剣がすべてを斬り裂くのは間違っているだろうか   作:REDOX

14 / 97
この前日間1位になってて、あぼーんってなりました。どうも読んでいただいてありがとうございます。お気に入りも3000突破しました。これからも頑張っていこうと思います。


試行錯誤・上

「これが?」

「うん」

 

 今日は鈴音さんに刀の詳細な情報をまとめるために彼女の家へと呼ばれた。家と言っても共同住宅の一室なのだが、その一室にはずらりと刀が並んでいてとても女性の部屋とは思えない空間だった。

 

 そして今、私の手の中には透き通った青い石が握られている。鈴音さんはこれを結晶と言い、彼女のレベルを飛び越えた武器生成の素だと教えてくれた。

 人差し指と親指で挟んで光にかざしてじっくりと見てみる。何も言われずに渡されたらそこらに落ちている綺麗な石だと思ってしまうような物だ。

 

「本当にこんなものが……ッ!」

 

 石を目に近づけた瞬間、身体全体に悪寒が走ると共に何かの記憶が脳に直接捩じ込まれ、思わず結晶を地面に落としてしまった。

 

「ど、どうしたの!?」

 

 自分の物ではない、誰かの記憶。薄暗いダンジョンの床で徐々に冷たくなっていく感覚さえもが自分の身体へと植え付けられる程、その記憶は鮮明だった。

 そしてその誰かは願った、地上に戻りたいと、家族に会いたいと、死にたくないと。世界を呪いながら、その願いで頭を埋め尽くしその誰かは死んだ。

 

「死に、たく」

「アゼルさん!?」

 

 思考が記憶に塗りつぶされ、誰かの囁きが頭の中を反芻していく。

 

『何故俺が、俺だけが』

『何もしていないのに、何もできていないのに』

『こんな薄暗くて、誰にも見つからないような場所で』

『死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない』

『死にたく』

「うる、さい」

 

 そして私は何かを斬った。

 それは以前フレイヤと対峙した時と同じような感覚であったが、あの時の支配力は今より断然強く、抗い難い物だった。

 

「あ、アゼル、さん?」

「はあ……何ですか?」

 

 気が付くと鈴音さんが目の前で私の服を握りながら心配そうに私の顔を見上げていた。涙目で今にも泣きそうになっていたので安心させるように頭を撫でる。

 床に落とした結晶を一瞥すると見事に真っ二つに砕けていた。私の視線を追い、それを見た鈴音さんが驚く。

 

「え、ええ? な、なんで」

「……で、それは何なんですか? 名称とかではなく、根本的に」

「え、えっと」

 

 鈴音さんが気まずそうに目を逸らした。私に異常をもたらしたのが結晶以外ありえない状況なのだ、それを渡した鈴音さんに気にするなという方が無理な話だ。

 

「怒ったりしませんから」

「ほんと?」

「ええ、もうなんともありませんから」

 

 嘘である。未だに記憶は私の中に残っているし、思い出すだけで背筋がゾクゾクする。

 

「死んだ人の思念、です」

「はい?」

 

 その予想の斜め上を行く回答に私は思わず声を出してしまったが、誰も私を責めはしないだろう。それはつまり、幽霊などそういった類の物の話だ。信じていない身としては、どう返答していいか困って仕方ない。

 

「ほ、本当だよ!」

 

 

 

 

 

 それから鈴音さんは自分の経歴を話した。

 

 鈴音さんの家、つまり忍穂家は古くから続く退魔師の家系らしい。この場合、魔というのはダンジョンにいるようなモンスターなどではなく、怪奇現象などのことのようだ。

 そんな家の次女として産まれた鈴音さんであったが、上に兄が二人姉が一人いたおかげで家を継ぐなどという事はまったく考える必要もなく、自由に生きていたらしい。その結果として今はオラリオで刀鍛冶をしている。

 

 そして、忍穂家に受け継がれてきた先天的魔法があり、その魔法こそが忍穂を退魔師として大成させたものだった。現在でも退魔の役目は受け継がれていて、オラリオには存在しないお祓いファミリアという形で東方の一部の地域で続いているらしい。

