Blood&Guilty   作:メラニン

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メェェェリィィィクリスマスゥゥゥ!!!!

くそったれぇぇぇぇ!!!











・・・はい、クリスマスですね。


では、どうぞ。


戦王の使者編XIV

アイランド・イーストの人工増設島(サブフロート)において、今現在そのクズ鉄と、コンクリートで出来た小さな造形物は本体である絃神島から切り離され、洋上を辛うじて漂っている様な状態だ。幸い、小さな人工物と言っても、その質量は膨大である。故に、未だに潮に流され、太平洋のど真ん中に向かって航海へ出る様な事にはなっていない。

 

 

だが、問題はもっと別のところにある。人工増設島(サブフロート)の海の中にある部分は、大したダメージは無いのだが、地表はそうでは無かった。大地はまるで巨大なスプーンか何かを引き摺った様に抉り取られ、建築物という建築物は、無事なものは無い。薙ぎ倒され瓦解しているか、跡形もなく吹き飛ばされているかのどちらかだ。

 

 

その原因は絶賛、そんな廃墟にも近い状態の場所で暴れまわる古代兵器と、二頭の獣が原因だった。

 

 

「疾く在れ!『獅子の黄金(レグルス・アウルム)』!『双角の深緋(アルナスル・ミニウム)』!」

 

 

『ガアァァーーー!』

 

 

『ヒヒィィーーー!』

 

 

二頭のそれぞれ電撃と、高周波を撒き散らしている獣は、宿主の指示に従い戦場を駆け抜ける。二頭の通った後には何も残らず、強いて言うのならば、それらが通った爪痕とも言える破壊の跡が残るだけだ。その二頭に流石の古代兵器もまるで、オモチャの様に宙を舞い上がり吹き飛ばされる。

 

 

吹き飛ばされて、重低音を響かせ大地へと叩きつけられる古代兵器なのだが、持ち前の『元素変換』によって、周囲の物質を自身の破損箇所へと変質させ、修復してしまう。

 

 

「ちっ、本当に厄介だな。ナラクヴェーラの『元素変換』ってのは。このままじゃジリ貧になっちまう」

 

 

「そこは、頑張ってよ、古城。っと、はあぁぁ!」

 

 

弱音を吐く古城に集は、激励の言葉をかけ、他から迫ってきていたナラクヴェーラの爪を避け、カウンターとばかりに、爪を『すべてを断ち切るハサミ』で切断する。だが、当然切断された箇所は『元素変換』で元通り修復しようとする。だが、それをただ見ているだけではない。さらに一本、もう一本と切断し、ダルマ状態にしてしまう。そして、その上からは銀閃が流星の如く落ちてくる。

 

 

「『雪霞狼』!」

 

 

雪菜が未だに動こうとするナラクヴェーラの背面装甲へと機槍を突き刺したのだ。さらに、それだけで終わらず、刺した状態の『雪霞狼』を横へとスライドさせ、切り口を作る様に斬り裂いた。

 

 

「今です、紗矢華さん!」

 

 

「ええ、分かってるわ、雪菜!」

 

 

そこへ飛び乗る様にして、紗矢華が躍り出て彼女の武装である『煌華麟』を雪菜の空けた切り口へと突き刺す。

 

 

「ぶった斬れなさい!」

 

 

紗矢華は回転する様にして『煌華麟』を一閃し、ナラクヴェーラの胴体を、空間断裂による力で文字通り真っ二つにしてしまう。いくらナラクヴェーラとはいえ、自分の内部に斥力場など発生させられない。そんな事をすれば、自壊し兼ねないからだ。だからこそ、紗矢華たちはそこを狙った。

 

 

「今よ、暁古城!」

 

 

「ああ!打ち上げろ、『双角の深緋(アルナスル・ミニウム)』!」

 

 

古城が指示を出し、それに従い緋色をした双角獣は真っ二つにしたナラクヴェーラの下に高周波を発生させることで地面を破裂させる。それによって見るも無残な古代兵器は人工増設島の遥か上空へと打ち上げられる。そして、それを待っていたかの様に、稲妻を纏う獅子が駆ける。

