Blood&Guilty   作:メラニン

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体調が悪い。


いきなり、申し訳ない。これを執筆してるとき、こういう状況ですのでミスが多いかもしれないです。あれば指摘お願いします

ではどうぞ!


聖者の右腕編Ⅹ

 

日もとっぷりと沈み夜が闇を色濃く写す頃、公園で目覚めた古城は携帯に表示されたニュースを見て、急いで電話を掛けた。古城が見たニュースは『不審者によるキーストーンゲート襲撃』という見出しの情報のみだったが、それだけで十分だった。

 

 

そして、この時間はまだクラスメートである藍羽浅葱がキーストーンゲートでバイトをしている時間だというのを思い出し、急いで電話を掛けたのだ。程なくして電話が繋がり、浅葱の声が聞こえ、古城は取り敢えず胸を撫で下ろす。

 

 

『古城?』

 

 

「浅葱、無事か!?」

 

 

『……一応、今避難中。桜満君も一緒なんだけど、防衛システムが起動して立ち往生してるわ』

 

 

「そうか……とにかく、無事なんだな。良かった……」

 

 

『良く無いわよ!!今日は夜の特番見ようと思ってたのに、こんな時間じゃ番組開始に間に合わないわよっ!』

 

 

思いの外浅葱の元気すぎる声にホッとすると同時に、危機感の無い浅葱の文句に溜息をもらす。

 

 

「そうだ、侵入者ってもしかしてガタイのいい法衣のオッさんと眷獣を使う人工生命体(ホムンクルス)の2人組か?」

 

 

『桜満君に引き続き何でそんなこと知ってるのよ!?』

 

 

「ちょっと色々あってな。さっきまで、そいつらの所為で死に掛けてた」

 

 

『死に掛け――あんたこそ大丈夫なの!?』

 

 

「ああ、今は問題無い。それで今すぐ調べて欲しい事がある。この島の『要石』について何か分かるか?」

 

 

『要石?アンカーブロックの事?この島の波風による衝撃や振動を受け流してるただの硬い鉄の塊よ?何でそんなのを調べろって?』

 

 

「その2人組が言ってたんだよ。この島の要石が目的だってな。それに不朽の至宝がどうとかって……」

 

 

『至宝………分かった。今すぐ調べてみるわ』

 

 

それから、物の1分と経たずに浅葱は情報を手に入れ、それを古城に伝えた。だが、その情報は古城にとって迷いを生む原因となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キーストーンゲート内部。その地下の階層にて集と浅葱は避難の為走っていた。要所要所で立ち塞がる隔壁は浅葱のハッキングにより解除されていく。先ほど古城から連絡を受け、不安そうにしていた浅葱も今では何時もの明るい調子を取り戻している。よほど心配されたのが嬉しかったのだろうと集は邪推したが、今はそれよりも浅葱を避難させる事が重要だと足を進めていた。

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

 

「大丈夫、藍羽さん?」

 

 

「へ、平気。これでも、運動には自信があるんだけど、桜満君には負けるわね……」

 

 

「ははは……僕はむしろ運動は本来苦手なんだけどね」

 

 

「それで、この走力なんだから嫌味にしか聞こえ無いわよ」

 

 

「はは、ごめん」

 

 

朗らかに集が言った瞬間、集は廊下の曲がり角に入り、浅葱の手を引っ張る。

 

 

「きゃっ……ちょ、ちょっと、桜満く――」

 

 

「しっ!…………誰か来る」

 

 

集の言葉に浅葱は急いで口を紡ぐ。そして集は壁から少しだけ顔を出し、辺りの様子を確認する。確かに耳を澄ませると、誰かが遠くから走ってくる音が聞こえるのだ。それも、集達が進んできた方向からだ。

今現在キーストーンゲート内に居るのは侵入者とそれと戦っているであろう特区警備隊(アイランド・ガード)くらいだろう。それに、集や浅葱たちの様な取り残された一般人だ。だが、同じ方向には既に一般人は居なかった筈だ。なのに音がするというのは、不自然すぎる。そして、ドンドン音は大きくなり集達の居る曲がり角に近付いてきた。そして、その人物が顔を出した瞬間――

