ハイスクールDevil×Dragon×Dhuman   作:4E/あかいひと

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その13-無限×赤龍×闇人=希炎耀く赤龍神帝の無限煌

「…………よし」

 

仲間がいる。

 

取り込まれた同類がいる。

 

そして、託された。

 

ならば、俺がやることは1つだけ。

 

「流石にそこまで侵食されりゃあ俺にはどうしようもねぇよ…………だが、解放してやることはできる」

 

だから、

 

「『ショウ・ウォーカー』として、テメェを斬るぜ、ダークファルス」

 

そんでもって、

 

「『兵藤一誠』として、テメェを助けるぞ、コカビエル」

 

 

◇◇◇

 

 

空は、『ダークファルス【堕天(ダウンフォール)】』は、それを認識した。

 

この世界で、唯一ダークファルス達に優位に立てる、彼らの最も嫌う光の体現者。

 

自分達を滅ぼしてきた者の中でも、特に恐ろしい1人。

 

赤いコートを纏い、己に向けて剣の切っ先を突き付ける、グラール最期の英雄。

 

『A……A,A,A,…………!!!!?』

 

呻き声の様な音が響く。それは、先程も感じた消滅の危機…………人間2人に焼き尽くされ、依り代に支配権を喰われる恐怖。それに類するものを感じたからに他らならない。

 

しかし、それとは比べ物にならないだろう。何故なら…………彼には前回があるのだから。

 

『SHOOOOOOOOOOOOWWAAAAAAAALKKEEEEEEEEEEEEEEERAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!』

 

空が、否、(そら)を堕とすものが、その全身で悲鳴をあげた。

 

嫌だ、嫌だ! 何のために、何のために(そら)となったのか、分からない!

 

「応、ショウ・ウォーカーは…………テメェを斬り祓う者は、此処に居る」

 

ダークファルスは、()()()()ダークファルス達の終わりに、数刻後の自分を重ねてしまう。この男は、この英雄は、最早自分達にとってはそういう存在であることを、直接相対することによって、理解させられてしまった。

 

『GA,AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!』

 

「消さなければ、自分が終わらされる」、その一心。自身の身体を操作し、嵐を起こし、巨大な氷の礫と雷を降らせる。

 

そうだ、其処には全力では無かったとはいえ、己を(そら)に追い詰めた奴等もいる。全て、全て消してしまえ。

 

局地的な大災害。駒王学園の校庭に、人間には到底抗えない脅威が降りかかる。

 

…………が。

 

「…………斬ッ!!!!」

 

その全てが、ただの剣一振りで。斬られることすらなく、その風圧で、散らされた。

 

ならば、何を斬ったのだろう。

 

『A……AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!?!?!?』

 

その答えは、悲痛に喚く空に入った、一筋の裂け目を見れば瞭然だろう。

あろうことかこの男、先程の災害なぞ眼中に無かったのである。

 

「……あー、まさかの自然災害型か。チンタラしてっと、空の下全部を人質に取られかねんな」

 

しかし、その呟きを聞いてダークファルスは思い至る。

 

そうだ、この男はその経緯から酷く誰かが理不尽に傷つくことを嫌う。

全てを滅ぼそうという素振りを見せるだけで、向こうの動きは鈍る。

 

その思考まで至れば話は早かった。

 

今度は、地上全てに、侵食させる『死の雨』を──────

 

「させると思ってんのか」

 

実行に移そうとしたダークファルスの胎内(りょういき)に、いつの間にかあの男がいた。その背後には、赤い翼。

 

『AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!?!?!???』

 

ダメだ、ダメだ! 其処は我が領域! 何故貴様が此処にいる!?

空を統べるのはこの我のみぞ! 不遜にも、それを侵そうと言うか!

