スズに受け流し技術を教えてもらったおかげで、アイズに手加減をしてもらっているとはいえ、ベルは一発目の攻撃は何とか防いだりかわしたりすることは出来た。
しかし、どうしても二発目の攻撃を防ぎきることが出来ない。
毎回二発目で無様に地に叩き伏せられ「立てる?」と聞かれては意地で立ち上がりまた同じことを繰り返している。
上手くアイズの攻撃を読むことが出来ず、読めても二発目の受け流しがどうしても間に合わない。
鞘による連撃だけではなく、隙あれば膝蹴りや回し蹴りなどの体術まで使ってくる。
スズは説明しながら技術の説明や動作の意味を教えてくれてから、実際に体に叩き込んでベルが基礎を覚えるまで繰り返すスパルタ特訓だったが、アイズの場合はいきなり体に叩き込んでくる。
何をしてくるかもわからなくてかじった程度の受け流し技術ではどうしようもなく、スズとの違い『実戦で受け流しをするのは難しい』と言っていた意味がよく理解できた。
何よりもわかっていたけどアイズの動きはとにかく早い。
手加減してくれているのに早くて重すぎる。
ライトアーマーを着けているにも関わらず膝蹴りの衝撃で吹き飛ばされ息が詰まった時は何事かと思った。
「……受け流すことに……集中しすぎてる、よ。その技量で立ち止まっていたら……ただの的。今の君は……避けるのと防ぐの、片方ずつしかしてない」
また地面を舐めることになったがめげずに立ち上がる。
今度は一発目を受け流し、二発目を後ろに下がってやり過ごすが三発目を受け流す余裕がなく、ついでとばかりに四発目まで食らってしまった自分のことが恥ずかしくなってくる。
「ベルさん大丈夫ですか!?」
よほど今のが痛そうに見えたのかレフィーヤが心配そうに声を上げるが、レフィーヤの膝の上にはスズが眠っているせいで駆け寄ることが出来ずに少しおろおろとしているところが可愛かった。
やはりベルはエルフが好きだったが、今の自分はアイズ一筋だとぶんぶんと首を横に振り立ち上がる。
今度こそ自分の為に訓練をつけてくれているアイズに応えようとスズとスクハの動きを思い描きながら、先ほどまでのアイズの攻撃パターンを思い浮かべて回避を試みる。
剣舞をかわし受け流し3回目4回目と攻撃回避スコアが更新したところで、アイズが一瞬隙を見せた気がして『攻撃をすんでの所でかわし相手の隙をつく』というスズの教えに習って懐に飛び込んでしまう。
その瞬間に『隙なんて関係ないほど身体能力が離れている場合』と『ワザと隙を見せて、こちらの攻撃を誘われている場合』もあるので、相手を見極めることが一番大事だから『格下相手以外にまだやったらダメだよ』というスズの注意事項が頭を過った。
「あ」というアイズの呟きを聞く暇もなくベルが蹴り飛ばされ意識が刈り取られた。
§
「アイズさん! 何をやってるんですか!?」
「……力加減が……難しくて……」
「そうじゃなくって、なんでベルさんに膝枕しようとしてるんですかっ!?」
アイズが気絶させてしまったベルに膝枕してあげようとすると、レフィーヤが悲鳴に近い声を上げた。
レフィーヤも今スズにやってあげていることなのに何でそんなに驚くのかがわからなくてとアイズは不思議そうに首を傾げた。
「レフィーヤも……白猫ちゃんに、してあげてるから」
「スズさんはまだ子供ですし、女の子ですし……」
「この子もまだ子供、だよ?」
またもやアイズは首を傾げた。
「アイズさんは天然すぎです……」とがっくりとしているレフィーヤも心配だが、今は力加減を失敗して気絶させてしまったベルの方が心配だ。
何よりも前回ダンジョンで膝枕をしていた時は慌てふためきながらも謝ってくれたが、最終的にはまた逃げられてしまった。
リヴェリアの言葉を信じてやったのに逃げられてしまったことを抗議すると、声を出してリヴェリアは笑い「お前の仕方が悪かっただけだ」と言われてしまった。
