ハイスクールDevil×Dragon×Dhuman   作:4E/あかいひと

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師匠編パート3、最後です。

原作ゲーム的にはインヘルト社(ラスボスに踊らされた哀れな会社)の任務を終えて、その一個前の依頼で捕獲した野生児を交えて主人公組がお買い物したりカフェでお茶したりした直後のお話。身バレって恐ろしいっすね!


番外短編-師匠編:下

 

この俺、ショウ・ウォーカーは間違いなく強い。これは自慢でもなんでもなく、打ち立ててきた実績が客観的に証明してくれてる。比較対象を立てて考えると…………ガーディアンズの最大戦力とも言われるグラール最初の英雄『イーサン・ウェーバー』レベルには強いと思う。実際手合わせしたら互角以上に戦えたし。…………まあ、彼は後遺症とかもあって最盛期は過ぎていたりするから、軽い戦闘狂を自称する俺としては少し残念だったりする事実だ。彼を全盛期に戻す為にも本格的に医学勉強してみようか。

 

まあそんな俺だ、例え勤めてる会社のあるコロニーに、ローグスが侵入してこようと、その上10人ぐらいで攻めてこようと、どうってことはなく。

 

「斬ッ!!」

 

今俺の後ろにいる、同僚にして弟子のエミリアを狙って襲ってきた連中を、一刀のもとに斬り伏せることなんて、赤子の手をひねるぐらいに簡単だった。

 

「エミリア、無事か?」

「う、うん……ありがとショウ」

「どーいたしまして…………さて」

 

10人いた侵入者も、残存兵数3人。俺の放つ威圧と、今行った俺の攻撃に恐れをなしたのか、微妙に後ずさり始める。

 

「今なら『密航』『不法侵入』の罪だけで抑えてやる。…………一介の傭兵なんだが、警察でも、ガーディアンズでもないけど、何故か個人で唯一逮捕権持ってたりするからな、俺」

「ま、まさか……ショウ・ウォーカー!?」

「リトルウィングに入社したのは本当だったのか!?」

「う、狼狽えるなっ! 不意を打たれなければなんとかなる!」

 

おっと、罪状に『傷害未遂』追加か。

そう思ってゆらりとセイバーを構え直すと…………

 

目の前に、シュタッと1人の人間が現れた。

 

緑色の髪…………ニューマンであることを示す尖った耳。

 

手に持つ武器はフォトンウィップ。…………やだな、この人に凄く心当たりがある。

 

「ありがとう、ショウ。後は任せなさい」

「…………ああ、やっぱり。分かりました」

 

俺を知ってる、ということはやはり俺の思った通りで間違いないはず。

 

俺は心の中で合掌しながら、エミリアを庇いつつ、現れた彼女が残りのローグスを蹂躙する様を眺めていた。

 

 

◇◇◇

 

 

さて後から現れたクラウチが彼女にぶっ飛ばされ、さらに現れたチェルシーさんと彼女が、「ウル!」「チェルシー!」と呼び合って………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………え?

 

ちょっと待て、情報を整理だ。

 

まず現れたのはウルスラ・ローランさん。過去に師匠の同僚としてあったことがある。あの頃から変わらないその美貌が眩しいです。

 

…………で、ウルスラさんの愛称『ウル』は限られた人しか呼べないものだった。そう、例えば『チェルシー』師匠とか。

 

 

 

 

待って待って待って。ここまで来ると、偶然では済まされない。ヤケにチェルシーさんが俺の名前を呼びたがらないのは……………………。

 

 

 

 

「ちょ、ショウ大丈夫!!? 顔青いし凄く震えてるし!!」

「おー、ショウもしかして寒いのか? ならちょっと待ってろ、火を起こしてやる」

「い、いいいいいい、いや、だだだだ大丈夫だ。な、なななななんの問題もない」

「全然大丈夫に見えないけど!!?」

 

待って、いや本当に待って!!? 確かに、いつかのことを謝りに行こうって思ったけど、まだ心の準備ができてないの!! いやそれ以前に俺チェルシーさんにいろいろ心情吐露しまくってるこの状況ォォォォォオオオオオオッッッ!!!!?

 

「そ、それにしても久しぶりねショウ。同盟軍から逃げ出して、1度死にかけたって聞いたけど、元気そうで何よりよ」

「ウ、ウルスラさんもご健勝なようで…………風の噂で貴女のご活躍は」

「『伝説の傭兵』には負けちゃうわよ」

「「HAHAHAHA!!」」

 

ウルスラさんも、その後ろで殴られた頬を摩るクラウチも、その顔が引きつってる。それもそのはず、彼らの隣にいる女性キャストの笑顔が、ものっそい恐ろしい程に冷たいオーラ放ってんもの!

つか思い出した! クラウチも俺あったことあるよ、同盟軍時代に! 確か腕利きバリバリの太陽系警察の刑事だったね貴方!

