影胤が去って行った後、社長たちが帰っていくなかおれは聖天子に呼び止められた。
水玉には、先に帰るように伝えた。
「で、話しって一体なんだい?」
まぁ、大体は予想できるけど
「あなたが、『新人類創造計画』の被験者だと言うことについてです。」
やっぱりな。
「それだったか・・・」
「これから、話すことは他言無用で頼むわ。それと後ろにいるじじいにも退席してもらおう。」
「わかりました。菊之丞さん・・・」
じじいは、一瞬だけこちらを睨むと無言で退席した。
さてと、どこから話すかね。
「あんたは、おれの正体には気づいてんだろ?」
「ええ・・・」
聖天子は、うなずいた。
「おれは、天童陽炎だ。」
「・・・」
「おそらくは、じじいも気づいてると思う。」
だから、退席させたんだけどね。
「あんたなら、
なぜなら、
「おれは、あいつに左腕と左足を斬られたからな。」
「!」
聖天子は、顔を青くさせた。
それもそうだろ、なにせ祖父が孫を殺そうとしたんだからな。
「幸いにも付き人が発見してくれて病院に連れていかれて命は助かったが左腕と左足は戻って来ることはなかった。」
あの時は、本当に死ぬかと思ったぜ。
「おれは絶望したね。祖父に殺されかけたことではなく自分の弱さに・・・」
「だから、死のうと思ったよ・・・」
でも、そんな時に現れたのがあの人だった。
「四賢人って知ってるか?」
「ええ。」
またしても、うなずいた。
「その一人の室戸菫がおれの病室にやってきて告げたんだ・・・『新人類創造計画』の手術を受けてみないかと。」
今思えば、あの人がいなかったら死んでいたかもな。
「おれは、受けることにしたよ。」
そして、
「『瞬発力』を手に入れた。」
「そうでしたか・・・」
聖天子は、今にも泣きそうな表情をしていた。
「最後にもう一つだけ聞かせてください・・・」
「この世界を恨んでいますか?」
「・・・・・・・・・前までのおれなら恨んでいると答えたかもな。」
「でも、今は違うと答えるだろう。大切なものがたくさんできちまった。」
水玉、蓮太郎、木更、未織・・・
それに、
「あんたも、その一人だよ。」
「そう、ですか・・・」
聖天子は、おれの答えに満足したのか嬉しそうな表情になった。
「だから、あんたはあんたで『あの』法案を頑張ってくれ・・・」
おれは、その
「わかりました!頑張ります!」
「それと、蛭子影胤についても安心しろおれが・・・おれたちがいる限りは東京エリアには指一本たりとも触れさせねぇよ。」
おれは、この義足と義手を手に入れたときからそう誓ったんだ。
「ああ、それとデートのこと楽しみにしてますね?」
フフッと笑いながら聖天子はそう言った。
「・・・・・・・・・・はい」
おれは、とんでもない約束をしてしまったのではないかと後悔した。
〜〜 〜〜
それから、数日後・・・
おれたちは、再び聖天子に集められた。
「すみませんでした!」
聖天子の第一声はそれだった。
当然、みんなは困惑した。
「どういうことだ?」
聖天子は実は・・・と言って話し始めた。
「と、いう事なんです。」
「・・・んなこったろうと思ってたよ。」
みんなの視線がおれに集まった。
「どういうこと?」
「おかしいだろ、どう考えても序列が上のやつがたくさん集められてる時点で・・・」
「それは、そうだけど・・・」
「それにだ・・・あのケースの中に入ってるのを狙っているのがおれたちだけじゃないことからおそらくは聖天子の言ってることは本当だろ。」
「・・・」
それにしても・・・また、大事になっちまったな
ステージⅤのガストレアをよびたぜるなんざ・・・