 その魔法こそがあの結晶を作り上げたものだ。

 

 忍穂家に代々受け継がれてきた【封魔結晶】という魔法。

 現世に漂う残留思念を封じ結晶に固め浄化する魔法。そして副次効果として、漂う残留思念が目視できるようになるというものだ。つまり、鈴音さんは幽霊のようなものが見えるらしい。

 

 そして、その残留思念こそが私に影響を与えた物であり、私が斬った物でもある。

 身体の入り込んだ異物を排除しようとする防衛本能に従って乗り移ろうとしていた思念を斬り、その結果結晶は真っ二つに割れた。

 

「思念が乗り移るなんてこと起こるんですか?」

「今まで見たことなかったけど」

「けど?」

「わ、私の封印が甘かったから、かな……ごめんなさい」

「いえ、まあ私が最初に触れた人間でよかったと言うべきか」

 

 謝りながら鈴音さんは土下座をしようとしたが肩を掴んで止める。ヘスティア・ファミリアでも土下座という謝り方がある(ヘスティア様直々に教えてもらった)ので分かったが、恐らくそれほど広まっていない謝り方だ。

 他の人間であればあの段階から逆らうことはできなかっただろう。いや、もしかしたらオッタルなら精神力と主神に対する忠誠心でできるかもしれない。

 

「も、もうなんともない? ほ、本当に大丈夫?」

「大丈夫ですよ。あれより強烈なやつを受けたことあるので」

「す、すごいね?」

 

 どれほどの支配力だったのか分かっていない鈴音さんは小首を傾げて言うが、本当に美の女神の魅了を一度受けていなければ危なかったかもしれない。

 

「私の刀にも結晶を使うんですか?」

「そ、そのつもりだけど……いや?」

「いや、というか大丈夫なんですか?」

「だ、大丈夫! 私が結晶化したのじゃないから。こ、これ」

 

 そう言って彼女はテーブルの上に置いてある袋から一つの結晶を取り出した。今さっきの青いものより何倍も大きく色は赤い。

 

「昔から家にあるやつで、今まで殆ど劣化してない奴だから、安全だと思う」

「それ使っていいんですか?」

「わ、私のだから、いいの」

 

 光にかざして見たり、額にくっつけてみたりして何も異常が起きないことを確認する。数分間石を身体にくっつけては反応を待ち続けるという、一見阿呆のように見える私とそれを眺める鈴音さん。

 

「まあ、これなら大丈夫そうです」

「よ、よかったぁ」

「そんなにこれが使いたいんですか?」

「う、うん」

 

 変な拘りがあるものだ。話を聞いた限り、どの結晶がどのような思念で、どのような思念がどのような効果を発揮するのかも分かっていないのに。

 

「それで、何故結晶を使うと武器が強くなるのかは分かってるんですか?」

「強い想いは時に現実にも影響を与えるから」

「まあ、そのための退魔師でしょうからね」

「だから、それを封じた結晶を武器に組み込むと強くなるんじゃないかなって」

 

 残留思念や霊などが見えない、信じてもいない私にとっては分からない感覚だが事実結晶は見せてもらったし、彼女の扱いを見るに結晶を使った武器は確かに通常考えられない効果を宿していたのだろう。

 

「ふっ」

 

 思わず笑いがこぼれてしまう。

 彼女の結晶を用いた鍛冶は、他の鍛冶師からしたら鍛冶師の存在を脅かす、他人の努力を踏みにじるような物だ。しかし、それは私も同じこと。

 【(スパーダ)】は鍛冶師の必要性を限りなく少なくしてしまうスキルだ。鈴音さんに会っていなければ今頃もまだ適当な剣でダンジョンに潜っていただろう。斬ることが可能な物でさえあれば、刀であろうと爪であろうと何でもいい。当然それは極端な話ではあるが、現在のダンジョン到達域で不自由はしていなかった。

 

「どうしたの?」

「いえ、意外な所で似ていたということに気付きましてね」

「何が?」

「私と鈴音さんがですよ」

 

