Blood&Guilty   作:メラニン

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今回から色々と事件が動きます


では、どうぞ!


聖者の右腕編Ⅶ

 

事件のあった日の翌日。昼休みに集、古城、雪菜の3名は南宮那月の執務室に呼び出されていた。

 

 

「来たぜ、那月ちゃん」

 

 

「「失礼します」」

 

 

「うむ、ご苦労。だが――」

 

 

「っだぁ!?」

 

 

待ち構えていた那月は集と雪菜の事は労ったが、古城に関しては閉じた扇子による一撃を見舞った。

 

 

「貴様のその残念な頭は何度同じ事を言えば分かるのだ。教師を"ちゃん"付けで呼ぶな、暁古城」

 

 

「ぐ……そっちだってポンポン俺の頭殴ってんじゃ――」

 

 

「あぁ?」

 

 

「………何でもありません」

 

 

古城のなけなしの反撃も那月のギロリとした一睨みで風化した。

 

 

「さて、そこの夜遅くに外出をしていた2人は言う事があるんじゃないのか?」

 

 

「うっ……」

 

 

古城が呻き声を上げ、雪菜は視線を泳がせる。2人とも一般人ではないとはいえ、ここら辺はやはりまだ年相応なのだ。

 

 

「まぁいい。暫くは夜に街を出歩くな。それを注意したかっただけだ」

 

 

「『暫くは』って、何かあったんですか?」

 

 

古城と雪菜の様子に疑問符を浮かべていた集が質問した。

 

 

「ああ、ここ最近無差別に魔族が襲われている事件があってな。昨夜も一件被害が出た。アイランド・イーストの工場街でな。他にも今までで6件起こっていて、被害者は揃って魔力が欠乏している状態だった。………何か知らんか?」

 

 

「い、いや別に」

 

 

古城が否定し、それに雪菜も首肯する事で賛同する。

 

 

「ふん、まぁいい。一般人ではない貴様らは精々夜道に気をつけろという事だ。ま、そもそも夜遊びなどしなければ問題ないのだがな。…………はぁ、もう行っていいぞ」

 

 

那月は鬱陶しそうに手をヒラヒラ払って、集たちの退室を促した。集たちはそれに従い那月の執務室を後にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

那月の注意も終わった後、授業も終了し放課後になった。雪菜が生活必需品の買い物をするという事で、集、古城、雪菜の3人は最寄りのホームセンターで買い物をしていた。

 

 

因みに昨夜は、古城と雪菜は帰宅と同時に集と凪沙に帰りが遅かった事を心配されたが、アイスで凪沙の機嫌を取ることで、有耶無耶にできた。そして、就寝前に古城は集に事情を説明した。事件の主犯はヨーロッパに存在するロタリンギアから来た殲教師ルードルフ・オイスタッハであり、目的があってこの絃神島にやって来たとのことだ。古城から話されたこの情報も、元はと言えば戦闘をしていた雪菜からもたらされた情報ではあるのだが。

 

 

以上の情報を集は矢瀬にも一応の報告をし、調べてみるとの返答を貰っていた。そして、追加の指示があるまで通常任務――つまり、古城とそして念の為に雪菜の監視をしている訳だ。そして、雪菜の若干常識が抜けている事が分かる買い物が終わり、3人は夕日を背に歩いていた。

 

 

「じゃあ、結局その人達の目的は分からなかったんだ」

 

 

「はい、それに狙撃手の特定も出来ませんでした。霊視も用いて周囲を見回してみたんですけど、私の霊視の限界距離外からの狙撃だったみたいで」

 

 

「そっか………けど、狙撃手よりも今は古城と姫柊さんが戦ったっていう相手の目的の方が先じゃない?」

 

 

「それは確かにそうですけど…………そうですね。桜満先輩の言う通り今重要なのはそちらでしたね。西欧教会のそれも殲教師クラスがわざわざこの魔族特区に来ているんですし」

 

 

集は何とか雪菜の意識を狙撃手から殲教師へと向ける事に成功し、内心ガッツポーズを決める。矢瀬から昨日の狙撃手は東條というのを聞いていたのだ。なので、それとなく有耶無耶にしてくれと言われていたので、それを実行したのだが思いの外上手くいったようだ。

