艦これ大戦 ~檄!提督華撃団!~   作:藤津明

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残りの特訓編を圧縮しようかどうしようか迷っていたのですが、ある意味肝ですし、皆さんにアンケートとか取る時間があったら多分書いた方が早いので書きます。
もう少しお付き合い下さい。


第十三話 10 トゥーロンでの一日6(特訓編)

「さあ、今度は私の出番ね。頑張りましょう、オオガミ」

「分かったよ、ウォースパイトくん」

 

ウォースパイトが髪の毛をかき上げ、胸元のネックレスを直して気合を入れなおしている。

 

一方、次の合体技の元ネタは、艦娘との合体技でも一番やばい奴だと大神は冷や汗を流している。

何せ、この合体技では仮初のものとは言え、結婚して初夜まで迎えてしまっているのだ。

川内だけでも有明の艦娘に知られたら何が起こるか分からないのに、海外に行った当地でまで結婚して初夜を迎えただなんて考えただけでも恐ろしくて酔いが醒めてくる。

 

「いかん、更に酔わなければ……」

 

しかしデキャンタのワインは飲みきっており、もう残っていない。

流石に食堂もこの時間から酒を出してはくれないだろう、どうしたものか。

 

「大神さん大神さん~、ポーラのワインの残り、飲みます~」

 

と、ポーラが瓶に残ったワインを持ってきた。

 

「え、ポーラくん、いいのかい?」

「大神さんには、今お酒が必要なんですよね? ポーラの取って置きですけど、飲んでも良いですよ~。その代わり……」

 

ねだる様な視線を大神に向けるポーラ。

先程も酒をもらったし流石に断る事は出来ないだろう。

 

「分かった、夜に飲むお酒は俺が奮発しよう」

「流石、大神さん! 分かってますね~、夜が楽しみですね~」

「ちょっと、ポーラ、あんまり提督にたかったらダメ……」

「ザラ姉様、今回は違うんです~。ギブアンドテイクなんです~。提督も承認してくれてる正当な取引なんです~」

「う……、確かにそれはそうなんだけど、心配だから見守っていないと……」

 

大神が既に承認してる取引なので、ザラも流石に語調が穏やかなものになる。

大神の力を借りてとは言え、初めてザラをやり込めてポーラは大満足だ。

そして、大神は瓶に残ったワインを飲みきった、これで合計でワイン一瓶をあけた事になる、はっきり言って飲みすぎだ。

 

「大神さん、大丈夫かな……、またあの時みたいにならないと良いけど」

 

酔った大神に押し倒された川内も、あのときの二の舞が起こるのではないかと心配している。

 

「それじゃあ、ウォースパイトくん始めようか?」

 

それでも、大神の語調も足取りも確かだ、大丈夫そうだ。

 

 

 

ウォースパイト :川内

 

トゥーロンのポーラとの呑みで完全に潰された大神は、ウォースパイトの助けを借りて邸宅の自室のベッドに戻ろうとしていた。

 

「すまない、ウォースパイトくん」

「いいんですよ、オオガミ。私が好きでしている事なのですから」

 

そんなウォースパイトの服装はやはり肩の開いたドレス姿。

人を運んで歩くには難しいだろうに、ウォースパイトは慣れた様子でオオガミに寄り添い歩く。

部屋に入ったのでベッドまであと少しだ、そう思ったところで油断したのか、大神はドアの段差につまづいた。

 

「うわっ!?」

「キャッ!?」

 

声を上げてベッドに倒れこむ二人。

 

「……あれ? 痛くない」

 

ベッドにダイブしたのに、全く痛くない。

大神の顔をふくよかでやわらかいものが包んでいた、視界は真っ暗で何も見えない。

 

「ノー……オ、オオガミ。あなた何をしているの?」

 

何をって、そう思って答えようとまずは息を一息吸う大神。

だが、それはウォースパイトに過大な刺激だったらしい。

 

「キャアッ!!」

 

身を捩じらせ、刺激から逃れようとするウォースパイト。

だが、その時ふくよかな感触からようやく大神が頭を上げる。

 

もうお分かりだろう、大神が埋めていたのはウォースパイトのおっぱいであった。

ウォースパイトはドレスが完全にずれ下がり、おっぱいが完全に露になっている。

けど、おっぱいを手で隠そうにも大神はウォースパイトに完全にのしかかっており、隠そうにも大神の頭で、身体で押しつぶされていた状態だ。

隠しようがない。

 

「オオガミ……私、わたし……」

 

状況に気付き慌てている大神としても、また下手に話したり息を吐いたりしたら、さっきのようにウォースパイトに刺激を与えてしまうかもしれない。

 

何はともあれ、離れなければいけない。

 

大神はそう考えて実行に移そうとしたが、ウォースパイトを押し倒したまま無言でいた事に、そのことをウォースパイトがどう受け取るかまでは気が回っていなかった。

 

「オオガミ、あなたの気持ち、受け取ったわ! 私、その気持ちに応えます! 婚前交渉はしたくなかったのだけど、オオガミが望むのであれば!!」

 

大神がベッドに手を付いて起き上がろうとする前に、ウォースパイトが大神の頭を抱き抱えた。

 

「へ?」

「マイ アドミラル――オオガミ! この身果てるまで、共に参りましょう! あなたの傍からもう離れないわ!」

「え?」

「オオガミ、I love you!」

 

そして、呆然とウォースパイトを見上げた大神にウォースパイトは熱烈なキスをする。

ただでさえ酒と、おっぱいの感触と、ウォースパイトの匂いで理性が飛びかかっている大神はそのキスによってウォースパイトの誘惑に屈してしまいそうだった。

だったが、

 

