ハイスクールDevil×Dragon×Dhuman   作:4E/あかいひと

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だ、誰か僕に戦闘シーンの書き方を教えてくださいッ!
イリナも木場もこんなにヘボっちくないの! もっと強いのにィッ!!!(血涙)


その4-疑問×激突×不服

 

「(…………どうしてこんなことになったんだろう)」

 

旧校舎前の芝生。結界が張られたそこで、遠いところを眺めながらそう思う。

 

『リアス・グレモリーと教会の2人が話し合った→いい感じに話がまとまりかけた→ゼノヴィア・クァルタ「因みに悪魔側で動くの誰だ?」→木場祐斗が立候補→実力を見るという名目で手合わせ開始→でも木場祐斗、手合わせにかこつけて聖剣壊す気満々←今ここ』

 

うん、簡潔に纏めてくれてありがとうねドライグ。でもそれだと俺まで手合わせしなくちゃならない理由が分からないよね?

 

『戦うのは嫌いではなかろう?』

 

そうなんだけどね。

 

ともかく、イリナちゃん達聖剣使いコンビが、翌日の放課後のオカルト研究部にやってきたのである。今回の彼女達の任務は教会の各派閥に保管されていた聖剣エクスカリバーが計3本盗まれたので、その盗まれたエクスカリバーの回収または破壊。破壊が許可されているのは、エクスカリバーの核になる部分さえ回収できたら鍛えなおすことはできるらしいからのようだ。

 

で、盗むなんてしやがったのは『神の子を見張る者』の幹部である上級堕天使コカビエル……実行犯は別の様だが。なぜそんなことをしたのかは…………教会の術者曰く、『聖剣盗めば戦争になるかも』という愉快犯も真っ青な理由らしい。まだこの町には辿り着いてはいないとはいえ、駒王町に持ち込もうとしようとする理由も、『魔王の妹を血祭りにあげたら戦争になるだろ』ってな感じに違いない。

 

で、表向き『堕天使と徒党を組んで聖剣をどうにかする可能性があるため、悪魔側はこの件に関わってくれるな』というのは昨日言っていた通り。でも、お嬢側のメンツを考慮してくれたので、『自衛として眷属を派遣するのは無理もない(訳:リアス・グレモリー本人が表立って動かないのなら問題ないよっ!)』というありがたいお言葉を頂戴した。無論、敵対しなければ、という条件付きだけど。

 

で、俺は最初から別枠にしても、悪魔側で動くのは誰になるのか、という話になった時、立候補したのは木場だけ。これはなにも、皆が聖剣エクスカリバーに怖気付いたわけではなく、木場の生い立ち、復讐心を考慮した上で、奴の邪魔を極力するべきではないと判断したから。…………まあ、暴走したとき用で、リミッターとして俺とセットで動く羽目になったのだが。そのこと自体は別に構わないのだけれどな。

 

で、ここでクァルタさんが言ったんだ…………俺と木場の実力を見せて欲しいってね。故に『クァルタさんVS俺』『イリナちゃんVS木場』の対戦カードで手合わせするということになって、冒頭に戻るわけだ。

 

というか木場が怖いよォ…………のっけから『君達の先輩だよ。もっとも、失敗作だったそうだけどね』とかなんとかで敵意マックスだしぃ…………!!

 

「……顔色が悪いが、どうかしたか?」

「いや、大丈夫だ。それよりも、早いとこやろうか」

 

戦うと決めた以上、己のすべきことは一つだけ。目を閉じて自分の意識と感覚を、戦闘用のソレへと変えていく。

 

ドクン、と強く打った心臓の音で目を開けて、グローブを展開。

 

「……噂に聞いた、亜種の赤龍帝。その力、見せてもらいたい」

「応とも。まあ、否が応でも見せてやるがなァッ!!!」

『Start up!!』

『Boost!!』

 

戦闘のハジマリと共にグローブが起動。最初の倍加を報せる相棒の声が響く。

 

ゼノヴィア・クァルタはパワータイプの剣士とみた。技量はある様に見えるが、それは一撃を決めきる為の物だろう。

 

ならば、戦いを愉しむ方向に思考が寄っている俺が取る行動は、だ。

 

「───ッ!!!」

「!?」

 

デューマンとしての脚力、そこにドラゴンとしての性質が加わることによりさらに底上げされ、倍加により2倍になったソレは、20m程度なら刹那で詰められる。

そして俺は、保護されているからこそできる、聖剣を殴り付けるという暴挙に出る。

 

「ッラァッ!!」

「グッ…!! 聖剣よッ!!」

 

しかし、クァルタさんも中々のもの。上級悪魔でも落せる一撃を耐え切って、尚且つ反撃として聖剣のオーラをぶち当ててきた。

 

「ガフッ……チィ」

 

持っているエクスカリバーの性質は聞いてなかったが、アレは間違いなく『破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)』だな、多分指にヒビが入ってるし。素で戦り合うにはちと分が悪いな。流石デューマン、紙装甲なのに変わりはない。

 

とにかく距離を取って仕切り直しだ。向こうも、間違いなく手が痺れてそうしたいだろうし。

 

「やるねぇクァルタさん。剣を掴めなくなるレベルでブン殴ったのに」

「剣士たる私が、剣を落とすわけにはいかないだろう…………まあ、まともに振るには1日空けるしかなさそうだが」

「それでも、剣使いとしては尊敬に値するよ。ドライグ」

『Gear Armament:Model Wand』

 

宝玉から片手杖を出して、回復魔法(テクニック)レスタを敢行。自分の右手と、クァルタさんの手を癒す。

 

「……情けのつもりか?」

「んにゃ。コレが戦闘なら、そもそも距離を取らずに落としにかかっていたさ。でもあくまで手合わせ。こっちとしてもクァルタさんの強さが知りたいし、身内以外で久し振りに楽しめそうなんでね。気に障ったのなら謝るけど」

「…………いや、いい。こちらも、誇りが傷つかないなら、長く楽しめる方がいいさ」

 

くはっ! まあイリナちゃんと仲よさげだから予想はしてたけど、彼女も軽〜く戦闘狂じゃないかっ!

