ひぐらしのなく刻に ~巡りくる日常(とき)~   作:十宮恵士郎

6 / 6
ひぐらしのなく刻に 解(下) ―完結―

 

「大丈夫だよ宗二くん……私を、信じて。」

 

 

 “その世界”の宗二は、完全に静止していた。

 木刀を振り上げた状態で、微動だにしない。

 ……だが。

 その頭はゆっくりと回転を始めていた。

 佳奈の発した言葉。その手が伝えてくる温もり。彼女の視線。

 それらが、徐々に頭の中で噛み合っていき――

――やがて、1つの結論を導き出す。

 

(……僕は……何をやっているんだ……?)

 

 先程までの、異様な緊張感が、じわじわと解けていく。

 速く、激しくなっていた呼吸が整っていく。

 ……それに従って。

 彼には、自分の今やっていることを見直す余地が生まれた。

 状況を、頭の中で整理し直す。

 

(……佳奈は……僕の、味方なのか……?

 園崎家の手先じゃ、ない……?

 いや、そもそも……。)

 

 “園崎家が、鷹野三四の息子である宗二を狙っている”。

 父の知人が、あの男が語ったことは、果たして真実なのか?

 

(……いや、まだわからない。

 そうと決めつけるには材料が足らない……)

 

 心にこびりつく警戒の念が、その楽観を一度打ち消す。

 だが……

 宗二は、もう一度佳奈を見た。

 佳奈は……笑っていた。

 それも、さっきまで宗二の目に映っていたような冷笑ではなく、

柔らかく温かい、微笑みだった。

 宗二がさんざん打ちのめして、体がとても痛いだろうに、

それを思わせないような、笑顔で……。

 

「ああっ……あぁ……。」

 

 宗二は、木刀を取り落とした。

 心が締めつけられるような想いだったから。

 そして、膝からがっくりとくずおれた。

 ……佳奈の前で堂々と立っている自分が、恥ずかしく思えたから……。

 

「佳奈……佳奈……ぼくは……。」

「宗二くん……!?」

「……あぁ……信じられない……君に、君に何てことを……!」

 

 佳奈への殺意は消えた。宗二の中から。

 代わりに湧きだしてきたのは、自己嫌悪だった。

 

(僕は……なんで今、こんなことをしでかしてまで生きているんだ?

 ……仲間を、友達に暴力を振るって……

 女の子の華奢な体を、木刀でさんざん打ちすえて……

 それから……

 それから……!)

 

 もしその場に、ナイフの一本でも落ちていたなら。

 宗二はそれを拾って自分の胸に突き立てたかもしれない。

 だが現実にそんなものはなく、なすすべもなく震えるだけの宗二。

 そんな彼に……

 

「よかった……宗二くん、元に戻ったんだね。

 もう、大丈夫……?」

 

 佳奈は、温かい言葉をかける。

 そして……抱きしめる。

 その力はとても弱くて、抱きしめるというより、腕を宗二の背に回しただけという程度のものだったが。

 それでも、宗二には十分だった。

 伝わってくる体温が、感じられる心の繋がりが。

 崩れかけた宗二の心に、染みていく。

 頭がぼうっとする。それは、疑念に凝り固まっていたさっきまでも同じ。

 でも……今度のそれは、すごく気持ちがいいものだった。

 いつの間にか、宗二は泣いていた。

 悲しみと、嬉しさと、両方が混じった涙だった。

 体に力が入らなくて、涙を拭けない。

 情けない涙声になりながら、それでも宗二は言葉を絞り出した。

 

「ごめん……佳奈。僕、間違ってた……!」

 

 

 

 

 

 

「バカな…………!! そんな……ハズは……!!?」

 

 ……どれぐらいの時間が、経ったのだろう。

 ふと気づくと、私の腕の中に宗二くんがいた。

 さっきまでの殺気はどこへやら、すっかり縮こまって、脱力した様子で息を吐いている。

 ……そして。

 “神”は、予想外の事態にうろたえていた。

 私たちを見ながら、唖然とした表情で、小刻みに震えている。

 

「圭一さえ……圭一とレナでさえ、嵌まった深み……疑心暗鬼のワナ。

 なぜそれを…………何も知らぬお前たちが、やすやすと突破できる!?」

 

