Blood&Guilty   作:メラニン

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もう12月も半分を過ぎ、あっという間に一年が終わりそうですね・・・


どうしよう・・・




さて、そんな事は一先ず置いといて、どうぞ!


戦王の使者編X

 

藍羽浅葱は電子戦において卓越した能力を持っている。もはや、それは異能の域に到達し得るやもしれない程に。そんな彼女が今は必死にキーボードに向かい合い、作業を行っていた。本人からしてみれば、つまらないパズルなのだが、今はそれを全力で解くことに全てを集中していた。さらに、それだけではない。この藍羽浅葱という少女がタダでテロリストなどに利用されてやる筈がなかった。

 

 

その為の工作もついに終わりを迎える。

 

 

「これで………終わり!」

 

 

最後に勢い良く、キーボードのエンターキーを押し、ディスプレイには『Completed』の文字が表示される。それとほぼ同時に、ツギハギのヌイグルミ型のアバターが画面内に現れ、人間臭い口調で合成音声が流れる。

 

 

『お嬢、終わったか?』

 

 

「当たり前でしょ?あんたの方こそ、抜かりないでしょうね、モグワイ?」

 

 

『それこそ当たり前だぜ、けけっ』

 

 

「そう。じゃあ、行くわよ」

 

 

『おいおい、何処にだよ?一応、ここの監視システムはハッキングしてあるけども、長くは持たねえだろうし、コッチとしちゃ相棒をテロリストの巣窟でウロチョロさせたくないんだが』

 

 

「私だってとっとと、エスケープしたいわよ!けど……あの子が捕まってるんなら、知らんぷりはできないでしょ。桜満君にはイロイロ借りがあるんだし。分かったら、船内の見取り図を出しなさい!」

 

 

浅葱は生来こういった性格であるが故に、一度決めたら中々に引かない部分がある。それが、友の為とあれば尚更だ。それをモグワイも分かっていた。伊達に『電子の女帝』の相棒を名乗ってはいない。

 

 

『ったく、分かったよ、お嬢。なるべく連中に遭遇しないルートを検索するが、いざとなれば確実に逃げろよ?』

 

 

「分かってる。私だって別に死にたい訳じゃないしね。けど上手くいけば、あいつらの目論見全部ぶっ潰せるんだし、もう少しここで踏ん張るわよ」

 

 

そう言うと浅葱のスマホにファイルが送られた。それを開くと、要望に適った通りの船内全体の見取り図が表示された。

 

 

「………なるほどね。って事は、捕まってるんだとしたら、コッチかそれとも………行くわよ、モグワイ」

 

 

『へいへい』

 

 

そう言うと浅葱は、テロリストから与えられた部屋を出る。そして、目的を果たすために、その場所を目指す。

 

 

「待っててよ、楪いのりさん」

 

 

楪いのりの元へと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………船内が騒がしいな。まったく、見た目だけビッチの万年処女め。相変わらずジッとしておくという事を知らんらしいな」

 

 

「では、急いだ方が良いですね。手筈通り私は楪いのりさんの確保を。南宮先生は藍羽先輩の確保を」

 

 

『オシアナス・グレイブ』の上空。呪術結界が届かないギリギリの距離に2つの人影があった。一方は豪奢な黒い日傘を差し、もう一方は銀の槍を携えている。2人とも展開された魔法陣の上に乗り、宙に浮いている。

 

 

「精々気をつけろよ、姫柊雪菜。貴様が怪我をすると、お前の担任のバカ犬が煩いからな」

 

 

「バカ犬って……笹崎(さささき)先生の事ですか?」

 

 

「そうだ。まったく、あれ程煩わしい奴は中々居らんぞ?」

 

 

「あ、あはは……」

 

 

雪菜は那月の言葉に苦笑いを漏らす。ここで会話に上がった笹崎という教師は、雪菜や凪沙の担任教師であり、『仙姑(せんこ)』の異名を取る女傑である。武術と仙術を高いレベルで極めており、近接格闘術である『四仙拳』の達人であるらしいのだ。普段はそんな感じはしない明るく陽気な教師である。

 

 

