ピンポーン!
朝早く、朱炎民間警備会社のチャイムがなった。
「はーい!どちら様で?」
珍しいな、こんな朝早くからと思いながらも社長である朱炎骸は扉を開けた。
「おはよう・・・我が仲間の朱炎骸」
たっていたのは、燕尾服、シルクハット、舞踏会用の仮面というふざけた衣装の男だった。
「・・・誰だ?」
骸は、知らない人物の登場に警戒を強めた。
「失礼、自己紹介がまだだったね。私は、蛭子影胤・・・」
影胤は、シルクハットに手をかけながら挨拶をしてきた。
「で、こちらが私の娘でイニシエーターの・・・」
「蛭子小比奈だよ。斬ってもいい?」
「指名手配犯がなんのようだ?」
「挨拶をしにきたのだよ。」
「そうか・・・なら、こちらもおもてなしをしないとな!」
「!」
骸は、腰に差していた刀を抜くと天童式抜刀術『天龍翔陰の構え』をとった。
そして、音も立てずに骸のイニシエーターが現れた。
「やるぞ!水玉!」
イニシエーターが銃を発砲するのと同時に骸は影胤に斬りかかった。
小比奈が骸の一撃を、影胤が水玉の発砲をそれぞれ止めた。
「やるな!」
「お互い様・・・」
子比奈と骸はにやりと笑った。
「ふむ・・・なかなかだね。」
「・・・」
影胤は、仮面越しに不気味な笑みをうかべた。
水玉は、それになんの反応もみせず、発砲しつづけた。
「あなたは、パパと同じ匂いがする。」
「そうかい・・・」
子比奈の言葉に表面上は冷静に努めていたが腹の中はマグマのように熱く煮え返っていた。
「なぁ、ガキ・・・お前『呪われた子供達』だろ?」
「!」
「やっぱりか・・・」
骸は、小比奈の反応に納得がいったのかうなずいていた。
『呪われた子供達』ーーガストレアウイルスを母体を通して空気感染し生まれてきた子供達で姿は人間の形をしているが人を超えた身体能力、再生能力、ガストレア因子、ウイルス抑制因子を有しており特徴としては赤い瞳を持っておりその赤い瞳が人類の天敵であるガストレアを想起させるため迫害をうけている。
もちろん、人権などはないに等しい。
蛭子小比奈と骸の義妹である朱炎水玉もその『呪われた子供達』である。
「なら、少しだけ本気出すか。」
骸は、一歩分後ろにさがると天童式抜刀術零の型零番『鬼気天雷』と呟き子比奈を斬った。
斬られた瞬間、小比奈はなにをされたかわからなかったが骸が刀を鞘に納めた瞬間大量の血を噴き出し斬られたことを理解した。
「どうやら、あっちも決着がついたみたいだ・・・」
「あなた、殺して義兄さんに褒められる・・・」
水玉は銃をもう一つ抜くと二丁流『地巻・轟』と言い撃った。
影胤は、それをよけることもせずに受けた。
そして、爆炎に紛れて娘を連れて消えた。
「逃げられたか・・・」
「どうします?追いかけますか?」
「いや、やめておこう・・・」
骸は、経験上からあの手の敵は深追いするべきではないと悟っていた。