 

「サ、テ、ト……ねぇ、ショウ?」

「イ、────」

「(ギンッ!!)」

 

に、睨まれた、睨まれたよぅ!? あ、バラすなってことですね、バラしたらバラすんですね、分かりたくないっ!!!

 

「な、なんでしょうかチェルシーさん」

「オンナの前から、何も言わずに逃げるオトコのことを…………ドウ思ウ?」

「そ、そのオトコは死んで詫びるべきだと思いますッ!!」

「ウフフ…………」

 

そしてチェルシーさん…………いや、チェルシー師匠は俺の耳元に口を近づけてこういった。

 

 

 

 

「ヒトキュウマルマル…………私のマイルーム前に集合。以上」

 

 

 

 

「(イ、イエスマムッ!!)」

 

俺は心の中でそう叫んだ後…………

 

「ちょ、ちょっとショウ!!?」

 

叫ぶエミリアの声をどこか遠くで聞きながら、意識を手放すのであった。

 

 

◇◇◇

 

 

あの後、クラウチが空気読めなかったり、そのせいでエミリアが機嫌悪くなったり、ユート少年が弟子2号になったり、ウルスラさんがクラウチに代わってリトルウィングの指揮を取り始めたりといろんなことがあったが…………今俺の胸中を占めるのは、これ以上ない恐怖……そして、罪悪感。

 

時刻は18:30。ヒトキュウマルマル…………19:00にはまだ30分もあるが、当時の恐怖を思い出し、絶対に遅刻してはならんと既に師匠のマイルームの前に直立不動でスタンバッていた。

 

「……………………」

 

ああ、なんて言おう…………最初はやっぱ謝るべきだよなぁ…………凄く怒ってたもんなぁ…………。

 

「……………………」

 

…………鉄拳、どれだけ飛ばされるかな…………しかし俺は甘んじて受け止めなければならない。

 

「……………………」

 

間違いなく、俺は師匠を傷つけて…………

 

 

 

 

「……いつまでヒトの部屋の前で突っ立っている」

 

 

 

 

急に開いた扉から現れたのは、やはりキャバ嬢ルックのチェルシーさん。叫びそうになる声を抑えながら俺は口を開く。

 

「ハッ、申し訳ありませんチェルシー殿」

「不自然過ぎる。いつものようで良い…………と言っても、貴様は聞かんのだろうな。まあいい、入れ」

「ハッ」

 

そして入ったチェルシーさんの部屋は…………大人の女性らしく、上品な内装になっていて…………、あの頃からも、更に師匠が変わったんだなということを突きつけられている気分になった。

 

そして、誘導されるままに案内されると、あるものが目に入った。

 

それは写真立て。複数あるそれには、様々な写真が入っていて。

 

特に目を引いたのは…………正式に同盟軍対SEED特殊部隊第1部隊長に就任することが決まった時に撮った、俺の写真だった。

 

「……………………」

 

否が応でも、昔を思い出す。同盟軍時代の、苦しくも満たされた、あの頃を。

 

「……ヒトの部屋のジロジロと見るものじゃない」

「…………申し訳、ありません」

「フン、まあいい。座れ」

 

そう言って示されたのは、2人は座れそうな大きめのソファで。ああ、並んで座るとのことですね教導官。

 

「……………………」

「……………………」

 

で、座ったはいいけど…………いや、黙ってなどいられない。早く謝らなくては…………!!

 

「あ、あのチェルシーししょ」

 

う、とまで言おうとしたところで…………俺は胸ぐらをつかまれて、平手打ちをされた。打たれた左頬よりも、胸が痛む。

そして、もう一度顔を師匠の方に向けて、思わず息を飲んだ。

 

「…………驚いたか。あの時には…………軍属時代には搭載されてなかった機能だ」

 

ああ…………何故ですか師匠。

何故、貴女は涙を流して…………。

 

「言いたいことはたくさんある。1度引っ叩くだけでは、収まりがつきそうにもない…………それ程に、私の思考回路は荒れている」

「…………はい」

「だが…………私は許そう」

 

そして…………俺は師匠に抱き締められた。

 

 

 

 

「心配をかけるんじゃない…………この、馬鹿息子が…………ッ!!!」

 

 

 

 

馬鹿な息子は、数年越しに、やっと…………『ごめんなさい』を言えた。

 




以上、過去短編でした。深夜テンションで書きなぐった駄文で申し訳ないです。

ならばなぜ投下したのかと言いますと、本編で木場くんの復讐にもケリがついたので、ウォーカーのその部分を晒してみるのも悪くないかなっと思った結果です。

そういうわけで、こんな風なのを交流のあるユーザーさんにメッセで送り合いしてるのです。結構楽しいwww

そんなわけで、感想や批評を、駄目だしなどがございましたらご遠慮なくお願い致します。

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