スズ・クラネルという少女の物語   作:へたペン

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ベルに頑張って甘えてみるお話。

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 【注意】
例えば『黒くて硬いヘスティアナイフ』などのお下品でおバカなネタが嫌いな方は
ご注意下さい。この話にはそんなおバカな成分が含まれております。

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Chapter03『甘え方(初級編)』

 温かいぬくもりを感じながらベルは穏やかな目覚めをすることができた。

 

 毛布以外の温かく柔らかい何かが体全身を包んでいるような感覚がして、うっすらと少し寝ぼけた眼差しでその暖かさに目を向けると、スズがベルの胸に顔を埋めるように密着して穏やかに眠っていた。

 

 とても柔らかく温かいスズの体に、スズが実家から持ち込んで毎日清潔さを保つために使っているシャンプーの心地よい香りに、もぞりと少し動いて「んっ」と声を漏らすスズに、それを抱き枕のように抱きしめてしまっている自分自身に、ベルの鼓動は一瞬だけ高まりぎょっとしてしまうが、すぐに「寝ぼけちゃったのかな」と微笑ましくも苦笑する。

 

 時刻はまだぎりぎり五時を周っておらず、五感が鋭いスズを起こさずに抜け出すのは至難の業だ。

 下手に動いて起こしてしまうのは心苦しいしどうしたものか。

 まだ幼くベルにとっては妹であるスズだが、その可愛さは神様達や商店街の皆にお墨付きで、男としても兄としても母性本能を持った人にとしても最高級の抱き枕であり、もう少しだけ堪能してもいいよね、とついつい思ってしまう。

 

 甘える猫のようにベルの胸に頬を幸せそうにこすりつけるスズの寝顔に思わず頬が緩む。

 

 しかし、別の異変がベルの背中を襲った。

 いや、正確には気づいてしまった。

 ものすごく柔らかく温かいものが背中に当たっている。

 後ろからもなんか「んっ」と小さく身じろぎしている存在がいる。

 そしていつもの少し固いソファーの感覚が一切しない。

 温もりはない個所すらふかふかだった。

 

 

 ベルの顔が一気に青ざめる。

 まるで天国行きだったのを神の八つ当たりで理不尽にも地獄へ叩き込まれたかのような絶望感。

 自分の眠っているところを横目でちらりと確認してみると、そこはいつもベルが寝床に使っているソファーではなく、ヘスティアとスズがいつも使っているベッドの上だった。

 

 もしかしなくても寝ぼけていたのは自分ではないのだろうかと冷や汗が止まらない。

 

 誰にでも甘えるスズだが、女の子としての羞恥心はしっかり持っている。

 兄とはいえ目が覚めたら自分のベッドに異性が眠っていたら、抱きしめられていたらなんて思うだろうか。

 

 

 「お兄ちゃんキモイ」なんてスズの口調でもスクハの口調でもない変な電波がベルの脳内に駆け巡る。

 

 

 スズを起こさずに速やかにここから抜け出さなくてはならない。嫌われることは……多分、きっと、優しいスズのことだからないと思うが、間違いなく多少なりとも幻滅されてしまう。

 いい兄であり続けたいベルは自分の持てる【基本アビリティ】や、やや乏しい頭脳をフル稼働させて考える。

 

 

 勇気を持って行動しようと【英雄願望(アルゴノゥト)】も発動させてみるが、手足に光粒が集まって隠密性能上昇などの効果が起こる様子もなく、この状況で絶対に熱くなってはならない個所に光が集まっていく。違うそこじゃない!

 

 

 下半身股関節中心に光粒が集中しているところなんて見られた日には誤解を通り越して、危険人物としてしか見られない。

 少なくともベルはそんな人間を見たらまず間違いなくスズを近づかせない。

 光粒を集めたそれで一体ナニする気だよ、倫理観と立ち向かう勇気なんていらないよ、と自分で自分にツッコミを入れながら慌てて【英雄願望(アルゴノゥト)】をキャンセルする。

 

 断じて妹に性欲なんて感じていない、断じて背中に当たる神様の殺人兵器に性欲なんて恐れ多いことは感じていない。久々に自分に呪文を唱え続けて煩悩を消し去る。

 

「……ベル……おはよう……」

 むくりと目を軽くこすりながらスズが起きてしまった。

 光粒が集まっているところを目撃されなかったことは不幸中の幸いだがピンチに変わりはない。

 

