ハイスクールDevil×Dragon×Dhuman 作:4E/あかいひと
駄作駄文の自己満足の塊ではございますが、これからも『D×D×D』を宜しくお願いします!
今回のオチ。
木場の復讐は終わり、イリナちゃん達もミッション完了し、ダークファルスを討滅できた。めでたしめでたし…………とはいかない。
木場の復讐は終わったのかもしれないが、教会ではあの聖剣キチの研究は引き継がれているらしく、被験者を殺してはいない様だが、どんな扱いを受けているのかは不透明だ。割と中枢にいるイリナちゃんでも分からないらしい。だから、此処がもし非人道的実験の温床になっているのだとすれば…………木場は、もう一度剣を取るだろう。一応、イリナちゃんの方でも調べてくれるらしく、その連絡待ちと言ったところか。
「でも、一旦は肩の荷を降ろしてもいいだろう。お疲れさん」
「うん、改めてありがとうイッセーくん」
「あと、部長達にも改めて御礼と謝罪忘れんなよ」
「うーん、受け取ってはもらえたけど、気にするなと言わんばかりに軽かったんだよね…………まぁ、これからの働きで返してくれってことだと思うけど」
「なら頑張りなさいな、
しかしながら、こいつの今の表情を見てれば、例えそうなったとしても間違いを起こすことはないだろう。本当に、良かったと思う。
イリナちゃんとクァルタさんも、ミッションは完了したとは言え、仕方のないことだが聖剣は全て破損。核しか回収できなかった為に、彼女達を疎ましく思っている派閥から割と洒落にならない攻撃を受ける可能性が高いとのこと。下手すれば、左遷だとよ。…………なんとまぁ、悪い意味で人間らしい奴らが揃った宗教集団よ。いや、こんなものかとは思うけどね。
「ま、私としてもほとんど他人にやってもらったものだから、この件で咎められても文句は言えないわ」
「私なんか、強制離脱…………ははは」
「……最悪、追放されたら
「…………非常に魅力的な提案よねぇ。追放されなくても逃げ出したくなる程度に」
「…………まあ、それは叶わぬ夢だろう。私はともかく、教会は絶対にイリナを手放しはしないだろう」
「あ、あははは…………」
「でもま、なる様になるわ。どんなことになっても、私達のやることは変わらない。神の愛を説き、神の敵を討つ。それだけよ」
「だな。…………まあ、そうするにも、もっと強くならねばならんがな」
「……ええ」
でも、この2人はそんな中でもなんとかなるだろう。強いしね、何よりハートが。俺はそれを、影ながら応援するまでさ。
フリードは、本人曰くそれなりに気に入ってたボスであるコカビエルが亡くなった為、『
「……兄貴。俺、もっと強くなりてぇよ」
「……そっか」
今回の件でダークファルスの依代となってしまった上司と対峙したフリードが何を思ったのかは、完全に推し量ることはできない。でも、こいつの中で明確な答えが出ているのであれば、
「じゃあ、真面目に目指してみろよ。自分の意思を押し通せる強者ってのを」
俺がこいつにしてやれるのは強くなれるよう訓練を付けてやる、そのぐらいだ。
…………コカビエル関しては、なんと言えばいいのか。一応、コカビエルを倒してしまった件で、抗議を受け戦争が始まるといったことは起こらなかった。そも、依代にされてからのコカビエルは、どの陣営からも討滅されても仕方のないものだったから。寧ろ俺のところには詫び状と御礼があった位だ。お嬢のとこにも似たようなのは来たらしいけど。
