艦これ大戦 ~檄!提督華撃団!~   作:藤津明

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閑話の前に閑話を挟みます(^^;
約束は果たさないといけませんので。


第十五話 閑話 約束のデート

淫欲が渦巻いた歓迎会が終わった数日後、今日は大神の完全な休日である。

いつもの剣道の練習も今日はなく、大神は自室で久しぶりにゆっくりと睡眠を楽しんでいた。

冬が近づき、幾分か冷えるようになったこの季節、お布団の魅力から逃れるのは難しい。

そんな大神の部屋の鍵を開けて大神に近づく影があった。

ぬくぬくと暖かそうに眠る大神の姿を見て微笑むと、大神に話しかける。

 

「大神さん、起きて下さい」

「うーん、あと、5分……」

 

大神にしては珍しい言葉。

でも、今日本来起きる予定だった朝食の時間まではまだ30分以上ある。

まだ寝たいと大神が考えても仕方がないだろう。

 

「うーん、よしっ。じゃあ、せっかくだから少しご一緒させてもらいますねっ」

 

そういって、その人影は大神の布団にゴソゴソと潜り込んだ。

出来る限り布団を持ち上げないように潜り込みはしたが、やはり外の冷たい空気が入り込む。

 

「う~……さむっ」

 

寒さを感じて大神は震え、近場の暖かいもの、つまり布団に潜り込んだ影へ手足を絡みつかせた。

大きさも当然人間サイズなので、丁度いいとばかりにその胸元に頬を摺り寄せ、腰へ手を回す。

大きく開いたスカートの隙間から大神の手が服の中へと入り、お尻へと回される。

 

「きゃんっ!?」

 

勿論、そんな事をされるとは思いもしなかった人影は可愛らしい声を上げる。

それでようやく意識が覚醒に近づいた大神は、目を開けて人影の胸元から視線を上に上げた。

 

「あ、あはは……おはようございます、大神さん」

「明石くん!?」

 

誰あろう、明石がそこに居た。

 

 

 

「それで、どうして、俺の部屋に入り込んだんだい? 布団にも」

 

起きた大神は私服に着替え、明石と二人分のコーヒーを入れた。

もちろん、わざわざ自分の部屋にもぐりこむような事をした理由を聞くためである。

通称――艦娘魔女裁判を数日後に控えた今、部屋に、布団に潜り込んだなんて事実を知られれば、明石まで魔女裁判対象となってしまうので、食堂で行わないのは大神の慈悲である。

実際、歓迎会で媚薬を盛った榛名や、大神の素手で身体のあちこちを洗ってもらった曙は魔女裁判対象になってしまったし。

 

「だって……大神さん、もう休日になるって言うのに私を誘ってくれないじゃないですか。私も休日を大神さんに併せて待っていたのに酷いじゃないですかー」

「誘う? 誘うって何にだい?」

「デートにですよっ。約束したじゃないですか、間宮でおやつを食べていた私を機艦娘を助ける目的で連れ出すときに埋め合わせとしてデートしてくれるって」

「あ……」

 

完全に忘れていた大神。

 

「その反応は、忘れていましたね? 酷いですよー」

「ゴメン、明石くん! 完全に忘れていた、本当にゴメン!!」

 

こればっかりは平謝りするしかない。

だが、明石からは余り怒っているような気配は感じられない。

 

「なんて……ね。ほんのちょっとは怒ってますけど、ほとんど怒ってませんよ。有明に帰ってからも書類仕事で激務だったのは分かってますから、だから朝のうちにこうやって来ちゃいました」

「そうか、これからなら朝食後でも、余裕を持って出かけられるからね。今更だけど、明石くん。今日は俺と出かけてくれないかな?」

 

姿勢を改めると、真摯な表情で片手を差し出して明石をデートに誘う大神。

 

「はいっ、よろこんでっ!」

 

花の咲くような満面の笑みを浮かべると、明石は大神の手を両手で包み込むのだった。

 

 

 

