人間不信な俺と隠れオタクな彼女の青春ラブコメ   作:幼馴染み最強伝説

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なんとか毎日投稿をキープ。

ですが、思いついているネタはこの辺までですので、次回からは毎日投稿じゃ無くなるかも。




なんだかんだで折本かおりは周囲を見ている

 

比企谷くんーーー八幡と付き合い始めてから早いもので二週間が過ぎていた。

 

告白された日のことは昨日のように思い出せる。

 

それはまだ日が二週間しか経っていたからかもしれないけれど、それでもあの日の出来事は私にとってとても衝撃的で、感動的な出来事だった。

 

一度は諦めてしまった恋が成就するなんて、本の中だけのお話かと思っていたけれど、今、私と八幡は恋人同士になり、日々充実した生活を送っている。

 

でも、少しだけ不満な事がある。

 

まず一つは学校での私の立ち位置を気にしてか、あまり積極的に話しかけてきてくれない。

 

元々、八幡は自分から話しかける人ではないけれど、それにさらに拍車がかかり、以前までのように学校ではあまり話さない。私は友達も大事だけど、八幡の方がずっと大事なのに。それでも以前に比べたら話す回数は増えてるし、バレないようにそーっと増やしていけばその内普通に話せるようになるかもしれない。頑張れ、私!

 

二つ目は蔓延っている八幡の悪い噂が未だ消えないこと。

 

八幡が一人でいる事や何も言わないことをいい事に時折話題にあげては笑いものにする。

 

私はそれが酷く耐えられないけれど、八幡が別に言い返さなくても良いと言っているので言い返していない。八幡が望んでいないのに、私が勝手にそんな事をするわけにはいかないから。だから、その話題になるとすかさず別の話題に切り替える術を覚えた。

 

「そういえばさー、比企谷さー」

 

そう言って切り出したのはかおりちゃんだった。

 

八幡の噂の根源にして、八幡が昔好きだった相手で、私の友達。

 

基本的に良い子なのに、何処か面白さの方を優先する節があり、あまり約束事やら秘密ごとを護れるタイプの人じゃない。

 

話していて面白いけど、時々人の事を笑いのネタにするところは好きじゃない。

 

最近になってから、人のこういうところが好きとか、こういうところが嫌いとか、そういう区別がはっきり付いてきた。もちろん、八幡には不満に思うところはあっても、嫌いな部分なんて何一つない。

 

かおりちゃんが八幡の名前を出した事で、またあの話になるのかなぁと思い、話題を切り替えるための準備に入っていると、かおりちゃんの口からは意外な言葉が出てきた。

 

「最近、何か変わったよね〜」

 

口から出てきたのは八幡を馬鹿にするでも、笑いものにするでもない。まるで友達の事を話すかのようにかおりちゃんはそういった。

 

「何か前はさー、何時も一人でいるし、話しかけたらキョドるし、目……目がキモいし………。あれだったんだけどさぁ。今はなんての?水を得た魚?みたいな感じがするんだよね」

 

目のところだけ笑いを堪えながら言うかおりちゃんだけど、悪意は感じられない。

 

「え?なになに、かおり。もしかして比企谷の事、気になってんのwww」

 

かおりちゃんの話に興味津々に聞き返したのは篠宮梨花ちゃんだった。

 

梨花ちゃんは多分冗談のつもりで聞き返しているんだと思う。まさか、振った挙句、それを周囲に振り撒いた張本人なんだから。

 

「かもしんない」

 

でも、かおりちゃんは何時ものように「ウケるwww」とか言わずにあまり見たことのない真剣な表情で返した。

 

その返答に梨花ちゃんを筆頭に他の友達は驚きの声を上げる。

 

「マジで⁉︎あの比企谷だよ⁉︎」

 

「そうそう!いつもぼっちで本読みながらニヤけたりしてるやつだよ⁉︎」

 

「っていうか、かおりも迷惑だったって言ってたじゃん。急にどうしたの?」

 

「私にもわかんない。けど、取り敢えず最近比企谷変わったなー、って思っただけ。まだ半年しか経ってないのにウケる」

 

そう言って心底おかしそうに笑うかおりちゃん。なんか何時も通りだけど、何時も通りじゃない。

 

周りもそれがなんとなくわかっているのか、何時もみたいに同調して笑わなかった。

 

だから、そんなかおりちゃんの反応を見て、訊いてみたくなった。

 

