ブラック・ブレット〜天目指す獅子〜   作:追憶の英雄

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第七話 合流

「んじゃ、行ってくる!」

 

おれは、『侵食抑止剤』をポケットにしまうと室戸先生に敬礼をした。

 

「逝ってらっしゃい!死ぬなよ?」

 

口では、死ぬなよ?と言ってるが表情はそうではなかった。

 

どちらかといえば『死体は綺麗な感じで頼む!』という感じだった。

 

「あっ!」

 

「!」

 

おれが大学病院を出ると蓮太郎がすれ違いでやってきた。

 

おそらくは、あの女のところでつくった武器を取りに来たんだろう。

 

一瞬、目が合ったが今は挨拶してる暇がないので蓮太郎に構わず水玉に電話した。

 

「もしもし、水玉か?いまどこにいる?」

 

『・・・?事務所にいますが』

 

「なら、今すぐ銃と銃弾を詰めれるだけ詰めてもってこい!」

 

水玉は、いきなりそんなことを言われて困惑していたがおれの焦ってるようすが伝わったのかわかりました!といい電話をきった。

 

「あとは・・・」

 

移動手段だが・・・

 

『ありのままの〜』

 

「もしもし?」

 

『もしもし〜久しぶりやね。』

 

・・・いま、一番聞きたくない声だ。

 

「どうした?」

 

『いやぁ、なんか移動手段に困ってるみたいやしヘリ貸してあげてもええんよ?』

 

なんで、そんなことを知ってるんだよ?ストーカーか?

 

「まじか!助かる!」

 

「た・だ・し・や!」

 

「?」

 

なぜ、だろういやな予感がするのは・・・?

 

「1日だけ私とデートするっていうんなら貸してあげるで?」

 

「1日だけならいいぜ!」

 

なんだ、1日デートか・・・

 

もっと、やばいやつ要求してくるかと身構えたぜ。

 

しかし、おれはこの時予想していなかった・・・

 

この約束が、あのようなことになるとは・・・

 

「ところで、ヘリはいつ手配すんだ?」

 

まさか、もう?

 

「もう、手配済みやで?」

 

「なん・・・だと・・・!?」

 

てか、もしおれが断ってたらどうしてたんだ?

 

ふと、疑問に思ったので聞いてみたら

 

「ウチのむっくんが断るわけ無いやろ?」

 

「さいですか・・・」

 

ゾゾゾ!

 

なんだ?いま寒気が・・・

 

ああ、むっくんていうのはおれのあだ名な?

 

骸→むく→むっくんみたいな

 

「もうそろ、つくはずやから。頑張ってな〜」

 

そう言って電話をきった。

 

バババ!という空を割くような音をたてながらヘリが降りてきた。

 

ヘリが降りてきたことにより生じた風におれは腕で顔を覆って耐えた。

 

「あなたが、朱炎骸様ですね?」

 

黒いスーツの男が歩み寄ってきた。

 

「そうだが?」

 

「こちらへ・・・送り届けるようにお嬢様に言われましたので。」

 

おれは、うなずくと黒いスーツの男のあとをついていってヘリに乗り込んだ。

 

「なんか、忘れているような・・・?」

 

なんだっけ?思い出せない・・・

 

思い出したのは、ヘリが離陸してからだった。

 

「!」

 

・・・・・・水玉を忘れてた!

 

どうしよ!?

 

「まぁ、なんとかなるっしょ」

 

 

それから、しばらくしてーー

 

 

「申し訳ありませんが、送ることができるのはここ迄です。」

 

そう言って、ヘリの操縦士は森の限りなく近くに止めてくれた。

 

「ああ、ありーー」

 

おれがお礼を言って扉を開こうとしたら何かの爆発音が伝わってきた。

 

そして、一拍遅れで爆風がヘリを襲った。

 

「ちぃ、どっかのバカ野郎が爆発物使いやがった!」

 

爆発の音により目を覚ましたヘビのガストレアは赤色の瞳に怒りを滲ませていた。

 

「おい!お前ら、おれが3秒間だけ時間稼ぎしてやるそのあいだに逃げろ。」

 

おれは、扉を開いてカウントをした。

 

いーち!

 

にー!

 

さーん!

 

「今だ!」

 

おれが3秒数え終えるとヘリの操縦士は急いで離陸した。

 

そして、瞬く間にヘリは見えなくなった。

 

獲物を逃がしたガストレアは赤色の瞳でおれのことを睨みつけてきた。

 

「・・・『無月輪煌』!!」

 

「悪く、思わないでくれ・・・」

 

骸が鞘に刀を納めるとヘビのガストレアはバラバラになった。

 

ギロッ!

 

ヘビのガストレアの血の匂いを嗅ぎつけた他のレベルⅣのガストレアたちがやってきた。

 

「チェリオッ!」

 

ガストレアの群れの一体がおれに飛びかかってきた瞬間、勢いのある声とともに蹴りがガストレアにーー

 

ではなく、おれにきまった。

 

「ひでぶ!」

 

不意をつかれたせいもあって十メートルくらい吹き飛んだ。

 

「ひどいではないですか!義兄さま!」

 

水玉は泣きながらおれを蹴り続けた。

 

・・・地味に痛い。

 

「義兄さまがっ!謝るまで、蹴るのをやめないっ!」

 

水玉は、某奇妙な冒険風に言いながら微妙に力をこめて男のあそこを蹴りあげた。

 

「やっと、追いついたと思ったら・・・なにやってんだよ」

 

そこへ、蓮太郎がやってきて呆れられた。

 

「・・・ごめんっ!謝るから蹴らないで。」

 

ピタッ!

 

一瞬、蹴るのをやめてくれた。

 

「ごめんなさい!謝りますからやめてっ!」

 

「・・・はぁ、わかりました。これ以上やっても無駄だとわかりましたから」

 

そう言って、蹴るのをやめてくれた。

 

「ただし、次は・・・」

 

目が据わっていた。

 

あっ、これは次はないパターンだ。

 

「ーーギャオオオーー」

 

ガストレアたちは吠えると、一斉に飛びかかってきた。

 

「逃げろぉぉぉ!」

 

流石のおれでもあの数は無理だわ。

 

「あそこから、降りろぉぉぉ!」

 

おれが指さした先には崖があった。

 

おれたちが崖から降りるとガストレアがあとを追いかけてきて降りてきた。

 

「・・・『鎌鼬風雷』!!」

 

おれは、振り向きあとをおってくるガストレアを一閃した。

 

そして、ガストレアは重力に従い落ちていった。

 

「飛び降りたのはいいが・・・この後はどうするつもりだ?」

 

「!」

 

蓮太郎は、この後のことを聞いてきたが、しかし・・・

 

「なにも、考えてませーん!」

 

とりあえず、ガストレアたちから逃げることしか考えてなかった。

 

「あほかぁーーー!」

 

蓮太郎は落ちながらもツッコミを入れてきた。

 

器用だな・・・

 

 


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