しかも安心したようにだ。
確かに自分は最近焦っていたし落ち込んでもいたが、『いつもの不器用なお前に戻ってくれて安心した』とでも言いたいのだろうか。
とても失礼である。
でも次に接した時のベルは逃げなかったので膝枕が逃げた原因だと見て間違いない。
自分だって膝枕で人を喜ばせることくらい出来るんだと変な対抗意識をアイズは燃やしていた。
もっとも、リヴェリアが安心そうな顔をしたのは、ベルに逃げられてショックを受けたものの子供のようにリヴェリアに反論するアイズの姿を見て、ベルと関わったことで少し憑き物が落ちてくれたので、思った通り兄妹と関係を築くことで良い傾向に向かっていると安心しただけなのだが、当然アイズはそのことに気付いていない。
「……あ……ごめんなさい、レフィーヤさん、アイズさん。私……眠っちゃってたみたいで……」
レフィーヤが大きな声を出してしまったのでスズが起きてしまったようだ。
スズがレフィーヤの膝から頭を上げて、立ち上がり二人に頭を下げる。
「そんな、スズさん! まだ寝てていいですよ! 膝枕させてください!」
レフィーヤはスズという温もりを手放すのが惜しくて本音をポロリと出してしまうが、ベルが意識を手放している今、この場には天然が二人いるだけなので誰もその言葉を深い意味で考えようとはしない。
その言葉の意味を単純に自分を心配してくれているものだと思ったスズは、「お言葉に甘えて」と笑顔を作りレフィーヤの膝に頭を預けた。
レフィーヤが頭を撫でると猫のように気持ちよさそう顔をして完全に身をゆだねている。
そしてよほど心地よかったのか静かな寝息がまた聞こえて来た。
それをじっとアイズは見つめてレフィーヤの行動を観察する。
膝枕一つであんなにも身をゆだねているのだから、やはり自分の方法が何か間違っているのだろうか。
ベルが目を覚ますと、アイズに膝枕されていたことをまた慌てふためき兎が逃げるかのように跳んで距離をとってしまうのだから間違いないと確信してしまう。
逃げられてしまいショックを受けながらも、「嫌、だった?」とストレートに聞いてみると「嫌じゃないです!」と赤面しながらアイズにはよくわからない慌てふためき方をして、よくわからないことを言っていたが、要約すると『ビックリして逃げてしまうけど嫌ではなく、気絶して不可抗力で受け入れるしかない』ということだろう。
リヴェリアへのリベンジもあるが、ベルを膝枕させて頭を撫でてあげていると、なんだか子兎を膝の上で愛でてあげているような感覚に陥り、もう一度あの撫で心地の良い兎をもふもふしたいという欲求が湧いてくる。
癒されたい。
心をぴょんぴょんさせたい。
意地と癒しを求める欲求に加え、相手が嫌がっていないことの確認が取れたアイズの選択肢は一つに絞られた。
「それじゃあ、気を失っている間ならいいんだね」
意識を刈り取って膝枕。
意識を刈り取って膝枕。
意識を刈り取って膝枕。
淡々とその作業を繰り返してアイズの表情はどこかほっこりしていた。
「あ、アイズさん! ベルさんの特訓中です! 気持ちはわからないでもないですけど、わざと気絶させるのは可哀想です!」
「はっ」
レフィーヤのその指摘に酷いことをしていたことをようやく自覚して、アイズのほくほくしていた気持ちが失速して墜落した。
次にどうしよう、なんて謝ろうとおろおろしだす。
もしも今眠っているスズにそのことを知られたら、兄をただ理不尽にいじめているだけだったアイズのことをなんて思うだろう。
少なくとも自分はレフィーヤやティオナ達が理不尽にいじめられていたら怒る。
激怒する。
アイズの顔が一気に青ざめた。
「嫌われちゃう……」