 その言葉の意味はよくわからない。

 けれど、「何も知らない」という言葉はシャクにさわった。

 だから……

 宗二くんを腕に抱えたまま、頭だけを“神”の方に向けて、

彼女に言う。

 

「……あなたはカミサマらしいけど、わからないんだね。」

「何……?」

「私は確かに知っているよ。……父さんが。母さんが。雛見沢のみんなが、教えてくれた。

 それを、私は思い出した。

 だから……奇跡が起きたの。

 私たちは、雛見沢に守られてる。……だから、こんな茶番には、屈しないんだッ!!」

「……何を言って……ぐッ! ぐぅぅッ……!」

 

 理由はわからない。だが“オヤシロさま”は、苦しんでいる様子だった。

 鬼の面の上から頭を押さえて、そのまま屈みこみ、苦悶の声を上げている。

 あまりにも苦しそうで、痛そうで。

 さっきまでの仕打ちも忘れて、一瞬同情の念さえ起こったほど。

 ……だが、それも一瞬。

 頭を押さえるのをやめ、立ち上がった“オヤシロさま”は、ついさっきまでと同じ冷静な様子だった。

 深く溜息をつき、やれやれと言わんばかりに頭を振る。

 

「……つまり今は私の負け……そう言いたいんだね?

 言い訳はしないよ……その通りだろう。

 だからしばらくは、君たちの好きにさせてあげるよ。

 でもいつか戻ってくる。いつかまた、君たちの心に隙が生じた時に。

 “あの頃”の雛見沢を、取り戻すために……。」

「……あなた、一体何なの? 何のために私たちを!」

「さよなら、佳奈。その時はまた……楽しく遊ぼう?」

 

 言いたいことだけ吐き捨てて。目の前に立つ人影が、消えていく。

 鬼の面も、巫女服も。雛見沢の宵闇の中に溶ける。

 いや、“オヤシロさま”だけじゃない。宗二くんも。父さんたちも。ゆっくりとだが消え去ろうとしている。

 消える速度は、父さんたちの方が速い。

 ……そこでようやく気づいた。父さんたちがもう、死体ではないことに。

 生きていた頃の姿に、戻っていることに。

 みんな、穏やかな笑みを浮かべながら、私と宗二くんを見ている。

 

(……がんばれよ、佳奈……)

(応援してるからね……)

 

 最後に父さんと母さんがそう呟いて……みんなは消えた。

 そして……

 腕の中にいる宗二くんも、消滅の時が近づく。

 ……その時になって、また、大事なことを忘れていたことに気がついた。

 ……ああ、何てことだ。

 さっきから、私は、宗二くんを抱きかかえたままだったのだ。

 

「……佳奈、そろそろ、離してくれないかな。ちょっと、苦しい。」

「え! ……え!!? あ、えーと、そのっ!

 ……うん、ごめん……。」

 

 腕の中にいた宗二くんをそっと、しかし出来る限り手早く解放する。

 宗二くんは涙も、鼻水も出したままで、何だかとても冴えない顔つきだったが

それを忘れさせるぐらいのいい笑顔を私に見せる。

 ……顔が熱くなる。

 心臓も、今更のようにバクバク言いだした。

 気が動転する。言葉が、口から出てこない。

 ……神様には、あんなにすらすら啖呵を切ったのに。

 エサを狙う鯉のように口をぱくぱくさせるだけの私。

 そんな私を見ながら、宗二くんは優しく笑んで、何かを言おうとして――

 

 

 

 

 

 

――私は、目を覚ました。

 

(……え……!?)

 

 一瞬、激しく動揺する。

 ……私が今、寝ているのは……自宅のベッド!?

 

(……そんな……

 これじゃまるで……さっきまでの出来事全部……

夢だったみたいじゃ……。)

 

 そう思って、立ち上がろうとして……

脇腹に、痛みを感じた。

 ……まるで、木刀にでも打たれたような痛み。

 それを感じて――――安心した。

 よかった、と。

 ……こんな痛みを感じるのなら、多分さっきのは夢じゃないんだ、と。

 

(……ケガしてるのがわかって安心するって、何かおかしいけど……。)

 

 そんな風に苦笑して、立ち上がり、痛みをこらえながら階段を下りる。

 窓から見る景色は、とっくのとうに真っ暗闇だった。

 階下からは、何かを炒める音が聞こえてくる。沙都子さんが野菜炒めでも作っているのかな?

