Blood&Guilty   作:メラニン

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さて、いきなり集と、古城が接触します。
そのきっかけは、何なのか!?


って感じです。


では、どうぞ!


罪の王冠
罪の王冠編Ⅰ


 

絃神島(いとがみじま)

 

 

太平洋上に浮かぶ小さな人工島。日付は7月28日。時刻は夜中の10時を少し過ぎた程だろうか。街には公共の灯りが輝き、夜でも公道を明るく照らしている。この島は金属と、樹脂、カーボンナノファイバーなどを主な原材料として作られ、太平洋上に作られた島ではあるのだが、それとあともう一つ。決定的な材料でできていた。それは魔術である。しかし、今しがたこの島に急に現れた少年が知る由もない。

 

 

それもその筈だ。この少年、桜満(おうま)(しゅう)は魔術などというトンデモナイ技術など存在しない場所から来たのだから。

 

 

その少年は街の明るい公道とは程遠い真っ暗な公園に急に現れた。暫く動けないでいたが、動けるようになってから起き上がり周囲を見回す。

 

 

「……一体、ここは?………いや、それよりも、いのりは!?」

 

 

ボンヤリしている意識に鞭打って、立ち上がった集は、まずは灯りのある方へ向かう。しかし公園を出る前に立ち止まった。それは、周囲の様子が明らかに自分の居た場所とは違うため、警戒をしたのが理由の一つだ。そして、もう一つは自身の『右腕』だ。

 

 

彼の元々あった筈の右腕は既に無い。エクソダスという作戦を実行した際に、涯に切り落とされたからだ。しかし、なぜ『右腕』が彼に存在するのか。それは、彼の『右腕』こそがヴォイドだからだ。

それ故に、今の桜満集の『右腕』は薄い紫色の様な結晶状であり、一言で言ってしまえば異形である。見知らぬ土地で、そんな異形な部位を晒していては警戒されるか、捕まってしまう。それは望むところでは無い。彼にはいのり、という少女を探す目的があるのだから、一分一秒が惜しいのである。

 

 

集は首に巻いていた赤いマフラーを包帯の様にコートから露出している右手部分に巻く。少し不恰好だが仕方がない。そう思いつつも、まずは情報を集めようと夜の街に踏み出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アイランド・サウスというのは絃神島の南の地区であり、住宅密集地でもある。当然住宅密集地と言うことは、それだけ多くの需要がある。そこにコンビニでもあれば、そこで経営しているコンビニはほぼ安定した業績を保てると言っても過言ではないだろう。(当然、ある程度の商品の売り出し方や工夫は必要だろうが)

 

 

 

そして、そのコンビニに夜遅くに訪れていた客がいた。その客は既に買い物を済ませて、偶々買えた限定版のアイスにご満悦である。若干多目に買ってしまったのは反省すべきであろうが、そこは保存をしておけば長持ちする物ではあるので、問題は無いと思い直す。

 

 

大きめの瞳に、豊かそうな表情で一目で快活そうであると分かり、ピンで後ろ髪を結い上げて半袖のTシャツにミニスカート姿の少女は、アイスの入った袋を振りながら上機嫌で家路に着く。顔はまだ幼さが残るが、年齢は14、5歳といったところで、体型は平均的くらいだろうか。

なぜ、そんな彼女がこんな夜遅くに出歩いているのかと言うと、風呂上りに楽しみに取っておいたアイスを彼女の兄が誤って食べてしまったのだ。その兄本人は、入れ替わりですぐに風呂に入ってしまい、さすがに今すぐ買ってこいとは言えなかった。その事で一通り小言を浴室の外から浴びせると、兄の制止も聞かずに家を飛び出したのだ。

 

 

始めの内はその事でプリプリ怒っていたが、先ほどの限定版のアイスのお陰で機嫌は最高潮に戻っていた。しかし、その直後に彼女の機嫌は台無しになる。

 

 

「お、ねぇねぇ、君。女の子がこんな夜遅くに1人で出歩くなんて危ないよ?なんなら、送って行ってあげよっか?」

 

 

いかにもチャラそうな男が話しかけて来たのだ。この手の手合いは相手にするのが疲れるので、彼女は聞こえないフリを決め込んで、足早に去ろうとする。こんな事なら無理にでも、あの盗み食いをした忌々しい愚兄をパシって買わせてくれば良かったと後悔する。しかし、後悔は既に遅かった。男はグループだったらしく、いつの間にか囲まれていたのだ。