 

 

「いってぇ!!」

 

 

集は足を強く引っ掛けた上に、倒れた人物の腕を押さえて組みついた。

 

 

「動かないで下さい。あなたは――って、アレ?東條さん?」

 

 

「ん?その声、桜満君か?――いだだだだっ!!決まってる!かなりいいのが決まってる!う、腕が……」

 

 

「え、あ!す、すいません!!」

 

 

集は東條であったのを確認した後、急いで離れた。親しげに話す集と東條を見て、浅葱はイマイチ状況が飲み込めないでいた。

 

 

「桜満君、何でこんな所に?今はここ戦闘区域になりかねないんだけど?」

 

 

「友達のバイトに付き合ってて。それよりも東條さんこそ。特区警備隊(アイランド・ガード)は上で交戦してるんじゃ……」

 

 

「あー………本来俺はここの担当じゃないんだけど…………南宮攻魔官に黙ってるって約束してくれるか?」

 

 

東條のダメな大人っぽいオーラに集は目を細めつつも、事情は聞いてあげる事にした。

 

 

「まぁ、内容次第ですが………」

 

 

「実は俺が今向こうから来た先って保安部だろ?普段あそこって使われない部屋もそれなりにあってさ」

 

 

「………つまり、誰も来ない部屋でサボってた、と?」

 

 

「あー………はっはっはっ………すいません」

 

 

集と浅葱の軽蔑の視線に東條は項垂れ、ただただ謝罪するしかなかった。浅葱としては、これが自分のバイト先を警備している特区警備隊(アイランド・ガード)の現状なのかと思うと、眩暈を起こしそうな事実だった。

 

 

「ま、まぁ!けど、こうやって君ら一般人を避難させる事が出来る人員が確保出来たんだし、結果オーライだろ?」

 

 

「………どちらにせよ、私多分このこと那月ちゃんに言うと思う」

 

 

「あ、あはは……」

 

 

「お願いします!この事だけは黙っていてください!」

 

 

東條が頭を下げ、その行動にニヤリと浅葱は邪悪な笑みを浮かべる。

 

 

「そう言えば、古城に今度ここのケーキバイキング奢って貰うんだけどなー?」

 

 

「お、お供させていただきます!」

 

 

「やた♪」

 

 

約束を取り付け、浅葱は『財布』が増えた事に上機嫌で歩を進めていく。落ち込む東條と、その東條に、軽蔑とも呆れとも取れる視線を集は向けていた。

 

 

「東條さん……」

 

 

「言うなっ、桜満君!」

 

 

「………取り敢えず、藍羽さんが先に行っちゃうので、行きましょう」

 

 

集と東條は先へと進む浅葱を追いかけるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

浅葱からの情報を聞いて、古城は携帯を掛けていた方の手を降ろした。浅葱からもたらされた情報は、現在キーストーンゲートを襲撃している人物が行動を起こすのに十分過ぎる理由だと納得してしまったのだ。

 

 

「そういう事か……だから、この島へ来たのか……」

 

 

「あの、先輩?」

 

 

雪菜は落ち込む古城の顔を心配そうに覗き込む。どんな情報であるにせよ、この島が沈む理由になると思わないからだ。この島の上には56万人という生命が息づいている。それら全てを犠牲にする事などあってはならない。だが、古城はいろんな事を考えた結果、雪菜とは違う答えを出した。

 

 

「先輩、行きましょう。彼らを止めないと」

 

 

「………止める?俺がオッさんたちを?」

 

 

「そうです。特区警備隊には彼らを止める事は出来ません。けどそれは多分、私一人ではきっと同じです。だから――」

 

 

「けど、本当にそれでいいのか?」

 

 

「あの、先輩?」

 

 

「………取り敢えず、キーストーンゲートには向かう。んでもって、浅葱の事は助ける。俺の家族も島の外へ逃す。できれば学校の連中も。だけど、そこまでだ。俺ができるのは……いや、違うな。俺がやっていいのは多分そこまでなんだ」

 

 

「先輩!しっかりして下さい!このままでは、この島は沈むんですよ!?今状況を的確に把握している私たちが対処しないと――」

 

 