「もしも………もしもね?比企谷くんにまた告白されたら………どうする?」

 

ガタタッ。

 

少し離れた位置から何かが転けそうになったような音が聞こえた。

 

ごめんね、八幡。でも、どうしても気になっちゃったんだ。

 

友達として………一人の女性として。

 

「どうだろね。今の比企谷は何か面白そうだし、あんな事の後でも告白してくるなら付き合うかもね。ま、比企谷が私にもう一回告るなんてあり得ないけど」

「何で?」

 

私がそう問い返すとかおりちゃんはきょとんとした顔で不思議そうに聞き返してきた。

 

「何でって………茜ちゃんと付き合ってるんでしょ、比企谷」

 

「「「「「へ?」」」」」

 

ガタタタッ、ドスン!

 

あ、今度は確実に落ちた。

 

けれど、皆は今、それどころではなかった。

 

かおりちゃんのトンデモ発言に目は飛び出そうになるくらい見開き、口は顎が外れるくらいに大きく開かれていた。そんな皆の反応とは対照的にかおりちゃんは続ける。

 

「私が男だったら、私みたいなのよりも絶対に茜ちゃん選ぶって。勝てる要素見当たらなさすぎて、逆にウケるんだけど。それでも比企谷が私を選ぶっていうなら、そんだけ私の事が好きってことになるわけでしょ?それに茜ちゃんが付き合うくらいなんだから、比企谷も面白いやつって事だと思うし。超つまんない奴だなーとか思ってたけど、私に見る目がなかったんだろうね、ウケる」

 

そう言っている割にはかおりちゃんはそれこそつまらなさそうに言った。

 

「そういう事だから。あり得ないけど、また告られたら次は付き合うかもね。好きとかそういうのじゃなくて、面白そうじゃん?ていうか、皆何その顔。マジウケる」

 

今度はさっき違って本当に面白そうに笑った。

 

かおりちゃん気づいてないんだね………。

 

私と八幡が付き合ってるという事実は誰も知らない事だったんだよ……。

 

「は、はは、かおりってば、何言ってんの……?茜ちゃんが比企谷なんかと付き合ってるわけ……」

 

「え?そうなの?たまに一緒に学校に来てるし、楽しそうに話してるから付き合ってるとはがり思ってたんだけど」

 

「………」

 

まるで追撃するようにかおりちゃんは梨花ちゃんに無意識の反論をする。かおりちゃんの言葉に梨花ちゃん以外の子はそう言われてみれば、という顔をするものの、それと同時にあり得ないというような顔をしていた。

 

そして気がつけば、クラス中の全員が話を止めて、私達の話に耳を傾けていた。

 

「茜ちゃんも……何か言わないと誤解されるよ?」

 

梨花ちゃんは表情を引き攣らせたまま、まるで懇願しているかのように私に問いかけてきた。

 

其処まで私と八幡が付き合っているという事実はあり得ないことなのだろうか。

 

誰かが誰かを好きになることにつりあいなんて存在しない。相応しいとか相応しくないとか関係ない。私は八幡の事が大好きで、八幡も私の事を好きだと言ってくれた。私のせいで酷い目にあったのに、それでも八幡は私の恋人になってくれると言ってくれた。

 

まだ何処が好きとか、お互いに恥ずかしくて言えていないけど、いつかは面と向かって言っても恥ずかしくないくらいにいっぱいいっぱい愛し合いたい。八幡にはいつか私無しじゃ生きていけないってくらいに愛して欲しい。 こう思うのは少し重いかもしれないけど、私はもう八幡がいないと生きていけないから。

 

だから、もう…………隠す必要はないよね、八幡?

 

梨花ちゃんの問いに答えることなく、私は転げ落ちた後の床に座ったままの八幡の近くまで歩いていく。

 

「ごめんね、八幡」

 

私は先にそう告げると八幡の顔を両手で優しく包み込み、そのままキスをした。

 

以前のものにくらべて、数秒にも満たないキスだったけど、今はこれでいい。

 

唇を離した後、呆けた様子で私たちの方を見る友達に私は高らかに宣言した。

 

「私、来栖茜と比企谷八幡くんはかおりちゃんの言う通り、男女のお付き合いをさせていただいています。なので、皆さんこれから私達の事を温かく見守っていってください」

 