彼女を取り巻く人数は4人。中学生の彼女にとって、大人の男4人に囲まれるのはそれなりに恐怖だった。そして、つい声を荒げてしまったのだ。

 

 

「あの、離れてください!家はスグそこですから、送ってもらう必要なんか無いです!」

 

 

それがマズかった。反抗的な彼女の態度に男達が反応してしまったのだ。彼女は内心でしまった、と思っても、もう時既に遅し。内1人が無理矢理彼女の肩を抱いてきたのだ。それに対して彼女は両手で突っぱねる様にして離れようとするが、当然力負けしてしまう。

 

 

「い、いや!離れて――んむぅぅ!?」

 

 

さらに1人が悲鳴を上げようとした彼女の口を抑えて、同時に片腕も掴まれて抵抗できなくされてしまった。こうなってしまっては、女子中学生1人の力でこの場は切り抜けられない。彼女自身は恐怖で身が竦んでしまって動けない。助けを求めて、頭の中に兄の姿を思い浮かべる。

 

 

「おい!」

 

 

急な制止の声。その声に不良達が振り返る。そこに立っていたのは、自分の兄などではなく見知らぬ他人だった。一言で言えばその姿は異様だった。若干茶髪掛かった髪に兄と同じ高校生くらいだろうか?という年齢。身長は自分の兄と同じか、少し低いくらいだ。

ここまでは普通なのだが、問題はその格好だ。常夏の人工島である絃神島においては着ているだけで熱中症を起こしそうな黒のロングコート。黒のパンツルックという如何にも見ているだけで暑苦しい格好だ。そして、一番気になるのは右手に巻かれている赤い布だ。それが一層怪しさを醸し出している。

 

 

「あぁ?何だよ、お前も混ざりたいのか?別にいいけど、俺らが先だぜ?うぇへへへ」

 

 

「ってか、まさかとは思うけど、今時正義の味方ですぅ、とか止めてくれよ?ウケないから」

 

 

不良達が勝手な事を口走る。それに辟易した様に今しがた現れた少年は口をひらく。

 

 

「正義の味方、とは思わないけど、少なくともアンタらみたいなロクデナシよりはマシな人種だと思うよ?」

 

 

「「「「あぁ?」」」」

 

 

逆撫でする様な発言に不良達が反応した。捕らわれている彼女は自分以外の他人が巻き込まれてしまった事に混乱しつつも、今のこの状況を見届ける以外に選択肢はない。実際に今も彼女は不良の内の1人にガッチリ捕まっている状態なのだ。そして、残りの3人で少年を取り囲む。

 

 

その光景に彼女自身はより一層巻き込んでしまった罪悪感が大きくなる。しかも、失礼ながら助けに入ってくれたであろう彼はお世辞にも喧嘩が強そうには見えないのだ。彼女の兄よりも細いので、こんな風に不良達に囲まれてはスグにやられてしまうという想像が頭をよぎる。実際に彼女が知る由も無いが、その少年自身はバリバリの文化部に所属していた過去を持っているので、少し前まで運動などは平均もいいところというのが事実。

 

 

しかし、予想に反して少年は喧嘩の仕方が分かっているからなのか、決して死角である背後には回り込ませない様に少しずつ移動しながら立ち回っている。不良達は急に現れた少年の隙のなさに舌を巻きつつも、その内の1人が殴りかかる!

 

 

彼女は拳が当たるであろう瞬間に目をギュッと閉じた。そして、そっと恐る恐る開けた目に飛び込んできたのは、少年の前に倒れている先ほどの不良だった。そこから彼女は目の前で何が起こっているのかが解らなかった。次々と襲いかかる不良と少年がスレ違う度に1人ずつ倒れて行く。

その光景は正しく異常だった。そこで、彼女を抑えてた不良がナイフを懐から取り出し、首筋に突き付ける。

 

 

「ひっ……」

 

 

「お、おい!お前何しやがった!?い、いや、それよりも動くなよ!?そのままジッとしていろ!」

 

 

当の少年は不良を哀れむ様な視線を一瞬向けると、両手を挙げて戦意が無いという意思表示をしつつ、口を開いた。

 

 

