Blood&Guilty   作:メラニン

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どもども、メラニンです。初めまして(?)


今作は自分自身がいつかやってみたいと、思っていた作品になっています。


ギルクラの用語が分からない方用に、後日設定を出します!(必ず)

基本のストーリー展開はストブラですね。初めのうちは序章みたいな感じで違いますが・・・


お楽しみいただけたなら、幸いです。


では、どうぞ!


プロローグ

 

 

 

 

――2039年 クリスマス

 

 

白い意識の世界。どれだけ広いのか分からない『神秘的』、という言葉がそのまま当てはまり、ヴァーチャルな世界に見える白い世界。そこに赤いマフラーを巻いて、黒いセミロングのコートに、黒のパンツスタイルの少年が浮いている。その目の前には、赤とオレンジの魚のヒレの様な物が全体に付いた様な服の少女が、赤い紐でアヤトリを器用に指の間に通して、少年に差し出している。そして少女は言う。

 

 

「とって」

 

 

その差し出された赤いアヤトリを少年は同じ様に指に通して受け取る。その瞬間に銀色の柱が揺らぎながら、少年と少女の間を阻む様に一気に立ち昇る。少年は慌てて少女に向かって自分の『心』でもある『右腕』を伸ばす。

 

 

「いのり!」

 

 

少年の声も虚しく、少女はニコッと笑うと遠ざかっていく。しかし、少年は引き下がれない。いや、引き下がるなんて選択肢が少年には無いのだ。確かに少女は笑った。しかし、その表情はどこか哀しそうだった。そんな少女一人に『罪』を抱えさせたまま逝かせるなんて出来なかった。

 

 

しかし世界は残酷だ。少年を追い出そうとする。少年の意識はこの世界から弾き出されそうになる。

 

 

『今度はいのりを、お前が救え』

 

 

居ない筈の友の声が聞こえる。少年の『右腕』から声が響いていた。聞こえない筈の声に驚く少年に構わず、『右腕』は勝手に目の前の揺らぐ銀色の柱を掴み、弾き出されそうになっている意識を留める。今度は自分自身の左手を。必死に進もうと足掻く。しかし、思う様に前に進まない。苛立ちながらもひたすら足掻き続ける。

 

 

「くそおぉぉ!僕はっ………僕はっ!」

 

 

『………世話が焼けるな』

 

 

「が、涯!?」

 

 

流されて行きそうな少年の手を掴んだ存在が居た。長い金髪に、キツ目の鋭い眼光。少年の友と言える存在だ。しかし、その姿はイマイチ不鮮明で、ノイズが入った様になっている。

 

 

『言った筈だぞ?「今度はいのりを、お前が救え」と。お前はこんな風に、また諦めるのか?』

 

 

相変わらずの物言いに一瞬ムッとしながらも、今は思わぬ援軍に驚きつつも、視線は今しがた現れた友の方では無く、銀色の柱の林の向こうへと戻す。今は驚いている場合では無いからだ。

 

 

『細かい説明をしている暇は無い。俺と真名が道を拓く。お前はそこを進め』

 

 

そう言うと、もう一人がその場に現れた。銀色の柱の向こうに消えた少女と瓜二つと言っていいほど似ている少女だ。

 

 

『あの子を救ってあげて。私とトリトンがそこへの道を繋いであげる。それがせめてもの「贖罪」よ』

 

 

真名と呼ばれた、その少女は少年の空いているもう一方の手を取る。涯やトリトンと呼ばれた少年も手を握り、そして二人とも銀色の柱の林に向き直る。手を掲げると、涯は『黒い銃』を、真名は『剣』をその手の中に出現させた。

そして、真名は身の丈もありそうな、その『剣』を振り下ろし、涯は『黒い銃』の引き金を引く。次の瞬間には轟音と共にあった筈の銀色の柱は消失していた。しかし、時間は掛けられない。なぜなら、払った筈の柱が次々と横から復活しようとしているのだから。

 

 

だが、柱を消した後の涯と真名の行動は早かった。同時に掴んでいる少年の手を引っ張って、一気に柱の向こうへと投げた。

少年は飛ばされながら、振り返る。

 

 

「涯、真名!一緒に――」

 

 

少年の言葉に涯も真名も首を横に振る。少年には分かっている。呼び掛けても、この二人は此方へと来ることが無いことも。しかし、それでも望まずには居られなかった。

 

 

『分かっているだろう?俺と真名は既にこの世には居ない。辛うじて、お前の「右腕」に残っていた搾かすみたいなモノだ。だから、行けない。だからこそ、お前が救うんだ。いのりを救えるのは、お前だけなんだ!お前が救ってみせろ!それがお前の贖罪だ!』

 

 

『私やトリトンは犯した「罪」をここで償うわ。だから、貴方は行ってあげて。あの子の所に』

 

 

少年の目からは次々と涙が溢れる。分かってはいた事の筈なのに、それでも止められないのは、この少年がそういう気質だからだろう。『罪』を犯した少年は一心にそれを背負おうとした。しかし、蓋を開けてみれば、背負いきれない『罪』だった。だからこそ、自分がこの世界からアポカリプスウイルスと一緒に消える事で償おうとした。しかし、それを目の前の二人の少年少女が肩代わりしようとしている。少年にはそれが許せなかった。

だから、二人に向かって手を伸ばす。たとえ、答えが分かっていても。

 

 

『お前は生きるんだ。お前の「罪」は俺が背負う』

 

 

「そ、そんなっ………!涯!」

 

 

『トリトンだけじゃないわ。私も居るもの。だから、安心して』

 

 

「真名――姉さん!」

 

 

少年の言葉に真名は目を少し大きく見開くと、次の瞬間には涙目になりながら、微笑んだ。

 

 

『ふふっ、まだ姉さん、って呼んでくれるのね。………………ありがとう。それだけで充分よ。私はそれだけで「罪」を背負えるもの。だから大丈夫。イキナサイ』

 

 

「涯!姉さん!」

 

 

『『さようなら、集』』

 

 

 

涯と真名は物悲しそうに、しかし満ち足りたように嬉しそうに微笑む。そして、復活した銀色の柱が少年と、涯と真名の間を割く。少年はそのまま、落ちるような感覚に襲われて白い世界から弾き出され、目の前が見えなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日、世界を震撼させたダアトとの戦いは幕を閉じた。それと同時に世界中を恐怖に陥れていたアポカリプスウイルスの消失により、日本に在中していたGHQは解体。日本は本当の意味での自治を取り戻し、復興を開始した。

 

 

しかし、その代償は決して安い物では無かったと、全世界の人々が認識した。

 

 

そう、文字通り『救世主』となった少年と、少女によって、この世界は守られた。

 

 

そして、平和なこの世界で、人々はその平和を享受していく。決して自分たちの犯した『罪』を忘れないように。

 

 

『救世主』となった少年と少女のためにも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、少年はその島に辿り着く。

 

 

 

 

 

これは、『罪の王冠』を戴く少年と『焔光の夜伯』となった少年の物語。

 






ってわけで、プロローグでした。いや、ギルクラはあれはあれで、良いラスト(?)とも思えるんですが、やっぱり『いのり』には幸せになって欲しい!
と思い、投稿した次第です。


といいつつ、いのりが暫く出てきません。ゴメンナサイ・・・


急いで続きを作成中です!


ではでは、今作をよろしくお願いします!

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