 【英雄願望(アルゴノゥト)】も役に立たない。

 いや、起ったけど勃ってはけないところしか発動してくれなかった。

 そんな勇気は奮い立たなくていいし、そんな行動を起こそうとしたわけでは断じてない。

 

「びっくりさせてごめんね……。えっとね、神様がね、家族で川の字で寝たら……怖いのも忘れて安心できるよって、それでベルが寝てから私が運んだの。ベル恥ずかしがり屋だから絶対に一緒に寝てくれないし、ベルと寝るの恥ずかしかったけど、その、神様の言う通りすごく安心できて……」

 

 そうスズがもじもじと顔を上気させながら説明してくれた。

 どうやらベルが寝ぼけて迷い込んだのではなく、ヘスティアが提案してスズが実行したらしい。

 ミノタウロスとの遭遇で怖い思いをしたので、きっと不安で温もりが欲しかったのだろう。

 

「その……えっと……や、だったかな。ごめんね、私の勝手な都合でびっくりさせちゃって……」

「びっくりしたし恥ずかしかったけど、嫌じゃなかったよ。スズの温もりを感じてたおかげでいつもよりすっきり目が覚められたし」

 そんなスズの姿を見たら、自然と兄として振る舞ってあげられた。

 

「じゃあ、えっと……毎日みんなで寝るのは――――」

「それはちょっと僕の気がめいっちゃうかも。恥ずかしすぎて」

「だよね。私だってすごく恥ずかしかったから。でも、ベルと一緒に寝れて、三人で一緒に寝れて、それをベルが嫌じゃないって知って、すごく嬉しかったよ」

 スズが顔を真っ赤にさせながらも幸せそうに笑ってくれる。

 

 それがいつもながら嬉しく思えた。

 なのにふと上半身を起こして幸せそうな笑顔の下、首元の下、鎖骨の下に目が行ってしまう。

 スズの寝巻が着くずれしていて、上のボタンが数個とれて大平原の出っ張りが見えそうで見えないラインまで寝巻がはだけてしまっている。

 当の本人はそれに全く気付いていない。

 教えてあげるべきだろうが、このスズの幸せな気分を羞恥心で壊していいものだろうか。

 

 そう思うとベルの行動は早かった。

 飛び跳ねるかのように危険地帯であったベッドから離脱して慌ただしくダンジョンに行く準備を整え始める。

 

「まだ朝ご飯も食べてないよ?」

「あ、アイズ・ヴァレンシュタインさんに手が届くように、が、頑張りたいんだよ!」

「そっか。そうだね。私もアイズさんみたいになれるよう頑張りたいし、少しだけダンジョンに潜って、その後朝ごはんにしよっか。私も準備するから外で待っててね」

「うん。待ってるから! 慌てて準備しなくても外で待ってるから、急がなくても大丈夫だから!!」

 それらしい理由を並べて即全力逃走。

 

 多分指摘しなければ自分の服がはだけていたことにスズは気にせずに、幸せな気分のままダンジョンの準備をしてくれるだろう。スズは意識すれば恥ずかしがるけど、意識するまでは不用心にもそういったことに無警戒なのだ。ヘスティアが心配する気持ちがすごくベルにもわかるくらい無警戒で純粋無垢な少女なのだ。

 

 しばらく待っていると最低限の身だしなみを整えて、ダンジョンに行く準備を整えたスズが「おまたせ」とドアを開けて、祭壇のところで待っているベルのところまで小走りで駆け上がりリンリンと鈴を鳴らす。

 

「神様がいってらっしゃいだって。それと張り切るのはいいけど無理しないようにって」

「頑張るのと無理するのは違うからね。今日も張り切って行こうか」

「うん! そろそろ新しい防具も買い換えないといけなさそうだし、その為にも頑張らないとね」

 スズの防具は左小手のついていないプレートメイルと、簡単な整備で左手部分を無理やり補強されたチェインメイル。プレートメイルの他の箇所もところどころ簡易整備ではどうしようもできない傷が目立ってきており、家宝の盾はミノタウロスの蹴りでへこんで……。

 

「あれ、盾直ってる?」

「うん。不壊属性はついてないけど、生きているから、核が壊れない限りその内直ってくれるんだよ。コートやリボンと同じで強い家庭の味方なんだよ? 剣は大きさが足りなくて調理道具には使えないけど、盾は漬物石だけじゃなくて、勝手に綺麗になってくれるからどこでも皿にもなってくれるし、熱すれば蓋にも鉄板にもなってくれるんだ。支え棒があれば小さな小鍋としても使えるかな? 量つくれないから鍋として使っているところは見たことないけど」

