ハイスクールDevil×Dragon×Dhuman   作:4E/あかいひと

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感染力MAXの『Sウィルス』
効果は戦闘能力向上と人外化、さらに思考が少し荒っぽくなり、肉体言語を習得させられる。

そして今宵、新たな『Sウィルス』の被害者が…………


その6-会議×変装×洗脳

 

意外なことに…………と言ったら失礼なのだろうが、2人の悪魔としての契約に関する成績は良かった。てか、本人達もビックリしていた。

というのも、大体2人が呼ばれる相手というのが、戦闘に少なからず関わってるor興味がある人故に、とっても相性が良かったというのが大きい。俺も何人か紹介してもらったけど…………うん、俺の知り合いが多かった。因みに真っ当な人も1人だけいたのはいたけれど…………彼はもうダメだ、豪気玉を作れるようになってしまった時点で(まともな)人間を止めてしまった。まあ、闘気の纏い方教えたの俺なんだけどね。森本さん(男性・28歳)はいい人だったよ…………。

 

…………今思ったんだけど、俺の教えを幾らか受けたあいつらに適応できる奴が一杯いるこの町ってなんなんだろ…………あ、いや理由は分かった。多分俺のせいだ、自意識過剰かもしれないが、多分俺のせいだ。

 

まあそんなこんなで、2人は悪魔として順調なスタートを切ったのだった。親友として、これほど嬉しいことはない。

 

だが…………解決していないこともある。

 

「えー、これより第154回兵藤家家族会議を始める。本日の議題は『件の堕天使の炙り出し方』だ」

「「「おー!」」」

 

皆が晩御飯を食べ終えた後のダイニングでわ議長件進行役である父さんが、滲み出る殺気を隠そうともせずにそう言い放ち、それに呼応する形で俺たちは声を上げた。

 

「さて、例の鴉の潜伏先は見つかった。町外れの廃教会だ。だが、あの教会は紫藤さんところとの思い出の詰まった土地でもある。故にどうにかしてあそこから鴉を引き摺り墜とさなければならない。異論は?」

「ないわ」

「ないぜ」

「ない」

 

そう、あそこは何かと思い出があって迂闊に暴れることが躊躇われるのだ。多分イリナちゃんが帰ってきたらどうにかするんだろうし、それまではなるべく建物ぐらいは無事であるようにしておきたいところ。

 

「では、なんでもいい。とにかく案を出し合ってみよう。どんな些細なことでもいい」

「父」

「なんだい永那?」

「我、提案。鴉の願望、調査」

 

あー、成る程。つまりはこの勝手なことしちゃってる堕天使共が何をやろうとしているのかを知っておけば、やりやすいだろうってことか。

 

「兄、流石」

「伊達にお前の兄貴をやってねーよ、妹サマ」

 

ふむ、でもそういうことならば、

 

「俺が潜入でもするべきだろうなぁ」

「ふむ、確かにイッセーの前世のことを考えれば妥当な判断だが、」

「お母さん少し心配だわ…………ほら、あんなことがあったばかりだし」

 

むーん、そうだよなぁ。心配されても仕方ないか。

 

「父、母。心配無用」

 

と、思っていたら思わぬところから救いの手が差し伸べられた。

 

「兄、開眼。故に、最強」

 

その言葉に、父さん母さん…………そして俺も言葉を失う。が、その後に思いっきり口の端を釣り上げる。

 

「フッ…………可愛い妹に言われたとあっちゃあ、お兄ちゃんとしては頑張らないわけにはいかんなぁ?」

「そうだな、俺たちの息子がたかが中級クラスの堕天使に遅れをとるなんてありえないな」

「もちろん永那が言ったように、油断してなければだけれどね? まあ、今のイッセーなら大丈夫かしら」

 

方針は、固まった。

 

「ではイッセー、重要な役回りを与えることになるが、大丈夫か?」

「おう! コレでもグラール1の傭兵だった男だ、この位わけねぇぜ!」

 

それに、サビ落としとして中々な依頼(ミッション)だろうしな。

 

ということで、隙を見て俺はあの廃教会に忍び込むことになったとさ。

 

