい犬! さっさと帰るわよ!」

 

 両備は首輪に付けられた鎖を引き寄せ、両奈を強制的に歩かせる。両奈は何時までも名残惜しそうに理を見つめていたのだが、その姿はすぐさま曲がり角に消えて、見えなくなった。

 

「何なんだった、アレは……」

 

 両奈と言う頭痛の種が漸く視界から消失したことにより、理は盛大な溜息を吐く。今までのどんな貧困生活やシャドウ戦よりも疲れた気がするし、実際そうだった。

 早く帰りたい。食欲も失せたので、寮へと真っ直ぐ帰ることにする。すぐさま寝床に入り込み、全てを忘却してしまいたい。

 が、多分不可能だろう。此処は彼の帰宅路であるのだから、今後彼女と邂逅する可能性が多々存在した。その事実に、理の気分は最低にまで落ち込む。

 その時の自身の心情は、さながら崩落する『塔』の様であったと、今後この双子と長い付き合いとなることになった彼は後に語るのだった。

 

 

     ◆

 

 

「「「…………」」」

 

 理の外での目撃情報を集め、列挙したHHQは思う。

 

(((――――女の子ばっかじゃん!!!)))

 

 人誑しなのは分かっていたが、此処まで女性を引き付けているのは想定外だ。

 

「イマイチ実態がつかめないわ……! このままじゃHHQの名がすたるゥゥゥ!!!」

 

 松笠はその理の奇行、というか彼の周りの女性達の奇行に付いていけない様だ。「NOー!」とすら叫んでいる。

 別に分らなくていいし、分からない方が幸せだと思うのだが、彼女のジャーナリズムはそれを良しとしない様である。

 その時、メンバの一人であるαが松笠に進言する。なお、Ωは既に興味が失せたのか、本を読んでいた。

 

「もっと身近な人に聞いてみたらどうでしょうー」

「結城くんの身近な人……」

 

 その時、丁度昼休みであった教室に一人の少女が入室してくる。幸運なことにHHQにとっては、その少女は恐らく理に最も近しい人間の一人であろう。

 

「と、いうわけで! 同じ寮に住んでいると噂の飛鳥さんに直撃取材です!」

「へっ?」

 

 飛鳥は今日も理に弁当を届けようと教室に拠ったのだが、そこをHHQに捕まった様だ。『突撃! となりが結城くん』というテロップでも流れていそうな雰囲気の中、松笠はマイクを差し出し、尋ねる。

 

「ズバリ! 普段の結城くんとはどんな人ですか!?」

「え……、どんなって……(何なのこの人……)」

 

 松笠はマイクをずいっと、下から覗き込むように差し出し、彼女の特徴的なドリルツインテが揺れる。その迫力に気圧されたように、飛鳥はほんの僅かに考え込むそぶりを見せて、理の印象を告げるのだった。

 

「結城くん……かぁ……。……うんっ!」

「ど、どうですか?」

 

 そこで飛鳥は顔を綻ばせて、クラス中に響き渡る声で、こう告げるのだった。

 

「勿論っ、私達にとって大事な人だよ♪」

「「「…………きゃーーーーーーっ♪♪♪」」」

 

 当然の如く、クラス内は黄色い歓声に包まれる。年頃の少年少女にとって、この宣言は刺激が強すぎたらしい。

 一応弁明しておくと、飛鳥が告げた言葉は「私達(忍学科)にとって(戦力的な意味で)大事な人だよ♪」という意味なので悪しからず。

 そして、忘れてはいけない。

 

「飛鳥……、馬鹿かキミは……」

 

 この2年E組の教室には、その結城理本人が居ることを――――!

 

 その後、理がクラスメイトの男女友人知人問わず、散々からかわれる羽目となったのは、言うまでもない。

 




 今回の話で、新たに3つのコミュが発生しました。以下にコミュの内容と解説を列挙します。

運命:雪の少女 ??? 音楽の趣味が合い、CDを貸している。
正義:もやし好きの少女 ??? 互いにレシピを交換している。お金への執着が有るようだが……?
塔:不思議な双子 両奈&両備 両奈にご主人様認定され、今後付きまとわれそうになっている。

 ハッキリ言って、それぞれのコミュアルカナは適当です。

 雪泉の『運命』はハム子の『運命』コミュ、稜時を意識している程度ですかね……。まあ、つまりベタなラブコメになる訳ですが。作者的には、ゲロ甘に書きたい所存。

 『正義』コミュ・詠は理ともやし料理談義になりました。勿論これは建前であり、彼女とのコミュは金銭問題が焦点に当てられます。『正義』の正位置には『公正、公平』、逆位置には『不公平、一方通行』を意味し、彼女の金銭、裕福さへの視点を意味したつもりです。

 『塔』コミュは両奈&両備の複合コミュ。勿論○○もこのコミュです。アルカナの意味は正位置逆位置共に不幸な意味ばかりであり、ドSドM姉妹である二人に当て嵌めました。寧ろ酷い目に逢うのは理の方か? 思いっきりキャラ崩壊してしまいました……(汗

 なお、理は『運命』と『正義』の二人の名前をまだ知りません。忍であることは気付いているようですが、監視の一環であると思っており、霧夜などにも逐一報告しているので問題は有りません。尤も、善忍悪忍の区別は付いておらず、霧夜への報告に齟齬が生じています。

 逆に善忍勢の雪泉は理の事を知っていますが、悪忍側である詠は情報が行っていない状態です。また、この時期の両奈両備は善忍側で月閃所属ですが、雪泉の様な選抜メンバーではない為、理の事を知りません。

 また、冒頭に登場した松笠というキャラ、及び取り巻きのαとΩ(名称不明)は、コミカライズ一巻2話に登場した女生徒のパロディであり、この話自体がそのシーンを元に構成されております。作者自身は、ネタ探しの為に漫画を読み返すまでこのキャラ自体を忘れていましたがね……。

 次回は、大型シャドウ『プリーステス』戦になります。理のペルソナ能力が遂に……!?
 どうぞお楽しみください。今回もお読みくださり、ありがとうございました。

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