癒術師も異世界から来るそうですよ?   作:夜明けの月

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すみません、少しサブタイトル変えました。
そして更新が少し遅れた理由は……聞かなくてもわかると思います(涙)
あと一つだけ。今回ちょっと路線を変更したため変になっているかもしれませんがご了承ください。
それでは本編をお楽しみください!


ちょっと厳しいかな

「よーし、張り切って逝ってみよー!」

 

「「「おー」」」

 

「「ちょっと待って(ください)何かおかしくなかった(ですか)!?」」

 

詩音がかけた掛け声に腕を振り上げ返す問題児三人とツッコミ役(作者命名)の二人がツッコむ。

 

「おかしくないおかしくない」

 

「字が違う気がしたんですけど!?」

 

「噛みました」

 

「嘘吐くな!てか噛んでないでしょ!?」

 

「かみまみた」

 

「訳が分からん!」

 

「神はいた」

 

「どこに!?」

 

「ここに」

 

天然お馬鹿女(詩音)が神な訳あるか!!」

 

スパァーンという軽快な音が響く。玉藻前が詩音の頭を赤色のハリセンで叩いたのだ。

 

「い、たい………」

 

頭を押さえて蹲る詩音。

 

『自業自得です』

 

「ワウ(詩音のバーカ)」

 

「こればかりは味方出来ねえな」

 

「まあ自業自得よね」

 

「どんまい詩音」

 

「うぅ………」

 

同情そして味方がいないというトドメを刺された詩音はその場に体操座りをして重い空気を纏う。

 

「いいよ……どうせ私はお馬鹿で何の役にも立たない天然女ですよーだ……」

 

目に見えて拗ね始めた詩音。そんなことをしていると約束の時間が迫っていた。

 

「ほら行くよ詩音」

 

「もうゲームなんてどうでもいいや……」

 

「拗ねてないて行くぞ!!」

 

「にゃー…………」

 

玉藻前に首根っこを掴まれ引きずられていく詩音。その姿を見たものは

 

『あの青色の髪の子、狐耳と尻尾つけたら完全に姉妹だな』

 

と思ったらしい。

 

 

 

☆★☆★☆★☆

 

 

 

"ノーネーム"一行は約束の場所へと来ていた。

 

「ほぉ、ここが"フォレス・ガロ"の本拠か………」

 

「なんというか………」

 

「ジャングル?」

 

「わぁー物凄く入りたくない」

 

「詩音、諦めろ」

 

約束の場所とは、以前決めていたガルドとのギフトゲームを実行する"フォレス・ガロ"の本拠だ。

 

「とりあえず"契約書類(ギアスロール)"を見ましょう。あそこにありますし」

 

影になりつつあったジンが"契約書類"を指差して言う。

 

「えーとなになに?

『ギフトゲーム名 地獄の狩り(ハンティング) ーハードモードー

 

・プレイヤー一覧 久遠 飛鳥

       春日部 耀

       水無月 詩音

       ジン=ラッセル

       #@☆♪○*

       ☆♪¥$%○*

 

・勝利条件 指定武具または指定ギフトでガルド=ガスパーの打倒または殺害。

 

・敗北条件 プレイヤーが一人でも死亡した場合。

 

〜ルール設定〜

・ガルド以外の生物を殺した者は天罰が下る。

・指定武具と指定ギフトはフィールド上には存在しない(・・・・・)

・指定武具または指定ギフト保持者が死亡した場合、ゲームはプレイヤー側の負けとなる。

 

上記を尊重し、誇りと御旗の下、ギフトゲームを開始します。

         "フォレス・ガロ"』

って書いてあるよ」

 

「嘘でしょう!?」

 

「いきなりどうしたの?」

 

「そんな……それでは……」

 

ギフトゲームの内容を知った途端にジンの顔が真っ青になる。何かに恐れているかのように。

 

「何がどうしたのよ」

 

「このギフトゲーム……僕らの勝てる確率は無いに等しいです……」

 

「なんで?」

 

「まず第一に指定武具と指定ギフトでしかガルドは倒せないということです。例えて言うと飛鳥さんの"威光"はガルドには効かないということです。そして第二に、それがフィールド上に無いということはーーー」

 

「指定武具も指定ギフトも探すことが不可ということですか!?」

 

「うん、そういうことになるんだ」

 

黒ウサギとジンは苦虫を噛み潰したかのような顔をする。

 