「あなたが大人しく引いてくれるなら、僕はこれ以上干渉はしません。そこで伸びている人達にもお望みなら謝ります。けど、その子は傷つけ無いようにして下さい」

 

 

少女は驚いた。明らかに優勢である少年がむしろ降参するという内容に近い事を言っているのだ。しかし、不良本人はそれが気に食わなかったらしく、捕まえている彼女を連行しながら、少年の前に進んだ。

 

 

「テメエ、コケにしやがって!!だったら、詫びて死ねぇぇ!」

 

 

「ダメエェェェ!!!」

 

 

首筋に当てられていたナイフが少年に向けられる。彼女は必死に叫び、コンマ数秒後に訪れるであろう未来に絶望した。しかし、彼女が想像した未来は来なかった。なぜなら――

 

 

 

「テメェ、ウチの妹に何してやがる!!」

 

 

「ぐぶっ!!?」

 

 

不良は突如として現れた横からの拳を避けられずに、顔面が歪んだ。その衝撃に従って不良は2mほど吹き飛んだ。

 

 

「こ、古城君!?――ぴゃっ!?」

 

 

「古城君、じゃねえ!だから俺が行くって言っただろうが!!…………はぁ、取り敢えず無事で良かったけどよ」

 

 

急に現れた白いパーカーを羽織り、色素の薄い髪をした少年は少女にチョップをかますと、文句を言った後に溜息を吐きつつも安堵したように息を吐いた。

 

 

「う、ううぅぅ…………ごめんなさい」

 

 

彼女本人も反省しているのか、主人に怒られた猫のように身を小さくしている。そして、パーカーを着た少年は目の前に立っている黒づくめの格好の少年に視線を向ける。

 

 

「えっと………あんたは?こいつらの仲間じゃないよな?」

 

 

「ちょっと、古城君!!失礼な事を言わないで!この人が割って入ってくれなかったら、あたしどうなってたか分からないんだからね!そもそも、原因は古城君が勝手にあたしが楽しみに取ってたアイスを食べちゃったからでしょう!?」

 

 

「そ、そりゃ、悪かったけどさ……」

 

 

「ぷっ……」

 

 

目の前で行われてる騒々しいやり取りに、少年は吹き出してしまった。少年の体感時間だと、約1時間ほど前まで殺し合いをしていた状況から、目の前の賑やかな状況に変われば無理もないだろう。それに気付いた少年と少女は、気まずそうに一旦そのやり取りを中断した。そして中断してすぐに、今度は黒い少年の「ぐぅぅ〜」という腹の音に、二人の少年と少女が吹き出した。

 

 

「えっと、凪沙が迷惑掛けたみたいだな、スマナイ。俺は(あかつき)古城(こじょう)。で、コッチの小うるさいのが妹の(あかつき)凪沙(なぎさ)だ」

 

 

「ちょっと、古城君!小うるさいって何!?」

 

 

「ははっ。僕は桜満(おうま)(しゅう)。それで、聞きたい事が――」

 

 

「ねぇねぇ、それよりも集さん?でいいのかな?じゃあ、集さんはお腹空いてるよね!?あ、そうだ、改めまして古城君の妹の暁凪沙です。さっきはありがとう!それでお礼にご飯食べていってよ!あ、今日生姜焼きだったんだけど、集さん大丈夫?食べられる?生姜苦手とかじゃない?」

 

 

「えっと、苦手じゃないですけど、まずは話を――」

 

 

「良かったぁ。じゃあ、私と古城君の家はスグそこなの!行こ!あ、古城君、罰として荷物持って」

 

 

「荷物って、アイスくらい自分で持てよ」

 

 

「いいから!じゃあ、行こ!集さん!あ、集さんって何歳なの?見た所古城君と同じくらいかな?」

 

 

まくし立てられる様に話す彼女に目を回しながらも、集は手を引かれて強制連行される。その後ろ姿を見ながら、荷物を押し付けられた古城は「やれやれ」と言いつつ、不良を任せる旨を特区警備隊に連絡を入れ、既に先を歩く2人を追った。

 

 

 

 

 

 

 

「ごちそうさまでした。何だかすいません、ご馳走になってしまって」

 

 

「いや、いいんだ。それよりも悪かったな。凪沙のワガママに付き合わせちまって。ああなったら俺でも凪沙の奴は止まらねえんだ」

 

 

「あ、あはは……」

 

 