噂程度には聞いていたが、彼女の担任である笹崎岬という女教師は那月が苦手とする数少ない人物の1人であるらしいのだ。反応を見る限り、それは真実に思えるが、今はそれどころではない。それを思い、改めて眼下に居る船へと目を向ける。

 

 

「では、まずは貴様が結界を斬れ。着地は私の『戒めの鎖(レージング)』を掴んでおけば問題ない」

 

 

「はい、ではお借りします」

 

 

雪菜は魔法陣から出てきた鎖の一端を掴む。要はこれを命綱代わりに一気に降下する訳だ。

 

 

「では、行きます!」

 

 

その瞬間雪菜は軽く助走を付け、魔法陣を蹴った。ほんの数瞬弧を描き、ゆるりとした動きになるが、それが終わった途端、重力に従い自由落下を開始する。どんどん速度を加速させ、そして数秒も経たない内に目標の結界の目の前まで迫る。雪菜は右手に携えた銀の機槍を構え、結界に突き立てる。

 

 

「『雪霞狼』!」

 

 

その瞬間、ガラスが砕けるような音と共に結界は崩れ去り、再び雪菜は落下していくが、手に持った『戒めの鎖(レージング)』がピンと張り、一気に減速する。そしてそのまま、甲板へと降り立った。

 

 

「ここまでは成功、ですね。早く、楪さんを――っ!?」

 

 

雪菜は高速で迫る金属塊を雪霞狼の刃で弾いた。この反射速度も彼女が剣巫である事の恩恵からくるものだろう。そして、攻撃を行ってきたであろう方向を向くと、案の定黒死皇派と思しき獣人が無骨な黒い武器を構え立っていた。銃口をこちらへ向け、トリガーに指を掛けている。だが、雪菜が雪霞狼を構える事は無かった。必要が無かったのだ。なぜなら――

 

 

「ぐ……こ、これは!?この鎖、まさか『空隙の――』」

 

 

「猫風情が口を開くな」

 

 

テロリストの背後には不敵な笑みを浮かべた那月が立っていたのだ。手を翳し、そこに描かれた魔法陣からは『戒めの鎖(レージング)』が現れ、獣人を雁字搦めに縛っていた。

 

 

「ふむ、見張りが1人とはな。どうやら、あの藍羽浅葱はかなり連中を引っ掻き回しているようだな。ふふ」

 

 

那月の口には再び笑みが浮かんでいた。自分の生徒がテロリストを引っ掻き回しているのが、よほど面白いのだろう。那月は指を鳴らすと、縛っていた獣人を何処ぞへと飛ばした。

 

 

「あの、南宮先生。そうは言っても、藍羽先輩は一般人なんですし、急がないと……」

 

 

「分かっている。…………ふむ、どうやら下の方が騒がしいな。私は下へ向かう。貴様は上部甲板の方を調べておけ」

 

 

「分かりました。では私は行きますね」

 

 

雪菜が背を向けると、那月は思い出したように、その背中に声をかける。

 

 

「ああ、そうだ。テロリストが居たら、派手に暴れろ。どうせこの船は、蛇遣いの船だ。派手に破壊して構わん。むしろボロボロにしてやれ」

 

 

那月は面白そうに雪菜に振り返り語りかける。完璧に八つ当たりなのだろうが、実質この騒動を運んできたのは、ヴァトラーである。それを思えば、 那月の言うことも分かるので、雪菜は渋々といった様子ではあるが、頷くしか無かった。

 

 

「………まぁ、最悪テロリストが破壊したという事にすればいい訳ですしね」

 

 

「そういう事だ。このくらいの憂さ晴らしは必要だろう?ふふん」

 

 

那月は面白そうに微笑むと、船内へと入っていった。それを見て雪菜も入ろうとした時、それは起こった。遠くで爆音が聞こえたと思ったら、おそらくその衝撃で生まれたであろう風が吹いてきたのだ。人工増設島(サブフロート)を見やれば、火の手が上がっていた。おそらく、(くだん)の古代兵器が起動したのだろう。

 

 

「………先輩、紗矢華さん、気を付けて」

 

 

雪菜はそう言葉を漏らすと、自分も那月同様に船内へと侵入していくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暁古城は獅子王機関の舞威姫である煌坂紗矢華と共に走っていた。少し離れた位置から聞こえた爆音が原因だ。今はその発信源へと向かっているのだ。