 

「テメェの敵は、俺だろ…………余計なことしようとしてんじゃねぇよッッッ!!!!!!」

 

閃く様に振り抜かれた赤く煌めく刃は、空に一条の赤を刺しこむ。

 

『GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!???!?』

 

痛みに悶えながら、ダークファルスは意識を切り替える。

如何に此処で人質の様に世界を盾に取ったところで、この男は死にはしない。つまり、自身に死神がついて回っている状況に変わりはないのだ。

 

この男を、ショウ・ウォーカーを倒さなければ、ダークファルス【堕天】に未来はない。

 

『RRRUUUUOOOO……!!!!』

 

弱点は分かっている。持久力に乏しく、身体は脆い。他ならぬ、原因たるダークファルスが知らない筈が無かった。

 

空の至る所で、漆黒が集まり形を成す。

大きな翼を持つ黒の異形。グラールでは、『ジャスナガン』と呼ばれた大型飛行SEEDフォームだった。

 

一誠(ショウ)の目算でも、軽く3桁はいるだろう。中には飛行に特化した個体、嚙みつきに特化した個体など、明らかに『狩り(ハンティング)』をする気満々である。

 

「…………ドライグ」

『いいんだな?』

 

彼は、己の中に宿る相棒に声を掛け、その相棒は確認を取る。その答えは、聞くまでもなかった。

 

『System 《D³》 standing by』

『Set (D),(D),(D)

『Count down Ⅻ』

 

彼の左甲にある翠の宝玉が明滅し、針がない時計盤が浮かび上がる。

 

『Ⅻ』

 

その音声と共に、時計盤の『Ⅻ』の文字から光が消える。

 

『相棒、カウントが始まったから神器のスペックは著しく落ちるぞ』

「それまで逃げてりゃいいってか? でもよ、」

 

長刀を構え直す彼の周囲には、壁役であろうジャスナガンが殺到し始めていた。

 

「「「「GUGYAAAAAAAAAAAAAAAッ!!!!」」」」

「あらよっと!!」

 

回転切り、その風圧で一時的に侵攻を止めつつ、一誠は溜息をつく。

 

「こいつらが見逃してくれるとも思わんのよな」

『だが、問題なかろう』

「まあな。さァて、とッッッ!!!」

 

持っていた長刀は消え、代わりに彼は蒼いオーラ…………フォトンを纏う。

 

『Ⅺ』

「うじゃうじゃ涌いて出たんだ、生きて帰れると思うなよSEEDフォォォォォォオオオオオオムゥゥゥゥウウウウウッッッ!!!!!」

 

殺意だけは熱く煮えたぎらせ、しかし思考はクールに彼は翔び出す。

 

ジャスナガンのタイプは大まかに5タイプ。厚く装甲を着込んだ様な個体が四方八方から取り囲み、飛行特化個体が撹乱をする様に飛び回り、それを避けたところに噛みつき特化個体が飛び込み、法撃特化個体が重力球を撃ち込む。そして、それらを指揮する最上位の個体が複数。成る程、時間稼ぎとは言え必殺の布陣。並の戦士ならば成す術なく堕とされるだろう。

 

だが、ダークファルスが恐れる兵藤一誠(ショウ・ウォーカー)が、並の戦士であろう筈がなかった。

 

「「「「GUGYAAAAAAAAAA!!!」」」」

「ゼァアアッ!!!」

『Ⅹ』

 

複数の飛行特化個体の突撃。それを紙一重で躱す…………ことなくフォトンの刃で斬り刻む。

そして、行手を阻む防御特化個体の壁に、甲高い音を響かせながら手を突き出し、

 

「邪魔だァッ!! ファイナルトリガー!!!!」

『Ⅸ』

 

フォトンによる砲撃で、穴を穿つ。

 

穿ったところを抜けようと、一誠は背中の翼を震わせて、急加速する。

 

しかし、ジャスナガン達も馬鹿ではない。壁に穿たれた穴を埋めようと防御特化個体が集まりつつ、その穴の向こうから嚙みつき特化個体がその顎を大きく開けながら飛び込んでくる。

