ということでお楽しみください!
十六夜&玉藻前ペアは、レクスと対峙していた。十六夜は完全に戦闘モードに入っていた。
「おい玉藻前!お前もさっさと準備しやがれ!」
「分かっている!少しだけ待ってくれ!」
「三十秒だ。それ以上はもたねえからな!」
「承知した!」
そう言い残し、レクスに突進する十六夜。レクスは笑みを浮かべて降り積もった雪を舞い上げて、舞上げた雪で矢を作り出して放つ。
「これが避けられるかな?」
それは全て十六夜に向かって飛ぶ。十六夜はとっさに横にかわすが、矢は十六夜を追尾する。
「おいおい……これじゃあ、避けられーーーー!」
十六夜はそう言いかけてハッとして何かに気づく。
「ヤハハ、いいこと思いついた」
悪戯な笑みを浮かべてそう言う十六夜。そんな十六夜を訝しみながらも矢を放ち続けるレクス。
「どうしたの?もう諦めた?まあべつにいいけ「いや」ん?」
「残念だが、その逆だ!」
十六夜が正面から迫ってきた矢に対して横によけると、弾丸のようにレクスに迫る赤い影があった。矢は全て撃ち落とされていて、その影はすぐさまレクスの懐までたどり着く。
「なっ!?」
「ふっ!!」
「がぁ!?」
一瞬のうちに、レクスが吹き飛ばされる。そのレクスの腹部には五本の切られたような傷があった。
「待たせたな十六夜」
そこには瞳を真紅に染め、赤い気を纏った玉藻前だった。レクスの傷は、長く伸びた玉藻前の爪から繰り出された斬撃によるものだろう。
「ベストタイミングだ。それじゃあ、ヤツが伸びてる間にさっさと終わらせるぞ」
「承知したぞ」
十六夜は地面を蹴り、倒れているレクスに接近する。玉藻前はタイミングを計っているのか、その場を動いていない。
「こ、こんなことで僕が「まだまだいくぜ!」ぐあ!」
レクスは起き上がろうとした時に十六夜に空中に打ち上げられる。それを狙っていたのか、玉藻前は地面を蹴ってレクスに迫る。
「く、くそッ!」
レクスは、そうはさせまいと雪を巻き上げて己の身を隠すが、玉藻前はそれを切り裂いて払う。
「このような小賢しい真似で私を止められると思うなよ、ガキ風情が!」
「や、やめっーー!」
「はぁ!!」
玉藻前は、容赦なくレクスの体を切り裂いていく。
「十六夜、貴様が決めろ!」
「ハッ、了解したぜ」
そう言って玉藻前は、レクスの腹部にはかかと落としをする。するとレクスの体は地面を目掛けて落ちる。
着地点の側に十六夜は移動して、拳を構えて力を貯める。
「さて、終わりといこうぜおチビさんよ!」
レクスの体が地面に着く寸前に、十六夜は貯めた力を全てレクスに叩き込む。
「しゃらくせぇ!!」
ドゴォという鈍い音が鳴り響き、吹き飛ぶレクス。向かいにある建物にぶつかったと思うと、その建物はガラガラと音を立てて崩れ始める。
「ヤハハ!大勝利だ」
「やり過ぎだ馬鹿者。建造物を壊してどうする」
「まあ、これは白夜叉にでも任せるとして」
「……………反対はしない」
「後の主催者側の人間探しに行くとするか」
「それもそうだな」
一人目の主催者側の人間は、十六夜&玉藻前ペアの
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一方、真尋&楓ペアはアガテと対峙していた。
「いくよ坊や!」
アガテに寄り添っていた黒い蛇が素早く真尋に迫る。
「やぁ!」
真尋は迫る蛇を剣で斬り裂く。蛇は斬り裂かれた瞬間に霧散する。
「ほぉ、やるねぇ。だけど、この数ならどうだい!」
アガテの周りに無数の黒い蛇が現れる。ウネウネ動いて気持ち悪い。楓の笑顔は、なぜか全く変わっていないように見えるが。
「黄咲さん、蛇苦手なら目を瞑っててもいいよ」
「大丈夫だよ〜」
「本当に?」
「本当に大丈夫だよ〜」
「……ならいいけど」
「お喋りする暇があるのかい!」
黒い蛇は一気に真尋へと突撃する。真尋は剣を構える。その時だった。
バサッと何かに何かがぶつかる音がした。その方向を見ると呆然しているアガテがいた。その顔には雪が当たっている。
そしてその原因は言わずともわかる。真尋は剣を構えているため無理である。なら犯人は、
「当たった〜」
そう、楓だった。その足元には数十個の雪玉があった。
「えっと………黄咲さん………」
「こうやってお姉ちゃんと遊んでたんだ〜」
「い、いや、今戦闘中………」
その時、真尋は尋常じゃない殺気を背後に感じた。恐る恐る後ろを振り返ると、額に青筋を浮かべているアガテがいた。その背後には阿修羅が見える。
「あんた達、なめるのもいい加減にしてもらおうかしら?」
「くっ……なんて覇気だ……。勝てる気が……しなくもない!」
ないんかい!!
