新作の方に集中してしまってました、すみません……。
ということで本編をお楽しみください。
「しておんしらは何用で私を訪ねてきたのだ?」
「あ、いろいろ頼みたいことがありまして」
現在詩音達は白夜叉の自室に通されていた。和室に入るのは初めてのためキョロキョロとしている詩音。
「む?どうしたおんし。何やら珍しいがっておるが」
「えっと………和室って入るの初めてだから……」
その言葉に周りの全員が固まる。詩音は恥ずかしそうにもじもじしているためその様子に気づいていない。
「お前、日本人か……?」
「失敬な!純血の日本人だよ!!」
「純血?まあそれはいいわ。それより珍しいわね。和室が初めてな人」
「そうだね。初めて見たかも」
「Yes。黒ウサギも初めて見たのです」
「まあ良いではないか。それで、なぜおんしはこういうところは初めてなのだ?ならば元の世界の寝床はどのようなものなのだ?」
白夜叉がそう言うと黙り込む詩音。他の全員はそれを不思議そうに見る。すると、詩音は意を決したかのように言う。
「の、野宿………」
「「「「「は?」」」」」
「野宿だよ……………」
「「「「「はぁ!!!??」」」」」
「8歳の頃から」
「「「「「はあああぁぁぁ!!!!???」」」」」
その発言に大声を上げて驚く五人。それもそうだろう。年頃の少女が野宿をしていると言われたらそうなる。
「だ、だって仕方ないじゃん!私だって野宿は嫌だったよ!!」
「なぜ野宿なの!?あなたは旅人だったの!?」
「…………違う」
「じゃあ放浪人?」
「……少し当たってるかもしれないけど違う」
「なら何かしらの仕事があって何処かに留まっている暇がなかったとか」
十六夜がそう言うと詩音は返事も返さず俯く。
「図星か?」
「うん………」
「ならその仕事とはなんなのだ?」
「……………」
「今は言えない、ということですか?」
黒ウサギがそう言うと詩音はこくんと頷く。
「なら話すまで聞かねえよ。それで俺たちは白夜叉に用があったんじゃねえのか?」
あの十六夜が気の利かせた一言を言い自ら話題を変える。普通なら面白がりそうなのに、意外!!
「しばくぞテメェ!!」
はいはいナレーターにツッコまないでね。ゴホン、それでは話を戻そう。
「ああ、そうでした!今日はお願いがあってきたのです!」
「何だ?この"
「「「盛りすぎ。変態和装ロリ」」」
「おんしら少し酷くはないか!?」
「「「何言ってる(の)?俺(私)達優しいじゃない」」」
「息ぴったりというところが胡散臭いぞ………」
「それで話し変わるが"階層支配者"って何だ?」
十六夜がまた話を変える。白夜叉はおお!と言い"階層支配者"の説明とその他諸々の説明を始めた。
"閑話休題"
「どうしてこうなった…………」
詩音は頭を痛そうに押さえる。その原因は白夜叉が強いと分かった瞬間立ち上がり挑もうとする三人だ。
「ちょっと皆さん!!」
「よいよい。私も遊び相手に飢えていたところだ。それで、おんしらが望むのは"挑戦"か?それとも
"決闘"か?」
その瞬間世界が変わる。辺り一面氷に覆われ、太陽は水平に回っている。
「な、なんだ!?」
「これは私のゲーム盤だ」
「これだけの土地が……ゲーム盤ですって!?」
「凄い………」
「へぇ……水平に廻る太陽……なるほど"白夜"と"夜叉"か」
詩音がそう呟くと白夜叉は目を見開いて驚く。
「ほお、おんし知っておるのか」
「こういうの見たことあるから」
詩音はそう淡々と返す。見たことがあるのがさも当然のように。
「そうか。しておんしらどうするつもりだ?己が力を試す"挑戦"かそれとも対等な"決闘"か。この"白き夜の魔王"、白夜叉はどちらでも受けて立つぞ」
その言葉に三人は冷や汗をかく。そして十六夜が、
「降参だ。大人しく試されてやるよ」
と言った。他の二人もそれに同意らしい。
「まったく皆さんはどうしてそうなのですか!!それに白夜叉様も魔王だったのはずいぶん前の話でしょう!?」
「まあ良いではないか。しておんしはどうする?」