 

 

「ったく、あれは動かないんじゃ無かったのかよ!?」

 

 

「ちょっと、暁古城!ナラクヴェーラって本当なの!?」

 

 

「ああ、多分な。那月ちゃんが言うには、黒死皇派の連中、その古代兵器の起動するのに必要な石版を全て集め終わってるらしい」

 

 

「で、でも、あれはどんな学者が寄ってたかって解読しようとしても、出来なかったって……」

 

 

「それをやっちまう奴が居るんだよ。それも、俺の身近にな。まさか、本当に出来るとは思ってなかったんだが」

 

 

「あんたの周りには、あんた並みに迷惑な奴しか集まらないの!?本当に傍迷惑な奴ね!」

 

 

「まぁ、否定はしねえけどな」

 

 

事実、先日の事件でも古城はかなりの規模で破壊を行っている。半分くらいはロタリンギアの殲教師が原因なのだが、それでも自分がまったく罪が無いという訳でもない。だからこそ、否定はできないのだ。と、そこへ場違いな着信音が響く。古城は急いでポケットに手を突っ込み、電話に出る。

 

 

「ったく!誰だよ、こんな時に………非通知?まぁ、出るしかねえか」

 

 

『Hello、少年。生きてる?フフーフ♪』

 

 

電話口から聞こえた軽い調子の声に、古城は明らさまに嫌そうな顔をする。別に、電話相手が嫌いな訳ではないのだが、少なくとも今の状況で話したいと思う相手でもないのだ。

 

 

「………切っていいか?」

 

 

『ちょっ!?酷いなぁ、君は!それが女性に対する、真祖たる者の態度!?』

 

 

「いや、本当に時間ねえから。ココさん……って言ったか?切っていいか?」

 

 

『はぁ、分かったわよ。用件だけ言えばいいんでしょ、まったく……今私は、アイランド・イーストに簡易的に設置された特区警備隊(アイランド・ガード)の指令室に居るんだけど、特区警備隊(アイランド・ガード)の連中、全員下げちゃったから、遠慮なく眷獣ぶっ放していいわよ』

 

 

「………は?」

 

 

『だぁかぁらっ、特区警備隊(アイランド・ガード)の連中は下げたって言ってんの。今交戦してんのは簡易タイプのドローンよ。ナツキが大人買いしてくれた奴を早速飛ばしてんのよ。そんな訳で、ちょっとくらい大規模な戦闘しても、人的被害は出ないから思いっきりやちゃっていいわよ』

 

 

「な、何で、あんたがそんな事出来るんだよ!?」

 

 

『ん?今、理由を聞くのが君の仕事かい?まぁ、強いて言えば私はナツキの友達だからね。ちょっとしたコネがあるのよ、フフーフ♪』

 

 

相変わらず、どこか人を喰ったような話し方だが、今の古城にとっては有難い情報であった。言わずもがな、古城の眷獣は強力だが、それ故に周囲へ与える被害も尋常ではない。最悪、自分の周囲の人間を巻き込む事だってあるだろう。その心配が無くなったのは、古城にとっては有難い事だった。

 

 

「………なんつーか、サンキューな、ココさん」

 

 

『お?感謝かい、少年?じゃあ、1つ貸しておくよ』

 

 

「………出来ればタダが良かったんだが」

 

 

『フフーフ♪この私が、タダ働きなんか、する訳ないじゃん!!』

 

 

どこか、誇らしげに電話越しで宣言するココの声に、古城は溜息を吐くが、取り敢えず会話はそこまでにする事にした。戦闘前にこれ以上疲れたくは無いのだ。

 

 

「まぁ、それでいいよ。じゃ、これから戦闘になるから切るな」

 

 

『ああ。無事を祈ってるよ、第四真祖殿。フフーフ♪』

 

 

通話を終了した古城はポケットに携帯をねじ込み、再び進む。

 

 

「ちょっと、暁古城!なんの電話だったのよ!?」

 

 

「ん?特区警備隊(アイランド・ガード)は全員下がったから、遠慮なく戦えって指示だよ。だから煌坂、お前も下がってくれ。多分、ここから先は大規模な――」

 