「けど、俺はそれをしちゃいけないんだよっ、姫柊!」

 

 

雪菜が言うことに古城はつい声を荒げてしまう。それは雪菜の言わんとしている事も分かるからこそ、そう言ってしまった。確かに、雪菜の言う事は正しい。このまま止めなければ、絃神島に居る56万人は島と共に海の藻屑と化すだろう。だからこそ、雪菜の言う事は分かる。人として正しい事だ。そう、『人』としては。

 

 

「俺は……確かに俺の持つ力を使えば、あのオッさん達を止められるかもしれない。自惚れじゃ無いが、それだけの力が俺の中には眠ってる。だけど、こんな『化物』の力で、『人』に干渉していい筈がない」

 

 

古城の言おうとしている事は雪菜にも理解できた。雪菜が暁家に宿泊した日、雪菜と古城は第四真祖の力について話していた。この力で世の中を動かしていい筈が無い、と。

 

 

だが、古城の真意は別にあるのではないか、と雪菜は考えた。だからこそ、少しキツめの言葉を敢えて選んで古城に浴びせていく。

 

 

「先輩は……怖いんですか?」

 

 

「え?」

 

 

「先輩は確かに、第四真祖の力は自分の分を超えていると言っていました。だから、行動など起こすつもりは無い、と。けど、本当は怖いのでは無いですか?人の理から自分が外れてしまうのが」

 

 

「……っ!」

 

 

図星だと言わんばかりに、古城は視線を逸らす。雪菜はそんな古城を見ても、情けないだとか、臆病だとか、そんな事は思わなかった。自分の監視対象であるこの第四真祖の少年は吸血鬼とは思えないほど『人』らしい。分を超えた力に悩み、怖れ、苦労している、どうしようもなく『人』なのだと雪菜は感じたのだ。

 

 

雪菜は古城の頬に手を当てて、顔を上げさせて、優しげな目でジッと古城と目を合わせる。

 

 

「……確かに、先輩は女の子が居ればいやらしい目で見て、ハプニングを装ってセクハラもするし、人の感情を逆撫でする事もあるし、頭も良くは無いですし、勝手に死んで心配を掛けますし、人の言う事にも従ってくれないし、人の下着姿を見たり、人の財布に残っていた匂いで発情して興奮した上に鼻血を出すどうしよもない変態ですけど……」

 

 

「ひ、ひでえ……」

 

 

「それでも、少なくとも私は先輩を『化物』だなんて思った事もありませんし、これから思うつもりもありません」

 

 

「………」

 

 

雪菜の励ましに古城はじっと耳を傾け、聞き入る。雪菜のその言葉は、今まさに古城が望んでいたものだったのかもしれないのだから。

 

 

「先輩はさっき、私が『道具』と言われた時、怒ってくれました。そして、先輩自身が誰が何と言おうと、私には意思があるんだって……だから、前を向けって、言ってくれました。だから、先輩、今度は私が言います。先輩は『化物』なんかじゃありません。先輩はどうしようもないくらい『人』ですよ」

 

 

「だ、だけど、俺には吸血衝動だって起こるし、眷獣だって身の内に飼ってる!俺は――」

 

 

「ただそういう()()を持った『人』です。先輩は他の人にはない、第四真祖という力を持った『人』ですよ」

 

 

「――っ!」

 

 

迷いなく言い切った雪菜の瞳は、まっすぐ古城だけを見ていた。これは決して同情だとか、(あわれ)みから来ている言葉などではない。雪菜が本当にそう思っている事なのだと、古城には理解できた。雪菜はまだ言葉を続ける。

 

 

「だから今度は先輩が前を向いて下さい。先輩が先輩の中に眠る力が怖いなら、私が側に居ます。あの人たちと戦うのが怖いなら、私が一緒に戦います。だから、先輩。前を……前を向いて下さい」

 

 

雪菜のその真っ直ぐな瞳と、真っ直ぐな言葉は古城を奮い立たせるには十分だった。先ほどまでの弱気な表情ではなく、いつも通りの表情に戻って来ていた。

 

 

「悪かった、姫柊。俺らしくも無かったな………はーあ、ウジウジ考えんのは止めだ、止め。後輩にここまで言われたんだからな」

 