ぺこりと一礼してそう告げた後、一足遅れでクラス中に絶叫が響き渡る。

 

『え、えええええええええええええっ⁉︎』

 

満足感を感じる私にその横で溜め息を吐く八幡。

 

そして、シンクロして驚いているという光景がツボにはまったのか、かおりちゃんだけが大爆笑していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや〜、笑った笑った」

 

「……そんなに面白かったか?」

 

「皆のあの顔……マジウケる」

 

「や、ウケねえから」

 

「ああいうリアクションを取ってくれたら、私も皆の前で宣言した甲斐があったね」

 

私の宣言の後、混乱に混乱を極めた教室の中で私と八幡、そしてかおりちゃんという異様な組み合わせで私達は話をしていた。私としては恋人と友達だけど。八幡からすれば恋人と元告白相手。かおりちゃんは全く気にしていないと思うけど、全体的に見れば、かおりちゃんが此処にいる事には首をかしげる人もいるだろう。

 

けれど、かおりちゃんはごく自然に、当たり前のようにするりと私達と話している状況に持ち込んでいた。かおりちゃんのこういうところは凄いと思う。こういう人との距離の詰め方の上手さがぼっちを自称する八幡からにとってかおりちゃんを好きになった要素の一つかもしれない。ああいった社交性の高さは私も見習わないとっ!

 

「それにしても、比企谷と茜ちゃんかぁ〜。すっごい組み合わせだよね〜。今はこのクラスの男子だけだけど、他学年他クラスの男子が聞いたら発狂するだろうね」

 

「流石にそれは………あるかも」

 

私としては其処までとは思わないけれど、何故かよく告白される。かおりちゃんも比較的告白されるらしいけれど曰く、私程ではないらしい。かおりちゃんの方が可愛いと思うんだけどなぁ。

 

「逆恨みした男子に闇討ちされるんじゃない、比企谷」

 

「マジでありそうで洒落になってねぇ……」

 

「だ、大丈夫だよ、八幡!私が八幡を護るから!」

 

「それは男として問題じゃね?」

 

「だよね、ウケる」

 

「や、ウケねえから」

 

つい、私と八幡が付き合ってると聞いた時のあの馬鹿にしたような反応に久しぶりにカチンと来てしまって、その辺りまで気が回らなかった。

 

どどどどどうしよう!八幡が!また八幡が病院送りになっちゃう!

 

「そんなに慌てる必要ないぞ。多分、折本の言ってるようにはならん」

 

慌てふためく私を見て、八幡は窘めるようにかおりちゃんの発言を否定する。

 

「でも、さっきはありそうって……」

 

「ありそうとはいったが、あるとは言ってない」

 

あ、今一瞬、なんか私の事馬鹿にした気がする。

 

そう言う持って回ったような言い方を八幡がするから、勘違いしちゃうんじゃん。私は本当に前みたいになっちゃうんじゃないかって心配だったのに。

 

「八幡のばか……本当に襲われたって護ってあげない」

 

「おう。自分の身は自分で護る。お前まで巻き込むわけにはいかんしな………第一、護るのは俺の役目だ」

 

「ッ⁉︎」

 

頬を膨らませてちょっとだけ不機嫌なアピールをしてみる私に八幡は思いも寄らない切り返しをしてきた。

 

ちょっ、八幡⁉︎そういうの反則!

 

かおりちゃんだっているのに、そんなこと言われたら………

 

「うぅ〜………」

 

「………」

 

「青春してるね、二人とも。こんな甘々な空気見せつけられたら、そりゃ襲う気なんてなくなるかもね」

 

私と八幡のやり取りを見て、かおりちゃんは少しだけげんなりとした様子で椅子にもたれかかる。

 

青春……か。

 

青春って今まで何を指しているのか。よくわからなかった。

 

友達と楽しく過ごしていれば青春なのか、部活動を頑張っていれば青春なのか、それとも恋愛をしていれば青春なのか。

 

ずっとわからなかったし、今もよくわかっていないけれど、かおりちゃんの言う今のこの恥ずかしいけれど、心地良いやり取りが青春だというのなら、私は青春が八幡の次くらいには大好きかもしれない。

 

「比企谷もよく喋るよね。私が話しかけてた時とか何時もどもってたのに」

 

「………そりゃ、好きだったからだろ。そういうもんなんじゃねえの」

 

「へぇ、そういうものなのかぁ」

 