 

「はぁ゛~~?」

 

 

紗矢華の気迫の籠った返事に古城は一瞬気圧される。

 

 

「あまり、私を舐めないでくれる?雪菜には悪いけど、実戦の経験なら、あの子より私の方が上よ。それに、雪菜にこの場を任されたのはアンタだけじゃ無いのよ。その辺勘違いしないでくれる?」

 

 

「………分かったよ。けど、俺は加減が下手だから、危ないと感じたら逃げろよ?」

 

 

「その時は、元凶のあなたを殺してあげるから安心しなさい」

 

 

「安心の要素ゼロだろうが!なんで、味方に殺されなきゃならねえんだ!?」

 

 

「誰が味方よ!?あんたは敵よ!私から雪菜を奪ったんだから!精々、戦闘中も背後に注意する事ね!隙あらば叩き斬ってから、灰にしてやるんだから!」

 

 

「なんでお前は一々発言が物騒なんだ!?」

 

 

ギャーギャー言い合いながらも、2人は着実に戦闘音のする方へと進み辿り着く。建物の残骸と思しき陰から覗き、相手を見定める。周囲にはドローンの残骸が散らばっており、他にも破壊の爪痕を連想させるように、地面は抉られ、周囲の建築物は軒並み薙ぎ倒されている。未だにプロペラでホバー飛行をしながら、本体の底部分に装備されたサブマシンから呪式弾を打ち込んでいるドローンも、次々に撃ち落とされるか、吹き飛ばされている。

 

 

機械的なフォルムに、脚が6本付いており、その姿は昆虫だとか蟹だとかを連想させる。そして、最後の一機と思われるドローンに対して、頭部分にある目のような円形の形のそれから、レーザーの様な熱戦を放ち、焼き払った。おそらく、アレが先ほど空に放たれた光と同じものなのだろうと、古城は推測し苦い顔をする。

 

 

「………あんなんと、どう戦えってってんだ」

 

 

「何よ、情けないわね。それでもアンタ第四真祖?」

 

 

「残念ながら第四真祖だよ」

 

 

「はぁ……いいわ。私がやるから、あんたは邪魔にならない様に下がってなさい」

 

 

「お、おい、煌坂!」

 

 

古城の制止も聞かず、紗矢華は楽器ケースから取り出した銀の長剣を携え一気に駆けていく。古城を襲った時と同様の長剣だ。それを横薙ぎにする様にして、ナラクヴェーラの背後から6本ある脚のうちの一本を切断する。

 

 

「はぁーー!!」

 

 

気合の籠った声と共に2本目を切断する。そこからさらに流れる様にして、3本目4本目と切断するが、ナラクヴェーラも伊達で『天部』の作った古代兵器を名乗っている訳ではない。紗矢華が5本目を斬ろうとする瞬間に、残ったもう一本で紗矢華を引き裂こうとする。

 

 

「煌坂ーー!」

 

 

古城は煌坂に迫る爪を横から殴りつけ、弾き飛ばす。一旦それを利用し、ナラクヴェーラから飛び退き、距離をとる。

 

 

「………別にお礼は言わないわよ。あの程度の攻撃なら私1人でも対応できたわ」

 

 

「へいへい。俺がチャンスだと思ったから勝手にやったんだ。礼を要求する気はねえよ」

 

 

ふん、と紗矢華は面白くなさそうに、ソッポを向くが、敵がその隙を見逃すはずが無かった。先ほど放った時の様に、頭部が光っている。言い伝えで伝わっている、『火を吹く槍』を放つつもりなのだろう。古城は横に避けようとするが、紗矢華がそれを止める。

 

 

「そこで大人しくしてなさい、暁古城」

 

 

「はぁ!?またさっきの攻撃が来るんだろ!?なら――」

 

 

「だからよ。まぁ見てなさい」

 

 

2人が言い合っている間に、ナラクヴェーラはチャージを終え、一気に火の槍を放つ。それに対して紗矢華は臆することなく、長剣を振りかぶり、銘を叫ぶ。

 

 

「『煌華麟(こうかりん)』!」

 

 

