今回はblizさんの『問題児たちが異世界から来るそうですよ?~箱庭に訪れる冬~』とのコラボです!
吹雪君たちがうまくかけてるか心配です、物凄く。キャラ崩壊してないといいな〜……。
それでは本編をお楽しみください!
癒術師、冬の体現者と邂逅す
現在の季節はおそらく初夏あたりだろう。普通なら太陽が顔を出し、木々を照らしていただろう。
「なのにどうしてこうなった?」
詩音は本拠の居間でつぶやく。現在、箱庭の天気は雪である。そう、初夏に雪なのだ。
「異常気象にもほどがあるでしょ。うぅ、寒っ!」
「今暖房をつけたのですよ。それにしても珍しいですね。こんなに降るとは」
「何かあったのかしら?」
飛鳥が首を傾げながらそういう。こんな異常気象は今までなかったのだ。そう疑うのも無理はない。
「………何か原因があると言われても動く気にはなれないなぁ」
徐々に暖かくなってきた部屋のソファーで毛布にくるまってそういう詩音。一歩間違えればニートである。
「お前はニートか」
「なら千斗が調べてきてよ。この異常気象の原因」
「嫌だ。なんでこんなに寒いのに行かなきゃならんのだ。お前が行けよ」
「嫌だね。私寒いの苦手だもん」
「あ?」
「は?」
「はいそこ睨み合うのやめなよ。でもこれはどうにかしないと」
「Yes。放っておくと何か良からぬことが起きるかもしれませんし」
「といっても誰が行く?」
「それなんですよねぇ。うーん………ここは公平にじゃんけんでいきましょう。それでは」
『じゃーんけーん』
「チョキ」←千斗
「チョキ」←真尋
「チョキ」←十六夜
「チョキ」←黒ウサギ
「チョキ」←飛鳥
「チョキ」←耀
「チョキ」←レティシア
「チョキ」←玉藻前
「パー」←詩音
その結果に項垂れる詩音。さっきまで詩音と睨み合っていた千斗は大笑いである。
「ギャハハハハハハ!!ざまあねえな!!」
「五月蝿い!なんで私が〜………」
「………詩音、上着とマフラーなら貸してあげるから」
「一緒には行ってくれないんだ!!」
『だって面倒だし』
「あーもう分かったよ!行ってくるよ!」
詩音はヤケクソ気味に言って防寒着を着込み外へと出た。
☆★☆★☆★☆
「うぅー寒いぃ………」
詩音は雪の降る中、世界の果てへと向かって歩いていた。なぜ世界の果てかというと、
「なんとなく行ってるけど……まあいいか」
行き当たりばったりだった。そして世界の果て近くの森の中へと入る。木々には雪が積もっており、しんしんと雪が降っている。この景色を一言で言うなら綺麗で幻想的だと言えよう。
「風情はあるのに寒いのが否めないんだよね……」
腕をさすりながら歩く詩音。するとすぐそばの茂みでガサッと音がした。
「………?」
そちらを向くといたのは白い毛の狼だった。千斗の狼の姿の時のように毛は触ればフサフサなのは見てわかる。
「なんでここに狼?」
まじまじと見ているとその狼は詩音をじっと見る。そして小首を傾げる。
「………?」
詩音もそれにつられて首をかしげる。狼は首を元に戻して一拍おき、
「………!!」
「何でぇ!?」
狼は詩音に襲いかかる。詩音はかろうじて避けて逃げる。
「どうして追いかけてくるの!?」
何故か始まる逃走劇に悲鳴じみた声を出す詩音。だが、その時だった。
「おい待てコラ」
どこからか男の声が響く。その声に反応したのか、狼は走る足を止める。
「いや、あたりを調べて来いと言ったが人を襲えとは一言も言ってないぞ。まあいいや。とりあえずお疲れさん」
すると狼は一瞬にして消え去った。声がする方向を向くとそこには、銀髪で白のパーカーを着た少年が立っていた。その後ろには水色の髪の少女と緑色の髪の少女がいた。
「吹雪〜この寒さと雪、どうにかしなさいよ」
「俺にどうしろってんだよ……。つーか俺関係ねえよこれ」
「お姉ちゃん、八つ当たりは良くないよ〜?」
「分かってるわよ。てか、あの子に謝罪しなくていいの?あんたの作った模造品がやったことなんだし」
「模造品って言うな。ありゃどっからどう見ても狼だ」
「作り物だけどね〜」
突然現れた三人は詩音のことには目もくれず話している。そして、詩音はというと、
「はぁ……いい天気だなぁ……」
面倒なことになると思って現実逃避をしていた。ちなみにいい天気ではない。まず太陽なんて見えてすらいない。全くデタラメ天然娘には困ったものである。
「誰が天然だ誰が」
デタラメは否定しないのね……。まあそれは置いておいて、銀髪の少年は詩音に向き直り話しかけてくる。
