ハイスクールDevil×Dragon×Dhuman 作:4E/あかいひと
ケータイが鼻血で染まりましたが、僕は元気です。
久しぶり過ぎて上手く書けない…………リハビリ必須…………。
なんかしんみりとした空気になったが、それはそれ。みんなの輪に混ざれば、楽しく遊べるものだ。
しかし、楽しい時間はすぐに過ぎるもの。気が付けば陽は傾き、そろそろ悪魔の皆様はお仕事の準備を始めなければならない様だ。そして、そんな悪魔の事情が関係ない俺とエーナとアーシア、後ハーフ悪魔だけど神の子を見張る者所属のヴァーリは、そのバタバタした様子を傍目に見ながらオカルト研究部の部室でティータイムに勤しんでいた。
しかし、ヴァーリが居心地悪そうにしている。なんでだろうか…………と思っていたら、向こうから声がかかってきた。
「あの……手伝ってやらなくていいのか?」
「え、お嬢が嫌がるからしない」
成る程、そういうことだったのか。
「リアス・グレモリーという悪魔は、意外と貸し借りに敏感みたいでね。無償の愛を身内や下僕悪魔、親しい相手にやり取りできても、それ以外を相手にするときはどーにも嫌らしい。悪魔っぽいよねそういうところ」
「そ、そうか…………ん? ならばかなり仲が良くみえるが、イッセーとリアス・グレモリーは然程親しくはない、ということになるんじゃないか?」
「まあ、身内連中と比べられると流石にね。それでもある程度融通してくれるから、身内未満協力者以上ってところじゃないかな」
俺と彼女は、貸し借りしあってニタニタニヤニヤ嗤い合う関係なのだ。
「余談。現在、兄とリアス・グレモリーの貸し借りは、リアスが借り3つ…………と思っている様子」
「え、今貸し借り無しだと思ってたんだけど」
「この間、リアスさんのお兄さんがお越しになられたときに準備をしてくれたことと、その所為でお兄ちゃんが倒れてしまったからだと思いますよ」
「あ、成る程」
シスターズから言われて思わず納得。でもなぁ、自分のことでもあるし…………。
「というわけで、ここで俺が手伝うと余計に向こうが気にするからノータッチ。ドゥーユーアンダスタン?」
「ああ、分かった。それにしても、見せつける様にお茶するのはどうかと思うが…………」
「さっきのプールで俺とヴァーリを見てニヤニヤされたからその仕返し」
全く、下世話にも程があるだろうが。もっとも、お嬢がどっかの男といい感じになってたら迷わずニヤニヤして見守るけど。
「似た者同士かあなた達は…………少し妬けてしまうぞ」
「まあ、最初の女友達だしなぁ」
「む? 私…………はともかく、エミリアは違うのか?」
「エミリアは手の掛かる従姉妹枠だろありゃ。ついでに言うと
なお、それ以前にも女性との交流はあったものの、どう考えても清いとは言えない、腹を探り合う関係が多かったわけだし…………なんだろ、涙が出てきた。
「で、帰らずに此処に残ってる理由はなんだよ?」
「す、少しでも一緒に居たいと思っているぐらいだが?」
思わずジト目で睨んで見ると、分かりやすく目線をそらした。うん、色んな意味で正直だなヴァーリ。
「…………分かった、分かったからそんな目で見るな。嘘ではないが、確かに別件もある」
「ほーん? で、なんなのさ」
「会ってもらいたい悪魔がいる。三勢力会談の結果次第では、この学校に転入することになるからな」
ふむ、俗に言う顔合わせというやつか。だがしかし、それって先にお嬢の方に通すべきだと思うのだが。
「一応そのことは軽く話しておいた。しかし、先に貴方に確認してもらいたいそうだ。『貸し1でお願い』との言伝ももらっている」
「…………妙だな。向こうが借りを背負ってる状態でそういうこと言ってくるとは思わなかったんだが」
貸し借りに敏感なのは伊達じゃないからな、あの悪魔。
「確か、名前を聞いた瞬間、微妙な変化だが、驚愕の反応を示していた。確かに、『
「成る程」
言われてみれば、クロちゃんとかその典型である。もっとも、クロちゃんに関しては確か追放ってだけで収まってるけど。落ち度も無けりゃ、主人悪魔殺し未遂で終わってるからなぁ。この場合の追放は、これ以上危ない目にあわせないための対応だろう。
っと、それはともかくだ。そうなると時間稼ぎ、あるいはその腹を探れということなのか。無茶なことを言う。
「ちなみに本当ならば、今日一緒に連れてこようともしたんだが…………。一応リアス・グレモリーには許可を貰ったというのに」
「そうなんだ。じゃあ後日連れてくる感じ?」
「いや、貴方をグリゴリへ連れて行く」
……………………は?