「いや、ちが――」

 

なんとか、それでもなんとかウォースパイトの勘違いを是正しようと、ウォースパイトに話しかけようとする大神。

 

「……オオガミ、私はもうあなたのものよ。考えてみたら初めて会ったときからこうなる運命だったのかもしれないわね」

 

ウォースパイトは再度大神の唇を奪う。

 

「お好きに召し上がれ、ダーリン♡」

 

自分から唇を奪っておいて言う台詞ではない。

だが、大神は、

 

「ウォースパイトくん……」

 

ウォースパイトの、自分を愛していると言った目の前の可憐な花を我が物にする誘惑に、負けた。

それでも婚前交渉を出来ればしたくないと言ったウォースパイトの意思を尊重し、それは結婚してからにしようと言った大神の言葉にウォースパイトは涙する。

 

「ああ……私、幸せ! オオガミ! いいえ、イチロー! 愛してるわ!!」

 

 

 

それから、二人は完全にパートナーとなった。

トゥーロンの邸宅でも時間さえあれば、恋人として寄り添い、キスを何度も交わし、ソファーにもたれかかりながら抱き合い、甘い甘い時間を過ごす。

結婚は地中海奪還作戦を終えてから、そう決めた二人の絆と霊力は凄まじく、あっという間に奪還作戦を成功させてしまう。

 

そしてウォースパイトを自国へ連れ帰ろうとする英軍と、二人で全力で交渉した結果、本気で恋するウォースパイトにクイーン・エリザベス級の姉妹たちだけではない、イギリスの全艦娘が、否、イギリス女王さえも味方となった結果、晴れてウォースパイトは日本の艦娘として赴任する事が決定する。

 

「本当にこの身果てるまで一緒に居られるのね! 嬉しいわ、イチロー!!」

 

満面の笑みでウォースパイトが大神に微笑みかける。

 

「いいや、俺が居る限り、君は絶対に死なせない。戦いでは絶対に果てさせないよ」

 

けれど、そんなウォースパイトを抱き締めながら、大神は耳元でそう囁く。

 

「君がもし果てるとしたら、結婚してから俺と共に夜を過ごすときだけさ。もちろん果てても離さないし、逃がさないし、許さないけどね」

「イチロー……やだ、恥ずかしい…………」

 

しかし、このままでは姉妹艦たちが結婚式に参加できない。

その事を憂慮した大神とウォースパイトはただそれだけの為にアメリカ、欧州の艦娘と共同して、そのまま一気呵成に大西洋さえも人類の手に取り戻してしまう。

 

そうして、大神と結婚する為にふさわしい立場として、英国王家の一員、養女となる事を認められたウォースパイトはロイヤルプリンセスの一人として大神と共に日本に向かう。

そうすると、仮にとは言えプリンセスと英雄の結婚式場をただの場所で行う訳には行かない。

二人の結婚式場には特設で組まれた会場が当て嵌まるのだった。

ウェディングドレスは無論レンタルではない、英室王家がオーダーメイドした豪華なものを着る。

いつもの宝冠ではない、ティアラを頭に載せたウォースパイトは正にプリンセス。

イギリスの艦娘に、みんなに祝福されて、大神たちは誓いのキスを交わすのだった。

 

そして、トゥーロンの一夜からずっと伸ばしていたその時を、初夜を迎える。

 

場所はロイヤルスイートルーム。

 

シャワーを浴びたばかりのウォースパイトをいつものように抱き締める大神。

まだ少し濡れている髪に指を絡める。

 

「もう、そんなに金髪がすきなの?」

「別に金髪が好きなわけじゃないさ、キミの髪の毛だから触れたくなるんだ」

 

そう言いながら頬にキスをする。

ウォースパイトを膝の上に抱き上げ、何度も何度もキスを重ねる二人。

そのたびにお互いに愛おしさがこみ上げてくる。

 

数ヶ月、いや、あの日我慢した甲斐があった。

 

こんなに互いが愛おしい。

 

絶対に離れない。

そう思いながら戦い続けた結果がここにある。

 

そして、ウォースパイトの身体はベッドに沈める大神。

互いの瞳を見つめて言う。

 

「イチロー、I love you」

「俺もだよ、ウォースパイト」

 

キスの雨を降らせる大神。

 

……そして二人は今までよりずっと仲良しになったのだった。

 

 

 

『初夜 は じ め て の や せ ん Ver.E』

 

 

 

そして、当然のように桃色の霊力は大いに、実に大いに炸裂した。

まるで本物の合体技のように。

 

天に伸びる桃色の霊力の光を、天から大神とウォースパイトを祝福するかのように、天使の羽が舞い落ちるように、天上の曉光が地へと降り注ぐ。

そしてその光の羽根は、天上の曉光はトゥーロンだけでなくパリなどフランス各地で、スイス、イタリア、スペイン、果てはオーストリア、ドイツでも観測された。

 

また、作戦を待たずして、コルシカ島、サルディーニャ島、バレアレス諸島の東側など西地中海のかなりの範囲がほぼ浄化されかかった。

一時、巴里華撃団の霊力計では完全に浄化されたように見えたが、こんなのに、ただの本読みに負けてたまるかとばかりに、マイナスの想念が増加したらしい。

 

がんばれまけるな深海棲艦。




ビスマルクとウォースパイトの扱いの差が酷すぎるって言わないでね。
自分はどっちも当然カッコカリ済みなのです。
ビスマルクは可愛さ余ってちょっとギャグ方面で弄りたくなっただけなのです。

にしても、ウォースパイトの本番合体技はこれ超えないといけないんだよなー(^^;
うわ、凄いプレッシャーw
出来るのか、俺。

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