 

 

「………魔族特区にしかない物でも取りに来たんじゃねえか?」

 

 

「何でそう思うんですか?」

 

 

「まぁ、殆ど勘に近いんだが、那月ちゃんが言ってた魔族狩りの犯人は多分あいつらで間違いないだろう?ただ、魔族狩りするだけならわざわざこの魔族特区に来なくても出来る」

 

 

「つまり、古城の考えはこういう事?古城と姫柊さんが昨日会ったっていう2人は、魔族狩りがあくまで手段であって目的は別にある。で、その目的は魔族特区にしか存在しないもの」

 

 

「ああ、そういうこった」

 

 

「確かに暁先輩と桜満先輩のいう事は分かりますが………だったら、尚のこと可笑しくないですか?今この島でそんな目立つような事件を起こしたら、マークされてしまいますよ?」

 

 

「必要な事なんだろ?襲われた魔族は揃いも揃って魔力が欠乏しているって話だし。多分昨日俺と姫柊が戦ったあの眷獣を強化している、とかな。そうなると、よっぽど守りが強固な場所にでも攻め込むつもりなんだろう。出来ればそうなる前に何とかしたい所だな。多分あの2人の居場所はどこか隠れ蓑に出来そうな…………って、どうした姫柊?」

 

 

古城が推理を披露していく中で、雪菜の表情は驚きの表情に変化していった。だから、それに気付いた古城は何故かと聞いたのだ。

 

 

「正直驚きました。先輩ってそんな風に論理思考が出来たんですね」

 

 

「おい、それはどういう意味だ?」

 

 

「いえ、そういう頭を使った作業は先輩の苦手分野だと思ってましたから」

 

 

「ぐ………まぁ、確かに苦手だけどよ」

 

 

「ふふ、すいません、先輩。少しからかってみました」

 

 

後輩の遠慮のない物言いに古城は顔を顰める。雪菜の方はイタズラっぽい笑みを浮かべ、夕陽と並んで見えるその表情に古城は少し胸が高鳴るものを感じた。が、それも後ろからの奇襲で一気に冷めてしまう。

 

 

「………古城、買い物?」

 

 

「うおっ!?な、何だ、浅葱か。急に後ろから話し掛けるなよ」

 

 

古城は自分でも聞こえるくらい心臓の拍動が加速するのを感じ、後ろから話し掛けた人物に向き直る。だが、当の浅葱本人は古城の方をチラリと見るだけで、視線は雪菜の方に注がれていた。古城は普通にクラスメイトが急に話し掛けてきて驚いただけだが、集のみが背中に冷や汗を搔いていた。それも、そうだろう。集は人一倍その場の雰囲気の機微には敏感だ。故に、今の空気で冷や汗を掻いている状態になっているのだ。

 

 

「えっと、確か凪沙ちゃんのクラスに転校して来たっていう、姫柊さん?私は藍羽浅葱よ。はじめまして」

 

 

「はい、はじめまして、藍羽先輩。えっと……何で私の名前を?」

 

 

「そりゃ、高等部でも噂になってるもの。中等部に可愛い転校生が来たって」

 

 

「そ、そうだったんですか。知りませんでした」

 

 

今のやり取りも古城にとっては同級生と後輩の挨拶程度にしか見えないが、集にとっては刀で鞘当てでも行っているのか、と感じるくらい雰囲気の悪さに感じられた。何故だか分からないが、今日は一日中浅葱の機嫌が悪いように集は感じていた。その上で今の状況に遭遇したら………

 

 

とにかく、集は何とかこの空気を改善しようと試みる。

 

 

「え、えっと、藍羽さんは何でここに?」

 

 

「遠目でモノレールから姿が見えたから、私も買い物して行こうかなって思って」

 

 

「それなら、近所でもぉ――いだだだっ!!お、桜満!足、足!」

 

 

「あ、ごめん、古城」

 

 

古城が痛がり、集は踏んづけていた足を退ける。事故を装っているが、当然故意である。今古城に何か言われては、余計に空気が悪くなりかねないからだ。

 

 

「あ、ち、因みに、僕と古城は近所に引っ越してきた姫柊さんの買い物を手伝ってただけなんだ。ね、姫柊さん?」

 