 あまり他人に【剣】のことを話すなとヘスティア様に言われているが、自分のもっとも重要な魔法を教えてくれた彼女に、私も誠意を見せなければならない。それに、専用に武器を打ってもらうに当って知っていたほうがいいことだろう。

 

「私には【剣】というスキルがあります。効果としては、斬ることと斬らないことの取捨選択。つまり、私が斬ると決めたら大抵の物は斬れます。先ほどの思念もこのスキルで斬りました、半ば無意識でしたが」

「え……」

 

 私の言葉を聞き鈴音さんが唖然とする。当然の反応なのだが、ここまで直接教えたのは初めての事だったので新鮮な反応だった。

 

「言ったでしょう? 私もなかなかのいんちき剣士だ、と」

「で、でも。普通に、強かった」

「ええ。でも、普通は武器の切れ味などの関係であそこまで無理な探索はできません。そんな無茶ができるのはこのスキルのおかげですよ」

「……そっか」

 

 もう既に冷静に戻っている鈴音さんが少し不思議に思えた。普通こんなスキルを聞いたらもっと驚いたりするものだと思ったのだが。現にヘスティア様はかなり驚いた。

 

「そっか」

 

 そう言って彼女は自分の手を眺めて、握ったり開いたりしていた。嬉しそうに微笑みながら、私の怪訝そうな表情を見た彼女は言った。

 

「昨日、倒れたのはね、その……ちょっと驚いたからというか」

「驚いた?」

「うん、アゼルさんの手が温かいのに冷たくて、柔らかいのに鋭くて。人の手なのに、刀の刃のように感じたの」

「……」

「だから、その……納得した、かな」

 

 刀鍛冶なりに彼女の感覚は私の特性を感じ取っていたのかもしれない。なにせスキルというのは魂に宿っていると言っても過言ではない。その一端が外に漏れ出てしまうことも、あるのだろう。

 と、なると腕の良い鍛冶師は私に違和感を覚えるということなのかもしれない。今後気をつけないといけないことが増えた気がした。

 

 

■■■■

 

 

 ガシャガシャと音を立てながら、鈴音さんが何本もの刀を持って隣を歩く。

 私に合った刀を把握するために、彼女が打った数々の刀を見たのだが、やはり振ってみないことには分からないという結論に至りダンジョンへとやってきた。

 

 刀を選ぶに当って大切な事は色々あるが、鈴音さんが最も重視するべきと言ったのは重心の位置であった。当然手元から離れた場所にあればあるほど遠心力が働き振るう速度は上がる。しかし、その反面小回りが利きづらくなってしまうので、自分の腕力や技量を考慮した最適の重心が大切らしい。

 それに加え、刀身や柄の長さ、刃の厚みや反り加減など特注で打つに当っては色々と情報を集める必要があると言われた。

 

 現在は5階層。自分の癖を把握しながら、自身の一挙手一投足に気を付けて剣を振るわないといけないので浅い階層のモンスターを相手にしている。鈴音さんも私の動きを見ているので突然の接敵に対しても5階層程度のモンスターであれば余裕を持って対処できる。

 モンスターもすぐ倒すのではなく、何度か斬り刻んで、刃の感触なども確かめながら探索をしている。

 

 モンスターの強さはかなり物足りないが、動きに集中することでより良い刀の振り方が分かってくる。体重移動に腕の曲げ具合、振り抜く時の手首の力加減など刀の扱いに関して私の未熟な点を上げていけばキリがないのだ。

 

「じゃあ、次お願いします」

「はい」

 

 そう言って鈴音さんは一本の刀を私に手渡し、私は持っていた一振りを彼女に返した。

 

 角を曲がると、緑色の集団が現れた。蛙の姿をそのまま大きくしたモンスター、フロッグシューターだ。私と鈴音さんに気付くとゲコゲコ鳴きながら戦闘態勢になった。

 

「行きますッ」

 