バツが悪そうに話す八幡にかおりちゃんは感心したように頷く。

 

『好きだったから』。

 

八幡はそう言った。かおりちゃんが話しかけていた時、今のようには話せず四苦八苦していた。それはひとえに八幡がかおりちゃんの事を好きだったから。相手が好きな人だから嫌われたくないとか、好かれたいとかそういう事を考えていたという事なのかもしれない。

 

今思えば、私も八幡と携帯越しに話していた時、楽しくて、嬉しくて、なんとかして話を引き延ばそうと黙る事はあんまりしなかった気がする。幕張メッセに行こうって誘ったのも八幡と携帯越しじゃなくて、面と向かってお話したいって思ったからかもしれない。

 

私は私自身の好意に無自覚だったからああいう事が出来たのかもしれない。

 

本当なら八幡のように好きな人の前だと勝手に妄想したり、焦ったりして、知らず識らずのうちに自爆して。

 

ずっと一人芝居をしていたりするのかもしれない。

 

「うん。やっぱりさ、今の比企谷なら、告られても全然OKするかも。面白いしさ」

 

「いや、別に今頼んでないんだけど……」

 

「たらればの話。残念だったね、比企谷。後そうなるのが半年早かったら、茜ちゃんじゃなくて、私と付き合えたのにね」

 

「はいはい、そうかもな」

 

「何なら、今私と「かおりちゃん。冗談でも私怒るよ?」あはは、早いなー、茜ちゃんてば」

 

八幡は誰にもあげないもんっ。

 

まだ考えるのは早いかもしれないけど、出来れば八幡とは結婚して生涯ずっとこんな関係でいたいな、って思っている。

 

八幡がいれば、どんな困難でもきっと乗り越えられる気がするから。

 

「二人の甘々空間には私は入れないよ。比企谷だって、今更散々笑い者にした私なんかに告る気なんて起きないだろうしさ」

 

「………それとこれとは話は別だが、まぁ告る気はないな。現状には満足してる」

 

「だよね、ウケる」

 

「いや、だからウケねえから」

 

「でもさ。友達にはなれるんじゃない?」

 

「は?」

 

そう切り出したかおりちゃんに八幡は間の抜けた声を上げた。

 

仕方ないよ。時々、かおりちゃんてば、話題が飛ぶから。因みにこれはまだマシな方なんだ。

 

「ほら。私は面白い友達なら大歓迎だし、もし茜ちゃんに愛想尽かされたら、私が拾ったげるから」

 

「それは大丈夫。私は八幡に愛想を尽かされるまで好きでい続けるから」

 

「そっか。じゃあ、喧嘩した時にでも相談役したげる」

 

「喧嘩もしません。私と八幡は最高のパートナーだから」

 

「でも、喧嘩するほど仲がいいっていうよ?」

 

「あ、じゃあやっぱり喧嘩するね、一応」

 

「一応喧嘩するってどういう状態だよ………」

 

おかずの奪い合いとか?お菓子の取り合いとか…………後、好きなアニメキャラの論争とか!

 

「はい、比企谷。メールアドレスと電話番号。茜ちゃんがいるから、もう私のアドレスとか消してるでしょ?」

 

「いや、それを抜きにしても色々と気まずいから消してる」

 

「だよね、ウケる」

 

「だから………あーもうウケるでいいや」

 

八幡の方が折れて、かおりちゃんのメールアドレスと電話番号を登録し始めた。かおりちゃん強し!

 

「あれ、茜ちゃん。目の前で他の女子と彼氏がアドレス交換してても、怒らないんだね」

 

「私は八幡を信じてるから。それにそんな束縛するつもりもないし」

 

これから高校に進学したり、大学に進学したり、就職して社会に出たりしていけば、色んな人の連絡先が入っていくはずだ。

 

女の人の名前がアドレスにあるというだけで癇癪を起こしたりなんてしない。遊びに行っても全然構わない。その分、帰ってきた時にいっぱいいっぱい甘えさせてもらうだけだから。

 

「良妻賢母ってやつ?茜ちゃん良い子だね。比企谷、寧ろ茜ちゃん貰ってもいい?」

 

「ダメに決まってんだろ……」

 

「八幡からの貸し出し認定が出なかったのでダメです」

 

「つか、俺が許可出せば良いのかよ……」

 

「え?嫌だから、結局一緒だよ?」

 