 

 新品同様に煌めく盾が今までどんな使われ方をしてきたのかだいたい察することができた。

 確かに【無駄にすごい家庭セット】である。

 

「でも固い盾や強い武器も必要だね。ミノタウロス相手に全く通用しなかったし…。お金がまた貯まったらエイナさんに相談してみようね」

「そうだね。いつまでも支給品っていうのもなんだし……。その為にも今は行けるところで稼がないと―――――」

 いつも通り話しながら冒険者通りを歩いていると、ふとベルは視線を感じた気がして足を止めた。

 

 それに合わせてスズも立ち止まり、ベルを見上げて首をかしげている。

 ある程度気配を読むなんて立派なことができるスズが気づかないからベルの気のせいだろうか。

 

 でも妙に気になるというか、ざわつくというか、うまく言葉に出来ないような視線を感じてしまったため、ベルは過剰にどこから視線を感じたのかを探すために辺りを見回す。

 

 周りに異常はない。

 むしろ異常なのは急に立ち止まり周りをきょろきょろとしていたベルくらいだ。

 

「あの……」

 不意な声に大げさにベルは後ろを振り向いてしまうと、そこには近くのカフェテラスを準備している途中でベルを行動に不審に思ったのか心配したのか、とにかくどこから見てもただの一般人である給仕服だと思われる服を着た少女が、大げさに振り向いたベルに驚きを隠せぬ表情で固まってしまっていた。

 

「おどかしたらダメだよベル。すみません、なんだか視線を感じた気がして、冒険者のくせで、その、ベルは条件反射で警戒してただけで悪気はなかったんですッ」

「ごめんなさいっ!! ちょっとびっくりしちゃって!!」

「い、いえ、こちらこそ脅かしてしまって……」

 慌ててスズがフォローを入れ、ベルも謝ると、話しかけてきたベルよりも少し年が上くらいの少女もまた頭をさげてきて、ベルは一般人を脅かしてしまったことを余計に申し訳なく思った。

 

「え、えっと、僕に何か?」

「あ……はい。これ、落としましたよ」

 少女が見せたのはほんの小さな魔石の欠片だった。

 

 魔石は全てスズのバックに入れていて滅多に持ち歩かないが、倒した魔物が多い時は一時的に自分の腰巾着に回収する。たまにバックを拾いに戻っているスズに腰巾着に入れていた魔石の欠片を渡し忘ることが何度かあった。

 昨日はミノタウロスと遭遇して心に余裕なんてなかったので、おそらく存在自体を忘れていた魔石の欠片が腰巾着からこぼれてしまったのだろう。

 

「す、すみません。ありがとうございます!」

「いえ、お気になさらないでください」

 少女は笑顔でそう答えた後に、その様子をじっと見守るスズの頭を「大好きなお兄さんが怖い人だって誤解されたら嫌だもんね。お兄さんをかばうなんて偉い偉い」と撫でてあげている。

 スズはそれを嬉しそうに受けれていた。

 

 どうやっているかはわからないが、スズはいい人にしか自分から近づかずに、見るからにガラの悪かったり、怪しかったりする人には話しかけない。

 前に震えながら走り出してしまったジャガ丸くんの露店での出来事のようなことはもう起こっていないが、よこしまな思考に敏感なのか、セクハラ目的で近づく客や神に対しては猫のように触られる前に逃げてしまう。

 

 おそらくこれはスクハがスズのことを思って避けているのだろう。

 

 そんなスクハの敏感な謎センサーがこの少女には働いていないので、本当にただの一般人なのだ。

 善意で魔石の欠片を届けてくれたのに脅かしてしまったことが本当に申し訳なく感じてしまう。

 

「こんな朝早くからダンジョンへ行かれるんですか?」

「はい。目標にしている人が出来たので、えっと、頑張っちゃおうかな、なんて」

 妹の胸が見えそうで慌てて飛び出したなんて言える訳もなく、ダンジョンへ行く動機も間違っていないのでそう話のお茶を濁そうと笑って見せると同時に、ぐぅとベルの腹の虫が鳴いた。

 

 実に閉まりのない絶妙なタイミングで鳴いたので恥ずかしさのあまりベルの顔は真っ赤に染まった。

 いつも起きたらスズの手料理が食べられる幸せな生活に慣れすぎていたせいもあり、腹の虫が食事はまだかまだかと訴えているのだろう。

 