 軽く踏み込みながら、刃が上を向いていた鞘を捻り刃を下にする。射出されたフロッグシューターの舌に対して刃を滑らせるようにして抜刀しながら斬る。振るった腕や肉を斬った感覚などに注意しながら、次々射出される舌を必要最低限の足捌きで避けて斬っていく。

 全員の舌を斬ってしまったのか、フロッグシューター達は突進してきた。

 

 突進を斜め前に避けながら刃を滑らせて横一文字に斬り裂く。刃の滑り方や重心の位置を気にしながら飛んできたもう一体のフロッグシューターを着地する前に逆袈裟に斬り捨てる。

 

 最後に残った一匹が恐れをなして逃げようとしているところに肉薄し頭に高速の突きを入れる。なんの抵抗もなく刃は根本まで突き刺さり、脳を破壊してフロッグシューターは倒れた。

 一度刀を振るって血を払い、納刀する。

 

「ど、どう?」

「重心が少し先の方に寄りすぎているので、ちょっと勢いがありすぎます。できればもう少し手元寄りのほうが振りやすいです。後、柄巻は二番の奴のほうが握りやすかったですね」

「重心はもう少し手元の方が良くて、柄巻は二番の少し柔らかいの、と。長さは?」

「もう少し長い方が私の好みです」

「分かった」

 

 私の感想を聞きながら鈴音さんは紙に色々と書いていく。そして、別紙にどのような刀にするのかの案を固めていっている。

 こんなに真剣にやってもらえるのは嬉しいのだが、なんだか申し訳なくなってくる。特注品ということで値ははるだろうし、私も何かお返ししなければならない気がしてきた。

 

「昨日教えたばっかなのにもう私より上手い」

「まあ、夢の中まで振るってましたから。今朝起きた時おかしい体勢で主神に笑われましたよ」

 

 イメージトレーニングも行き過ぎると夢の中にまで出てきてしまう。幸い冒険者となり身体が頑丈になったおかげで寝違えることなどはなかった。

 

「それにしても、今回は上手くできてよかったです」

「そうだね」

 

 今まで何度も勢い余って勝負を一瞬で済ませてしまったことがあったのだ。後々握るであろう刀を思い浮かべるとどうしても身体に力が入ってしまい手加減ができなくなってしまうのだ。

 

「鈴音さん何度もその袋の中見てますけど何かあるんですか?」

「え、ううん! なんでもないよ」

 

 戦闘中少し横を見て鈴音さんが持っている袋の中を何度も見ているのを確認したので聞いてみる。突然の質問に驚きながら返したからか、声色が固かったが聞かれたくなかったことなのかもしれない。詮索するのはやめておいた。

 

 

「あれ、アゼル?」

「ん? おや、ベルじゃないですか。こんな所で会うとは奇遇ですね」

「いや、それはこっちのセリフだよ。こんな浅い階層でなにしてるの?」

 

 後ろから声を掛けられ振り返ってみると、ベルが人を一人連れて歩いてきた。ベルに気付いた鈴音さんは急いで私の背後に回った。ベルは怖がるような男性では絶対ないのですが。

 

「少し考えながら戦っているので、かなり余裕を持って戦える階層にいるんですよ」

「考えながら?」

「ええ、新しい武器を打ってもらうので」

「新しい武器! なになに」

「これですこれ」

 

 そう言って私は腰に差してある刀をベルに見せる。それを眺めるベルの目がキラキラしていることから、かっこいいと思っていることがありありと伝わってくる。

 

「誰に打ってもらうの? もしかして」

「ええ、そのもしかしてです。こちら、私の武器を打ってくれる鍛冶師の鈴音さんです」

「お、忍穂鈴音、です」

「あ、僕はベル・クラネル。アゼルとは幼馴染で同じファミリアです」

「そちらの方は?」

 

 二人とも礼儀正しくお辞儀をして挨拶をしていて、ベルの背後にいる人物は置いてけぼりだった。大きな鞄を背負った小柄な人で、一瞬驚いたが力持ちの小柄な冒険者など掃いて捨てるほどいる。フィンさんという小人族(パルゥム)でありながらオラリオでかなり強い部類に入る人もいるのだ。