 

「それではもっと遊ぼうか、ゼノヴィア・クァルタッ!!」

『Gear Armament:Model Twin Saber!!!』

「望むところだ兵藤一誠ッ!!」

 

戦いは始まったばかりだ…………嗚呼っ、滾る!!!

 

 

◇◇◇

 

 

「(ゼノヴィアいいなぁ……)」

 

楽しそうに斬り合いをおっ始めた隣を羨ましく思いながら、私は小太刀サイズに収めた『擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)』を振るいながら、目の前の復讐者をいなす。

 

強い、そして速い。速度に重きを置いている私の攻撃が中々当たらない上に、才能と技量、そして経験に裏打ちされた剣閃が、容赦なく襲いかかってくる。その癖、悪魔と人間の身体能力差をより浮き彫りにさせるあの魔剣(おそらく、一定範囲内の重量が増す能力の魔剣だろう)を用いて有利に戦うという搦め手まで。悪魔にとっては大したことのないそれも、人間である私にとっては、息が上がる程度には致命的だ。復讐心で多少なりとも視野狭窄になっているはずなのに…………理性的なバーサーカーとか、ズルも良いところだわ。

 

コレだけ強ければ、普段ならテンションも上がるのでしょうけど、

 

「つまらないわ」

「ぐあっ!!?」

 

彼の速さは防御にも役立っていた。例え、剣を大きく振りおろすような自殺行為をしたとしても、その速さで隙を極限まで狭めることができるくらいには。

 

だが、彼は別の意味で視野狭窄だった。だから、容易に隙を作れるし、柄で鳩尾に一撃を入れるのも簡単だった。

 

「エクスカリバーに目が行き過ぎよ。大方、破壊したいのでしょうけど、視界にいれる様に動かせば、笑えるくらいに隙ができる」

「グ、ウゥ……!!」

 

幾ら悪魔といえど、人型である以上、身体構造は人間のそれとほとんど同じだろう。弱点もほぼ共通。そこを柄とはいえ聖剣で穿たれたのだ、今の彼は想像を絶する痛さに襲われているはずだ。

 

…………しかし、

 

「グッ………『魔剣創造(ソードバース)』ッ!!」

 

その状況でも、神器を使える精神力があったのは、賞賛に値する。

油断していたわけではないが、下から突き出る魔剣を完全に避けきることができず、右脚のアキレス腱をやられた。

 

…………全く、ただの手合わせなのに、コレでは死合だ。

 

「これ以上は流石にダメね、悪く思わないで」

 

己を右脚は無い生物と仮定、左脚で跳躍して接近、相手の意識を刈りとる為に、仰向けに倒れている彼の首元に、

 

「ガッ!!?」

 

飛び膝蹴りならぬ飛び肘打ち。下手すれば首の骨が折れかねないが…………まあそこはアキレス腱をやってくれた仕返しということで。

 

それはそうと、ゼノヴィアとイッセーくんのバトルも終わった様で、満足そうにぶっ倒れてる彼女を見て軽く青筋を立てたのはご愛嬌。

 

「うーん…………イッセーくん、アキレス腱やられたから聖書取ってくれない?」

「うーん、やっぱイリナちゃんやられたかー。ほい」

「なによ、まだ全力じゃないわよ」

「あーはいはい、分かってます分かってます。だって本領は短剣二刀流だもんねー」

 

むぅ、ぞんざいだなぁ。まあ本気ではあったけど、全力ならイッセーくんにだってある程度は喰らい付けるんだから。

 

「まあそれはそれにしても、彼……木場祐斗くんだっけ? 冷静な時にもう一度戦いたいところね。すっごく強いんだけど、心が踊らなくてつまらなかったわ。…………理由は分かるけどね」

 

聖書の1ページを使って回復法術を行使、ジワリと繋がっていく感覚に身を委ねながら、そう呟く。ああ、メタトロン様がもたらしてくれた魔法に対抗する術として伝えられた『法術』は素晴らしいわぁ…………。

 

「……………………」

 

アレ、なんかイッセーくんが微妙な顔をしてるけど…………まあいいわ。

 

「それにしても、血の気が多いのも困ったものね…………私は大丈夫にしても、今日に関してはゼノヴィアはもう動けないでしょうね」

「あー……そりゃ悪かった」

 

そう言いつつ、彼は木場くんを担ぐ。

 

「とりあえずさ、旧校舎の空き教室に寝かせて回復させよう…………実際、まだ話さないといけないことあるんだろう?」

 

射抜く様な視線に、敵わないなぁと思いつつ私は首肯し、漸く動けるまで回復した右脚を確認しながら立ち上がり、ゼノヴィアを乱暴に背負いながらイッセーくんの後を付いていくのだった。

 


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