「き、嫌われはしません! ほら、スズさんもベルさんもすごく人がいいですし、アイズさんに膝枕をされるなんて羨ましいことされながらアイズさんを嫌いになるなんて私が許しません! むしろ私にもしてください!」
「膝枕?」
「もちろ……いえ! と、特訓です! 【並行詠唱】の特訓をつけてください!」
アイズからのイメージを崩したくないあまりレフィーヤは見栄を張った。
本当は死んでもいいから膝枕をされながら頭をなでなでしてもらいたかったのだが、今後のアイズとの関係を考慮して可愛くて心優しい後輩という姿勢を崩したりしてはいけない。
断じて、アイズにティオナのような露出の高い服や、自分とおそろいの服を着てもらったり、変な妄想をしている自分を知られて幻滅される訳にはいかないのだ。
騒いでしまった所為でまたスズが起きてしまったので、温もりは恋しいし自分勝手な理由でスズを起こしてしまったのは心苦しいが、少しアイズもレフィーヤも頭を落ち着かせる必要があるので、少しの間だけ時間をとらせてもらおう。
「スズさん、お兄さんが起きるまでちょっと私も特訓を受けてきますね」
「はい。頑張ってきてください。私はここで応援してますね!」
スズが邪魔になるコートと防具を脱いでベルを膝枕しながら、笑顔でレフィーヤのことを見送ってくれた。
防具とコートを脱いだスズのラフすぎる姿に驚きつつも『ごちそうさまです』と心の中で鼻血を垂らしてしまったが、レフィーヤは真面目にアイズから特訓を受けようとアイズの目の前に来た時は気持ちを切り替える。
「リヴェリアじゃなくて……私で、いいの?」
「はい! 私もアイズさんに教わってみたいんです!」
指導に向いてないのではと自信を無くしていたところに頼られたものだからアイズの表情が明るくなって、レフィーヤは思わず心の中でポイントゲットとガッツポーズを決めた。
「【並列詠唱】だから……それじゃあ、私の攻撃をかわしながら詠唱してみて」
「はい!」
尊敬するアイズを幻滅させないように頑張ろうと地を蹴り詠唱を始める。
「【―――解き】」
アイズの姿がレフィーヤの視界から消え、レフィーヤの体を吹き飛ばした。
先ほどまでベルにやっていたのと同様に、全力で相手を気絶させるためだけの一撃を放ってしまったのか「あ」とアイズは鞘を振り切ったポーズのまま固まっている。
レフィーヤは薄れゆく意識の中『アイズさんは天然だから仕方ないよね』と思いながら、先ほどまでのベルと同様に勢いよく地面を転がり気絶してしまう。
昇り始める朝日が、ベルに膝枕をするスズとレフィーヤに膝枕をするアイズを薄っすらと照らし始めるのだった。
§
「予想以上にベル様がボロボロにされていてリリは驚きを隠せません。ベル様は体のいいサンドバックにでもされたんですか?」
集合時間にボロボロのベルと、傷一つないスズがやって来たものだからリリは大きく溜息をついた。
「あはははは、ちょっと僕が弱すぎたみたいで」
「実際のところどうなんですか、スズ様」
「【ロキ・ファミリア】のレフィーヤさんも同じように気絶させられていたから、多分力加減が難しいんじゃないかな。私は途中で眠たくて眠っちゃったからわからないけど、私が起きている間は一方的ではあったけど、体に染み込ませる特訓としてはすごくよかったと思うよ。里でも格上相手を想定した戦い方を学ぶ時はあんな感じだったし」
「人がボロ雑巾のようになる特訓をしていたお二人の里に呆れるべきか、それと同じことをしている【剣姫】に呆れるべきか…リリは反応にとても困ってしまいますよ。それで、そんなボロボロの状態でダンジョンへ向かわれるおつもりなんですか、ベル様は」
呆れ果てた目で見られて少し気圧されてしまうがベルは頷くと、リリにさらに大きな溜息をつかれてしまった。