で、そのこととは別件ではあるが、近い内に三大勢力のトップ陣営達が会談を開くらしい。その時に、コカビエルの件に関しては詳しいことを聞けるのかもしれないな。
「……本当、ダークファルスは余計なことしかしないな」
『唯一の救いは……彼奴の最期の顔が、厳ついなりに穏やかだったことか』
…………んで、ダークファルス。どうやら、『ダークファルスはとある何かの端末説』が現実味を帯びてきた。と言うのも、母さんが何かを観測したようで。この世界の外と内の境界に現れたり現れなかったり。エーナの要請で次元の狭間を泳いでいるグレートレッドにも探してもらっているらしいが、そっちの方では何も見つからないとのこと。
…………まあ、今見つからないのはいいんだ。それよりもヤバいのは、このままだとダークファルスの上位存在と戦い抜ける自信がないということ。ダークファルス程度で死に体になってる様では…………ということである。
「無限に片脚突っ込むだけじゃダメなのかなぁ…………はぁ、ちょっと気が滅入るぜ」
『確実に目をつけられているからな、我らは。周りの者を護れる程には強くならねばならぬ様だ』
「…………ああ」
とまあそんな感じで。様々な問題を残しつつ、この事件に関しては幕を閉じたのだった。
◇◇◇
しかし、問題の解決は新たな問題を生む。と言うか、既に始まってる。
「初めまして、お
「のっけからニュアンスが違ェッ!!! また駄猫か!? また駄猫なのか!!?」
近い内にまた会おうという言葉の通り、ヴァーリは本当に2日後にやってきた、寮に。
で、ウチのオトンとオカンを前にして早速コレである。クールな表情で何言ってんだ。クソ、サムズアップしてる猫耳和服女郎の幻影が超イラっとする。
「お義父様……」
「お義母様……」
「2人もその響きにやられてんじゃないよ!!?」
そして、彼女ができない系男子を子に持つ親が、それにやられて幸せそうな顔になってやがる。そこまで信用ねぇか俺が! ないか、ないよな畜生!
「ふむ、これは黒歌の言う通りだったな。掴みは完璧だ」
「…………やっぱり駄猫か。つか、最初位自重しろよ」
「勿論、あいつのアドバイスでもまずそうな物は実行しないぞ。私にも分別はあるからな」
「あ、ああさいですか…………」
もし分別があるならキ、キキキ…………唇と唇を重ねるアレとかしないで欲しかったかな…………アレからまともに寝れてねぇんだよ畜生が。
「だから安心してくれ。最初から『初めてを奪われた仲です』などとは言わない」
「うぉぉぉおおおおい!!!?」
言っちゃってる、言っちゃってるよヴァーリさん!? 忘れてた、貴女天然入ってましたねもうヤダ!!
「イッセー!! 見損なったぞ!!」
「待てや親父!! 手は出してねーしこいつの言ってる初めてはキスのことだよ!! そんなに自分の息子が節操無しに見えんのか!!?」
いや、分かってる。そうだって分かってて弄ってくる人種だって知ってる。なんだってこんなことに。
「でも、女の子のファーストキスは大切なものよ? やはりここは…………」
「おかーさま、本人達の目の前でやめてくだせえ」
やべぇよ、ガッチガチに外堀固められる未来が浮かんだぞ…………。
「さて、冗談はここまでにするか」
「あ、冗談だったんだ」
ヴァーリの言葉に思わず安心してしまう。というか、こいつも冗談を言える様になったんだなぁ…………ちょっと感慨深いものが────
「ああ、1%な」
「それはほとんど本気と変わらねーよ!?」
もうヤダこの娘! そんなに俺を振り回して楽しいの!?