2人の少年、暁古城と桜満集は暁家のリビングでゆったり過ごしていた。この場に桜満集が居る直接的な原因である暁凪沙は外に出てまた汗をかいてしまったと言って、本日二度目の入浴中である。

 

 

「あの、それで聞きたい事があるんですけど」

 

 

「ああ、それは俺もなんだが………互いに一つずつ質問しよう。まずは、先に質問してくれていいぞ」

 

 

「じゃあ、僕から。ここって一体何処なんですか?」

 

 

「何処って………ここは絃神島だろ?なんだ、アンタ島外から来たのか?それも、ここの名前も知らずに?」

 

 

「えっと、まぁ。急に訳も分からないまま、来たので。けど、絃神島………聞いた事無いな」

 

 

「え?そりゃ、おかしくないか?世界的に見ても数えるくらいしかない魔族特区だぞ、ここは」

 

 

急に出てきた『魔族』という言葉に、集は頭が付いていかなくなる。この暁古城という少年が嘘を吐いている様にも思えない。

 

 

「えっと、魔族?ちょ、ちょっと待ってください。魔族って?」

 

 

「魔族が何ってそりゃあ……人狼とかえっと………吸血鬼とか?」

 

 

ますます集は頭が付いていかなくなる。この少年はなぜお伽話の存在を口にするのか、理解に苦しんだ。人狼?吸血鬼?そんなファンタジー世界の言葉に頭が混乱する。

 

 

「じゃあ、次は俺からの質問だな。ちょっと気になったんだが、あんた何でそんな風に右手を隠すんだ?それにそんな厚着ってこの島じゃおかしいだろ」

 

 

古城の質問はもっともだ。ここは東京の遥か南方に位置する絃神島。常夏な気候の上に、今は7月。少なくとも冬物を着ている季節ではない。

いや、それよりも古城が気にしているのは彼が頑なに隠している右手だ。赤いマフラーを巻いて隠しているのが非常に気になってしょうがない。先ほどの食事の席でも凪沙の指摘に対して、はぐらかしていた。何でもアリのここ魔族特区である絃神島においては、それは警戒する原因になるのは当たり前だった。

 

 

「えっと、さっきも言った様に急に来たので、服とか持ち合わせが無くて」

 

 

「ふーん………ま、服装については分かったが、右手は?」

 

 

果たして見せてもいいべきか、否か。集は暫く考えるとマフラーを外して、彼の右手を外気に晒した。

 

 

「………それは」

 

 

古城は息を呑んだ。集の右手は薄い紫色をした水晶の様な質感の結晶で出来ていたのだから。古城は近付くと、しげしげと注意深く観察する。

 

 

「ふーん、なるほどな。もしかして、アンタはこれを治療するためにこの島に来たのか?」

 

 

「え、治療?」

 

 

「ああ。この島じゃ原因不明の病気だって治せるかもしれないって技術が集まってるからな」

 

 

ポカンとする、集。それもそうだ。この右手を見せれば気味悪がられて追い出されると思っていたからだ。しかし、古城本人の口から出たのは、この右手が病気によるものだという推測だった。そして、集はその治療のためにこの島に来たのでは?と言っているのだ。気味悪がるどころか、気遣うようなところを言う辺りは、この古城という少年らしいと言えばらしいのだろう。

 

 

「ヤッホー、上がったよぉ〜………って、何!?その手!?集さん、それって大丈夫なの!?って言うか、もしかしてさっき隠してた原因ってコレ?うわあぁぁ、だったらゴメンなさい!私無責任な事聞いちゃったよぉ!」

 

 

集はますます分からなくなった。この異形とも取れる手を見ても、怯えるどころか心配してくるこの兄妹の感覚が分からない。

 

 

「あの………2人はこの右手が気味悪くは無いんですか?」

 

 

それを聞いた古城と凪沙の2人はキョトンとする。

 

 

「えっと……まぁ、集さんって右手がこうなってるだけで、人間でしょ?なら、私は平気!さすがに魔族だとちょっと怖いって思うけど。あ、集さん、試しに触ってみてもいい?」

 

 

「あ、あはは……いいよ」

 

 

「うん、ありがとう!」

 

 

「おいおい…」

 

 

凪沙は集の了解を得た後、ツンツンと結晶の腕を触り始める。それに対して古城は一瞬顔を顰めるが、凪沙に続くように口を開く。

 

 

