世界を渡りませんか? IS編【更新停滞中】   作:tarmil

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幻想へ

『存在を疎める......ねぇ.....』

 

 

すべてはこの一言から始まった。

 

 

「そう、存在を疎めれば『無意識を操る程度の能力』みたいにできると思うんだけどね。どう思う?」

 

 

『できるとは思うけどな。ま、()()()()とか()()()()は勘とか能力とかで気づくと思うがな。』

 

 

「そんなことは覚悟の上だよ。」

 

 

『何をしたいのか解らないのはいつものことか......』

 

 

「ま、いいでしょ。さ、行こうか。」

 

 

そう言って萃香は、久しぶりというか、分銅を付け、角を戻す。

いまから幻想郷に向かおうとしているところだ。

 

 

『お?今から行くのか?』

 

 

「ん?そうだけど。」

 

 

『どうやって行くんだ?『外』からじゃ場所はわからないんじゃないか?』

 

 

「どこかはわからなくても行ける方法があるんだよ。」

 

 

『......どうやるんだ?」

 

 

「実質方法は2つ思いついた。一番簡単な方法は、『幻想郷』という()()に自分を萃めるということだ。」

 

 

『まぁ、確かにそういう方法はあるな。それで、もう一つは?』

 

 

「ああ、『幻想郷』つまりは()()()()ということだ。ということは()()()()()()()ということだ」

 

 

『......ほう?』

 

 

「つまりは、()()()()()()()()()()()ということだ。......まぁ、長々と話したがやることは一つだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()んだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

萃香は消えた。

 

 

________________________________________________________________________________

 

『まぁ、こうなるだろうな』

 

 

「うん、同感だよ。......ここ何処だ?」

 

 

移動した先には森林しかなかった。

 

 

幻想郷の敷地は、有力者の建物や村を除けばほとんど森林だ。

だから、幻想郷内の場所を指定せずに転移すると、やはり森林に来てしまうのだ。

 

 

「ま、これくらいならどうにでもなるしね。」

 

 

『それで、どうするんだ?』

 

 

「また行く場所に対して自分を萃めるだけさ。」

 

 

『ほう?』

 

 

 

 

 

 

また萃香は消えた。

 

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『......やっぱりここになるのか。』

 

 

「うん、予想はついちゃうよね。」

 

 

わかるとは思うが、目の前には例の紅い館がある。

 

 

つまりは紅魔館である。

 

 

『っていうことは目的の人物は?』

 

 

「そう、フランさ。」

 

 

『でもあいつは()()()ではない。ここにいるとは限らないぞ?』

 

 

「いや、あのフランはいくら精神が大人以上でも()()()()()()だ。子供は家に帰りたがるものでしょ?」

 

 

『そんなものかねぇ......』

 

 

「ま、行けばわかるでしょ。

 

 

 

 

 

フランが目的っていうだけであってフランに会うとは言っていないしね。」

 

 

 

 

 

そう言って紅魔館に正門から入っていった。

 

 

「先に行っておくよ。今回の目的は『説得』だ。」

 

 

『力でか?』

 

 

「いや、今回は戦闘はなしだ。あくまで幻想郷との関係は良くしたいからね。」

 

 

『......策でもあるのか?』

 

 

「ないとこんなことしない。ま、苦労するかはしないかはわからないけど。」

 

 

『......まぁ、それは萃香次第だが。何の説得をするんだ?』

 

 

「もちろんフランのことさ。ここにいるフランのもともとは一夏だったね?」

 

 

『ああ。』

 

 

「その一夏は平行世界にいたんだったね。その一夏は前世で死んでしまったけど。死にきれなかった......まぁ、成仏しきれなかった。だから記憶を一時的に封印してフランとして転生した。まぁおさらいはここまでかな。」

 

 

『それはそうだが、それをどうするんだ?』

 

 

「何、簡単なことだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏を成仏させるだけさ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____________________________________________________________________________

 

 

『......寝てるな?』

 

 

「......寝てるね。」

 

