ハイスクールDevil×Dragon×Dhuman   作:4E/あかいひと

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元『忙人K.H』のレッドゾーンです。
この度は、本当に申し訳ありませんでした。
詳しくは、活動報告をご覧ください。


プロローグ
その1-死亡×転生×強大生物


ショウ・ウォーカー

種族:デューマン

享年21歳

 

彼は、旧文明の王『カムハーン』によるグラールの侵略を仲間と共に斬り潰し、グラールにて再度復活を果たそうとしていた『ダークファルス』をこれまた仲間と共に斬り潰し封印。

 

実に、2回グラールを救った男だった。

 

彼の所属する民間軍事会社『リトルウィング』のあるコロニー『クラッド6』にある彼の自室にて、眠るように死んでいたところを彼の同僚が発見。

 

彼の死に、グラール中が涙する。

 

彼は、英雄だった。巨悪を討ち倒し、グラールに平和をもたらす一助となった、紛れも無い英雄だった。

それだけではない。別に例え彼が巨悪を討ち倒さなくとも、彼によって救われたヒトは大勢いた。

 

彼は生前、こんなことを冗談混じりに言っていた。

 

『案外、平和になったら俺死んじゃうかもな』と。

 

もしかしたら、彼は自分の死期が迫っていることを知っていたのかもしれなかった。遺言状まで遺していたのだから。

 

遺言状には彼の仲間へと最期の言葉と、自分が死んだらしてもらいたいことが記されていた。

 

その一つが、『墓なんて建てるな。遺体は宇宙にでも流してくれ』。

 

その願いを叶えようと、各方面が動き始める。

 

ある者は何者にも侵されない棺を。

ある者は共に過ごした思い出を。

ある者は共に添える花を。

ある者は彼が彼であった証を。

 

遺体と、共に詰め込まれた物を乗せた棺は、グラールに生きる全てのヒトに見送られながら、宇宙へと旅立っていった。

 

こうして偉大なる英雄『ショウ・ウォーカー』は、闘争と戦争に塗れた、苛烈で短い生涯を終え、永遠に宇宙を旅することとなる─────────筈だった。

 

 

グラール太陽系を遠く離れた場所に到達したとき、突如として棺の近くに現れた黒い渦。それが棺を飲み込んでしまった。

 

渦の正体は、ブラックホール。

 

棺は、彼の遺体ごと潰され、粉砕され、ホワイトホールから吐き出される頃には…………跡形も残っていなかった。

 

 

否、形あるものは残ってはいなかったが…………彼のその魂だけは、残っていた。

 

 

その魂は、その世界の輪廻の輪の中へと向かい、新たな生を受けることとなる……………………

 

 

 

これはとある戦闘狂な英雄が、歪な均衡状態を保った天使と悪魔と堕天使と人間…………そして騒乱の中心であるドラゴンが入り乱れる世界へ生まれ変わり、その身にドラゴンを宿し、騒乱の中心で戦い続ける物語である。

 

 

 

 

[ハイスクールDevil×Dragon×Dhuman]

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

さっきまで、ビジフォンで今日のニュースを閲覧していた筈だった。特に目を引くニュースは無かったように記憶してる。

 

だが今はどうだ?

軽く布を羽織っただけの格好である。

 

何より…………今の俺、赤ん坊。

 

……………………一体何があった!!?

 

いや、どうしてこうなったかはこの際置いておこう。

今問題にすべきは、赤ん坊の状態でどうやって食い扶持を稼いだらいいんだということだ。

クッ…………転生治療がこんなところで仇になるなんて…………全く、俺の人生ハードモード過ぎるぞ。

 

…………まあいい、とりあえず寝よう。今すぐどうこうなるモンでもないだろ。それに、何故だかとっても眠─────────

 

 

◇◇◇

 

 

『ふむ…………今代の相棒は、相当愉快なことになっているようだな』

 

夢、だよな? 眠気に負けて寝ている筈だからな。

 

しかし、夢の中にしてはヤケにリアルだ。

 

パルムの自然地区を思わせる草原。風が吹き、さわさわと草が揺れる。

 

そして眼前に佇む、巨大な生物。

 

ディ・ラガンだろうか? …………いや似ているが、纏う覇気だとかオーラなどの桁が10は違う。なんにせよ、眼前のそいつは強いの違いはない。

 

戦闘狂の俺としては、とても血が騒ぐ。理不尽を前にした時、どうやってそれを乗り越えるのかが、とても大好きなのだ。

 

思考が戦闘モードに移行し、倒す算段をつけ始めたところで…………先程と同じ声が響いてきた。

 

『…………俺を見て倒したいと思った相棒は、これまでで初めてだな』

 

意思がある。思考もできる。さらにヒトの思考も読める。コレは厄介だ、強過ぎてワクワクしてきた……………………ん、『相棒』?