 

◇◇◇

 

 

変装も、立派な傭兵のスキルである。っても、こちらの世界での傭兵とあっちの世界での傭兵とでは、少し意味合いが変わってくる。

金を貰って戦いに赴く、と言う点は変わらない。が、グラールの傭兵はそれだけではやっていけなかった。あらゆる方面での適性が必要だったのだ。基本として、それなりの戦闘能力があること、ある程度知識が深いこと、戦闘以外の専門があること、基本的なツアーガイドができること…………上げていけばキリがない。

ん? ツアーガイドができる必要性? そりゃ、要人警護もやってたからさ。その間、警護対象がストレスを感じないように辺りの説明をしたり小ネタを挟んだりっていう技能は中々バカにできない。プライドを落とすことなく媚びを売ると、フリーかそうでないかは問わず、また新たな仕事を呼び寄せるのだ。そうした積み重ねが、安定した収入につながる。ぶっちゃけ、資源枯渇に喘いでいたあのご時世、1番安定した職業は(凄腕の、とは前置きとして付くが)傭兵だった気がする。

 

まあそれはともかく。一応俺は戦闘以外にも専門と呼べる技能を持っていた。俺の師匠が俺に叩き込んだのは、なにも馬鹿正直なガチンコバトルだけではなく、スパイ、破壊工作などの特殊作戦を遂行するのに必要なスキルもだったのだ。おそらく師匠はそのまま俺を同盟軍の特殊部隊の何処かに配属させるつもりだったんだろうが…………その前に姿を消したからな。皮肉なことに、師匠から教わった技能を駆使して。再会したときの師匠は、それはもう阿修羅の如くお怒りでしたよ。…………まあ、それとは別に俺の無事を安堵していたけれど。

 

…………話が逸れ過ぎた。まあんなわけで、俺は潜入工作もお手の物というわけで。クロちゃんから、武装はぐれ神父を連れて行っているという情報を仕入れているため、化ける対象もはっきりした。流石に堕天使に化けるというのは無茶があるため、助かった。

はぐれ神父共だから、おそらく大丈夫だとは思うが、イリナちゃんからそういう神父さんのお仕事の内容とかは聞いてるから問題ナッシング。

 

「と言うわけでていっ!」

「ゴハッ!?」

 

外出していたらしいはぐれ神父の1人を捕まえて、締め上げて、情報搾り取って、服を剥ぎ、ちょっといたずらして亀甲縛りにして公園の男子トイレの前に放置した。あそこはハッテン場として有名とかなんとか聞いたことがあるから、新たな扉を開かせるには丁度いいだろう。

 

そんなわけで入手した神父服と、はぐれ神父の顔を模した特殊メイクを施して、いざ行かん廃協会!

 

 

◇◇◇

 

 

…………やべーわこいつらまじきけんじんぶつだわー。あくまぶっころとかじひはないとかやべーわー。

まあ血に飢えている感じの演技は得意だから、バレることはないけどね。

 

そんなこんなで周りに合わせながら情報収集に徹すること4時間。

 

「(…………神器持ち(ホルダー)から神器を抜き取る…………かぁ)」

『(神器研究に関しては3大勢力内では随一だろうからな。それぐらいのことも、できてしまえるのだろう)』

「(でもちょっと待て。俺が一番最初にお前に教えられたぞ、『神器を抜き取られた人間は死ぬ』ってよ)」

『(その通りだ…………全く、度し難い。略奪については否定はしないが、些かやり過ぎだ)』

 

こいつぁ無視できる案件じゃあねぇな…………ッ!?