「え、え? 俺?」
「ああ」
「えっと、いつ?」
「今からだ」
「…………拒否権は?」
「今日プールに行く条件をもぎ取るのに、必ず貴方を連れて行くことを約束した」
「……ま、まじか」
不意打ち過ぎんぜ…………そりゃねぇよヴァーリさぁん…………。
「……ダメ、連れて行っちゃ、ダメ」
と、ちょっとゲンナリしてると、エーナが割と真剣な顔で拒絶を示した。
「ダメですよエーナちゃん。それを決めるのはお兄ちゃんですよ?」
「違う。姉は知らないかもしれないが、そもそも、我は堕天使を、あまり良く思っていない」
「えっ?」
そう言ってアーシアが驚いたように俺を見た。うん……実はエーナ、堕天使そんなに好きじゃなくなったんだ。
「圭兄を殺した、塔兄を殺した、兄を苦しめた、姉を苦しめた。無論、全ての堕天使が腐っているとは思わない。だが、少なからず一定数は存在しているはず。無闇に、兄を傷付ける可能性がある場所に送り出すことは、賛成できない」
「「……エーナ(ちゃん)」」
真剣に心配してくれていたみたいである。不意打ち過ぎて涙腺緩んでしまった。
「……そうか。確か、レイナーレ一味だったか。それに関しては、迂闊に謝れない義父の代わりに謝ろう。済まなかった。清算できるとは思わないが、何かしらの形で謝罪の代わりになるものを提示させよう」
「え、いや俺はいいよ。と言うかそんなことできんのか?」
「元々、駒王町における堕天使の行動についての賠償はするつもりみたいだ。それに、もう一つ付け加えるぐらいのものだ」
しかし、とヴァーリはどうにもできないと言った様子で頭に手をやった。
「確かに、同じ立場なら私もそうする。しかも、無限の龍神の機嫌を損ねているこの状況。
「あー…………うん、まあエーナがなんと言っても俺は行くけど」
「なに、本当か?」
「ッ! 兄、なんで!?」
えー、いやだって…………。
「言っちゃあアレだが、俺は泣く子も黙る暴虐の化身、『赤龍帝』ぞ? 迂闊に手なんて出すもんかい」
「で、でも!」
「それに、新婚総督殿は俺のこと嫌いだろうけど、それなりにいい人だとは思うよ。平和目指してるみたいだし」
「むぅ……」
「あとクロちゃんいるし」
「……分かった。クロによろしくって」
エーナの中におけるクロちゃんの信頼度の高さよ。まあエーナ、クロちゃんも大好きだもんね。
さて、話は纏ったし、善は急げだな!
「……私が言うのもなんなのだが、いいのか?」
「いいさ。全く気にしてないと言えば嘘になるが、それを言っていいのは俺じゃなくて殺された当事者達だ。あいつらが許さないと言えば、俺も思う存分暴れるけれど…………ま、そうはならんだろう」
今もバタバタとしんどそうに、それでも楽しそうに動き回っている圭太と塔矢の2人を見てそう思う。それで相殺されるわけじゃないけれど、以前よりももっと生き生きとしてるからね。
「そうか、助かる。流石に父に剣を向けるのは辛いからな」
「え、なにサラッと『そうなったら反旗を翻します』宣言してんのお前。養父だろうが堕天使の長」
「別に倒すわけじゃないぞ? ただ、『お父さん嫌い』と言えば面白いように狼狽えるからな」
「…………クロちゃんの入れ知恵だな?」
「よく分かったな?」
……なんか、ちょっとだけ新婚総督と仲良くなれる気がした。主に駄猫の被害者的な意味で。
◇◇◇
「…………まさか五感全てを剥奪されるとは」
『済まないイッセー。和平を結ぶ前に『赤龍帝』に本拠地を知られるわけにはいかないんだ。表向きは』
現在、俺はよく分かんない状況である。おそらく、ヴァーリが何かしらの手段で俺を運んでるとは思うのだが、いかんせん視覚も触覚も何もかも奪われているため、何にも分からないのだ。辛うじてヴァーリからの念話があるから楽だけど、これ結構苦行よな?
『兵藤一誠ならば、視覚を塞いでも何かしらの手段で場所を特定する、と思われてるみたいでな』
「強ち間違いじゃないけどな」
なお、『表向きは』と言ってる時点で場所特定を防げないことはバレている模様。つまりポーズだけのために五感を剥奪されているってことだ。おかしくない?