 

 

「焼き尽くせ!『獅子の黄金(レグルス・アウルム)』!」

 

 

古城は空中に向けて、全力で眷獣を放った。空へ放つのならば、周囲への被害もほとんど出ない。それ故に古城は全力で眷獣を解き放ったのだ。何気に古城にとって、眷獣を一切の手心を加えず全力で攻撃させるのは初めての事なのかもしれない。そんな第四真祖の本気の一撃を受けたのだ。流石のナラクヴェーラもこれには耐えきれない。電気によって、内部の回路は焼け焦げ、雷撃による熱で断面から焼かれるのだ。攻撃を受けたナラクヴェーラはほぼ跡形もなく消し飛んだ。

 

 

「っし!イケるぞ!――ぶっ!」

 

 

「危ない、古城!ごめん!」

 

 

古城がガッツポーズを取ろうとした瞬間に、集に押され古城は大地にキスする羽目になった。古城は恨めしそうに顔を上げるが、自分の居た場所には淵が赤熱した黒い穴が空いており、集が自分を助けたのだと理解すると、さっさと立ち上がる。

 

 

「すまねえ、桜満。助かった」

 

 

「いいよ、別に。それよりもアレだけやって、ようやく一体か……」

 

 

そう、彼らの目の前には、まだナラクヴェーラがウジャウジャと鬱陶しいほど居るのだ。先ほど古城に吹き飛ばされた数機も戻って来ていた。それを見て古城は露骨に疲れた様な顔をする。

 

 

「………あと何体居るんだろうな?」

 

 

「分かりません。少なくとも10や20よりも遥かに多いと思います。この人工増設島(サブフロート)中に居ますから」

 

 

「はぁ………ったく、人を助けるってのも楽じゃ無えなぁ」

 

 

「何当たり前の事言ってんのよ、暁古城。口よりも手を動かしなさい」

 

 

「しかし、このままでは埒が明かないのも確かです」

 

 

「…………古城、姫柊さん、煌坂さん、頼みがあるんだけど」

 

 

集の言葉に3人の視線が集まる。集は多少、無理があると分かっていても、この状況を打開するための案を口にする。それに対しては三者三様の言葉を漏らす。

 

 

「………確かに、これだけの数のナラクヴェーラが起動してしまっている以上、それが唯一確実な方法だと思います。しかし……」

 

 

「無茶もいいとこよ、その案」

 

 

「………やれるのか、桜満?」

 

 

「うん、大丈夫だと思う。だから、なんとかして道を切り拓いて欲しいんだ。この数を相手に無茶なのは分かってる。でも、やっぱりコレは僕がやるべき事だと思うから。………だから、力を貸して欲しい」

 

 

古城、雪菜、紗矢華の3人は視線を交わすと、意を決した様に首肯した。即ち、集の作戦を実行するという事だ。

 

 

「分かったなら、さっさと行動を始めましょ。まずは、あいつらの足を止めるわよ」

 

 

先に紗矢華が一歩前へ踏み出し、手に持った『煌華麟』を掲げる。すると、紗矢華の持つ銀の長剣はみるみるその姿を変えていく。刀身が2つに割れてスライドし、刀身であった部分は弓幹(ゆがら)へと変形し、剣の柄であった部分は照準器の様に前方へと突出する。新たな持ち手が現れ、霊力による弦が刀身であった部分の先端同士を結びつけ、重厚装甲を持った霊弓へと姿を変えた。

 

 

六式重装降魔弓(デア・フライシュッツ)。これが『煌華麟』の真の姿よ。これで足止めするけど、相手はコッチの攻撃を学習する古代兵器。チャンスは一度だっていう事を肝に銘じておきなさい」

 

 