そして、叫ぶのと同時に長剣を振り下ろす。虚空に向けて剣を振り下ろした紗矢華に、古城は一瞬目を疑うが、紗矢華の行動は無駄なことではない事が分かる。なぜなら、自分たちに向かってきていた攻撃は掻き消されていたからだ。

 

 

「な、何だ、今のは?」

 

 

「これが『煌華麟』の能力の一つよ。空間を斬り裂く、『空間断裂』の力。私が斬るのは物質ではなく、それを支える空間のつながりよ。そしてそれは物理的な攻撃を一切受け付けない最強の盾になる」

 

 

「………なるほどな。さっきあの化け蟹の脚を容易くぶった斬ってたのは、そういうカラクリか」

 

 

「そうよ。つまり、最強の盾は――」

 

 

紗矢華は駆け出し、迫り来る爪を掻い潜り、跳躍する。そして、ナラクヴェーラの上へと乗り付けると、再び煌華麟を振り上げる。

 

 

「最強の矛にもなる!」

 

 

そして、一気に『煌華麟』をナラクヴェーラの背部へと突き立てる。が、貫く前に、最強の矛である筈の『煌華麟』が止められた。その事実に紗矢華は驚愕する。

 

 

「な、なんで!?……これは、まさか斥力場?」

 

 

そう、いくら『煌華麟』が空間断裂という力を持っていようと、空間断裂が起こる前に、『煌華麟』自体を近付けさせなければ、意味はない。だが、紗矢華もただ驚愕していた訳ではない。状況を判断し、ナラクヴェーラからは飛び降り、一気に距離をおく。

 

 

「………まさか、私の攻撃を学習するとはね」

 

 

「さすがは亜神とはいえ、神に作られた兵器ってか。じゃあ、次は俺がやらせてもらうぜ。――疾く在れ(きやがれ)、『獅子の黄金(レグルス・アウルム)』!!」

 

 

ナラクヴェーラは脚を紗矢華に半分以上切断され殆ど動けない。それをいい事に、古城は出来るだけ魔力をセーブしつつも、十分すぎる程の力で眷獣を解き放った。彼の右腕は赤黒くなり、真紅の幾何学模様が走り、周囲には召喚された眷獣の余波で、稲妻が迸る。

 

 

「これが、第四真祖の眷獣……」

 

 

「行け、『獅子の黄金(レグルス・アウルム)』!!」

 

 

黄金の雷を纏った獅子は、雄々しい雄叫びを上げると、その屈強な四肢で空を蹴り、戦場を駆け抜ける。獅子が通った後は、雷撃で焼け焦げるか吹き飛び、破壊を撒き散らしていく。そして、ナラクヴェーラへと組み付き、その巨大な爪を雷撃と共に振り下ろす。が――

 

 

「よし!……ん?」

 

 

そう、古城の眷獣である『獅子の黄金(レグルス・アウルム)』は周囲に破壊を撒き散らしながら、ナラクヴェーラへと突進した。そして、そのまま爪を振り下ろしたのだ。当然ナラクヴェーラは叩き伏せられ、その衝撃は人工増設島(サブフロート)の地面に直接伝わった。つまり……

 

 

「ね、ねぇ、嫌な予感がするんだけど……」

 

 

「………奇遇だな、俺もだ」

 

 

彼らの周囲の地面には亀裂が入っている。おそらく、少しでも動けばそれが崩れるだろう。だが、それはジッとしていても同じ事だったようだ。地面に使われたコンクリートなどは自重に耐え切れなくなり……

 

 

「ちょ、まさか――」

 

 

「うおっ!?」

 

 

ガラガラと地面が一気に崩壊を始め、その場にいた全ての存在が人工増設島(サブフロート)の底へと真っ逆さまに落ちていく。

 

 

「う、うおぉ!!?」

 

 

「ちょっとは加減しときなさいよ、バカーーーーー!!」

 

 

2人の少年と少女の悲鳴が人工増設島(サブフロート)にできたクレーターへと吸い込まれていった。

 

 

 

 

 

 




ってなわけで、今回はここまででした。いやぁ、やっぱ話が進まないw


一応続きはできてるんで、近日中に投稿します。今日は多分・・・・・・無理、かなぁ・・・


ってなわけで、また次回!

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