ハイスクールDevil×Dragon×Dhuman 作:4E/あかいひと
現状、駒王学園高等部で1番イッセーの戦闘力に迫るバケモノです!
死にかけの俺を拾い、鍛えてくれた、誰よりも厳しく、誰よりも優しかった師匠は言った。
『餓鬼のお前は、戦場に立つべきではない…………それでもお前は、行ってしまうのか』
そんな制止を振り払って敵を狩り続ける俺に、同じく全てを失った同胞が言った。
『生き急ぎすぎだ馬鹿野郎…………それじゃあ、途中で死んじまうぞ』
それでも復讐対象を斬り続け、邪魔する人間すら斬り続けた頃、俺のことを悪魔を見るような視線で睨みながら、友だった女が言った。
『アンタ…………バケモノだよ。復讐に取り憑かれたバケモノだ。アタシはもう……着いていけないよ』
もう周りには誰もいない。そんなことすら瑣末なことだと、俺は切って斬ってキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテキッテ─────────
「アレ、ヘンだな」
俺の腕、剣みたいになってらぁ
◇◇◇
「最近、木場も変だが。お前も大分調子が悪いようだな」
学校での昼休み。とうとう指摘された俺は、顰めっ面晒して『聞いてくれるな』と威嚇する。が、勿論それが効果があるわけでもないので。
「まー、大方木場の復讐心にあてられて前世の自分をさらに思い出したってトコじゃねーの?」
「…………大当たりだ。勘なのか?」
「まーな」
弁当…………ウチのオカンが寮生全員に渡す為、中身もほとんど同じなそれを突きながら駄弁るわけだが。
「なーに、兵藤ってその見た目の上に『俺には前世の記憶がある…………フッ』とか言っちゃうキャラだったわけ?」
「…………桐生か」
俺の背後からぬっと現れたのは、同じクラスの三つ編みメガネガール桐生藍華。チンピラ書記の元ちゃん含めた『駒王ぶっ飛びカルテット』にも物怖じせずにグイグイくる胆力を持つ、通称『匠』と呼ばれる女の子。ちなみに何の匠かと言われたら…………エロ方面の、と答えておこう。
「天然物とはいえオッドアイで、ファンタジーにでも出てきそうな肌の白さでしょ? で、たまーに眼帯も付けるし、その上厨二設定? もはや狙ってるとしか思えないわね」
「うるせぇ桐生!」
厨二病…………という点はぶっちゃけ否定できないのである。
だってさぁ…………異世界出身で、他称英雄で、転生者で、今代の赤龍帝で、ありえない種族で、オッドアイで色白で…………ううぅ、その筋で極めようとしてる人にしか見えないよぅ。
「実際その筋の人からは凄い人気だもんなお前」
「確か、非公式ファンクラブまであったような…………」
「名前は素面では言えないからやめとくけど、良かったわね兵藤」
「ぐぬぬ…………てめーら俺を弄って楽しいか!?」
「「「うん、楽しい」」」
「いっぺん誰かにど突かれてしまえ」
…………つーか。
「元気がないからってそんな方向から無理矢理元気引き出させようとすんな、ツンデレ共が」
「べ、別にイッセーのことなんて親友としか思ってないんだからねっ! …………とでも言えばいいのか?」
「おいやめろよトーヤ…………今ので腐った方々が鼻血吹き出して倒れたぞ」
「というか、分かってんならジメジメしないでよ。地味にアンタ、このクラスのムードメーカーなのよ? その辺少しは意識してよね」
「見ろトーヤ。これが天然物だ」
「なるほど…………眼福眼福」
「ぶっ飛ばすわよバカ2人!!」
「…………ハハハ」
にしても、普段連んでハゲとメガネはともかく、一般人にまで気付かれる程テンションガタ落ちだったとはなぁ…………。
「まあ、心配かけて悪いな。ほれ、食い終わったら部室行くぞ野郎共」
「「おー」」
◇◇◇
昼食後部室に来いと言われたのは、俺とハゲとメガネである。
そして、部室に入った瞬間にその理由を察知した。
だって、お嬢以外に部室のソファーにいるのがウチの学校の生徒会長で、そのそばに控えてるのが俺の馬鹿弟子だもの!