 

「ウォォォォオオオオオオオッ!!!!」

『Ⅷ』

 

だが、その程度では止まりはしない。それどころかさらに速度を上げつつ、一誠はフォトンを纏わせた拳を突き出す。

 

口の中に、拳が吸い込まれた。その、次の瞬間だった。

 

「GUGYA!!!?!?」

 

フォトンが一瞬煌めいたと思えば、爆発。モロに喰らった為、頭部は吹き飛び、首から下もその余波で弾き飛ばされ、飛ばされた先のジャスナガンに当たり、さらなる犠牲を生む。

 

「……ッ!!」

『Ⅶ』

 

しかしその代償も大きい。突き出した右手のグローブは破れ、中から見える筈の白い手は、赤黒く焼け爛れていた。

 

しかし、いつまでも潰れた右手に注視しているわけにはいかなかった。例え手がひしゃげ、腕が折れ、脚がズタズタになろうとも。

 

「ウォラァァァァァアアアアアアアッッ!!!!!」

 

今翔ぶ為の翼と、最低限フォトンを纏える状態であれば、構わなかった。

 

己の穿った穴を抜ければ、もっと大きく取り囲むことにしたらしい防御特化個体が、半径200m球圏内に取り囲む様に飛び回り、先ほどまでは球の内側にはいなかった指揮官個体もいた。

 

「ハン、相当俺を外に出したくないらしい」

『Ⅵ』

 

そこで、指揮官個体が甲高い声を上げる。

 

「「「─────────ッッッ!!!!!」」」

「グッ……!!?!?」

 

これは一誠の耳を高周波の音で潰す作戦か。

 

「「「「「GUGYAAAAAAAAAAAAAAA!!!!」」」」」

 

確かにそれもあっただろう。しかし、その指揮官個体の金切り声に呼応する形で、法撃特化個体達が、一斉に彼へと重力球を放つ。

 

銃弾よりは遅くとも、それなりの速度で放たれたそれは、瞬く間に一誠を覆い隠す。

 

が、飲み込まれたと思った彼が、またも甲高い音を響かせるや否や、先程の拳以上の爆発を起こし、重力球や、近くにいたジャスナガンごと、飲み込み返す。

 

「ハァ………ハァ………フォーリングスターだ」

『Ⅴ』

 

カウントは残り0を含め5回。着実に、準備を進めていた。

 

だが、気を取り直し、構えを取り直す一誠は目を見開いた。

 

「「「「「GU,GYAAAAAAAAAAAAAAA!!!?!!?」」」」」

 

ジャスナガン達が、一斉に悶え苦しむ様な声を上げたかと思えば…………霧散。

先程まで、空を埋め尽くさんとしていた全ての異形が、消えていく。

 

「ッ!!!!!」

『Ⅳ』

 

嫌な予感。戦士として磨き上げられたそれに従いながら、一誠は天を仰ぐ。

 

そう。気が付けば、彼はダークファルス【堕天】の支配領域から、離されていたのだ。

 

『AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!』

 

先程までとはうって変わった歓喜の声。空全体が震える様に音が降りてくる。

 

ようやく、ようやくだ! あの忌まわしき男を、ようやく殺せる!

 

即ち、ダークファルスの必殺が整ったということ。

 

「チッ……しくったらしい」

『Ⅲ』

 

漆黒の中でも、特に黒く、光を吸い込む渦が形成され、尖っていく。

 

『DEAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAADAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!』

 

雄叫びと共に放たれたのは、全てを光を喰い尽くさんとする、巨大な闇黒の槍。

 

避けることも、防御の姿勢をとることもできない速度で。

 

「ッ───────────」

 

兵藤一誠を、飲み込んだ。

 

 

◇◇◇

 

 

『Ⅱ』

 

その声で、俺は意識を取り戻す。

 

どうやら飛んじまっていたらしい。が、しかし幸いにもそれ程の時間、意識を手放したわけではなさそうだ。

 