「もういい。蛇達、殺して「うわぁぁ!!退いて!!」へ?がふぅ!?」
アガテが命令しようとした時、何かがアガテに激突した。その衝撃でアガテは顔面から地面に飛び込む。そしてアガテに当たったのは、玲華だった。
「あれ?お姉ちゃんだ〜」
「あ、楓。こんなところにいたんだ。って今はそんなところじゃ」
「み〜つ〜け〜た〜ぞ〜」
怒気のこもった声を放ったのは、頭の上の耳を逆立たせていた千斗だった。
「げっ!」
「テメェ、よくも逃げ回ってくれたなぁ!!」
「痛い痛い!!」
玲華にヘッドロックをする千斗。この事態に真尋は置いてけぼりである。
「もう……なんでもいいや……」
ついに考えることを放棄した真尋。そして、先ほどまで倒れていたアガテも置いてけぼりだったのだが、ワナワナ震えて立ち上がる。
「くそっ、ここまでコケにしてくれるとは、いい度胸じゃない!ぶち殺して差し上げ「えい〜」ヘブッ!」
怒りに満ちた顔で言おうとした途端、また楓が雪玉をアガテの顔面にぶつける。
「お姉ちゃんもやろうよ〜」
「あ、うん。いい、けど………うー、頭がー………」
「お前のせいだろがよ」
「千斗、協力して」
「お?何だ?」
「黄咲さん達があいつに雪玉ぶつけている間にあいつを葬りsゲフンゲフン倒すよ」
「今葬り去るって言おうとしたよな?」
「してない」
「まあいいか。とりあえず、準備すっか!」
アガテを倒すために構える二人。真尋の持つ剣は光を放ち、千斗の目の前には魔法陣が現れる。
「えいっ、おりゃっ!」
「それ〜」
「ちょ、痛!やめ、痛い!巫山戯るn痛っ!!」
玲華と楓は楽しそうにアガテに雪玉を当てている。
「今だ!」
「了解!」
刹那、剣に宿る光が満ち溢れ、魔法陣は弾け飛ぶ。
「"
「"
同時に現在出せる最高の力で技を放つ。それは、玲華達の的になっていたアガテに直撃する。
「なっ!?ちょ、まギャアアアアアアアアアア!!!」
聖なる光と全てを喰らう牙によって葬り去られる。
こうして二人目の主催者側の人間は、遊んでいた玲華と楓、そして本気で殺しにかかった真尋と千斗によって葬り去られた。
☆★☆★☆★☆
その頃、詩音&吹雪ペアはアッシュと対峙していた。
「もう君達を生きては帰さない。殺し尽くしてやる!!」
黒い風はなおも強くなり続ける。詩音は警戒しつつ弓を構える。それにもかかわらず、吹雪は平気な顔をして佇んでいる。
「ふ、吹雪?どうしてそんなに落ち着いてるの?」
「だって、あいつ雑魚だろ?」
「言ってくれるじゃないか。言っておくが、君達には制限があるんだよ?」
「それでは問題です。これはなんでしょうか」
そう言って吹雪が取り出したのは、雪でできた丸い何かだった。
「は?ただの雪玉じゃないのか?」
「残念、不正解。正解はー、これでしたっと!」
吹雪はそれを上空に投げ捨てる。そして次の瞬間、とてつもない爆音が響く。詩音とアッシュはそれをぽかんと口を開けて見ていた。
「実は俺が雪で作った手榴弾なんだよ。他にも、剣や槍なんかもある」