 

「相棒? 相棒とはどういうことだ? 悪いが俺は、お前のような存在とバディ契約した覚えどころか、見たことすらないぞ?」

『だろうな。俺も、赤ん坊の状態から俺を認識できる人間とは、今まであったことがなかった』

 

『認識できる』…………どういうことだろうか?

セリフを一つ一つ思い返してみる。

そして、一つの仮説を立ててみた。

 

「今代の…………ということは、前代があるということ。そして、俺に話しかけることができ、なおかつ俺の思考すら読める。…………お前は、人間と人間の間を転々とし、そいつに癒着する存在、ということか?」

『口を慎め』

 

轟!!! と目の前の生物が覇気を撒き散らす。それは、物理的な威力を伴い俺にも襲いかかった。

 

宙を舞う身体。そして落下。

想像以上に強い目の前の存在に、戦闘者としてあるまじきことに、思考停止してしまった。

 

『フン! それではまるで寄生虫の様ではないか。俺はそんな矮小な存在ではない』

「…………成る程、失礼した」

 

相当、プライドが高い様だ。傲慢とも言い換えよう。

でも、その傲慢さは自身の強さの裏返しであることは、言わずともわかる。

 

「じゃあ、教えてくれよアンタの名前。悪いけど、俺今の状況に追い付けて居ないんだ」

『ん? 理解していたのではなかったのか?』

 

まるで知っているかのように、目の前の生物は口を開いた…………ってええっ!!?

 

「アンタ、何か知ってんのか!? 俺、いつの間にか赤ん坊になってるし、夢じゃこんなことになってやがるしよ!!」

 

夢の産物…………とは思えない。この生物は、意思ある何某であり、この状況に答えを出せる存在であるという直感。

 

『ふむ…………夢ではあるが、実際に起こっていることだ。ちなみにお前の質問に答えるなら、お前は死に、新たに人間として生を受けてこの世界に降り立った。前世の記憶があるのは…………魂の格が高かったからだろう。人間とは思えぬ程のものだ、誇って良いと、俺は思うぞ』

 

…………死んだ? 俺、死んだ?

 

『ああそうだ、お前は死んだ。記憶を読み解く限り、近い内にそうなる確信は、あったのだろう?』

「…………まあね」

 

度重なる戦闘に、何度もSEEDによって蝕まれ、俺の身体はボロボロだった。何時何処で死んでも、不思議には思わなかったよ。周りにバレないように検診は受けなかったけどな。

 

「んで、俺は新たな生をーってことは、生まれ変わった…………即ち転生したんだな」

『その通りだ』

 

はぁー…………面倒くさいことになってるな。でも、現状が理解できたことで、幾分か心に余裕ができた。

 

『ついでに言うなら、世界も違うみたいだぞ? 『グラール』なんて世界(・・)は、此処には欠片も存在しない』

「…………マジすか?」

 

いや、異世界があることはあの2人とやった亜空間航行の実験で知ってるけど…………知ってるけど!!

 

『落ち着け。自己紹介も兼ねて、この世界のことについて説明してやろう』

 

そうして彼?彼女?は口を開き、語り始めた。

天使、悪魔、堕天使その他様々な人外と人間が混ざり合う、歪な世界の話を。

 

 

◇◇◇

 

 

この世界の話が終わり、次は彼についての話。

 

「ヘェーッ!? 世界を盛大に巻き込みながらライバルと大ゲンカ!? なにそれスゲェ!!!」

『分かってくれるか‼︎』

「おうとも‼︎ こんなんでも戦闘狂なんて言われてたからな‼︎ こと戦うことに関してはかなりのもんだと思ってたんだが、俺もまだまだみたいだな‼︎」

 

分かりきっていたことだが、この強大生物改め『ドライグ』は、ちょー強いらしい。

 

なんでも、ドラゴンという最強生物な種族の中でも『二天龍』の『赤き龍(ウェルシュドラゴン)』と呼ばれ恐れられている存在らしい。

 

で、片割れの『二天龍』の『白い龍(バニシングドラゴン)アルビオン』と、世界を巻き込んだ大ゲンカをした様だ。

 

「でもよー、巻き込んだらダメだぜ罪のない奴を。力を持つにはそれ相応の責務が付き纏うんだからな!」

『む…………まあ、あの時の我らは少々若過ぎたのだ。周りが見えてなかったとも言うな』

 

ボリボリと頭をかくドライグ。なんだか、人間臭い動きでクスリと笑えた。

 

『最終的に、俺は天使と悪魔と堕天使の三陣営から集中砲火を喰らい、封印された』

「まー、それだけのことをしたらそうなるわな」

 

でもまあよくこいつ殺されなかったなー。むしろ殺せないから封印されたのか。強過ぎんだろコイツ。

 

「で、さっき言ってた『聖書の神』とかいうカミサマが造った『神器(セイクリッド・ギア)』なるモノの中に居ると」

『ああ。と言っても、神器の中でも危険度の高い『神滅具(ロンギヌス)』にカテゴリーされるらしいがな』

 

『神器』ってのは、その『聖書の神』が造ったシステムらしい。

武具の形をしていたり、アクセサリーの形をしてたり、そもそも実態がなかったりといろいろらしい。

それらに共通するのは、人間あるいは人間の混ざった存在にしか宿らないことと、1段階上の力を振るえる『禁手(バランス・ブレイク)』というのに到達出来る可能性があるということ。

 

んで、ドライグが封印されている神滅具が生まれ変わった新生俺の中にはいってると。

 

『理解が早くて助かる』

「精神年齢21歳だからな」

 

さてと、その肝心の神器ってのは?