「さっきはすまなかったな。うちの「模造品の」狼が襲ってって誰だ模造品って言ったやつ!!」
銀髪の少年が叫ぶと水色の髪の少女はわざとらしく口笛を吹き始める。
「おいテメェかロリ玲華」
「誰がロリよ!この鈍感吹雪!」
「あ"?」
「は?」
いつの間にか詩音から目を離して冷戦(睨み合い)を始める二人。呆然とそれを見る詩音に緑色の髪の少女が横にくる。
「ごめんなさいですぅ、こんなことになってしまって〜」
「いえいえ、お気になさらず。というか貴方達は?」
「私は黄咲楓と言いますぅ。そしてそこで睨み合っているのが白銀吹雪と私のお姉ちゃんの黄咲玲華ですぅ」
「ふ、ふーん、そうなんだ……」
独特的な喋り方をする緑色の髪の少女元い楓に戸惑う詩音。
「それでここはどこなの〜?いきなり飛ばされたんだけど〜」
「うん?ここは世界の果てだよ。箱庭の」
「箱庭だったんだ〜。朝起きた時と天気が全く違ってたから驚いたよ〜」
「コラ楓!あんた何あたし達無視してそのこと話してるの!このアホ吹雪に何か言ってやりなさい!」
「誰がアホだと!?味覚子供のお前に言われたくないね!」
「何ですって!?」
ヒートアップする口喧嘩。そろそろまずいかな〜と思っていると突然後ろから声がした。
「詩音、一体どこまで行っているの」
「あ、タマモ。どしたの?」
「どしたの?じゃないわよ。いつまでたっても帰ってこないから探してたんじゃない。そしたら叫ぶ声が聞こえて来てみればこういうことだし。どういうこと?」
「私にも分かんない」
状況を知り得る人が全くいない。カオス極まれりとはこのような状況を言うのだろう。
「お姉ちゃん、そろそろやめなよ〜」
「嫌よ。このアホ吹雪に今日という今日こそ「お菓子あげるから」早く頂戴!」
喧嘩腰から一転、楓に速攻でお菓子をねだる玲華。えぇ……という顔をする詩音と玉藻前。
「んで、お前ら誰だ?見たことない顔だけど」
今更!?と心の中でツッコむ詩音。だが平常を装いその問いに答える。
「私は水無月詩音。んで、この子は私のペットのタマモ」
「ペットではない。隷属しているだけだ。それにタマモでもない。玉藻前だ」
「えぇ……」
「残念そうにするな」
「じゃあお前らの所属コミュニティは?」
「"ノーネーム"だよ」
「同じく」
「ふむ………」
所属コミュニティを聞くと顎に手を当て何かを考える吹雪。そして詩音達を見据えて言った。
「どうやら俺たち、別次元から来たらしい」
「「は?」」
(吹雪説明中…)
「ということは何らかの原因で吹雪君達のいる世界とは別の私達のいる別次元の世界に飛ばされたってこと?」
「うんまあそうだが。水無月、吹雪君ってのはやめてくれ。呼び捨てでいい」
「なら私も水無月はやめて。名前で呼び捨てでいい」
「OK分かった」
「って話逸らしてるけど詩音、貴女全然わかってないでしょ?」
玉藻前にそう言われるとそーっと視線をそらす詩音。それを見て肩を落とす玉藻前。
「まあ詩音が分かっていなくても私が分かっているからいいだろう。して、君達はどこか行くあてがあるの?」
「元の次元に変えれば「帰り方は?」ぐっ…………」
「詩音、本拠にこの子たち連れて帰るよ。行くあてなさそうだし」
「あ、うん」
とりあえず別次元から来た来訪者を連れて帰ることになった。
☆★☆★☆★☆
「それで、これはどういうことかな?」
「見ればわかるでしょ。拾ってきたの」
「この異常気象の原因探りに行って人拾ってきたっておかしくないかな!?何か言うことは!?」
「ただいま〜!」
「そうじゃなくて………!!」
本拠に帰ると同時に真尋が突っかかってきたがさすが天然少女詩音。いとも容易く真尋を沈める。
「お〜お帰りってどうしたんだそいつら?」
「別次元から来たらしいからここに泊めてくれない?」
「最初からそれを言ってよ!」
「えー……」
「流石に怒るよ………?」
「にしても唐突だな。黒ウサギ、構わないのか?」
千斗はソファーにもたれ掛かり黒ウサギに問う。
「私は構いません。ジン坊ちゃんはどうですか?」
「構わないよ。部屋も余っているし、問題はないからね」
「流石リーダー太っ腹ぁ〜」
そして詩音と玉藻前以外は初対面のため、自己紹介が始まる。
「白銀吹雪だ。吹雪って呼んでくれて構わない」
「あたしは黄咲玲華よ。よろしく」
「私は黄咲楓ですぅ。よろしくお願いしますぅ」
「よろしく。俺は金倉千斗だ。んでそこで崩れ落ちてるのが蒼井真尋だ。別次元つーことは十六夜達のことは知ってるんだな?」