 

「沙都子さん……?」

「あぁら佳奈さん。どうなさったのかしら。帰ってきたと思ったら、挨拶もせずに2階に上がってちゃって。私、少し心配しておりましたのよ?」

 

 果たして台所にいた沙都子さんが、わずかに苛立ちを感じさせる顔で微笑む。

 ……どうやら、意識もないまま帰宅して、夢遊病患者のように自室へ戻っていたらしい。

 自分の器用さに呆れながらも、とりあえず言うべきことを言う。

 

「ごめんなさい沙都子さん……実はちょっと、外で怪我しちゃって……。

 さっきはあまりにも痛すぎて、沙都子さんに声かけるの忘れちゃってて……

 ……夕食終わったら、看てもらってもいいですか。」

「まあ! 何でそういうことをもっと早く言わないんですの!!

 ……うーん、もう少し、もう少しだけお待ちくださいまし!

 佳奈さんの大好きな野菜炒めを適当にほっぽり出すのも、気が引けますものねぇ!」

 

 沙都子さんは必死な表情で私と、目の前の野菜炒めを見比べている。

 それを見て、私は思わず笑ってしまった。

 ……何だかおかしかったし、自分がちゃんと元の日常に戻ってこれたとわかって、安心したから。

 

 

 

 

 

 

 ――結局、沙都子さんの見立てでは、さほどひどい傷にはなっていないらしい。

 けれど、こういう怪我はレントゲンとかで詳しく見ないと確かなことは言えないとか、何とか。

 そんなわけで今夜は安静にし、早く寝て、次の朝診療所に行くことになった。

 今日は、早く寝なければならない。

 ……だが。

 寝てしまう前に、どうしても済ませておきたいことがあった。

 今日は金曜日。そして宗二くんが帰ってくるのは、本人の弁によると、日曜の昼下がり。

 連絡は、早くしておくに越したことはない。

 自室に帰って、ベッド脇に置かれた携帯電話を取り、電話帳からある番号を呼び出す。

 そして通話ボタンを押した。

 数回の発信音の後、すぐに目当ての相手が電話に出る。

 

「……もしもし? 魁月ちゃん? ごめんね、こんな夜中に。

 ちょっと、明後日のことで、話しておきたいことがあって……。」

 

 

 

 

 

 

 その夜、私はまた夢を見た。

 内容は、よく覚えていない。

 けれど、前に見たような悪夢の類ではなかったことと、

その中に宗二くんが出てきたことだけは、確かに覚えている。

 

 

 

 

 

 

 パシャッ、パシャッ!

 ――不意を突くようなシャッター音に驚いて、宗二は慌てて飛び起きた。

 その目の前には、父がカメラを構えて、宗二を覗きこむようにして立っている。

 バスの中だと言うのに立ち上がってカメラを構える姿はとても悪目立ちしていた。

 

「おぉっと、びっくりした!」

「それはこっちの台詞だよ父さん! 寝顔をこっそり撮ろうなんて悪趣味だな!」

「……あっはは、ごめんごめん! いい寝顔だったから、カメラマンの血が騒いじゃってね!」

「カメラマンって言ってもアマチュアだろ! 本業は自衛隊員じゃないか!」

「うーん……宗二は母さんに似て、結構手厳しいなぁ。」

 

 父は苦笑いを浮かべ、ポリポリと頭を掻きながら元の座席、宗二の隣に座る。

 すまなそうな表情だが……それでも例えば、自分を養子にやったことを謝る時の顔とは大違いだ、と宗二は感じていた。

 何だか、わくわくしてこれから起こることに期待しているように感じられる。

 さっきのような行動も、わくわくして羽目を外してしまった結果なのかもしれない。

 

(父さんが雛見沢についてくるって言いだしたときは驚いたけど……多分これ、僕が心配っていうのは半分だけだな……)

 

 一体雛見沢と父の間にはどんな関係があるだろう、と宗二は考える。

 簡単に予想できないが……しかし、きっとそれは一度や二度訪れたとか、そういうものではないのだろう。

 それ以上の深い縁があるように、宗二には思えた。

 