 

『一応ここでも発現は可能だ。出してみるといい』

「具体的にどうやって?」

『自身にとって、強い存在を思い浮かべながら出してみろ』

 

んな無茶な。

でもまあやってみっか。

 

イメージ…………思い描くはグラールの頂点に立った俺の姿。

 

眼帯を外し、露わになった紅と黒のオッドアイ。

最も得意とする得物である双剣。

獰猛な笑みを浮かべ、剣を構えるその姿を。

 

そこまで想像したところで、俺の左腕が光り出す。

 

現れたのは…………赤い腕?

手の甲にあたる部分に宝玉が埋め込んである以外は、至って普通な『籠手』という表現が正しいだろう。

 

『それが俺の封じられた、お前の神滅具『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』だ』

 

赤龍帝の…………籠手。

 

『簡単に説明すると、10秒毎に自身の能力が2倍になるのだ』

 

2…………2倍!? それなんてチート能力!!?

基本的に、腕力が2倍になるだけでもかなりのものだ。テクニックによるブーストからも、それは証明されている。

 

だと言うのに…………10秒毎に2倍!!? 1分もすれば64倍だぞ!! インチキってレベルじゃねえよ!!

え、神滅具ってこんなブッ飛んでるのばっかなの!? そんなのが12個もあんの!!? いろんな意味でテンション上がってくんだけど!!!

 

『落ち着け落ち着け。勿論、限界は存在する。禁手に至れば理論上無限に倍加出来るが、大抵はその前に身体が朽ちる』

 

な、成る程…………倍化に身体が耐え切れないのか。つまり、身体を作っておかないと扱うことすらままならないのか。

 

「にしても…………自身の能力に左右される能力だなぁ」

『成る程、戦闘狂を自称するだけあって武具の特性をある程度理解するのに長けているらしい』

 

お褒めに預かり恐悦至極。それだけが、何よりの特技ですからな。

 

「にしても…………使い辛いな」

『……………………は?』

「いや、俺って武器を使用を前提とした戦い方をメインにしてたんだよ。勿論無しでも戦えるけど」

 

で、こんなごつい籠手の上から武器を握るのは慣れない。基本的に服に付いてたグローブで握ってたし。

 

「だから、1番得意な得物を使えないってハンデを背負ってまで使う意味があるのかどうか…………」

『……………………なんと言うか、今代の相棒は本当に変だ』

 

そうかぁ? 慣れない武具使って自爆を避けるなんて、良くあることだろうが。

 

そこで、俺は思い付いた。

使い慣れない形ならともかく、使い慣れた形なら、問題はないと。

 

「なあなあ、コレって形は変えれるん?」

『……………………ほんの少しなら、可能性はあるが』

 

おっしゃあ、ならやってやんぜ!!

 

『おい待て!! 可能性があると言っただけで、出来るとは…………!?』

「ハッ‼︎ 大きくなったら命を預ける武器(相棒)なんだぜ!? 1番力を発揮できるようになるんなら、そうしとくことに越したことはねーだろうが!!」

 

さらにイメージ!! 俺の一張羅『ジャッジメントコート』の腕部、そのグローブをッ!!

 

「ウォォォォオオオオオオッッッ!!!!」

 

左腕に着けられた、赤い籠手に願いを込める!!

 

 

◇◇◇

 

 

「で、できた…………!」

 

突如として視界を埋め尽くした赤い光。そしてその光が晴れた後に、俺は成功したことを認識した。

 

『本当に…………本当に今代の相棒はおかしい…………神滅具の禁手の亜種なら未だしも、通常状態での亜種なぞ聞いたことが無いぞ…………』

 

今俺の両手にはまっているのは、手の甲の部分に宝玉が埋め込んである赤いグローブが。

 

「うし、コレなら武器を握れる!」

 

名前はなにがいいだろう? もう籠手じゃなくなったし。

 

「うーん…………『赤龍帝の軍手(ブーステッド・ギア・グローブ)』ってところか?」

 

握って開いて感触を試し、使い慣れたソレと遜色ないことに、思わず口の端を釣り上げた。

 

 

 

 

『…………今代の相棒は、1番ヤバい奴なのかもしれん』

 

 

 

 


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