「まあ知ってるけど……なんか違くないか?脱色されてるっつーか何つーか」
そう、他の世界では金髪なのだが、詩音の世界では脱色されて白髪になっているのだ。
「脱色されたかどうかは知らねえが、俺は十六夜だ。その事実には変わりはねえ」
「それならいいんだが」
いつもと違う十六夜が珍しいのか、マジマジと見る吹雪。そんな中、詩音はというと、
「玲華ちゃん可愛いね〜」
「わ、ちょ、ちょっと……!!」
玲華に抱きついていた。詩音は子供好きである。吹雪と同い年にもかかわらず、見た目が子供なのだ。だが、
「年齢は関係なくても子供みたいな人を見ると抱きつきたくなるんだよね〜。特にこういう可愛い子は特に!」
「子供って言うな〜!!」
ジタバタと暴れる玲華。詩音は力負けしたのかあぅ!と言って玲華を手放す。
「えぇ〜いいじゃん」
「子供扱いは許さないんだから!だったらこっちだってやってやる!」
玲華はやり返すように詩音に抱きつく。だが逆効果だった。
「抱きつかれる………はぁ…幸せ……」
まさに夢心地である。だが抱きつくだけでは終わらない玲華。玲華は詩音の胸をなぜか揉む。
「うひゃぁ!?」
「むぅ、なんでみんなこんなに大きいの!?ずるい!」
「や、やめ………やめてっ!!」
「こうしてやる!」
「うにゃぁぁぁぁやめてぇぇぇぇぇ!!」
詩音の悲鳴が響くが玲華を誰も止めようとはしない。ストッパーである楓すら、あはは〜と笑ってその光景を見守っている。もはやどっちが姉でどっちが妹なのかわからない始末である。
「そ、それでは歓迎会でもしますかね。大広間で」
「だね。黒ウサギ、料理とかの準備頼める?子供達で会場の方はなんとかしておくから」
「YES!了解なのでございますよ!」
その後、幾度となく詩音の悲鳴が響いたのは別の話。
☆★☆★☆★☆
時間や場所は変わって大広間。そこでは別次元から来た吹雪達を祝う歓迎会が開かれていた。
「疲れた………」
歓迎会は始まったばかりなのだが、詩音はすでにグロッキー状態である。そこにジュースの入ったコップを二つ持っている吹雪がやってくる。
「すまないな。玲華が迷惑かけたみたいで」
「ううん、別にいいよ。まあ疲れたのは確かだけど」
「ほれ、これジュース」
「ありがと」
詩音は吹雪からコップを受け取り一口飲む。
「それにしても驚いたぞ。本拠地入った途端、何故か雪の下に芝生があるんだからな」
「まあ私がやったんだけどね」
「マジかよ。お前凄いな」
「ふふ、もっと褒めてもいいんだよ?」
「貶してやろうか?」
「どうしてそうなるの!?」
「冗談だ」
「さっきの目は冗談じゃなかったよ………」
項垂れる詩音。吹雪は必死に笑いをこらえている。
「む、何?」
「いや、単に面白いなぁって。主にお前が」
「それ馬鹿にしてる?」
「いや、ある意味褒めてる」
「褒められてる気がしない……」
「そりゃそうだ。褒めてないし」
「どういう「貶してるんだよ」ことって結局貶してるじゃん!」
「あはは!やっぱお前面白いわ」
「むぅ………」
吹雪に散々弄ばれふて腐れる詩音。
「悪かったって」
「じゃあもう弄らない?」
「それは無理。だって面白いし」
「……もうなんでもいいや」
詩音はツッコむことも何もかもを投げ出して会場を見る。
ケーキなどの甘いものを頬張る玲華にそれに張り合おうとしている耀。それを苦笑いで見守る飛鳥。笑顔を絶やさず暖かく見守る楓。真尋のご飯にタバスコやデスソースをかけて、それを食べた真尋の反応に爆笑する十六夜と千斗。子供たちと話しながらご飯を食べている黒ウサギとジンと玉藻前。
もうこの場をカオスとしか呼べなかった。
「まあ何にせよ、帰るまでよろしく頼むぜ詩音」
「うん、よろしく吹雪」
二人はコップをカツンとぶつけて別次元の同志との出会いを祝福するのだった。
どうでしたか?う、上手くかけてたでしょうか?(震え声
ともかくコラボの1話目は無事終了しました。
おそらく総計で四話ぐらいになるかと思われます。
次回はなぜ初夏なのに雪が降っている理由を明かしてギフトゲームに入りたいと思います。
……先に言っておきます。おそらく鬼畜ゲーになる可能性があるのでご了承ください。
それでは次回もお楽しみに!
次回予告
街でギフトゲームがあると知った詩音達は寒い中、本拠を出て街へと向かう。
そこにはギフトゲーム参加者が大勢いて盛り上がっていた。
だがゲームの内容がこれまた鬼畜でーーー!?
「雪は降り積もり、ゲームの幕は上がる」