「ねえ、父さん。」

「ん?」

「本当によかったの? ついてきて。今使ってるこの時間を、母さんのために使うこともできたよね?」

「うん、まあその通りだ……でも、これは母さんと話し合って決めたことなんだよ。」

「母さんと?」

「ああ。……宗二。正直に言うとね、父さんは、金曜日に久しぶりに君に会ったとき――しばらく会わないうちに、たくましくなった、と思ったんだ。」

「えぇ!? そ、そうかな……。」

「ああ。昔知り合った男の子を思わせるような、いい目をするようになったよ。……そしてね、それはきっと、この雛見沢のおかげなんじゃないかと思ったんだ。」

「雛見沢の……おかげ」

「父さんも、母さんも、この雛見沢ではすごく大事な経験をした。すごく大事な出会いがあって……その出会いのおかげで、今の僕たちになることができたと思うんだ。それは、宗二も同じなんじゃないかって思った。

……だから、改めて、この土地にお礼を言いたくなったんだ。それで、来たんだよ。母さんの分まで、お礼を言うためにね。」

「……そうなんだ……。」

 

 真剣に、雛見沢のことを語る父を見て、宗二は何とも言いがたい安心感を覚えた。

 この土地に対して自分が感じている温かい気持ちを、父もまた共有してくれているのだと感じられたから。

 それと同時に、その“すごく大事な経験”というのは何だろう、という疑問も生まれた。

 一体、それはどんな経験だったのか?

 それを少しでもいいから聞きだしたくて、口を開いたその時――

 

「次は、雛見沢ぁ、雛見沢です。お降りの方は、停車ボタンを押してください。」

 

ちょうどいいタイミングで、車内アナウンスが響きわたった。

 

「おっ! 着いたぞ宗二! ほら、降りる支度をして!」

 

 早速いそいそと降りる準備を始める父を見て、宗二は聞きたいことを聞けなかったとがっかりし――同時に、それでもいい、と温かく許容する気持ちを感じていた。

 人生は長いんだ、またいつか、聞く機会も来るだろう、と。

 

 

 

 

 

 

 一面の畑が広がり、のどかな空気の漂う雛見沢のバス停。

 宗二と父の二人が降りると、バスは走って行ってしまった。

 それを見送ると、二人は顔を見合わせ、歩きだそうとして、

 

 

「おーーい!! 宗二くーーん!!」

 

 

呼びかけてくる優しい声に気がついた。

 宗二が、父親が振りかえると、バス停から少し離れた場所に、集まっている一団がある。

 それは――佳奈たちだった。

 佳奈。優乃。魁月。悟月。

 4人の部活メンバーたちが、宗二を笑顔で出迎えている。

 ……もどかしい想いがあった。心の壁も感じていた。

 それでも宗二は、全て振りきって駆けだした。

 駆けだしていって、佳奈たちの傍までやって来る。

 そんな宗二を見て、佳奈は一言、

 

 

「おかえりなさい、宗二くん。」

 

 

と言った。

 ――何だか、映画のワンシーンみたいで、照れくさい。

 そう感じながらも、宗二は彼女に笑顔を返して

 

 

「ああ……ただいま、佳奈。みんな。」

 

 

と返す。

 

 

 そんな子供たちの様子を、宗二の父――富竹ジロウは微笑ましい様子で見守っていた。

 だが、何かを思いついたかのように荷物をまさぐり、再び先程のカメラを取り出した。

 笑顔で語らう子供たちにカメラを向け――シャッターを切る。

 そして満足げに呟いた。

 

 

「ただいま……雛見沢。」

 

 

 

 

 

 

<了>

 

 

 




いかがでしたでしょうか。
「ひぐらしのなく刻に」の物語は、このエピソードで完結となります。
いろいろと唐突だったり、はっきりしなかったりするところがあり、いまひとつ納得できていない方もおられるかと思いますが……元々、何十話も重ねて書こうと考えた話を、無理に前編・後編・外伝・解の四編にまとめた結果ですので、その辺りは申し訳ないですが、そういうものだとお考えいただきたいと思います。
(余談ですが、今回このような形で物語をまとめるにあたり、週刊少年ジャ○プで10週打ち切りを喰らってしまった漫画家さんの心境が少しわかったような気がしました)