「改めて。先ほどはヴァーリ・ルシファーと名乗りました。嘘ではありませんが、私にはもう一つ名前がある」
…………ようやくそれらしい雰囲気になったところで、シリアスオーラに安心する俺。ここまでが長過ぎた。
「もう一つの名前は『ナギサ』。兵藤一誠の……いや、『ショウ・ウォーカー』の同僚でした」
「…………そうか」
「…………なるほど、ね」
父さんと母さんは気がついていたみたいだ。まあ、納得と言えば納得だ。種族違いとは言え、外見的特徴は俺と似ていて、かつこの2人は仙術と魔術、それぞれの分野を修めている。魂やそれに準ずる物を見抜くことは容易いはずだ。
「この場合、『災難だったね』と言うべきなのか、『ようこそ』と言うべきか…………」
「違うわお父さん。ここは『ありがとう』でしょう?」
「そう、だな」
「…………? こうして異世界にて生を受けたことは、寧ろありがたいと思っています。『ようこそ』というのは、成る程、私が異世界からの稀人だからでしょう。ですが、『ありがとう』とは?」
そう言うと、若干悲しみを滲ませた顔で、2人は笑う。
「一誠は理解者が得られないと言う意味で孤独だった。私達は事象としては理解できても、前世のことに関して共感はしてやれなかった」
「でも、真の意味で理解してくれる貴女が現れた。一誠と同じ場所からの転生者である、貴女が。だから、『ありがとう』」
思わず、顔を見合わせた。少し泣きそうな顔をしている。俺のも、似たようなものだと思った。
「……お礼を言われることでは、ありません。私だって、救われたのだから」
「いいのよそれで。お互いの理解を深め、助け合い、支え合う。人間関係って、そういうものだと思うわ」
……本当、ウチのお母さまには頭が上がらんね。
「それにしても本当、運命じゃない!? 前世で死が引き裂いた2人が、こうしてまた巡り会うなんてっ!」
「……あの、おかーさま。別にナギサと俺は付き合って無かったのだけど」
「だまらっしゃい、この鈍感息子っ! どーせハッキリとした好意以外はスルーしてたのが目に見えるわこの女泣かせ!」
「ぐっ…………」
女泣かせというのを否定したくはあるが…………実際師匠とヴァーリ泣かせているしなぁ。
「それに、アンタも嫌なワケじゃないでしょう?」
「い、いや…………それは、まあ」
嫌なワケじゃない。と言うか、嫌であって堪るか。
でも、なんというかかんというか…………困惑の方が先に来てしまうのである。嬉しいんだけどね。
「すまんね、ヴァーリちゃん。こんなヘタレな息子で良ければもらってやってくれないか?」
う、うぉい!? 何言っちゃってんの親父!?
ヤバい、このままだと何が何だか分からないまま終わってしまう!! だ、誰かヘルプミー!!
「ダメ───ッ!!!」
救いの女神は、ゴスロリを着ていた。というか、エーナだった。
隕石の如く飛び込んできて、俺は吹っ飛ばされそうになりつつもなんとか耐える。
で、そんな救いの女神改めて我が家の妹龍神様は、俺の腕にしがみ付き、ヴァーリを威嚇するように睨みつけた。
「兄はウチの兄! アルビオンにはあげない!」
「…………エーナ、アルビオンだけど違う。彼女はヴァーリって名前です」
…………あ、これあかんやつや。
「姉も! このままだと兄がとられる!」
次にエーナが視線を向けた先には、おっきい方の妹、アーシアが。というか、なんなのその聖母の如き微笑み。
「邪魔しちゃダメですよエーナちゃん。確かに少し遠くに行ったようで寂しくはありますが、お兄ちゃんがお兄ちゃんではなくなるわけではないのですから」
「むーっ! いい、我だけでなんとかする!」
あ、痛い痛い妹様。腕抱きしめ過ぎないで折れる。
と、ここでフリーズしていたヴァーリが再起動した。……何やら不穏なオーラを纏いつつ。
「そうか……そうか。私はどうやら、そこの無限の龍神を納得させねばならんらしい」
「いや、そこでスティールハーツ構えないでよ物騒だ!!?」
すると、強く抱きしめられていた俺の腕が解放されたと思ったら…………エーナの方もなんか闘気を纏い始めた。…………ってそれどこで習得した? あ、親父か。
「いいだろう…………。兄が欲しくば…………我を、倒せッ!!!」
「了解した、認めざるをえないようにしてやる!!!」
寮の庭に飛び出す2人。外からはキンキンガンガンと、何かを打ち合わせる音が響いてくる。
「…………なんだろう。普段なら『俺も混ぜろっ』て飛び込んでいくはずなのに」
メンツ的には凄く心が躍る相手なのに、どうしてか足が竦んで動けないの。
…………そんな、慌ただしくて、それでも平和な一幕だった。
[第3章-復讐の魔剣 End]
◇◇◇
「うーん、私もイッセーに毒されたかしら。ルシファーって聞いても驚けないわ」
◇◇◇
感想批評駄目出し、宜しくお願いします!
おそらく次は閑話をやると思います!