ブラック・ブレット〜天目指す獅子〜   作:追憶の英雄

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第六話 ステージⅤガストレア

おれと木更は、蓮太郎に教えるために病院に向かっている最中だった。

 

木更は聖天子からの説明が終わるとすぐに出ていったのでどこに行くのかと問うとケースの中身がステージⅤガストレアを呼び出す代物だということを蓮太郎に教えるために病院に行くと言ったのでお金があるか確認すると「うっ!」と言葉がつまったのでタクシーを呼んだ。

 

そして、運転手に行き先を告げた。

 

「ステージⅤか・・・」

 

おれは、外を見ながらステージⅤガストレアの対策を練り始めた。

 

ーーステージⅤガストレア

 

『ゾディアック』と呼ばれ十年前、人類が敗北したときに大絶滅を起こした十一体のガストレアだ。

 

大きさは、ステージⅣの何十倍もあり一体だけでも厄介だ。

 

だが、それ以上に厄介なのは全ゾディアックガストレアに共通して皮膚が硬く通常兵器では到底歯がたたない。

 

おれが倒した『金牛宮』のタウルス、Ip序列二位のやつが倒した『処女宮』のヴァルゴもそうだったがバラニウムは通じるという点ではそこらへんの雑魚ガストレアと同じだ。

 

人類が有するバラニウムの塊である(モノリス)の発する磁場の影響を受けない・・・

 

それが意味するのは、モノリスは人類の仮染めの平和を保っているただの壁に過ぎないということだ。

 

「ねぇ・・・」

 

「ねぇ・・・ったら!」

 

「んあ?どした?」

 

おれが、考えふけていたら木更に呼ばれた。

 

「なぜ、あなたが私たちが儲かってないってわかったのよ?」

 

「・・・序列が低いのは仕事の量が少ない証拠、仕事が少ないのは儲かってないだから金がない貧乏人だとわかったのさ。」

 

まさか、お前の兄さんだからわかるんだよとは言えないからな。

 

「ふふふ、わかってはいたけど思いのほかダメージが大きいわね。」

 

木更は、自虐的な笑みをうかべていた。

 

「ねぇ・・・骸あなたはーーー」

 

「お客さん、病院に着きましたよ?」

 

木更がなにかを言おうとしたら運転手が病院に到着したのを教えてくれた。

 

「ん、ありがと」

 

木更は、運転手にバレないように舌打ちをした。

 

「運転手、これやる釣りはいらん」

 

おれが渡したのは福沢諭吉・・・一万円札だった。

 

「!?」

 

運転手(ドライバー)は、まさかの福沢諭吉に驚いていた。

 

〜〜 〜〜

 

病院の中に入ると、看護師に蓮太郎のいる病室の番号を聞いた。

 

「ここか・・・」

 

病室の前に来るとコンコンとノックをして「どうぞー!」と返事があったので入ることにした。

 

「よっす!」

 

「大丈夫?里見くん」

 

「木更さんに・・・骸!?」

 

おれがいることに蓮太郎は驚いた。

 

「・・・」

 

「・・・」

 

木更と蓮太郎のあいだに気まずい雰囲気が漂いはじめた。

 

『か〜な〜し〜み〜の』

 

空気の読めない着メロがなった。

 

この曲は、あの人しかいなかった。

 

ディスプレイをみたら『室戸菫』とかかれていた。

 

「・・・もしもし」

 

「ハッハッハ!聖天子様じゃなくて残念だったな。」

 

電話に出ていきなりからまれるとか・・・

 

「・・・ハァ」

 

おれは、ため息をついた。

 

「ため息をつくと幸せが逃げるぞ・・・」

 

あんたと会話してる時点で幸せが逃げてるわ!

 

おれは、心の中でそうつぶやいた。

 

「それより、なんのようだ?」

 

「せっかちな男は嫌われるよ?まぁ、それは置いとくとして・・・」

 

「あれが完成したとパトロンから電話が来てね。ぼやいてたよ?最近あってくれないから寂しいと」

 

「ハハハ・・・」

 

なんで、おれのまわりの女こうなんだろ・・・

 

「今から、取りに行くよ・・・」

 

「そうかい、待っているよ」

 

そう言って、室戸先生は電話をきった。

 

「わりぃ、おれ帰るわ!」

 

おれは、木更に帰りのタクシー代な、と言って福沢諭吉を渡した。

 

〜〜 〜〜

 

勾玉大学病室ーーそれがおれの命の恩人がいる病院だ。

 

恩人の名前は室戸菫。

 

四賢人の一人でおれも受けた『新人類創造計画』に携わった一人だ。

 

イカレてる天才医師(マッドサイエンティスト)とおれは呼んでいる。

 

「あいかわらず、趣味が悪いな。」

 

もはや、芸術の域に達してるといっても過言ではないほどの不気味さが漂う扉を開けて中に入った。

 

「こ・ん・に・ち・は」

 

「・・・趣味悪すぎだッ!」

 

死体が喋ったかと思ったじゃねぇか!

 

「普通過ぎてつまらん。」

 

室戸先生は、やれやれと肩をすくめた。

 

「あいかわらず、不健康そうだな。」

 

「ハッハッハ!天才というのはそういうものだ。」

 

「へぇへぇ、そんな大天才のために心優しいおれが料理つくってやるよ。」

 

おれは、キッチン(らしき)に行くと買物袋から買ってきたものを取り出して料理をはじめた。

 

そして、数分後・・・

 

「ほい、できたぞ。」

 

おれは、料理を資料が乱雑に置かれてる机の上の上においた。

 

「ふむ、あいかわらずうまそうだね。」

 

室戸先生は、マイスプーンで掬うと美味しそうに食べていた。

 

「ごちそうさま。さて・・・と、あれをもってくるか。」

 

先生は、立ち上がると手術室のほうにあれを取りに行った。

 

「ほら、これだ・・・」

 

室戸先生が渡してきたのは『侵食抑止剤』だった。

 

「助かる!」

 

これさえあれば


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