「一つ質問があるんだけど」

 

「なんですか?」

 

詩音が手を挙げて言う。

 

「もしかしてさ、その指定武具とかって私たちが持ってるということはあり得るんじゃない?」

 

「え……?えと、その可能性はありますけど……」

 

「なら大丈夫じゃん!それじゃあ行ってみよう!」

 

「「おー!」」

 

「ちょっと待ってください!!てか置いていかないで!!」

 

そう言って詩音達は"フォレス・ガロ"の本拠へと入っていった。それを見ていた十六夜が黒ウサギに尋ねた。

 

「おい黒ウサギ。少しきになる点がある」

 

「はいな。なんでしょう?」

 

「"契約書類"っつうのはバグったりするもんか?」

 

「バグ?」

 

「だって見てみろよ。ここ、文字化けしてやがるぜ?」

 

「どれどれ…………?」

 

黒ウサギが見るとそこには確かにプレイヤー一覧のところに文字化けしている二人の名前があった。

 

「本当ですね。ですがおかしいです。こんなことは今まで一度もなかったことなのに」

 

うーんと唸る黒ウサギ。そんな時、十六夜はある仮説を立てた。

 

「もしかして、未だに正体の分かっていないあいつらじゃねえのか?詩音の従者とか言ってたランスロットとあとはあの狼」

 

「フェルンさんですか?」

 

「そうそれ。そいつらどうもおかしいんだよ。フェルンは気ままに生きてる気がするから分からんが、ランスロットは何か違う気がする。まるで何かに囚われているがため、詩音に仕えているような」

 

「囚われている?」

 

「そこまでは分からねえ。まあとりあえずあいつらの勝利を願おうぜ」

 

「は、はいな!」

 

 

 

☆★☆★☆★☆

 

 

 

詩音達は荒れ果て木々に覆われた本拠の中をさまよっていた。

 

「さてと、どうしようかしら」

 

「指定武具も指定ギフトも無い。あとガルドの居場所も分からないよ?」

 

「そうですね。どうしましょうか」

 

「まずガルドのとこ行こうよ。場所なら分かってるし」

 

「「「え!?嘘!?」」」

 

「嘘」

 

「「「驚かせないで(ください)!!」」」

 

「あぅ!」

 

大事なときに嘘をついた詩音は三人からの手刀を脳天にくらう。そして蹲る。

 

「でも嘘じゃないんだよ〜フェルン〜」

 

「ワウ(鬱陶しい)」

 

「何で!?」

 

フェルンにも否定され気に頭をつけて蹲り地面にのの字を書く詩音。三人はそれを無視して話を進めるが、

 

「ワン」

 

フェルンが突然走り出した。

 

「え、フェルン!?」

 

「一体なんですか!?」

 

「ちょっと詩音さん!フェルンがあっち行っちゃったけれど!?」

 

「私は……なんのために生きてるんだろうね……」

 

「早く戻って来なさいっ!!」

 

「あだ!」

 

飛鳥は詩音の脳天に拳骨を落とす。

 

「はっ!ここはどこ!?私は何!?」

 

「何じゃなくて誰でしょう!?そうじゃなくてフェルンがあっち行っちゃったけれどどうするの!?」

 

「あ、それじゃあフェルンについて行こう」

 

「はぁ!?」

 

「それでガルドのところにつけるはずだよ。それじゃあレッツゴー!」

 

「ちょ、ちょっと待って!」

 

一行はフェルンを追って走り出した。

 

 

 

☆★☆★☆★☆

 

 

 

着いたのは草やツルに覆われた館だった。

 

「お疲れフェルン」

 

「ワゥ」

 

「それにしてもここに本当にいるのかしら?」

 

「いるよ。さっき影が見えた」

 

「耀さんナイスです。それでは「ちょっと待って」はい?なんです?」

 

「ひとつ提案があるけど聞いてくれる?」

 

詩音がそう言って自分の提案を話し始める。

 

「私が今から館の二階を見てくる。その間、みんなにはここで退路の確保をしていて欲しいの。フェルンとランスもここで居させるから多分大丈夫だよ」

 

「待ちなさい。それは詩音さんが危険にされされる、と暗に言ってるようなものだけど?」

 

「ん?私は大丈夫だよ」

 

「そう………だけど「信じて」え?」

 

「私を信じて。約束する、必ず無事で戻ってくるって」

 

