ハイスクールDevil×Dragon×Dhuman 作:4E/あかいひと
「もしもしクロちゃん? ちょーおひさー」
『あ、イッセー。久しぶりだにゃん!』
「声の感じだと元気そうだね。うんうん元気なことはいいことだ!」
『…………で、何かあったのかにゃん?』
「おま、俺が電話したらなんかあるって勘繰るなよ。そんなこと10回中6回しかなかっただろう?」
『声の調子から大体想像できるにゃん。さあ、キリキリ話すにゃん』
「親友が堕天使に殺された→なんとか悪魔に転生→でも家族がブチ切れ。特に妹」
『無理にゃん。というか何処の鴉があの2人を(プツン』
………………………………。
「もしもしイリナちゃん?」
『あ、イッセー君! どうしたの? 悪魔に絡まれた様な声出して』
「あ、あはは…………実は親友が堕天使に殺されて家族が怒っちゃって。なんとか息は吹き返したんだけどねぇ」
『………………………………』
「あ、あの、イリナさん?」
『…………ちょーっとだけ待ってくれるイッセー君。大丈夫、少しお掃除してくるだけだから(プツン』
………………………………。
「もしもし元ちゃん。お仕事中ごめんねー」
『おう、師匠。なに、アンタからの連絡なら余程のことがない限り無視はしないさ。それで、何があったんだ?』
「圭太と塔矢が堕天使に殺された。とりあえず、リアス・グレモリー先輩が転生させてくれたお陰でどうにか生き返ったけど…………で、そのせいでウチの家族が全員キレた」
『…………ほー、そうか』
「あ、あれ? 元ちゃん大丈夫?」
『大丈夫、大丈夫さ師匠。ちーっとばかし黒い羽毛で羽布団が作りたくなっただけだ。きっと寝心地は良いと思うz(プツン』
………………………………。
「どうして俺の周囲はここまで喧嘩っ早いんだ…………!!!」
『類は友を呼ぶという諺を知ってるか、相棒?』
「遠回しに俺のことを喧嘩っ早いと仰ってるのですねこの野郎!!!」
絶望したよコンチクショウッ!! 家族を止める方法聞こうとしただけでこのザマだよ!!
てかヤバくない!? このまま行ったらあの堕天使達どころか『堕天使』という存在が死滅するかもしれないよ!!? なにせウチの妹が殺る気になってるもん!!
「というか、堕天使関係のパイプがないのがキツい…………流石の俺でも死滅さすのはどうかと思うし…………」
『無い物ねだりしても仕方なかろう。腹を括って説得にあたろう。なに、俺も手伝ってやる』
「…………お前って、本当いいドラゴンだな。最高だぜ相棒」
『ハッ! 何を今更』
と、腹を括り始めたその時、スマホがピリリと鳴る。
《クロちゃん》
…………ええい、ままよ!!
「も、もしゅもしゅクロちゃん!!?」
『噛みすぎにゃん。えっと、イッセーの住んでる駒王町で、あの2人は殺されたのかにゃん?』
「お、おおお、おう」
『にゃるほど。確か、中級堕天使の誰かが部下を何人か引っ張ってそっちの方に勝手に行ったような記憶があるにゃん』
「…………え? クロちゃんなんでそんなこと知ってんの?」
『今の職場が『神の子を見張る者』なんだにゃん。別に中枢に関わってるわけじゃないけど、ある程度のことはわかるにゃん』
「お、おおっ!!」
『とりあえず、組織として行動してるわけじゃないから、遠慮無くぶっ殺しても構わないと思うにゃん』
「クロちゃんサイコー!! アンタまじ女神だよっ!!」
『猫魈で悪魔な私に神って言葉は似合わないにゃん。とにかく、兵藤家なら『神の子を見張る者』を潰しかねないし、白音への仕送りができなくなるのは勘弁だから、コレを抑える材料にするにゃん。…………あと、ちゃんと潰しておきなさい』
「おう、もちろんだ。ありがとよ、クロちゃん」
通話を切り、溢れそうになる嬉し涙を押さえた。
「堕天使関係のパイプもできたよ…………情けは人の為ならずって本当だね…………!!」
『黒歌に関してはいろんな意味で人の為にはなってないな』
まあ、俺も人外に片脚突っ込んでるからね。
とりあえず、家族にはクロちゃんが妹に仕送りできなくなるから堕天使狩りは止めようという旨と、件の堕天使共は殺しても問題ないけど、確実に殺れるように準備をしてからにしようという話をすることで一旦の沈静化は図れました。
でも俺は見てないよ。