 

「は、はい。1人だと少し持つのが大変そうだという事で、先輩方に手伝って貰っていました」

 

 

「ふーん…」

 

 

浅葱は怪しいと言わんばかりの視線を3人に向ける。と、そこで、古城が思い出した様に口を開いた。

 

 

「そうだ、なあ浅葱。ロタリンギアってとこの企業がこの島にあるかどうか分からないか?」

 

 

「ロタリンギア?公社のデータバンクをハッキングでもすれば見れない事はないと思うけど……何よ、古城。あんたヨーロッパの方にでも行くの?」

 

 

「いや、ちょっと気になる事があってな」

 

 

「ふーん。ま、調べてあげても良いけど………じゃあ、キーストーンゲートのケーキバイキング今度奢りなさいよ?」

 

 

「ああ、頼む!」

 

 

古城は両手を合わせて頼み込むが、雪菜だけは少し納得のいかない様な表情をしていた。そして、抱いた疑問を古城にぶつける。

 

 

(先輩、何で企業なんですか?普通に考えれば教会なのでは?)

 

 

(いや、そんなに単純な隠れ家は選ばないと思うぞ?あの法衣姿だったら一目で宗教関連って分かっちまう。それに、あのオッさんが引き連れてた人工生命体(ホムンクルス)。アレの調整には特殊な機材なんかが必要だろ?)

 

 

(………なるほど、確かにそうですね)

 

 

「ちょっと、ソコ!何隠れてコソコソ話してるの!?」

 

 

「え!?あ、いや、もう買い物終わったのか、って話をだな……」

 

 

「…………ふーん。じゃあ、私これから公社のバイトだから、もう行くわね」

 

 

「い、いや、ちょっと待て!企業調べてくれるんじゃなかったのか!?」

 

 

「あのねぇ、足が付かないようにハッキングするんなら、今の手持ちの低スペックノートPCだと不十分なの!だから、公社のPCから直接情報を引き出すのよ!」

 

 

「そ、そうだったのか。な、何だか悪いな」

 

 

浅葱の剣幕に集、古城、雪菜ですらタジタジである。それだけ、今の浅葱は機嫌が悪いのだ。

 

 

「じゃあ、私は行くから。………そうだ、ちょっと桜満君借りてくわよ」

 

 

「え!?」

 

 

急な浅葱の予想外の提案に集は驚きの声を上げる。他2人はポカンとした表情で集を見る。

 

 

「あ、あの藍羽さん?何で僕?」

 

 

「私も買い物したいから、その荷物持ち。さ、行くわよ」

 

 

「え、あの、ちょっ!?」

 

 

集が強引に浅葱に連行され、残された古城と雪菜はしばらく放心していたが、立ち竦んでいても仕方がないという事で、2人は帰路に着く。

 

 

「………帰るか」

 

 

「………そうですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ゛〜〜………」

 

 

集を引き摺って連行した浅葱はバイト先であるキーストーンゲートへ向かっていた。その道中のモノレール内で自己嫌悪に陥っていた。

 

 

「ま、まぁまぁ。そんなに落ち込まなくても」

 

 

「………ごめん、桜満君」

 

 

落ち込む浅葱を集は慰める。この少女の気持ちは把握しているからこそ、余計に気を遣わなければならない。集は気を付けつつ声を掛ける。

 

 

「けど、藍羽さんが一日中機嫌が悪いって珍しいね。古城は関係ある?」

 

 

「そ、それは関係ないのっ!ま、まぁ、さっきのはその……アレだけど………ってか、もしかしてバレバレ?」

 

 

集は何を今更といった表情で嘆息し、首肯する。その応答に浅葱は頭を抱える。

 

 

「基樹や築島さんとかからも聞いてたし」

 

 

「うぅーー……あの姫柊さんって子にも悪い事したなぁ。私の方が先輩だったのに……んでもって、基樹の奴は今度殺す」

 

 

「ははは………まぁ、人は万能じゃないし仕方ないんじゃないかな?けど、一日中機嫌が悪かったのが古城のせいじゃ無いって言うなら、どうして機嫌が?」

 

 

「昨日の夜、アイランド・イーストで眷獣が暴れたでしょ?」

 

 