 

そう言って古城はニッと笑い、雪菜もそれに応えるように微笑む。

 

 

 

 

「だが、どうやってあの2人を止める?確かに俺の力を使えりゃ話は早いが、しっかりコントロール出来る訳じゃないぞ?最悪、1ヶ月前のときみたく暴走だって……」

 

 

「それは、先輩が眷獣を制御下に置ければ問題ありません」

 

 

「けど、どうやっ――姫柊、何をっ!?」

 

 

古城の言葉を遮るように、雪菜は雪霞狼(せっかろう)の刃の部分で首筋を軽く切る。傷口からは、その白い肌を(けが)すように、赤い血が僅かに溢れ出す。そして、先ほどの負傷から回復したばかりの、消耗した古城の体はそれに反応する。僅かな血の匂いを嗅いで、古城は激しい喉の渇きに襲われ、瞳が紅く染まる。吸血鬼特有の吸血衝動だ。だが、いつもの吸血衝動とは勝手が違った。まるで、己の身の内に宿る眷獣が命令でもするように、激しく雪菜の血を求めていた。その証拠に、通常ならば自分の鼻血を口内に少しでも接種できれば、治まる筈の吸血衝動が治まる気配がない。古城は今にも飛び掛かりたくなる欲求を必死に抑え込む。

 

 

「私の血を吸って下さい、先輩」

 

 

「な、何を言って……」

 

 

「先輩の中に居る眷獣は、先輩を主と認めていないと言ってたじゃないですか。そして、その原因は今まで人の血を口にして来なかったからだって。だったら、眷獣を制御する方法は……」

 

 

「だ、だが、姫柊はそれでいいのかっ!?」

 

 

「忘れたんですか、先輩?」

 

 

そう言うと、雪菜は制服のリボンを解く。

 

 

「私は先輩の監視役です。それに私はさっき、先輩の側に居ます、と言いましたよ?」

 

 

先ほどの雪菜の言葉には共に色々な物を背負う、という雪菜自身の意思の意味も含まれていたのだ。だが、古城本人はそんな事を考える暇はない。先ほどの雪菜の血の匂いにやられて、既に吸血衝動のトリガーは引かれているのだ。そして、それは未だに治まらない。

 

 

それに対して雪菜は追い討ちを掛けるように制服のボタンに手を掛け、上から一つずつ外し、制服を肌蹴(はだけ)させる。それにより、雪菜の細い首筋から、しなやかにクビれた腰部にかけてが直接古城の目に触れる。腰のラインや、彼女の成長途中の胸部から雪の様な肌の首筋に掛けて、古城の視線を遮る物は下着のみになった。

 

 

吸血鬼の吸血衝動のトリガーは、要は性欲だ。それを雪菜自身が知っていたので、雪菜はこの様な行動に出た。つまり、これが今彼女に出来る精一杯の誘惑なのだ。

 

 

「姫柊……」

 

 

誘蛾灯にでも吸い寄せられる様に古城は、雪菜の肩に触れる。その瞬間、雪菜の身体がビクッと硬直する。古城の手が触れている間も、小さく仔猫の様に震えていた。さらに雪菜は古城の胸元に頭をトンとぶつけて、視線を恐る恐る上げていき、古城と目が合う。

 

 

「先輩……私じゃ……ダメ…ですか?」

 

 

「…………分かってねーな、本当に」

 

 

「きゃ……」

 

 

古城は儚げに言う雪菜を抱き寄せ、耳元で囁く様に話しかける。古城自身、既に限界なのだ。と言うよりも、雪菜と過ごしたここ数日の間に、古城は何度も吸血衝動に襲われていた。古城が分かってないと言ったのは、雪菜がどれだけ魅力的か自分に無頓着だからだ。

 

 

「いいな、姫柊?」

 

 

「………はい」

 

 

雪菜は古城の言葉に小さく頷く。

 

 

「……ありがとう」

 

 

「………痛っ……せ、先輩……アッ」

 

 