「まあ、その程度でしたらスズ様もいますし予定通り8階層での稼ぎには支障は出ないと思いますが、無理は絶対になさらないでください。ダンジョンでは一人油断しただけでパーティーが全滅したなんていう事例はよくあることです。特にリリが非戦闘員なのにお二人はリリを含めた三人で帰ること以外選択肢がありません。なので些細なミスから怪我を負い、仲間を庇い合って全員が動けなくなるという最悪な事態が無いよう体調管理はしっかりしてくださらないと困ります! もしもベル様の武器である足に影響を及ぼす膝の痛みなどが少しでも感じたらすぐにおっしゃてください。リリはお金よりも、お二人のことの方が大切なんですから」
リリがものすごく心配してくれていることと、自分達のことを思ってくれていることが実感できて、ベルは注意されているのに不謹慎だとは思うのだが嬉しく感じてしまった。
リリもベルが何を喜んでいるのか察してしまったらしく、頬を少し赤めてしまっていた。でも、すぐに悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「あまり疲れている自覚のないベル様には一時間ほど休んでいただきましょうか。ベル様なら仮眠や横になる程度で問題ないでしょう。向こうの芝生は日当たりもいいですし寝心地が良いことでしょう。さあさあ、ベル様。あちらへ参りましょうか」
「う、うん。なんだか心配掛けちゃってごめんね、リリ」
「いえいえ、リリは早くベル様に元気になってもらいたいだけですから」
嫌な予感がするのは気のせいだと思いながら、リリの善意に甘えてベルはリリに手を引かれるのに逆らうことなく木々が少し生い茂る整地された綺麗な芝生に案内される。
ちょうど木々の陰から日の光が差し込んでいて、確かに寝っ転がったらふかふかの芝生の感触とぽかぽかとした日の暖かさで気持ちよく眠れそうな場所だ。
「こういうところでお昼寝すると気持ちいいよね。私も少しお昼寝しとくね」
スズがおもむろにまたコートと鎧を脱ぎだすものだから、ベルは顔を真っ赤にさせながら目を逸らし、リリは周りの見物人を睨んで追っ払う。
それでも見ている男神や女神達もいたが、構成員だと思われる冒険者達に引っ張られていった。
そんな光景に気付きもせずスズは冒険後のラフな格好になって気持ちよさそうに大の字で芝生に寝っ転がった。
「スズ様。人が見ている中脱ぎださないでください!」
「鎧を脱いだだけだから大丈夫だよ。ちゃんとスカートも上着も来てるし、スパッツも履いてるよ?」
「お日様の光で下着のラインが透けるようなもので安心しないでください!」
「よく見ないとわからないし誰も貧相な私のことなんて気になんかしないよ。心配してくれてありがとう、りっちゃん」
いつも通り全く危機感がない。
中のスクハは今頃赤面してるんだろうなとぼんやりと思いながら、ベルも芝生に腰を下ろす。
「あ、疲れているベル様はこちらです」
「こちら?」
リリの方を見るとリリが正座をして自分の太腿をぽんぽんと叩いてにっこりと笑った。
「枕があった方が心地よいと思いますよ、ベル様。体調管理はしっかりとしてもらわないとリリはとても困ります。それともベル様はリリの太腿なんて汚くて触れたくもありませんか?」
「そんなことある訳ないじゃないか! すごく嬉しいよ! 嬉しいけどそんなの悪いよ! ベンチの上とかならともかく、地面に座りながらだとリリが疲れちゃうしっ!」
「いえいえ、リリはこのくらいへっちゃらです。嫌ではないのならなおさらしてもらいたいです。女の子から膝枕を提供しているのにお断りするなんて失礼だと思いますよ。断られたら女としての魅力がないんだと泣き虫なリリは泣いてしまうかもしれません。それでもいいんですか?」
最近スクハと喋っていたせいか、リリがスクハのようなからかい方をしてくる。