「あー……うん」

 

 

「それの対応で、バイトの私も駆り出されてたの。それも深夜まで!」

 

 

「……つまり、ストレスと寝不足?」

 

 

「うっ……ま、まあそうとも言うのかな?」

 

 

「まぁそれは分かったんだけど、何で引き連れて来たのが僕だったの?」

 

 

「そ、それは、その……こんなの古城に言える訳無いし、あの姫柊さんなんか尚更だし。基樹とかお倫は藪蛇だろうし……」

 

 

なるほど、と集は納得する。言葉を選ばなければ、つまり『手頃』な話し相手が欲しかった訳だ。確かに、自分で溜め込むよりも吐き出してしまった方がスッキリする事もある。それを思えば集も納得できた。

 

 

「えっと、一応言っとくと、姫柊さんは古城の家の隣に越してきたんだ。今は取り敢えず藍羽さんが心配する様な事は無いと思うけど」

 

 

「『今は』、ね」

 

 

「…………そこは、まぁ古城だし」

 

 

「………本当に今度一回シメようかしら」

 

 

浅葱が物騒な事を言ったところで目的の駅に到着し、2人はモノレールから降車する。

 

 

「じゃあ、僕はアッチだから」

 

 

「え?」

 

 

「ん?」

 

 

集が向かいのホームに向かおうとしたが、浅葱が疑問符を浮かべて不思議そうな表情で集を見る。

 

 

「えっと、もしかして買い物って本当に?」

 

 

「そうよ?と言っても新しいHDを買いに行くだけだけど。折角だし私の仕事場を見せてあげるわよ」

 

 

「それって、僕も入って平気?」

 

 

「そこは警備の人に頼めば何とかなるから平気よ。ほら、じゃあ早速Go!」

 

 

完璧に浅葱のペースになってしまったと、集は諦めて矢瀬に連絡を入れた後、大人しく浅葱に着いて行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アイランド・サウスにある暁古城の自宅マンション。現在は17:00を少し過ぎた程だろうか。ベランダに面した窓からは西陽が斜めに射し込んでいる。そして、リビングで古城と雪菜は寛いでいた。雪菜は古城が淹れたよく冷えた麦茶を飲んで、古城の方は近所のコンビニで購入した煎餅を摘んでいる。因みに、凪沙は未だに部活に参加しており、帰宅していない。その為、雪菜は若干なりとも緊張していた。室内に年の近い異性と2人きりという状況は、何気に雪菜にとっては初めての事だからである。

 

 

「桜満の奴が大丈夫か気になるな。浅葱に無茶させられてなきゃ良いんだけどな」

 

 

「……そうですね」

 

 

「あの、姫柊さん、何か怒ってらっしゃいます?」

 

 

「別に何も。私はただの先輩の監視役ですから、感情的になる事なんかありません」

 

 

そう言う割には、雪菜は顔を合わせようとはしなかった。その様子を見て、古城は内心失敗したか?と反省していた。だからこそ話題を変える事にした。

 

 

「と、ところで、姫柊は友達とかから連絡とか来ないのか?」

 

 

「……一応、先日メールが来ました。元ルームメイトから」

 

 

「へぇ、姫柊のルームメイトってどんなのなんだ?」

 

 

それを聞いて雪菜の目は若干軽蔑の目に変わる。

 

 

「まさか、先輩。今度はそちらに手を出すつもりですか?」

 

 

「出さねえよ!生まれてこの方、手を出した事なんか無えよ!」

 

 

「………まぁいいです。えっと、私のルームメイトだった人は私より年上で確か先輩と同い年の筈です。今は獅子王機関の『舞威姫』として私とは別任務に当たっています」

 

 

「その『舞威姫』ってのは姫柊の『剣巫』とは何が違うんだ?」

 

 

「剣巫というのは、私のような霊視を使った近接戦闘を得意とする者を指します。それに対して、舞威姫は呪詛や暗殺を得意としています。なので、イメージとしては剣巫は前衛に特化していて、舞威姫は後衛に特化しているという感じでしょうか」

 

 

「へぇ、そうだったのか」

 

 

なるほど、だから雪菜は昨夜の様に槍を使った戦闘を行っているのだと、古城は納得する。

 

 