 

『今のうちか?』

 

 

「......だね、通っちゃうか。」

 

 

そして門に手をかけようとしたその時。

 

 

「......なんであなたがここにいるんですか?『外』にいたはずですけど。」

 

 

目の前にいたはずなのに後ろから声が聞こえた。

 

 

『寝てたよな?』

 

 

「寝てたよね。」

 

 

「寝てました。」

 

 

「......通ってもいいよね?」

 

 

「いえ、通しません。」

 

 

「.......咲」

 

 

「ああああ通ってもいいですよ!」

 

 

第一関門クリアだね。

 

 

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図書館に入るとそこにはベッドがあり、そこにパチュリーが寝込んでいた。

 

「......」

 

 

「......通ってもいいよね?」

 

 

「......もういいわ、今日は喘息が酷いし。」

 

 

 

 

 

 

「......ね?」

 

 

『いやいやちょっと待て』

 

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「そこの鬼。なぜここにいるのかしら?『外』にいたはずだけど。」

 

 

「なぁに、話し合いをしに来ただけだよ。」

 

 

「戦うためではないと?」

 

 

「そっちの『妹様』をどうにかする方法があるのさ。」

 

 

「......」

 

 

咲夜は目を見開いた。

 

 

「......案内してくれる?」

 

 

「......わかったわ。」

 

 

そう言って紅魔館の奥に入っていった。

 

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「で、フランを元に戻す方法があるの?」

 

 

「うん、本当の確証はないけどね。」

 

 

「......何をすればいいんだ?」

 

 

「なに、簡単だよ。

 

 

 

 

 

フランを倒すだけさ。」

 

 

 

 

 

「......それを私が許すと思っているのか?」

 

 

 

「だからここに来たのさ。それなりの理由はあるさ。」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

まずは輪廻転生の仕組みについて説明しておく必要がある。

 

 

実は萃香が神界にいた際にトゥールから説明されていたのだ。

 

 

人間の死んだ魂は冥界に行き、しばらくすると記憶などを消してまた生を得る。

 

 

ただし、一夏はそれの例外だ。

 

 

一夏の場合、生前の憎悪の量が冥界では受けきれないほど多かった。

そのため、一夏は冥界へ行かず一夏としての記憶を封印して違う世界の(いま萃香がいる世界の)フランへ転生した。

 

 

要するに、もともと、『一夏』の記憶や人格と、『フラン』の記憶と人格が同時に存在していたのだ。

()()同時に存在していれば同然『一夏』の人格・記憶のほうが勝って表に出てしまう。

 

 

だが『一夏』を封印したことによって紅霧異変前では、『フラン』の記憶と人格が勝って表に出ていたものの、魔理沙との戦闘によってその封印が解かれて、『一夏』が表に出てしまったのだ。

しかし、ここで元の『フラン』が失われてしまったわけではない。

 

 

ということは、今の『一夏』を倒して持っている憎悪をなくすことで、成仏......つまり、冥界へ行かせられるのだ。

 

 

色々言ってきたが、ただすることは一つだ。

 

 

『一夏』を殺さない程度に倒すだけだ。

 

 

すると、『一夏』が持っている憎悪は消えるのだ。

そして、成仏できる。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「......確かにそうかもしれないが」

 

 

「うん、ただ『一夏』は成仏しきれなかっただけ。だから、成仏させて冥界でゆっくり暮らしてもらおうって訳。」

 

 

「......『運命』が見えないな。......まぁいい。()()協力してもいいのだが」

 

 

「......やっぱりいたんだ。」

 

 

そう言って二人は何もない空中に視線を集める。

 

 

「あら、やはり気づかれちゃうのね?」

 

 

そこから現れたのはやはりというか紫だった。

 

 

「まぁ、さっきまであの閻魔と話していたのだけど、意見はあなたたちといっしょよ。」

 

 

「それなら話は早いね?」

 

 

 

 

 

 

 

こうして幻想郷創始史上初めて幻想郷の『外』と『内』が結託したのであった。


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