それから2時間が経過した秋葉原駅で、大神は二刀を袋に入れ所持した上で明石を待っていた。

二人揃って有明鎮守府から出かけても良かったのだけれども、出来ればデートの場所で待ち合わせしたいと言う明石の要望に答えて、駅で待ち合わせする形となったのだ。

しばらくして、明石が駅に到着する……のだが、

 

「大神さーん、お待たせしました~」

「明石くん、その格好は……寒くないのかい?」

 

明石の格好はいつもの制服であった。

スカートの横から見える素肌に男達の視線が釘付けになるのが、なんとなく大神は気に食わない。

 

「私、いつもは工廠に閉じこもりっきりなので、あんまり私服の持ち合わせがなくって……」

「……うん、決めた。明石くんは秋葉原で電子部品とかそういったものを見たいんだったよね?」

「先ずはそのつもりですよ、って大神さんそっちは駅のほうじゃないですか!?」

 

大神は明石の手を引っ張って改札口へと向かう。

 

「予定を変更しよう、最初は一駅隣の御徒町で明石くんの私服を買おう!」

「ええっ!? 私、そんなにお洋服を買えるほど持ち合わせありませんよ!?」

「俺が言い出したんだから、それくらい俺が出すさ。さ、行こう!」

「……はいっ、私の決めてたプランより本当のデートっぽくなっちゃいますね、でも嬉しいかな」

 

秋葉原駅の改札口近くに居た男達の『くそっ、このリア充どもめが』と言う視線を浴びながら、大神たちは再度改札口へと戻り御徒町へ向かうのだった。

 

御徒町は渋谷や、新宿、池袋に比べれば規模は小さいが、ショッピングできることには違いない。

ブティックなどを見て回り、明石の私服を購入していく。

 

「あ、このブラウスいいですね~。……え? こんなに値段するんですか!?」

「いいよ。明石くんが良いと思ったんだったら、それも買おう」

 

値札を躊躇する明石だったが、大神は躊躇せずそのブラウスを手に取る。

 

「いや、悪いですよ、大神さん。もういっぱいお金出してもらってるのに」

「明石くんには警備府に来た時からずっとお世話になりっぱなしだからね。毎度の怪我の治療だけじゃない、命まで助けてもらっている。これくらいはさせて欲しいんだ」

「でも……」

 

流石にここまで出費させる気のなかった明石としては肩身が狭い。

 

「もし明石くんが悪いと思うんだったら、次の機会には今日購入した服で可愛らしい姿を見せてくれればいいさ」

「え? それって……」

「ああ、俺の都合で明石くんの考えてたデートのプランの時間を大幅に削ってしまったからね。明石くんがよければだけど、次の休みのときにもう一度出かけようか」

「あ……はいっ、勿論喜んで!」

 

そんな感じで、まるで恋人同士のように御徒町での買い物を楽しむ大神と明石。

昼時にはイタリアンで昼食を取り、3時前後に買い物を終え喫茶店で休憩を取っていた。

 

そんな大神と明石は気付いていなかったが、MIでの狙撃の件もあり、命の危機に瀕した大神とそれを命懸けで救った明石は恋仲であると言う説があったのだ。

大神と明石の御徒町での楽しげなお買い物を見た人々により、その説が絶大に補強されるのは言うまでもなかった。

ちなみにその仲よさそうな様がネットに上げられ、それを見た秋雲など他の艦娘の怒りゲージが上がるのも当然の成り行きと言えよう。

 

喫茶店で恋人専用のジュースを頼み、茶化しあいながら、真っ赤になりながら飲む大神と明石。

二人は有明鎮守府に帰った後、一騒動が起こる事をまだ知らない。




最初のモーニングコールは当初萩風にしようかと思ったのだけど、あくまで明石のお話なので。
それにしても、明石の独走っぷりがヤバイと感じるのはきっと気のせいだよね?
書けば書くほど、明石が、明石がーwww

とりあえずリア充爆発しろw


おかしい、自分は金剛大好きの筈なのに……(^^;

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