私は八幡以外の人の物にはならないもん。

 

ふと思ったけど、こうしていると八幡とかおりちゃんは別に水が合わなかったわけじゃなかったみたい。

 

かおりちゃんが八幡のことをよく知らなかったから、付き合わなかっただけで、もし出会い方が違ってれば、私とかおりちゃんの立ち位置は逆だったかもしれない。

 

「……人の出会いって不思議だね」

 

「茜ちゃん、急にどしたの?」

 

「ううん、何でもない」

 

だからこそ、私はこの出会いを大切にしたい。

 

いつかきっと誰かが気づく事の出来る八幡の良さを誰よりも早くに気づく事ができた。

 

誰かを好きになれた事のなかった私がこんなにも好きになれた。

 

今まで告白してきた人達の中にもかっこいい人や良い人はいた。

 

けれど、私にとってはその人達は其処までの人で、ただ一人、八幡だけが越えられなかった境界線を越えてきてくれた。私に愛を教えてくれた。

 

だから、私は初めて知る事のできたこの想いを精一杯八幡に伝えたい。

 

私は不器用だからどうやって伝えればいいのかわからないけれど、ど真ん中のストレートで私の想いを常に八幡へと届けたい。

 

だって約束したから。八幡の事を信じ続けるって。

 

「さて、目下問題はあの飢えた狼から如何にして無事に帰宅するかだが……」

 

「大丈夫だよ、八幡。私がそばに居るから」

 

「……具体的にどう大丈夫かはわからんが……まぁ、茜がそう言うんだから大丈夫だろうな」

 

そう言って八幡は頬を緩ませた。

 

………あれ?ひょっとして、今私の名前呼んだ?

 

「八幡。さっきなんて言った?」

 

「なんてって………具体的に「その後」茜がそう言うんだから」

 

やっぱり!私の事を名前で呼んでくれた!

 

今までずっと『来栖』のままだったのに!

 

「八幡っ」

 

「な、なんだ?」

 

「やっと下の名前で呼んでくれたねっ」

 

「いや、前に呼んだと思う……違うか。あの時は寝てたもんな、お前」

 

「寝てた?比企谷。もしかして茜ちゃんと同棲でもしてんの?流石にそれはウケないわ……」

 

「や、そこはウケろよ。そうじゃなくてだな。前に一緒に寝た………あ」

 

八幡がしまったと口を閉じた時には時既に遅しだった。

 

私達の会話に聞き耳を立てていた男子は全員血の涙を流し(なんか凄く怖い)、女子は男子と違ってニヨニヨとこちらを見ていた。そういえば八幡って誘導尋問に凄く弱かったんだったね。時々、小町ちゃんにされては、聞いていないことまでペラペラと話しちゃうし。でも、それもそれでお茶目でいいと思うし、私も一緒だから。

 

「寝たって……………中学二年生が何して……」

 

かおりちゃんが珍しく表情を引き攣らせていた。凄いね、八幡。かなり貴重なシーンだよ?

 

「おい待て、お前は今盛大な勘違いをしている。寝たっていうのはそういう意味じゃ断じてない。同じベッドで一緒に睡眠を取った。ただそれだけだ!」

 

「八幡。何も其処まで詳細に言わなくても……」

 

皆の前でキスしておいてなんだけど、そう言われると恥ずかしいよ。

 

ただ、もっと詳しく言うのなら抱きしめあってたけど、それは言わなくてもいいよね?

 

………また八幡と一緒に寝たいなぁ。

 

この後、小さな騒動が起こり、その元凶として私と八幡は生徒指導室に呼ばれてこっぴどく怒られちゃった。

 

さっきの今だけど当分八幡と一緒に寝たりは出来そうにありません。

 

 

 

 




というわけで四話に一回の茜視点回でした!

折本が八幡或いは茜に論破されるのを期待されていた方はすみません。

私としましては極力アンチ・ヘイトやそれに近しい行為は好みませんので、こういう感じに避けて通る事があります。本当にすみません。

なので、少し無理矢理だった気もしますが、折本の心境の変化に加えて、さりげなく二人の甘々空間被害者第一号としてのポジションを確立しました。やったね、かおりちゃん!出番が増えるよ(適当

ところでタグにつけている『微エロあるかも?』ですが、皆さんはそういう展開をお望みでしょうか?もしお望みであれば書きますので、言ってください。


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