「勿論"挑戦"で。さすがに得体が知れないものと戦いたう趣味はないよ」
「やけに慎重だの。まあ良い。おんしらの挑戦するのはこれだ」
白夜叉はパンパンと手を叩く。すると目の前に羊皮紙が現れる。"
『ギフトゲーム名 鷲獅子の手綱
・プレイヤー一覧 逆廻 十六夜
久遠 飛鳥
春日部 耀
・勝利条件 グリフォンの背にまたがり湖畔を舞う。
・クリア条件 "力"、"知恵"、"勇気"のいずれかでグリフォンに認められる。
・敗北条件 上記の勝利条件を満たせなくなった場合。
宣誓、上記を尊重し、誇りと御旗の下、ギフトゲームを開催します。
"サウザンドアイズ"印』
そう記されていた。
「ちょっと待って」
「なんだ?何か不満でもあるのか?」
「なんで私の名前がないの?」
「おんしには特別に他のギフトゲームを用意しておる故心配せんでも良いぞ」
「み………が………」
「ん?」
詩音は俯きつつ拗ねたように口を尖らせて少し涙目で言った。
「みんなと一緒がよかった…………ぐすっ」
その自体を飲み込むのにかかった時間およそ二分。その間、その場の全員はフリーズしていた。
そしてフリーズから解けると飛鳥と耀は詩音に抱きつく。
「はぁー、前の世界にこんな可愛い子いなかったわぁー」
「癒される」
そしてそれを暖かい目で見る黒ウサギと白夜叉。もう保護者目線である。
そして十六夜はというと、
「(なにも見てない何も見てない何も見てない何も見てないーーー)」
明後日の方向を向いて自分に暗示をかけていた。その頰はほんの少し赤くなっていた。
その後、三人がギフトゲームに楽々と勝ったのは言うまでもない。
☆★☆★☆★☆
「それでは次に詩音のギフトゲームを始めたい……のだが、頼む早く始めさせてくれ」
「私も始めたいけど………わわっ!!」
「怖かった。だから癒させて」
先ほどのギフトゲームでグリフォンの手綱を握っていた耀が怖かったということを口実に詩音に抱きついていた。そのためギフトゲームが始められない。詩音もまんざらではなさそうだが。
「お、お願い耀ちゃん!ギフトゲームさせて!」
「じゃあ後で存分に甘える」
「なんか最初の印象がだんだん崩れてきてるんだけど……」
僕もそう思います。どうしてこうなった?
「それでは、詩音のギフトゲームを始める。準備は良いな?」
「うん」
「おんしにはこやつの相手をしてもらうぞ」
そう言うと白夜叉の後ろに狐火が現れる。そしてそれが肥大化し人型となり人が現れる。狐耳と尻尾を生やした和服の女性が。
「………ん〜?ここは〜?」
「私のゲーム版じゃよ。おんしにこやつのギフトゲームの相手を頼みたい」
「え〜、私あまり気が乗らな……い…………」
狐耳の女性は詩音を見るや否や目を見開き驚く。そして、
「分かったやる絶対やる!そしてこの子に勝ったらこの子私のペットにしていい!?」
「気にせんでいいぞ。こやつは可愛い小動物のような奴を見ると必ずこう言うのだ」
先ほどの一言により詩音のやる気は地に落ちる。目が完全に死んでいる。
「これ玉藻前よ。頼むからちゃんとしてくれ」
「む〜分かったわよ〜。それじゃあお嬢さん、やりましょうか♪」
そう言った途端、詩音の目の前に"契約書類"が現れる。
『ギフトゲーム名 狐の炎と癒し人
・プレイヤー一覧 水無月 詩音
・勝利条件 玉藻前に認められる。
・敗北条件 立てなくなる、気絶、失神、死亡のいずれかの状態になった場合。
宣誓、上記を尊重し、ギフトゲームを行います。
"九尾の狐"印』
そしてギフトゲームは始まった。
どうでしたか?
詩音?主人公だが弄られ枠そして癒し枠だよ。
今のところいいとこ全くなしの詩音。次回は活躍できるのか!?
……いや活躍します、多分!それと玉藻前が変態になってしまった……。なんとかなるか。
それでは次回もお楽しみに!
次回予告
玉藻前とギフトゲームをすることになった詩音。だがあまり乗り気でない様子。
それを見た玉藻前は詩音をやる気にさせるために本気を出す。
癒し系弄られ少女、詩音は玉藻前に勝てるのか!?
「私、今から本気出すよ」