「まぁ、凪沙の言う通りだな。俺もアンタの事は怖いとも気味が悪いとも思わない。あー………で、さっき急に来たって言ったよな?宿泊先ってあるのか?」

 

 

古城のその言葉に集は考えないようにしていた事を思い出す。そう、この島は彼にとって見知らぬ土地であり、当然宿泊先なんて無いし、現金だって持っていない。そうなると、当然最悪の場合野宿を覚悟しなければならない。しかし、暁兄妹がこんな境遇の少年を放り出すような事はしなかった。

 

 

「え!?集さん、今日泊まるとこ無いの!?なら、そう言ってくれればいいのに!あ、手ぶらって事は服とかも無いよね?服は古城君のでいいか。寝るところは――」

 

 

「俺の部屋でいいだろ。床で悪いが、余ってる布団を敷けば何とかなるだろ。矢瀬(やぜ)も前にそうしてたしな」

 

 

「あ、そうだね。じゃあ、前に矢瀬(やぜ)っちが使った布団を出しとくね。じゃ、先にお風呂入っちゃって。着替えは後で古城君に持って行かせるから。さあさあ、どうぞどうぞ!」

 

 

「え、えと、あの、ちょっと!?」

 

 

何かを言う暇もなく、グイグイ背中を押され、集は暁家の浴室に押し込まれてしまった。

 

 

「…………どうしよう?」

 

 

集は答えの返ってくる筈の無い呟きを漏らす。

 

 

 

 

 

 

 

 

暁兄妹が客人である集の寝床の準備などを終えて、リビングで一息ついていた。

 

 

「それにしても、集さんのあの手って何なんだろうね、古城君?」

 

 

「ん〜、さあな?まぁ、本人が隠してたって事はあまり突っ込んで欲しくは無いって事だろ」

 

 

「あ、そうだよね。いけないいけない。けど、何で急に絃神島に来たのかな?急に来たって言ってたけど、何でなんだろ?何かよっぽど急な用事でもあったのかな?」

 

 

「まぁ、そこはまた明日にでも聞けばいいだろ。今日は凪沙を助けてくれたお礼って事で泊まってもらって、休んでもらおうぜ」

 

 

「うん、そうだよね。うーん、けどあたしを助けてくれた時の集さん格好良かったなぁ。古城君とは比べ物になんないくらい」

 

 

「ぐっ!?い、いや、って言うか、凪沙!?」

 

 

凪沙イタズラっぽく言うが、当の古城本人は割と本気で傷ついていた。そして、凪沙の態度や言動に焦った様に凪沙の名前を呼ぶ。

 

 

「えへへ、冗談だよ、古城君。さ、私明日部活だしもう寝ようっと。じゃあ古城君。後の集さんの事はよろしくね。あ、ケンカとかしちゃダメだよ?」

 

 

「するか!」

 

 

「はいはい。古城君も早く寝なよ?明日は浅葱(あさぎ)ちゃんと矢瀬っちに補習の手伝いをやってもらうんでしょ?じゃ、おやすみなさーい」

 

 

凪沙はそう言うと、足早に自室へと戻っていった。残された古城は心配事が増えたと言わんばかりに、大きな溜息を吐いた。

 

 

「はぁ、勘弁してくれ」

 

 

「何が、勘弁してくれなんですか?」

 

 

「うおぅ!?」

 

 

古城が驚き視線を向ける先には、風呂上がりの為、髪が湿っていた集の姿があった。

 

 

「あ、すいません、本当に何から何まで」

 

 

「い、いや、いいんだ!アンタは凪沙の恩人だからな!あ、あははは」

 

 

無理に誤魔化す古城に疑問の目を向けつつも、古城が明日は高校の補習の勉強があるという事で、この日はそれぞれがそのまま、床に就いたのだった。

 





三人称視点書くの大変・・・


さて、今回はこんな感じでした。

古城と集が出会った切っ掛けは凪沙ということに。まぁ、古城シスコンですしねぇ。凪沙を出すのが一番扱いやすい。


これを書くために、ギルクラをまた一話から見てたんですけど、『Release My Soul』は割とガチで泣きそうになった。
うーん、最近何だか涙もろいなぁ・・・


さてさて、次回の投稿は作者のリアル事情により、ちょい先になるかもです。
投稿し始めで、いきなり申し訳ない!


ではでは、また次回をお楽しみにぃ♪

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