皇族直轄機関、タナトス。
それは、帝国の敵を抹殺、暗殺するために作られた機関だ。
一般の帝国臣民には国家機密として情報規制がされているが、唯一知ることができるのは、軍に所属しているものか、皇族だけ。
もちろん、国家機密なので軍を抜けた一般兵などは情報規制のため軍を抜けた後暗殺されている。
タナトスとは、死を司る神でもあり、また”死”そのものでもある。
「すまないが・・・・上からの命令だ。・・・死んでくれ。」
そういって美しい黒髪を風になびかせた少女は、少女の前に立つ男3人を、ナイフ一振りで殺した。
男たちはそのまま少女の方に倒れようとするが、少女はサッと横によけて、男の血を浴びずに住んだ。
・・・・・・最も、ナイフで殺した時に帰り血が付いてしまっているが。
「あれから6年か・・・・。随分慣れたもんだな。」
と少女は自嘲めいたように言った。
☆☆
「・・・っ、はああああ・・・・」
黒髪の少女はあの後、タナトスのトップに報告し、自分の家に帰った。
自分の家に帰っても、一人暮らしなので出迎えてくれるものは誰も居ないが。
prrrrrrrrrrrrrrrrr
「・・・・ん?」
自分の半ズボンのポケットを見ると、中に入れてある携帯が震えていた。
ポケットからだし、少女は通話ボタンを押した。
「はい、もしもし。」
少女はいつも、電話に出てから安易に名前を名乗らないようにしている。
なぜなら、自分は国家機密の暗殺機関の人間だからだ。
<久しぶり、ルシエ。>
聞こえた声は、懐かしい幼なじみの声だった。
「・・・!その声、イツキか!久しぶりだな。どうして電話番号がわかったんだ?ここ4年間くらい音沙汰なかったのに。」
<ああ、君を好いている男から聞かせてもらったよ。もちろん軍の人間ね。相変わらず君は男たらしだね~>
「!?・・・なんだ男たらしって。そういうお前こそ童顔のくせして女たらしじゃないか!」
<はは、変わってないね、君。相変わらずのスパコン並みの頭脳と、研ぎ澄まされた暗殺技術を持っているってことかな?>
「まあ、そういうことかな。」
ルシエにとってイツキは、唯一本音で話せる友人だった。
まだ両親も他界しておらず、あの幸せだった頃からの、幼なじみ。
「で、どうしたんだ?用件は?」
<用件がなかったら電話しちゃいけないのか?>
「それはつまり、用件がないということか?」
<いや、今日はちゃんと要件があるよ。君に言いたいことがあったんだ。>
「・・・・?」
<じつは、僕の所属しているチームが、君のいるタナトスに移動になったんだ。>
「・・・なっ、チームごと、か?!」
<うん、全くの異例らしくて・・・。ま、来週から君の部下になるからよろしくね~>
「・・・話がいきなりすぎるだろ・・・・」
全く・・・イツキが部下なんて、仕事に私情を挟んでしまいそうになるじゃないか。
一緒に仕事ができることは嬉しいが。
とにかく、久しぶりに聞いたイツキの声が元気そうでよかった。
・・・・・・女たらしの噂はかねがね聞いているが。
これが、悪夢の始まりだった。
end
ちょっと今回はシリアスっぽい感じで行きました。
読んでいただけて、嬉しいです。