詩音は微笑みながら優しくそう言って館の二階へといった。だが、その約束は果たされることはなかった。

 

 

 

☆★☆★☆★☆

 

 

 

詩音は二階の部屋を片っ端から調べていった。だが一つの部屋以外には見つからなかった。

 

「(あとはあの大きな扉の部屋………あそこが一番怪しかったから後に回してたけど)」

 

詩音は扉の前に立つ。その足は少し震えていた。

 

「震えるな……大丈夫大丈夫………………よしっ!」

 

そう言って詩音は扉に手をかけ押し開ける。そこには、

 

「G、GAAAAAaaaaaaaa!!」

 

咆哮を放つ白い虎がいた。

 

「っヤバ!!全員逃げて!!」

 

詩音は大声でそう叫んだ。届いたかどうかなど詩音が知る由もないが。

 

「これは……ちょっとヤバいかな……」

 

 

 

☆★☆★☆★☆

 

 

 

飛鳥たちの元には詩音の声は届いていた。

 

「詩音さん!?」

 

「た、助けに……「ダメです!」

 

「フェルン、皆さんとともに逃げますよ!」

 

「待ってください!まだ詩音さんが!」

 

「ガルァ!!」

 

フェルンが吠えると一回り体が大きくなる。そして飛鳥と耀を背中に乗せる。ジンはランスが担いでいる。

 

「詩音様、どうかご無事で………!!」

 

「ワォウ!!」

 

そうして詩音以外の全員は詩音の声に従いそこから逃げていった。

 

 

 

☆★☆★☆★☆

 

 

 

「GAAAAAaaaaaaaa!」

 

「くっ……早いっ!!」

 

一方詩音はというと苦戦を強いられていた。相手が異常に素早く、身体能力がずば抜けていない、というより普通の詩音はついていけるはずもなかった。

 

「(時間稼ぎは十分、ならあとは一旦逃げて………)」

 

だがその時だった。詩音の視界からガルドが消えたのだ。

 

「えっ!?」

 

そして現れたのは詩音の目の前。ガルドは詩音に体当たりして詩音を吹き飛ばす。後方の壁にあたる。

 

「かはっ………!」

 

詩音はここで理解した。自分の選択が間違えていたと。

 

「く、そっ!!」

 

詩音は痛みを我慢してすぐさま立ち上がり、部屋の入り口まで走る。だがそれをガルドが見逃すはずがなかった。

 

「GAAAAAaaaaaaaa!」

 

「嘘!?」

 

ガルドは一瞬にして詩音に詰め寄り、鋭い爪で詩音を引っ掻く。詩音は間一髪でそれをかわす。

 

「(これじゃ………逃げられないじゃん!仕方ないか!)」

 

詩音は逃げられないことを悟り、戦うことにする。ギフトカードから宝具を取り出そうとしたその時だった。

 

詩音は胸部の辺りに違和感を感じた。なぜか焼けるような痛みが襲う。

 

そこを見ると赤い何かに濡れた白い毛と鋭利な爪があった。そして後ろには獰猛な目をしたガルドがいた。

 

「……………え」

 

ガルドの腕が詩音の心臓を貫いていた。

 

そしてガルドが腕を抜いた途端、鮮血が飛び散る。痛みと苦しみが同時に詩音を襲う。

 

「(そ、んな……嘘でしょ………)」

 

その事実に絶望する。下手すれば、下手しなくても詩音はここで死んでしまう可能性が高い。

 

「(苦しい……痛い………)」

 

激しい痛みで意識が朦朧とするがなんとか意識を保つ。

 

「(は、はは……これは私が、招いたことだよね……ならーーーー最後まで抗ってやろうじゃない、この運命()っていうやつに!)」

 

詩音はガルドを見据え宝具ー水珠の弓ーを取り出して握りしめた。

 

 




はい、まさかの主人公大ピンチです。
次回のことを考えるとこうするしかなかったんですよ。
あとギフトゲームの内容がほとんどというか全部変わってます。ハードモードになってますし。
それでは次回もお楽しみに!


次回予告

心臓を貫かれ大ピンチの詩音。だが死なないために、みんなのもとに帰るためにガルドと戦うことを決意した。

一方その頃逃げることに成功したランスはとてつもなく不穏な感じがするといって詩音の元へと戻る。

そしてガルドと戦っている詩音を見た彼が起こした行動とはーーー。

「僕が必ず守ると言ったはずだ!!」

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