ブラック・ブレット〜天目指す獅子〜   作:追憶の英雄

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第四話 再戦

ーー先に動いたのは、蛭子親子だった。

 

頭に銃を突きつけられた影胤は動じることはなかった。

 

「クスクス・・・」

 

「なにが、おかしい?」

 

突然、笑い出した影胤を水玉は訝しんだ。

 

「いやね、こんなにも人がいるのに発砲しようとするとはなかなかだなと」

 

「周りは関係ない。義兄さまに褒められれば充分。」

 

水玉が発砲した瞬間あさっての方向に弾き返された。

 

「!」

 

水玉はなにがおきたか理解できてなかった。

 

「では、お返しをしよう。」

 

影胤は水玉のお腹に回し蹴りをした。

 

水玉は、吹き飛ばされた。

 

「水玉!」

 

「よそ見禁止、斬ってもいい?」

 

小比奈は、返事を聞く前に斬りかかって来た。

 

「させるか!」

 

おれは、刀を抜くと防いだ。

 

「あなたは厄介・・・殺しておく。」

 

小比奈の瞳が赤くなった。

 

ガキィィィーン!

 

骸の刀と小比奈の2本の小太刀がぶつかり合う度に金属の擦れる音と火花が散った。

 

「義兄さま伏せて!」

 

おれが伏せると頭上を二発の弾丸が飛んでいった。

 

それは、小比奈の小太刀に当たるとあさっての方向に弾き飛ばした。

 

「水玉・・・あなた殺す!」

 

小比奈は、ひとっ飛びで水玉の元に行った。

 

「なら、おれは・・・」

 

おれは、影胤の元に向かった。

 

「ククク、やはり君だったか。僕の相手は」

 

こうなることがわかっていたかのような口調でそう言った。

 

「お前の目的はなんだ?」

 

「『七星の遺産』と、言えばわかるかい?」

 

その単語を発した瞬間、おれと聖天子以外のやつは首を傾げた。

 

「おや、その様子だとみんなはわからずに依頼をうけさせれようとしていたんだね、可哀想に。君らが言うジュラルミンケースの中身だよ」

 

「なら、てめぇを殺せば済むだけ・・・だろ?」

 

「そういうこったァ!てめぇが死ねばすむ話だ!」

 

将監がバスタードソードを抜いて割って入ってきた。

 

「邪魔・・・」

 

おれは、バスタードソードを受け止めるとその力を利用して将監を吹き飛ばした。

 

将監の手から離れたバスタードソードは卓の真ん中に突き刺さり真っ二つにした。

 

「てんめぇ!何しやがる!」

 

「何しやがるはこっちのセリフだ。敵の能力もわかってねぇのにむかってくなんざバカのやることだ。てめぇが死ぬのは勝手だが処理するのは三ヶ島さんや聖天子なんだぞ少しは考えろ!」

 

「ククク、まるで君はわかってるみたいな言い方だね。」

 

「ああ。」

 

「骸くん、下がって!」

 

三ヶ島さんに言われた通り下がると社長やプロモーター、蓮太郎たちが一斉に発砲をした。

 

三百六十度あらゆる方向からの射撃。

 

「無駄だよ。」

 

影胤が、そう言うと雷鳴音と共に先程よりもはっきりとした青白い燐光が見えた。

 

「やっぱりか・・・」

 

2度目の使用でやっと確信がもてた。

 

「『斥力フィールド』か・・・」

 

「ご名答。さすがは我が同志だ」

 

「てめぇの同志?笑わせんな!」

 

「ククク、君だってあの『新人類創造計画』の被験者なのに・・・」

 

「・・・」

 

「『殺人獅子(キラーライオン)』だったかな?」

 

「なぜ、てめぇがそれを・・・!」

 

柄を握る手に力が入った。

 

「知らない者はいないよ?牙をむかれたら最後死ぬのだからね・・・」

 

「噛み殺してやるか?」

 

「それは、ご遠慮願いたい。」

 

影胤は万歳のポーズをとって首を横に振った。

 

「小比奈、帰るよ。」

 

影胤は、水玉と遊んでいる小比奈に声をかけた。

 

「わかった。じゃあね、水玉・・・そして、怖いお兄さん」

 

影胤と小比奈は、机に置き土産をしていくと鮮やかな手つきで窓を割り飛び降りた。

 

「あの野郎・・・とんでもない置き土産をしていきやがった。」

 

木箱の中に入っていたのは空席のところに座っていたはずの社長の首だった。

 

「義兄さま・・・これからどうなるのでしょうか。」

 

水玉が不安そうな声で聞いてきた。

 

「さあな。ただ・・・」

 

「厄介なことに巻き込まれちまったのは間違いないだろうな。」

 

これから、起こるであろう厄介事にため息が出た。


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