オトンが持ってたマジモンの金剛杵とか、オカンが持ってた世界樹の枝で作ったらしい杖とか、エーナが持ってた
◇◇◇
「…………ということがあって死にそうだった」
そして生きてるって素晴らしいと思いながらの登校。圭太も塔矢も顔を青ざめさせながら俺の話を聞いていた。
「うーん、こりゃ今日にでも挨拶に向かった方が良さげだな」
「元士郎の方にも落ち着くように言い含めておく必要がありそうだ」
まあそうなるわな。いくら動くのが天使、堕天使、悪魔に関係のないウチの家族でも、発端が悪魔だとなったら一気に人外大戦争開始である。この場合殺された時が人間だったことは関係ないし。
「それにしても、朝日が身体にキツいぜ…………」
「悪魔になったデメリットの一つとして聞かされてはいたが。…………本当に慣れるのか?」
うーん、力と寿命の代償はデカいってことなんだろう。
「それも含めてウチの母さんに相談するのがいいかもね。ぶっちゃけ、できることを数えるよりもできないことを数えた方が早い人だから」
「…………悪魔な俺が言うのもアレだが、本当にお前の家族は人の括りに入るのか? 無論、永那ちゃんは除くが」
「うーん、分かんね。多分人間離れって方向で人道を踏破してるような気がする」
なにやら不良坊主や聖天大聖殿と飲み仲間らしいウチの親父殿は、あの2名に色々と仕込まれているせいでヤバいことになっている。いずれ神にでもなるつもりなんだろうか…………。1番ウチの家族で(人間の中で)人間離れしているナンバーワンは伊達じゃない。
そしてウチのお袋殿は最近家庭菜園に凝っている。…………っても育ててるのはお野菜のような可愛らしいものではなく、世界樹だの仙桃だの、常軌を逸したモンばかり。…………たまに出るんだよ、食卓に仙桃のコンポートが。不完全だから別に不老不死になったり仙人になったりはしないけど、気の操作は確実に上達したね。完成したらどうなるんだろう…………。
そして安定のエーナ。グレートレッドをぶっ倒して次元の狭間で静寂を手にするより、家族と一緒に過ごしたくなった龍神様は、休日色々と各地を飛び回って使えそうなものを回収してくるようになった。その使えそうなものの中にグレートレッドの爪が含まれていたことに吃驚だ。あれ、お前って確かあのドラゴンを倒せなかったからめぼしい人材を探してたんじゃなかったっけ?
『家族愛、偉大』
あ、テレパシーまで使っての返答ありがとうございます。つか俺の思考は筒抜けなのねそうなのね。あと予想以上に人間らしい返答にお兄ちゃん驚いた。もしそんなんでグレートレッドを倒せるのなら愛の力が偉大ってのも頷けるね!
「…………やっぱウチの家族は人外魔境だ。こんなこと言うとお嬢に失礼だけど、多分お嬢達相手なら片手間に消し飛ばせると思われ」
「永那ちゃん居る時点で既にアウト」
「現状、世界最強ってことだろう? そうならばそうなってもおかしくない」
『ウチの妹は世界最強の龍神サマ!』
なんだろう、これでラノベが1本書ける気がした。
「書くのはやってやれんこともねーぞ?」
「挿絵は任せろ」
「あるぇ!? 2人とも結構乗り気!?」
そんでもってかなりのクオリティになるであろうことは容易に想像できるから怖い。
「…………じゃあ、元ちゃんは漫画担当?」
「で、イッセーがアニメ担当な」
「1番労力いるよねそのポジ!?」
「何をバカなことを言っている。勿論俺たちも手伝うに決まってるだろう?」
「いやいや、そもそも個人でアニメを作ろうって発想がおかしいって!」
…………いや、できるっちゃあできるけど。
「ま、取らぬ狸の皮算用をしても虚しいだけだ。まずは俺たちで『このラ○ベが凄い!』で掲載されるレベルの作品を作り上げなければ」
「よっしゃ、やる気出てきた!!」
「あ、あはは…………程々にね?」
この時、誰が想像できただろうか。
バカな学生の与太話であった『ウチの妹は世界最強の龍神サマ!』。
まさか、マジで一躍人気ラノベとして一世を風靡することになろうとは…………。
誰か『ウチの妹は世界最強の龍神サマ!』を書いてくれませんかねぇ…………いや、冗談ですけど。
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