古城は雪菜の首筋の切り傷に浮いた血を舐めとると、そっと吸血衝動によって伸びた犬歯を雪菜の首筋に突き立てていく。古城の犬歯が体内に侵入し、雪菜は一瞬痛みで身体を硬直させるが、少し経つと全身から力が抜けたように、古城に抱き留められるだけになる。雪菜は力強い古城の腕に、身を預けるのみとなり、先ほどの痛みは無く、むしろ心地良さのようなものに変わっていた。

 

 

一つに重なった影をただ月だけが見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

集と浅葱、東條の3人は、浅葱のバイト先である保安部のある階層のエントランスへ辿り着いていた。ここまで来れば、後はエレベーターで上がるだけなのだが、ここに辿り着くと同時に電気系統がやられたらしく、エレベーターは何も反応しなかった。

 

 

こうなると、残るは非常用の通路からの脱出なのだが、どうやら賊はそちらを通って降りてきているようなのだ。つまり、通路途中での遭遇戦を覚悟しなければならない。狭い場所での眷獣との戦闘は避けるべきとの事で、ここでやり過ごす事になった。せめて、何の戦闘能力も持たない一般人である浅葱だけでも逃さなければならない。

 

 

集は東條とそう話すと、最悪浅葱を抱えて脱出する事を提案した。が、当然浅葱の性格上、それは無理である。

 

 

「そんなの認められる訳ないでしょっ!?向こうは特区警備隊(アイランド・ガード)の精鋭を相手に、それを物ともせずに突き進んできてる様な連中なのよ!?そんなのに1人で囮に残していける訳がないでしょ!」

 

 

「けど、多分それが一番確実なんだ」

 

 

「何でよっ!?見たとこ、コッチの東條 って人の方が武装だってしてるじゃない!まさか素手で挑む気!?」

 

 

「まさか。僕もさすがに素手でなんか戦わないよ。それに戦うというよりも、ただ時間稼ぎをするだけだよ」

 

 

「それにしたって――」

 

 

埒が開かないと悟った集は、侵入者が迫っているこの状況を鑑みて、おもむろに右腕に左手を掛け、右腕を覆っていた人工皮膚を引き裂いた。そして、露わになった『それ』を見て、浅葱は息を呑む、それもそうだろう。明らかに人間の腕とかけ離れた集の『右腕』は浅葱の警戒心を買うのには十分だった。

 

 

「………僕は確かに人間ではあるけど、普通じゃないんだ。こんな事も出来る」

 

 

そう言うと、集は寒川谷尋のヴォイドである『全てを断ち切るハサミ』を出現させる。

 

 

「……もしかして、桜満君が居たっていう研究施設の?」

 

 

「………うん、そうだよ。だから普段は隠してるんだ」

 

 

「話は決まったかい?じゃあ、そろそろ行動を起こした方が良いと思うんだけど?」

 

 

あっけらかんと東條は言う。さすがは特区警備隊に所属しているだけあって、こういった荒事には慣れっこなのだ。その辺はサボりの件があるとしても流石と言えるだろう。

 

 

「その口振り、東條さんも桜満君のこと知ってたのね?」

 

 

「俺の上司って南宮攻魔官だし、情報は回って来やすいんだよ。ま、それを聞くよりも前にアイランド・ノースの一件で知ってはいたんだがな、たははは」

 

 

「…………何なのかしらね、この置き去りにされた感。スゴイ腹立たしいわ」

 

 

「あ、あはは……」

 

 

集は愛想笑いで誤魔化す。もし、浅葱が古城の事を知ったらどうなるのかと、若干不安になるが今は考えない様にした。だが、そんな風にふざけていられる時間も突如終わりを告げる。何故なら非常用通路の気密隔壁を外部から攻撃する轟音が聞こえたのだから。

 

 

 

 




ちかれた・・・


では、ここでお知らせです。設定に人物を追加しました。


あと、以前指摘のあったライデンフロスト効果ですが、液体窒素の量と表面濡れ性で変わるようなので、きっとたまたま凍傷とかが起きやすいコンディションになってたんでしょう・・・多分(遠い目)
液体窒素の量のイメージとしては500Lくらい?日〇がそのくらい入る冷蔵庫を販売してるみたいなんで、それをイメージしていただければ・・・


では長くなりましたが、この辺で。

次回また

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