ベルが初心なのを知っていて逃げ道を塞ぎ、赤面しながらも従う様をリリは楽しんでいるに違いないとベルは思った。
嬉しいがやはり恥ずかしい。
恥ずかしいが断れない。
頭も顔も沸騰させながらリリの柔らかくて温かい小さな太腿に頭を乗せると「聞き分けのいいベル様のことリリは大好きですよ」と言われたものだから、おもわず逃げ出したくなってしまった。
でも今日は膝枕をされすぎたせいか、心地よい太腿の感触と、甘い女の子の香りを手放したくない自分もいて、ベルの顔が完全に熟成しきったトマトのようになってしまう。
頭が腐り落ちるのも時間の問題で、そんなベルの頭を優しく撫でるリリがとても年上のお姉さんらしく感じてしまい、さらに顔も頭も沸騰してしまう。
でもリリはスズと同じく年下で、小さな女の子なんだと自分に言い聞かせて、本当はパルゥムだと知っているのだが、リリのこだわりなのか今でも
もしあったらこのぎりぎりを踏み止まれず逃げ出してしまっている。
今日はなんでこんなにも女の子の太腿と縁があるんだ。
恋い焦がれたアイズに膝枕をしてもらっただけでも幸せで死にそうだったのに、スズとリリからも膝枕をしてもらってしまった。
ダンジョンに出会いを求めるのは間違ってはいなかったが、太腿を求めているのは間違っている。
それではただの変態だ。
もしも『ダンジョンに太腿を求めるのは間違っているだろうか』なんてタイトルの読み物があったら出会いを求めてやって来たベルでもドン引きである。
でも内容は気になる。
どんなロマンが詰まっているんだろうと思うところはある。
そんな馬鹿なことを考えながらベルは気を紛らわして何とか平常心を保つように努力した。
隣からはスズの寝息が聞こえてくる。
特訓の時もほとんど寝ていたらしいので、壁抜きなんて無理をした反動でまだ体力が戻っていないのだろう。
つい先日まで歩くのも辛そうだったので当然だ。
このまま三人でのんびり今日も過ごしてもいいかもしれないが、防具を揃えるのにお金を沢山使ってしまったのでそろそろダンジョンには潜らなければいけないし、ソロで潜るとリリもスズも心配してしまうのでやはり三人で無理しない程度に稼ぐのが一番だろう。
そんなことを思っていると、不意にリリがまた口を開いた。
「ベル様は、リリのことをお好きですか。異性としてでなくていいので……素直に答えてくれるとリリは嬉しいです」
頭を撫でるリリの手が止まり、風がベルの頬を撫でてリリの前髪を揺らすが表情は見えない。
「大好きだよ。だから、側に居てもいいかとか何か不安に思ったことがあったら、なんでもいいから言ってくれると嬉しいな。どんなことがあってもリリは僕達の仲間だよ。それはこれからも変わらない。本当に大切な人を思う気持ちはどんなことがあっても変わらないって僕は思うんだ。だから安心して、リリ。リリの今の居場所はここで合ってるから」
自然とまた頭がすっきりとして、安心させてあげようと笑顔を作ることが出来た。
それを聞いたリリの口元が嬉しそうに緩んでくれた。
「ありがとうございます、ベル様。リリもどんな関係であろうと、ベル様とスズ様のお傍にいられれば幸せですから。リリがヘスティア様のところにコンバージョン出来るように今日も頑張りましょうね、ベル様」
とても嬉しそうにリリはそう言って、ぶんぶんと振るリリの尻尾が芝生を音を立てて揺らす。
リリのおかげですっかりと体力も気力も回復したベルは、今日もスズとリリの三人でダンジョンに挑むのだった。
一日に三人の女の子から膝枕をされるベル君。
スズとスクハという人物の追加で色々な人との関係が変化し、スズは大体寝ているだけだったにも関わらず、ずいぶんと凝縮された一日目となりました。
まさか膝枕だけで一話を使うことになるとは。物語自体は進んでいませんが、キャラクター達の変化を楽しんでいただけたなら幸いです。