「はい、それらの役割に応じて受ける任務も変わってきます。えっと次は私が質問していいですか?」

 

 

「ああ、いいぜ」

 

 

「先輩は何で今回この事件に首を突っ込もうと思ったんですか?」

 

 

「それを言うなら、先に首を突っ込んだのは姫柊だろ?」

 

 

「わ、私は獅子王機関の剣巫として当然の事です!魔導テロ対策は私たちの仕事ですから」

 

 

雪菜は胸を張って言い切る。確かに獅子王機関の主な目的は魔導災害や魔導テロを未然に防ぐ事だ。また、それが発生した時の対処も役割に含まれる。通常の事件であれば警察の管轄なのだが、魔導が絡んでくると話が変わってくる。そして、雪菜はその一員なのだ。古城の心配は専らそっちにあった。

 

 

「まぁ、強いて言うなら姫柊の事が心配だったから、じゃダメか?」

 

 

「えっ!?……あ、えと」

 

 

古城の言葉に雪菜は心臓が一回大きく跳ねる様に拍動して、不覚にも顔を赤くする。

 

 

「また姫柊は放っといたら、また昨日みたいに無茶し兼ねないだろ?それが心配なんだよ」

 

 

「………先輩は監視役として付き纏っている私の事を、煩わしいとは思わないんですか?」

 

 

「あー……まぁ、それは仕方ないだろう。俺だって、自分がどれだけ厄介な存在かは分かってるつもりだ。だったら、その監視ってのも必要になってくるんだろ」

 

 

「そ、それでも……」

 

 

「それにな、姫柊。俺は俺と関わりのある人間を見捨てる様な事はしたくねえんだ。そこには姫柊だって入ってる。だから、お前が行こうとするんなら、俺だって行く。昨日みたいに姫柊1人で行かせたりはしない」

 

 

「……先ぱ――」

 

 

雪菜が顔を赤くしながら古城に話し掛けようとした所で、古城の携帯を知らせる音楽が鳴り響く。その音に2人揃って驚き、古城の方は電話を取り、雪菜は古城から少し離れた後バクバクと動く心臓を抑えるために、胸に手を当てて落ち着こうとする。

 

 

『あ、古城?僕だけど』

 

 

「お、おう!桜満か!?どうしたんだ?」

 

 

『藍羽さんがロタリンギア国籍の企業を調べてくれたんだ。そしたら、丁度条件に合いそうなのがピンポイントで出てきたよ』

 

 

「そうか。なんて所だ?」

 

 

『アイランド・ノースの第2層B区画にあるスヘルデ製薬って会社の研究所。この前の事件があった場所からは少し離れた場所にあるみたいだよ。2年前にこの島からは撤退してて施設だけが未だに残されてる。まぁ、つまりは廃墟も同然ってわけだね』

 

 

「だが、そのまま残されてるって事は……」

 

 

『うん、多分設備はそのまま残ってるみたいだよ。調べた限りだと、人工生命体(ホムンクルス)も扱ってたらしいから、むしろここしか無いと思う』

 

 

「分かった。助かったって浅葱には礼を言っといてくれ。じゃあな」

 

 

『あ、古じ――』

 

 

古城は携帯を切ってポケットに急いでしまった後、雪菜に振り向く。

 

 

「姫柊!場所が分かった。行くぞ」

 

 

 

 

 

 

「え、は、はい!って、先輩も来るつもりですか!?」

 

 

「さっきもそう言っただろ?ほら、行くぞ」

 

 

「はぁ、仕方ないですね、先輩は」

 

 

古城に若干呆れつつも、雪菜は前を歩く古城の後ろで頬が綻んでいた。そして、2人はマンションを出て、目的の場所へと向かうのであった。

 

 




あれ、古城ってこんな事言うかな?まぁ、こんなもんか。


さて、集は浅葱と行動を共にします。その理由は次話かその次くらいで分かります。


で、次回は多分2 on 2のタッグバトルですね。




あ、そうだ。いつも感想等をいただいて感謝しております。毎回読ませていただいてます。これからも本作品を楽しんで頂ければ幸いです。
(いのりと集の再会はもうちっと待って下さい。多分この章もあと数話で終わるので・・・)


ではでは!

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