「というか、今どういう感じで運ばれてるわけ? 下手に車に乗せられてる感じ?」
『いや、お姫様抱っこだ』
「降ろせ、今すぐにッ!!!」
なんてこったい! そんな羞恥プレイをかまされていたなんて…………!
『安心してくれ、誰にも見られないように魔力は使っている』
「そういう問題じゃねー!」
そ、そこはプライドの問題で…………!
『ああ、貴方が戦う時よく投げ捨ててしまうアレのことか』
「いや、投げ捨ててないからな!? 寧ろそれなりに矜持あるからね!?」
『冗談だ。投げ捨ててるのは千切れかけた腕や壊れた武器だったな』
「まあ……うん」
グラールの医療は発展してたからね、腕が千切れたぐらいなら簡単にくっ付けられたり生やせたりできるしね。バランサーの役目も果たせなくなったら千切れかけの腕なんぞ邪魔である。
「と、とりあえず下ろしてくれ。せめて乗り物に乗せてくれよ」
『ああ、大丈夫だ。実はお姫様抱っこというのも嘘だ』
「嘘なのかよ!?」
『そもそも、転移魔法という便利なものがあるではないか。わざわざ抱える必要もない』
言われてみれば、である。でも、それにしては時間かかり過ぎじゃね?
『ふむ、少々修行不足ではないかイッセー。確かに魔法陣を描くのは不慣れ故に描き終わっておらず、まだ移動していないのは確かだ。しかし、5分も経っておらんぞ?』
「なにィ!?」
マジかよもう1時間ぐらい経ってると思ってたぜ…………うん、確かに修行不足かもしんない。これだけの間で体内時計狂い過ぎだろう。
『ん、着いたぞ。今から術を解くからな』
と、自省していたらついた模様。術を解かれ、身体に感覚が戻ってきた。どうやら休憩室みたいなところに連れてこられた様だ。
「ようこそ、『神の子を見張る者』へ。と言ってもここは本拠の外れにある、私のチームの詰所なんだがな」
「へぇ、お前部下がいんのかよ」
「部下と言うよりも同僚に近い。私達のチームは面倒な事情を抱えている者の仮置き場みたいなものでな、落ち着いたり解決すれば、どこかの職場に割り振られていく。しかし、どうにもならない問題児も沢山いてな…………そういった常駐している問題児の中で一番私が強い為に、便宜上私がリーダーということになっている」
「成る程なぁ…………で、そん中にクロちゃんもいると」
「そういうことだ」
…………これ、ドラゴン理論でヴァーリが無意識に掻き集めてるパターンじゃなかろうか? ほら、ドラゴンって厄介事引き寄せるし。
『無い、とは言い辛いところだな』
ドライグ、貴様いたのか!? いや、なんか気配消えてたから寝てるのかと。
『いや、少し白いのと話があってな』
そうなんだ。でもそれ、別に俺のいる前でも良かったんじゃないの?
『そこは……後のお楽しみと思ってくれ。どれだけ後になるかは分からんがな』
ふぅん…………? ま、いいけどね。
「ちなみに、今クロちゃん居たりすんの? あと他のメンバーとか」
「いや。黒歌は今、妹に会いに行ってるだろう。他のメンバーは任務に当たっている」
「それでいいのか
「隊長になる前に同盟軍から逃げ出した元候補官がいるらしいのだが」
「…………お前、立派に成長したんだなぁ。マジで嬉し涙出てきそう」
「ど、どうして皮肉を言ってそうなる!?」
いやだって、あのド天然ソードガールちゃんが人間らしいことしてると思うと…………。
「流石にそれに関しては反論させてもらおう! わ、私だってその位のことは……………………し、していたぞ?」
「その間が真実を物語ってると思うけどな。てか、ワイナールにその辺り任せっきりだったろうがよ…」
おら、そっぽ向いてんじゃねーよ。誤魔化し下手過ぎか貴様。
「むぅ…………ま、まあいい。それよりも本題だ本題」
「逃げたな」
『逃げたな』
『逃げたな』
おっと、二天龍ズとハモっちまった。
「〜〜〜〜ッ! とにかく、件の悪魔を連れてくるからなッ!」
顔を真っ赤にしながら、ヴァーリはそう吐き捨てて部屋を出て行った。うん、見事な逃げっぷり。
…………というわけで、
「入ってきていいですよ新婚総督さん」
「なんでバレてんだよ…………」
こっから先は男同士の話ってね。