「ちょ、ちょっと待て!ギフトは3回まで使用可能になってたはずだ!なのにどうして!」
「いや、書いてたろ。一連の動作は一回とみなすって」
その言葉を聞いて青ざめるアッシュ。つまり、吹雪は『雪から何かを作る』というのを一連の動作と言いたいのだ。
「あ、ちなみにギフトカードの中にそれぞれ数百個あるから」
その瞬間、戦況が逆転した。
☆★☆★☆★☆
「おらおら!どんどんいくぞ!」
「うわあああああああぁぁぁぁぁ!!」
「………もう戦いじゃないよねこれ」
戦況が逆転してからというもの、吹雪が手榴弾やら剣やらを投擲して、時々詩音が弓を放つことによって一方的な試合となっていた。
「よし、そろそろいいか」
「うん?どしたの?」
「ちょっと協力してくれ」
「何?」
「あいつを消し去る!」
詩音は言葉も出ない。その姿を見て吹雪はもう一度言う。
「あいつを消し去る!」
「いや、聞こえてないわけじゃないから」
「というかまあ、弓矢で攻撃してくれるだけでいい。あとは俺がやる」
「それならいいよ。任せといて!」
詩音は吹雪の前に躍り出て、矢を数本、慣れた手つきで同時に放つ。
「こ、このぐらい………!」
「まだまだいくよ!」
「く、くそぉ!!」
アッシュはなす術もなく逃げ回る。詩音は、逃げた方向がわかるように狙い撃っている。
「はぁ!!」
詩音はなお打ち続ける。その時、後ろから吹雪が声を上げる。
「もういいぞ。そこを退いてくれ!」
「うん、分かった!」
詩音が横に避けて吹雪を見ると、吹雪は氷でできた槍を持っていた。
「さあ、終わりだぜスマッシュ!」
「だから僕はアッシュだ!こんなところでやられてたまるか!!」
黒い風が吹雪を襲おうとする。だが、
「"
その黒い風は、詩音が放った言葉と鳴り響いた鈴の音によって遮られる。
「ナイスだ詩音!いくぞ、"
吹雪は槍をアッシュに向けて投擲する。それは一直線にアッシュの元に向かい、突き刺さる。
「グギ………!?」
槍はアッシュの五臓六腑を貫く。
「弾け飛べ!」
そして槍は、吹雪が拳を握ると同時に弾け飛んだ。それに巻き込まれるかのようにアッシュの体も弾け飛ぶ。血が地面にある雪に飛び散る。はたから見れば、グロテスクなことこの上ない。
そしてアッシュが死んだと確認した瞬間、詩音たちの目の前に"契約書類"が出現する。
『ゲームクリア
クリアおめでとうございます。これにて異常気象と気温低下を終了します。
それでは、次のゲームの参加をお待ちしております』
そう記されていた。これにて、ゲームは"ノーネーム"のメンバーの圧勝で終わりを迎えた。
……うん、どれもこれも一方的だなぁ。
詩音「まあ仕方ないんじゃない?」
……ですね。
それでは、次回もお楽しみに!
次回予告
ギフトゲームの翌日。千斗がある提案をする。
それは、別分岐の同士と手合わせをしようとのことだった。
blizさんコラボ最終回!
「癒術師と冬の体現者、激突そして別れの時」