クソ、油断してたわけじゃねぇが、思いっきりやられちまった。腕も脚も折れた。内臓も、いくらか潰れてる。もう、痛みを感じることはできず、ただただ身体が燃える様に熱い。

 

しかし、生きている。生きているなら、未だ終わりじゃない。

 

例えどれだけ身体が悲鳴をあげようが。

 

目の前に悲劇がある。それだけで、斃れる理由にはなり得ないのだ。

 

『Ⅰ』

「…………ッ!!!」

 

それが、『兵藤一誠(ショウ・ウォーカー)』の『運命(ちかい)』なのだから。

 

『相棒』

『兄』

 

嗚呼、2人の声が聞こえる。横になったままじゃ、ダメだよな。

 

フォトンでぐちゃぐちゃの手脚に外骨格を纏わせ、無理矢理立ち上がる。

 

見上げれば、驚いた様に蠢く空が、俺を見下ろしている。

 

『0』

 

ガチン! と左手の甲の時計がなった。

 

「それじゃあ、行こうか」

 

『Destiny!!』『Dhuman!!』『Dragon!!』

『Destiny!!』『Dhuman!!』『Dragon!!』

『Destiny!!』『Dhuman!!』『Dragon!!』

 

『Destiny×Dhuman×Dragon!!!』

 

『D×D×D!!!』

 

『System 《D³》 start-up!!!!』

 

狂った様に、左の翠の宝玉が叫ぶ。

全ての準備が整った。

 

『さあ相棒、唄おうぞ』

『今此処に、その在り方を』

「応ッ!!!』

 

俺の、俺たちの想いを!!!

 

「我が盟友たる赤き龍帝よ、無限の意志に火を点けよ」

《我が盟友たる異界の英雄よ、我はその心に火を灯そう》

 

「我が胸に宿る無限の意志よ、絶えることなく燃え上がれ」

《我に心を与えし異界の英雄よ、その心に無限の加護を》

 

「それは総てを斬り祓う『希望の剣』」

《全ての悲しみに行き過ぎた制裁を》

 

「それは総てを押し貫く『幕引の銃』」

《全ての理不尽に最期の引鉄を》

 

「それは総てを照らし輝く『流閃の星』」

《全ての喜びに祝福の流星を》

 

「それは総てを舞い上げる『刃華の嵐』」

《全ての闘争に狂乱の華嵐を》

 

「此れこそが、我らが誇りし武器」

「燃え尽きることない、無限の炎」

 

『全てを照らせ、誰もが前を行ける様に!!!』

 

「誓いを此処に、我らは無限の想いに火を灯す赤龍帝!!!」

《今こそ咆えろ、我が盟友!!》

《今こそ示せ、その在り方を!!》

 

「「「「「刮目せよ、此れが我らの信じた『光』なり!!!!!!!」」」」」」

『Welsh Dragon Infinity Blast!!!!!!!』

 

死に体も良いところだった身体が治り、活力が戻る。

 

形なき(つめ)が手を覆い、形なき翼が背中より噴き出し、刃角は全てを切り裂く様に凛と鳴る。

 

そして、噴き出る炎の、その輝きは、無尽蔵。

 

名付けて、『無限の龍神化(ウロボロス・セカンド):希炎耀く(ブーステッド)赤龍神帝の無限煌(・ギア・インフィニティブラスト)』。

 

俺の魂とも言える『インフィニティブラスト』を、ドライグと永那の繋がりで昇華させた、新たな武器(ひかり)

 

『A,A,A,AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!?』

 

俺の姿に、さらなる危機感を覚えただろうダークファルスが、またも怯える様な声を響かせつつ、先程の黒い槍を…………5本も投下してきた。畳み掛ける様に、俺を殺すつもりらしい。

 

だが、

 

「さっきまでの俺と思ってくれちゃあ困るな…………セット」

『Set:Hunter!!!』

 

