魔弾の王と戦姫 ~凍漣の雪姫と死神~   作:ジェイ・デスサイズ

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遅くなり大変申し訳ございません!!!!!!!
自分のパソコンを買えたのですが・・・仕事➔PCゲームの繰り返しで・・・。これからはちゃんと此処と他の二つも更新していきたいと思います!
それではごゆっくりどうぞ


第20話 死神と進む道

 日が昇るにつれて雲は少しずつ散っていき、冬の陽射しは弱々しいながらも地上を照らしている。

 昼と呼ぶにはまだ早いころ、ぺるしゅ城砦を囲む城壁に二人の少女の姿があった。いずれも十六、七歳ぐらい。軍衣を纏い、一人は腰に長剣を帯び、もう一人は槍を抱えて腕組みしている。

 城砦の外に広がり、せわしなく動き回っている無数の人馬と幕舎を二人は見下ろしていた。

 

「こうして見ると、私が少しジスタートに戻っていた間にいろいろあったのだと、改めて実感させられるな」

 

「そのままジスタートにいても良かったのよ。ライトメリッツを離れて数ヵ月。公主の不在はそろそろ限界ではないかしら?」

 

 やや悔しさの滲んだため息を零すエレオノーラに、ミラは皮肉めいた笑みを浮かべて挑発するような言葉を投げかけた。

 

「・・・お気遣いいただいて恐縮だが、私の部下は有能揃いでな。我がライトメリッツに後顧を憂うようなことなど何一つない。お前こそ、そろそろ故郷恋しさに泣き出したくなっているのではないか?」

 

「・・・あらあら。私の心配とはずいぶん偉くなったものね、エレオノーラ。肝心の戦に間に合わなかった分際で」

 

「肝心の戦か・・・。そうだな。確かに私は間に合わなかった」

 

 エレンの声が、急に力を失って弱々しいものになる。どんな反撃がくるかと待ち構えていたミラは意表を突かれ、思わず白銀の髪の戦姫に振り向いた。

 

「話を聞く限り、ブリューヌの貴族や騎士たちでもティグルを助けることはできなかっただろう。その点に関してはお前に礼を言うしかない。---。ありがとう、リュドミラ」

 

 最後の感謝の言葉に、ミラは若干の狼狽を表す。それほど真摯な響きを、エレオノーラの声は帯びていた。どう返したらいいものかととっさに思いつかずに言葉を探していると、エレンが再び口を開いた。

 

「だから、だ。お前の出番はもう終わった!さっさとオルミュッツに引き上げて大好きな紅茶でも飲みながらこの思い出を胸に抱いて余生を送るがいい!」

 

 ミラの顔は呆然からすぐに憤怒へと一変した。

 

「あ、貴女に人並みの心を一瞬でも期待してしまった私が愚かだったわ!戦姫ともあろう者が幼児以下の精神性と倫理観しか持っていないなんて恥を知りなさい!」

 

 可能な限り声を押し殺して、ミラはエレオノーラを怒鳴りつける。エレオノーラもまた声を抑えて、憤然とした感情を吐き出した。

 

「そのセリフはそっくり返してやる!自分の言葉を省みて、幼児以上の精神性であると胸を張れるかどうか考えてみろ!---あぁ、すまん。張れるほど胸はなかったな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―たまたま城壁を散歩していたら、中々面白いものを見つけたものだ・・・フフ、流石ボクだな―

 

「(エレオノーラとミラは会うたび喧嘩をすると聞いてはいたが、本当に喧嘩ばかりなんだな)」

 

 と、心で思ってはいるものの実際はお腹を抑えて笑いを堪えるのに必死である。

 

 -な、内容がただの子供の喧嘩と変わりないじゃないか。【戦姫】と言っても、やはり年相応の女の子・・・と言ったところかな―

 

「さてさて、次はどんな言葉かな♪」

 

【「そのセリフはそっくり返してやる!自分の言葉を省みて、幼児以上の精神性であると胸を張れるかどうか考えてみろ!---あぁ、すまん。張れるほど胸はなかったな」】

 

 -・・・むぅ、胸か―

 

「(ボクももうこの歳だし、ボク自身は自分の身体に何の不満も無い。愛しの旦那様も愛してくれるからね。)」

 

 ―だが、言われると気にしてしまうな・・・やれやれ、ボクもまだ女ということかな?-

 

「母さん?こんなところでどうしたの」

 

 なんて、考えていると息子の声が聞こえた。

 

「別になんでもないさ・・・言うなら、【男】には分からない話・・・と、いうわけさ」

 

「お、おぉ・・・そうだ、ミラ見てない?」

 

「ミラかい?さぁね、案外近くにいるかもしれないよ?」

 

 ボクはそう言い残すとジェイの肩をポン、と叩きその場を後にする。

 

 -帰ったらデュオに可愛がってもらおうかな?まぁ、拒否権は無いけど、ね♪-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・フ、くだらないわね。胸の大きさが何だっていうの?」

 

「心にゆとりが持てるぞ?損得しか考えられない誰かさんとは違ってな」

 

「あら、胸が無ければゆとりが無いみたいな言い方ね?まるで子供みたい」

 

「何?」

 

 胸の事で挑発すれば食いつくか、話題を逸らすかしてくると思ったエレオノーラは意外な反応に眉をひそめる。

 するとそこに死神が現れた。

 

「ミラ、いるのか?」

 

 ジェイはミラがいるのを確認すると、いつものように傍に寄って来る。

 

「教えてあげるわ、エレオノーラ。胸しかゆとりが取れない貴女と違うってことを」

 

 そう言うとミラは寄って来るジェイの左側により歩いて行くと、慣れた動きでジェイの腕に抱きつく。

 

「なっ・・・」

 

「フフ、どう?胸だけじゃ手に入らないものの方が多いこともあるのよ」

 

 腕にギュッと抱き着いたまま勝ち誇った顔したミラ、そのミラを睨み歯噛みするエレオノーラ。

 

「フンっ、私は中へ戻る。貴様と違ってやることがあるのでな」

 

 そう言い残すと背を向け、そのまま中へ戻って行った。

 

「また喧嘩か、ミラ?

 

 ジェイはミラの頭を優しく撫でながら問いかける。

 

「んっ。仕掛けてきたのはあちらだもの、火の粉を払ったまでよ」

 

 撫でを拒むことなく、気持ちよさそうに受けながらミラは答える。

 

「・・・ったく。俺達も中に戻ろう、冷える」

 

「仕方ないわね」

 

 その後、部屋に戻り紅茶を飲んだ後、会議に向かった。

 




どうでしたでしょうか?一応頑張りましたw
次は20.5みたいな話にしてみたいと考えています。ネタがなかったらそのまま続きになりますw
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