語りそびれたことをいくつか。
富竹・鷹野と仲瀬宗二の関係は、実は物語の初期構想段階から既に決まっていたことでした。
元々は「鷹野宗二」とあからさまに鷹野の息子であることを強調していたのですが、「雛見沢症候群を発症する宗二」のエピソードを書こうと考えた時点で、あえて名字を変え、出自を隠すことになりました。
某掲示板に連載していた版では、ちょこちょこ富竹の息子であるということの伏線を張っていたのですが、気づいた方は果たしているのでしょうか。……いないかもしれないな。

雛見沢症候群について。
「ひぐらしのなく刻に」の時代では、既に雛見沢症候群にはある程度有効な治療法が存在しており、患者が大人しく治療を受けるならば治療はほぼ確実に成功する、というところまで来ています。
しかし、作中に描写されたifの世界(≒某掲示板に連載されていた版の世界)では祭の晩に怪奇事件が起こり、そのごたごたで大人たちは宗二の発症に気づくのが遅れて、結果として宗二が暴走するという経緯があったわけです。
宗二が鬼隠し編の圭一を彷彿とさせる経緯で闇に堕ちていく過程は、本当はもっとじっくり描きたかったです……(未練がましい)

魁月について。
作中に登場する園崎魁月は、このハーメルンの版でははっきり描写されていませんが、圭一と魅音の娘です。
レナが物語開始の12年前に死亡し、その後圭一は魅音と再婚。そこで生まれたのが魁月です。つまり佳奈と魁月は腹違いの姉妹ということになります。
この佳奈と魁月の関係も、もっと掘り下げて描きたかったものの一つです。
腹違いの姉妹なんて、最近のエンタメ作品ではあまりお目にかかれない関係性ですし。

レナについて。
作中はっきりと死の経緯が描写されることがありませんでしたが、圭一・佳奈との家族旅行中に足を滑らせて崖から転落、そうした事故により死亡したというところです。
この事故は偶発的に起きたものであり、“オヤシロさま”は一切関わっていません。
この設定に関しては、導入を相当迷いましたが、前原佳奈というキャラクターの心の傷と成長という(主に前編で描かれた)部分に欠かせない要素であったので、結局取り入れることになりました。
「ひぐらしのなく刻に」で描かれたレナの顛末が必然だったなどとは、当然考えていません。他の世界線(例えば、他の方が書かれた続編二次創作など)では、きっとレナも幸せになっていると私は信じています。

そして、羽入について。
作中に登場した“オヤシロさま”は、羽入であって羽入でない、という微妙な存在です。
羽入が、「後編」の序盤で描かれたように、力を使い果たして消えてしまった後、その力が再び再構成されたのがオヤシロさま、とでも言えばいいのでしょうか。
羽入の記憶を引き継いでいますが、基本的に羽入とは別人で、羽入とは違う思惑で動いています。
なので、彼女の卑劣な所業は直接羽入とは関係ないのですが……それでも姿は羽入に酷似しているわけで。
後編の後書きで羽入に償いたいと言った私ですが、結果として償うどころかかえって不名誉な姿を見せることになってしまいました。
これに関しては本気で反省しています。
やはり羽入とレナには、今後何がしかの形で埋め合わせをしてあげたいところです。

長々と書いてきましたが、最後にお礼の言葉を。
「ひぐらしのなく頃に」の世界を彩るキャラクターの皆と、それを作り上げてくださった07th Expansionの皆様。本当にありがとうございました。お粗末な結果にはなりましたが、この小説を書くことができて、僕は本当に幸せでした。
某掲示板にて、この物語の原型を読み、応援してくださった皆様。あの頃、最高に楽しかったです。その時間を下さったことに感謝します。この「解」が、少しでもその恩に報いることができていれば幸いです。

そしてこんな小難しい上に、ちょっと暗い話を長々と読んでくださったあなた。本当にありがとうございました。
これからも十宮は小説を書き続けていくことと思います。
新しい作品がまた生まれたとき、またお付き合いいただけるなら、大変光栄に思います。
その時はよろしくお願いいたします。
ではでは。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。