 

「昨日からサポーターとして一緒に探索してる人。リリルカ・アーデって言うんだ」

「リリルカ・アーデです。リリとお呼びくださいアゼル様」

 

 フードを取ると頭に付いた犬耳が現れる。小人族ではなく犬人(シアンスロープ)の少女だったようだ。

 

「様?」

「冒険者様はいつもこう呼んでいるので、気にしないでください」

「はあ」

 

 いきなりの様付けだったので違和感を覚えたが、相手がそう呼びたいというのならそれでいい。

 

「たくさん剣があるけど、全部試してるの?」

「ええ。後二本で終わりですけど」

「じゃあ、見てていい?」

「別にいいですが、ベルはもう探索しないんですか?」

「うん、荷物が一杯になったからもう帰るところなんだ。いいかな、リリ」

「ベル様がそうしたいのなら」

「こっちも構いませんよね鈴音さん」

 

 小さく頷いた鈴音さんを確認し、ベルを連れて帰り道を歩きながら敵を見つけて刀を振るった。ベルに戦っている姿を見せるのは久しぶりだと思いながら、どうせなら本気を見せてあげたかったと心で呟いた。

 

 

■■■■

 

 

 ベルとリリが本日の稼ぎで大喜びしている横で私と鈴音さんは今後の予定について話し合っていた。

 

「情報、集まったから、後は私の仕事」

「分かりました、後のことはお任せします。私にできることがあればなんでも言ってください」

「じゃ、じゃあ、その……手触ってもいい?」

「構いませんけど」

 

 そう言って手を差し出すとおずおずと差し出された手に触れ始める鈴音さん。手の平を揉むようにして押したり、撫でたりしている。

 

「お二人は、そういう関係なのですか?」

「鍛冶師として私の手が気になっているだけですよ」

 

 それが刀を打つ事に必要なことなのか、それとも彼女が私の手に感じた感触を再度確かめているのかは分からないが。

 

「そういうリリはどうなんですか? こう見えてベルはかなりモテモテですよ」

「ちょ、ちょっとアゼル何言ってるの!?」

「リリとベル様はまだ会って二日目ですので」

「私と鈴音さんも出会って三日しか経ってないですよ」

「……随分仲がいいんですね」

「まあ、馬が合うんですよ色々と」

 

 刀という共通の興味と、お互いが鍛冶師の存在を脅かすような異端者であるということ。私としては一緒にいて何も不都合はないし私の知らない知識を与えてくれる彼女のことを快く思っている。

 

「あ、アゼルはこの後どうするの?」

「この後ですか? 鈴音さんはどうします?」

「帰って、すぐ取り掛かりたい」

「分かりました。じゃあ家まで送りますね」

「だ、大丈夫だよ」

「そんなにたくさん、持ちにくいでしょう?」

 

 そう言って彼女の持つ刀の差してある袋を見る。来る時も私が三分の二程持っていたので、帰りもそうしないと彼女も困るだろう。

 

「そっか、この後リリとご飯食べに行くんだけど、どうかなと思って」

「店を教えてもらえればぜひ行きたいですね」

「豊饒の女主人だけど」

「鈴音さんを送り届けてから向かいますね」

「分かった! さ、行こリリ!」

「ベ、ベル様!」

 

 そう言ってベルはリリの手を握って歩いて行ってしまった。ベルにしては強引な方だと思ったが、相当嬉しそうだったので興奮しているだけだろう。

 

「さ、では私達も行きますか」

「うん」

 

 刀の入った袋を持ち上げ、鈴音さんを連れて彼女の家へと歩みを進める。

 この時ベルに付いて行っていれば、救われる女神が一人いた事など知る由もなかった。

 




閲覧ありがとうございます。
感想や指摘などがあれば気軽に言ってください。

まったく話しが進んでないという……
また何か刀について感想を貰うかもしれないと少しビビっている。思ったけど、そこまで詳しく書かなくてもよかったのかもしれない。

※2015/09/14 7:12 加筆修正

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。