炎が右手に集まり、圧縮されていく。

そして、チャージ完了を告げる音が鳴り、

 

「全てを斬り潰せ、オーバーエンドォォォォォオオオオオオッッッ!!!!!!!!!!」

『Blust:Over End!!!!!!!!!』

 

解放された炎が、巨大な長剣を形作る。漆黒ですら食い切れない、莫大な輝きを伴って。

 

「ラァァァァァァアアアアアアアッッッ!!!!!!!!!!」

 

上方へ振り抜く。それだけで長剣は5本の槍を斬り祓った。

 

『GUA……AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!?!?!?』

 

5本だけでは足りない。そういう思考に至ったのだろう。先程以上に叫びながら、今度は数えるのも億劫なほどに黒槍を降らせてきた。さながら、雨の様に。

 

「無駄だ、セット!!!」

『Set:Ranger!!!』

 

両腕を、銃の様に構える。

降ってくる槍、その全てに照準を合わせ、放つ。

 

バシュン!! という音と共に槍の1つが爆ぜ散る。そして、また1本。そしてさらに。

本来ならば一瞬の隙も許されない曲芸の様な射撃も、刹那すら無限の様に知覚できる今ならば、容易いものだ。

 

振らされた槍を全て爆ぜ散らしたところで背中から炎を噴き出して翔び上がる。一気に決めてやる。

 

『AAAAA,AAAAAAA,AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!! DE,DEAAAAAAAAAAAAAADAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!』

 

今度は、数だけでは不可能と思ったのだろう。ダークファルスは、ありったけの力を掻き集めて、視界に収まりきらない程の槍を形成しだした。

 

「無駄だと言っただろう、セット!!!」

『Set:Force!!!』

 

重ねた両手の炎が、球体になったところで先程同様チャージ。

 

「全てを墜とせ、フォーリングスターッ!!!!」

『Blust:Falling Star!!!!』

 

これ以上ない密度となったところで、未だ形成中の槍に向かって投げる。

 

ぶつかった瞬間…………其処に真っ赤な太陽が顕現し、空ごと槍を焼き、地上を赤く照らす。

 

『GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!』

 

その炎に焼かれ、その身を祓われそうになりつつも、ダークファルスからは諦めは感じられなかった。逃げる様に逃げる様に、天へと、薄くなりながらも昇って行く。

 

しかし、その隙間から垣間見えるダークファルスとは別の意思。

 

必死に、必死に、己の身体を地上へと引っ張ろうとしている…………ダークファルスと戦っている、誰かの意思。それが誰のものなのか…………。

 

「…………セット」

『Set:Braver』

 

両手それぞれに、炎が片手剣の様に形取り、全身に炎が集まっていく。

 

「すげぇな、アンタ。俺がSEEDに飲まれた時は、自我が喰い尽くされたってのに」

 

だから、

 

「これで、終わらせてやる」

 

発動に足る炎が集まったことを伝える、甲高い音が、新しい朝を告げる鐘の様に鳴り響く。

 

「全てを斬り散らせ、ブレードストリームゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウッッッッッ!!!!!!!!」

『Blust:Blade Stream!!!!!!!!』

 

解放と共に、俺を中心として炎嵐が巻き起こる。

しかし、それは全てをブチまけるそれとは逆の、全てを吸い込み、斬り祓うもの。

 

逃げていく空が、一部の綻びから俺の方へと吸い込まれ…………

 

「ラァァァァァァアアアアアアアッッッ!!!!!!!!!!」

『GUGYAGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!?』

 

逃がさない、逃してなるものか。

その身を闇に喰われても、一矢報いようとした男の意志に応える為にも。

 

斬って、斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って、斬ってッ!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ありがとう、異界の英雄よ」

 

 

 

 

 

 

 

闇が晴れ、朝日が昇ると同時に聴こえたその声は…………確かに俺に届いた。


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