紗矢華は男勢に少し厳しめの言葉を浴びせると、スカートで隠れていたホルスターから矢羽を取り出した。先端は尖っているが、手にすっぽりと収まる様な小さな矢だ。それを紗矢華は自分の横へと掲げると、霊力を籠めることで、霊力による矢を完成させる。それを弓へとつがえると、祝詞を唱え始め、弓を引き絞る。

 

 

「獅子の舞女(ぶじょ)たる高神の真射姫(まいひめ)が讃え奉る――!」

 

 

構えた弓の照準を上へと向け、さらに霊力を籠めることで、矢はより一層の輝きを放つ。

 

 

「極光の炎駒(えんく)、煌華の麒麟、其は天樂(てんがく)と轟雷を統べ、憤焔をまといて妖霊冥鬼を射貫く者なり!」

 

 

紗矢華は弦を留めていた指を離し、天高くへと矢を放った。それは昇る途中で高音を上げつつ昇っていく。つい、その高音に耐え切れず、古城が苦言を漏らす。

 

 

「………な、何だ、この音は?」

 

 

「あれは鳴鏑矢です。紗矢華さんは人間の肺活量や声帯、発音が不可能な喪われた秘呪を、ああいった魔弾で詠唱するんです。そして、詠唱が完了すれば――」

 

 

雪菜の説明が終わったところで、鳴鏑矢は所定の位置へと達し、空に巨大な呪術による方陣を描く。そして、そこからは薄っすらと青い光が降り注ぐ。

 

 

「何だ、あの光――おお!?」

 

 

「ダメです、先輩!下がってください!」

 

 

古城の襟首を雪菜が思いっきり引っ張り、古城は強制的に後ろへと下げられた。すると、どういう事か、古城のいた場所の地面はボコボコと腐敗し始めたでは無いか。それを見て、古城の顔は青褪める。

 

 

「舞威姫の得意とするのは呪詛と暗殺。いくら神々の古代兵器と言えども、耐え切れない量の呪術による瘴気を生み出したんです。先輩がいくら第四真祖と言っても、この量の瘴気を浴びれば、タダでは済みませんよ?」

 

 

確かにナラクヴェーラの動きは軒並み停止し、ピクリとも動かない。神代の平気でこれなのだ。雪菜の言った通り第四真祖であっても、この様な瘴気の雨の中に飛び込めば、タダでは済まないだろう。だが、それを見て今度は集が飛び出そうとする。

 

 

「じゃ、じゃあ、いのりは――ぐぇ!?」

 

 

先ほどの古城同様に襟首を引っ張られ、集は強制的に後退させられた。

 

 

「安心して下さい、桜満先輩。あれは上から降り注ぐタイプの物です。ですから、『女王(マレカ)』のコックピット内にいる限り、楪いのりさんは無事です。……さぁ、暁先輩、私たちで道を作りましょう」

 

 

雪菜は勇ましく、『雪霞狼』を構える。それに倣い、古城も雪菜の隣に立ち、背後にいる集へと言葉を贈る。

 

 

「はは…ホント姫柊は頼もしいな…………って訳だ、桜満。最後の美味しいところは譲ってやる。だから、必ずお前にとって大事な存在だっていう、あの子を救い出せよ」

 

 

「古城、姫柊さん………うん、2人とも、ありがとう。……………いのりを救い出して、それで終わりだ。『罪の王(ぼく)』がこの戦いを終わらせる」

 

 

集も古城たちと並び立ち、目標を見定める。彼らの目指す場所は1つ。あとは、そこへ向け全力で駆ければいいだけである。そして、その先陣は古城が切った。

 

 

「疾く在れ!!『獅子の黄金(レグルス・アウルム)』!『双角の深緋(アルナスル・ミニウム)』!ガラクタ共をまとめて吹き飛ばせ!」

 

 

まるで、宿主の感情に呼応するかの様に、黄金の獅子と緋色の双角獣(バイコーン)は『女王(マレカ)』までの道筋にいる、瘴気によって動かない古代兵器を吹き飛ばした。たとえ、瘴気の中といえども、彼らの動きが鈍る様な事は無いのだ。そして、大きく開いた一本道の障害は、空から降り注ぐ瘴気のみだ。だが、それに臆することなど無い様に、雪菜は『雪霞狼』の石突きを地面に突きを立て、祝詞を唱え始める。