「おお、チンピラ!」
「チンピラがここにいるという事は…………新人悪魔同士の顔合わせということか?」
「チンピラ言うなっ!」
「いや、ここは愛を込めて『元ちゃん(はぁと)』と呼んであげた方が」
「「元ちゃん(はぁと)」」
「キモいわ!? と言うか師匠もなに煽ってんスか!!」
悪い悪い、つい癖で。
まあともかく、前々から知っていた通り、元ちゃんは転生悪魔であり、そんなあいつを転生させた張本人が、この生徒会長の支取蒼那先輩。なお本名はソーナ・シトリー。元72柱であるシトリーの後継である上級悪魔にして、現魔王が1人、セラフォルー・レヴィアタンの妹なのである。思うけど、駒王も中々魔境だよな。
なお、生徒会役員は、チンピラ書記を含め、全員支取会長の眷属悪魔である。シトリーが昼を担当、グレモリーが夜を担当、ということらしいね。
「まあ、お嬢から説明はあったかもしれませんが、顔合わせということで自己紹介を。俺の名前は兵藤一誠です。こんなんでも、赤龍帝をやらせてもらってます。以後、お見知り置きを、シトリー様」
「リアス・グレモリー様の『兵士』、松田圭太です。よろしくお願いしますシトリー様」
「同じく『兵士』、元浜塔矢です。よろしくお願いします」
「こちらこそ、兵藤くん、松田くん、元浜くん。既に、サジ経由で知っているかもしれませんが、ソーナ・シトリーです。これからは違う形でお世話になることもありますが、よろしくお願いします」
違う形、というのも、これまで元ちゃん経由で生徒会の仕事の手伝いをしたことがあるので、実は全員面識ありで、形だけの顔合わせなのよなぁ。
「まあそんなわけだ。改めて、ソーナ・シトリー様の『兵士』の匙元士郎。圭太と塔矢、それに師匠。今後ともよろしくお願いするぜ」
「おう、こうやって今度はおおっぴらに鍛えられるから覚悟しとけよ馬鹿弟子」
「うへぇ……そりゃ勘弁っスよぉ師匠ー」
そこで疑問に思ったのか、お嬢とシトリー様。
「ねぇイッセー。確かにあなた達はセットで有名だけど、サジくんの師匠っていうのはどういうことなの?」
「眷属にした頃はそうでもなかったのですが、そこから急にあり得ない程の実力を付けたのはやはり…………?」
あー、うん。
「転生する前は、ちょっと稽古付ける程度だったんですけど、転生悪魔になった後、危険を減らす意味も込めて訓練をさせたんですよ。お嬢達にやったのと似たよーなことを」
「いやー、あの時は死ぬかと思いましたよ……まあお陰で禁手にも至れましたし、会長のお役に立てる程度の力は付けられたんでいいんですけどね」
そう元ちゃんが言うと、支取会長は苦笑いを浮かべ、お嬢は何かを察したのか、
「…………ソーナ。大丈夫、慣れたら案外平気よ」
「…………そうなのね。助言、感謝するわリアス」
凄い不本意なこと言われた。
解せぬ、非常に解せぬ。
◇◇◇
そんなわけでその日の放課後。会長の許可が出たので元ちゃんを借りることに。
「訓練は欠かさずやってたかーい?」
「師匠なら見りゃ分かんだろ…………やってましたよ、ちゃんと!」
オカルト研究部寮の地下にある訓練ルームにて、組手を行うために互いに神器を出していた。
「じゃあ、成果を見たいし…………3分間、好きなように攻めてこい」
「言ったな師匠!! 行くぜ、
元ちゃんの手の甲に付いていた、デフォルメされたトカゲの頭っぽい何かが霧散し…………手にオープンフィンガーグローブみたいな黒い手袋が装着された。
「『
そう言って元ちゃんは、その右手を突き出し…………ッッッ!!!?
悪寒がした為軍手で防ぐと、ガィィイインッ!! と、甲高い音が響きながら弾かれる。コレは…………?
「初見殺しを見抜くとか。まあそうでなくちゃ……なッ!!!」
今度は左手を突き出し……ぃぃいいいっ!!?
何かに巻きつかれた様に、俺は元ちゃんの方に引っ張られ…………
「切り刻まれろ」
右手を俺の方に向け、そして両腕を広げ…………ッ!!!
「斬ッ!!!」
「…………な、なんつーことを。元ちゃん、その技殺意に溢れ過ぎィ!!?」
見えない程細い龍脈で敵を切り刻もうぜってどういうこと!? 見えないから対処もし辛いし、オマケに本来の龍脈の機能も付いてんだとしたら…………おっそろしい!!?
「ハァ……素手で龍脈斬る師匠も大概だと思うけどな。まあコレはほんの挨拶。さあ、師匠も攻撃してきてくれ。コレの本領は、龍脈を飛ばせる領域内での戦闘支配によるカウンターだからよ」
ニヤリと笑う馬鹿弟子の成長振りに歓喜した俺が、『
え、中途半端?
本領を見せるのはまだ早いっすよー。