 

「(…………殺気? 勘付かれた?)」

『(ふむ…………そうそうバレるような変装ではないと思うが)』

 

だとすれば…………いや、出所は分かるけど。

 

「(ここは誘うのが手かな? 奴さん、俺と同じ匂いがする)」

『(そうする方が良かろう。うまく行けば此方に引き入れる(感染させる)こともできるだろう)』

「(あーはーん!? テメーまるで俺が病原菌を振りまいてるみたいじゃねーか!!)」

『(胸に手を当ててよく考えてみろ)』

 

えっと…………ドライグ、先輩方、父さん母さん、イリナちゃん、圭太に塔矢、クロちゃんに元ちゃん、あと駒王町のお友達……………………。

 

「(ごめんなさい相棒。手遅れになる菌でもばら撒いてるみたいです。あと、永那は除外ね)」

『(ま、そこまで害は…………リアス・グレモリーの胃以外にはないだろうから問題ないから安心しろ。そして永那を除外できると思ってるのか。しっかり貴様の影響を受けているだろうに)』

『(兄の戦い方、参考になる)』

 

いやだから妹サマ!!? 貴女は俺の思考をリアルタイムで監視してるの!!?

 

『(次こそ、悪い虫…………否、悪い鴉を消す為)』

「(…………永那、それは俺の獲物。いくらお兄ちゃんでもそれは譲れないなぁ?)」

『(分かった。でも、鴉は殺す。異論は認めない)』

「(りょーかい。生殺しにさせるつもりはないよう)」

 

全く、うちの妹は困ったちゃんだなぁ! あっはっは! …………笑えねぇ。

 

と、とにかく、教会の外に出よう! 少し不自然さを醸し出しながらね!

 

 

◇◇◇

 

 

「いーつまで歩いてるつもりなんスかー?」

「そうやってアンタが声をかけて来るまで〜」

 

あと、あの教会から離れて戦っても問題なさ気なところまでっていうのも付け加えよう。

 

「えっと、参考までに聞きたいんだけど…………何時から気がついてたの? 変装には割と自信あったんだけど」

「そりゃー、あのしみったれた寝ぐらに、おまえさんみたいな愉快な輩はいなかったからでごぜーますですよ?」

 

…………え、うそん? そんなに分かりやすかったのん?

 

「いやー、あいつらつまらん連中なワケっすわ。ウチの上司にヘーコラしてて、反骨精神っつーモンがありゃしねー。その点あんたってば、所々エグい殺気放ってやんの。思わず笑っちまったZE!」

「え、君も同じ穴の狢じゃ…………」

「愉しけりゃ、どーでもいいでござんすよ」

「あ、そう…………」

 

分かった、こいつのこと分かった。

こいつ人殺しの目ェしてる。多分悪魔祓いしてる内に快感覚え始めて、悪魔と関わる人間も殺し回ってるよーな危険人物って感じだ、分からんけど。

とは言えぶっちゃけ、人殺し云々に関しては人のこた言えない。俺だって暗殺任務は熟してきたしな、前世で。快楽殺人はしてないけど。

でも、野放しにすると、ちーとばかし面倒だ。この手のやつは連続殺人大好きだから。

 

「えっと、じゃあ戦りますか」

「え、や、そのつもりだったんスけど、エラい好戦的ッスね旦那」

「ふふふ…………だってねぇ?」

 

ベリベリと特殊メイクを引きちぎり、一瞬でお着替えし、口の端をコレでもかと釣り上げて笑う。

 

「やー、なんてーの? キミ、なんか強そーだし? 楽しめそーだし? 鍛えたら面白そうだし? その上でまた戦うのも一興だし?」

「やべぇ!? 俺ちゃんが言うのもなんだけど、コイツ狂ってやがる!?」

 

ええー? ひでー言われようっすなぁ?

ちょっとばかし斬ることが大好きな戦闘狂のデューマンですよー。

 

「じゃ、3本勝負の1本目ェェェエエエエエッッッ!!!!」

「え、ちょ、ま、ギャァァァアアアアアッッッ!!!?」

 

 

〜しばらくお待ちください〜

 

 

「よし決めた! お前俺の弟子になれ!」

「け、決定事項ッスか…………ガフッ…………」

「ああん? 不服そうだな。よし、なら悪魔殺しよりも愉しいことを教えてやる!」

「(ガバッ)地獄の果てまで着いて行くッス兄貴ィ!!」

 

そんなこんなで、俺は新たな味方(パイプ)を手に入れたのでした。

ふっ…………チョロいぜ。

 




そしてフリードは硝煙帝王(ガンメタルエンペラー)の道を行く…………

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