 

 

「獅子の巫女たる高神の剣巫(けんなぎ)が願い奉る――!」

 

 

立てていた『雪霞狼』を雪菜は前方へと構え、足を踏み出し、古城の開いた道を駆け抜ける。そして、瘴気を斬り裂きながら、祝詞の続きをを唱える。

 

 

「破魔の曙光、雪霞の神狼、鋼の神威(しんい)をもちて我に悪神百鬼を討たせ給え!」

 

 

ついに、『女王(マレカ)』へと機槍を突き立てることに雪菜は成功した。そして、彼女の背後には瘴気の無い一本道が広がり、そこを全力で駆け抜ける人物がいた。右手に『すべてを断ち切るハサミ』を持ち、瞳を赤く染め、獣人顔負けの速度で駆け抜ける。

 

 

「行ってください、桜満先輩!」

 

 

「ありがとう、姫柊さん!」

 

 

集は一気に跳躍し、『女王(マレカ)』の頭部へと迫る。狙いは『女王(マレカ)』のコックピットだ。その表面を斬り裂き、コックピット内部を露出させるつもりなのだ。だが、それを防ぐ様に黒い影が集へと迫る。

 

 

「まだ、やらせはしない!」

 

 

「なっ!」

 

 

「クリストフ・ガルドシュ!?」

 

 

飛び出して来たのは、獣人化したクリストフ・ガルドシュだ。『女王(マレカ)』の下に潜り込み、上から降り注ぐ瘴気を回避したのだろう。そして、瘴気が『女王』の付近だけ晴れ始めた事により、集へと襲いかかったのだ。集も咄嗟の事で空中で進路変更などできない。ガルドシュの爪が集の喉元に迫る。

 

 

だが、その爪が集の喉を掻っ切る事は無かった。ガルドシュの身体には、幾重にも見たことのある鎖が巻き付いたからだ。急な援軍に集は一瞬動きが鈍るが、今はそれよりも自分の目的を果たすことを優先すべきと思い、その手に持ったハサミを振りかぶる。

 

 

「こ、この鎖は!?――やめろ、『ジョーカー』!」

 

 

「いのりーーーーー!!!」

 

 

集はハサミを一気に振り抜いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何処かで声がした。とても聞き覚えのある、それでいて凄く自分の聞きたかった声だと、少女は闇に沈んでいたはずの意識を浮上させかける。まるで、自分の身体を背後へと手で引っ張られてる様にも錯覚するほど、また彼女の意識を沈めようとするほど、その闇は濃かった。

 

 

同時に目の前から刺してくる明かりに目を薄く開ける。まだ、視界も聴力もイマイチハッキリしない。だが、それでも彼女はその目で、ボンヤリと映るその顔を確かに見た。その顔が焦った様な、でも嬉しそうな、だがどこか泣きそうな表情を見て、フッと微笑んだ。

 

 

それとほぼ同時だろうか?彼女の頭に送られてくる情報が止まり、彼女の意識は再び闇の中へと引きずり込まれた。

 

 

 





うーん、自分では整理したつもりなんですが、何とも・・・


言いたい事がとっ散らかるんですよねぇ・・・
まぁ、この辺は今後の課題として、改善していきます。





さて、いつも感想や質問、アドバイス等々、書いてくださる読者諸兄の皆様、ありがとうございます。本当に感謝感謝です。


さてさて、質問にございました「古城って、いのりの血を吸うの?」という要旨の質問についてですが・・・・・・






吸わせません!ハーレム野郎が人の女に手を出すな!


・・・別に古城が嫌いなわけではありませんよ?ただ、作者自身が、それはNTRっぽくて嫌なだけです。


って事を考えております。



ではでは、皆様。メリークリスマス!!

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