「ベル、やっぱり朝ごはん食べてから行こう。食べないと元気でないよ?」

「ふふふ、お兄さんが張り切りすぎちゃったのね。ちょっと待ってて」

 少女はそうスズに言った後ベルに笑顔を見せてパタパタと小走りで店の中に入っていき、小さなバスケットを持って戻ってくる。

 そのバスケットの中には小さ目なパンが二つとチーズが入っているのが見えた。

 

「これよかったら妹さんと二人で食べてください。まだお店がやっていなくて、賄いじゃあないんですけど……」

「そんな悪いですよ! これって貴女の朝ごはんじゃあっ」

 そこでまたぐぅとベルの腹の虫が鳴った。

 腹の虫が正直すぎるせいで少女と一緒にスズまでもがくすくすと笑ってしまう。

 

「このまま見過ごしてしまうと、私の良心が痛んでしまいそうなんです。だから冒険者さん、妹さんのお腹のことも考えて、どうか受け取ってくれませんか?」

「ず、ずるいっ……」

 そんな眩しい笑顔で、そんな殺し文句で、さらにスズのことまで引き合いに出されては断れるわけもない。

 少女はスズの頭を優しく撫でながら「お兄さんのお腹の虫さん退治しないと怪物も退治できないよね?」とスズに同意を求めているあたりかなりずるい。

 

「すみません、お姉さんの分なのに、いただいちゃって……」

 スズがバスケットを受け取って、ぺこりと申し訳なさそうに少女に頭をさげた。

 それなのにベルの腹の虫は相変わらず鳴いているのだから、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

 

 その音とベルの真っ赤に染まる表情を見て、やっぱり食べて出てくればよかったねとスズに苦笑されてしまったのがさらに恥ずかしく感じてしまう。

 腹の虫が鳴りやまないかぎり恥ずかしさの無限ループは続くことだろう。

 そんな様子を見て、また少女がくすくすと笑う。

 

「子供なんだから遠慮しないで。それにこれは利害の一致でもあるのよ?」

 パンを貰うだけなのに利害の一致とはどういうことだろうと、ベルとスズは顔を見合わせた後に首をかしげる。

 なんでもここでベル達に自分の食事を分けてあげる代わりに、夜は少女が働いている酒場『豊饒の女主人』という店で少し奮発して夕食をたべてもらい、自分の支給を少しでもあげて欲しいというたくらみがあるから遠慮なさらずにとのことらしい。

 そう少女は少しいたずらっぽく笑っていた。

 

「それに妹さん可愛いから、少しお手伝いしてもらいたいってのも本音かな」

 少女がスズを撫でたままベルの方に顔を向ける。

「えっと、変なお店とかじゃ、その、ないですよね?」

「安心して下さい。冒険者さんが心配するような、おさわりできるお店じゃありませんよ。給仕服を着て、お兄さんと一緒にご飯食べながら「いらっしゃいませ」って言ってくれるだけでいいの。きっとお客さんも妹さんに癒されてたくさんご注文してくれると思うんですよ。そうしたら私の今日のお給金は、高くなること間違いなしなんですから」

 今度はスズの目線に合わせて「ダメ?」と聞いてくる。

 

 中々に子供の扱いも客引きも上手い少女の対応に、にこにこと笑う少女の笑顔に、ベルは完全にペースを持っていかれ、この短期間でずいぶんと少女との距離が縮まった気がしたのはきっと気のせいではないだろう。

 この少女、きっとものすごく商売上手な子なんだろうなと思わずベルは内心苦笑してしまった。

 

「私はお手伝いしても大丈夫ですよ。少し雑な接客でよろしければ私にもできますし、それにオラリオに来てから大きなお店で外食はまだないし、ちょっと興味あるかなって……ベル、いい?」

「スズがいいなら僕も賛成かな」

 そう言ってあげるとスズも少女も嬉しそうに笑ってくれた。

 

「それでは今晩お手伝いしに行きますね。私はスズ・クラネルです。朝ごはんのパンなのに、分けてくださりありがとうございました。美味しくいただきますね!」

「気にしないで。お店のお手伝いを引き受けてくれてありがとうスズちゃん。私はシル・フローヴァ。冒険者さんは?」

「僕はベル・クラネルです。お礼になるかはわかりませんが、今日の夜に伺わせてもらいます」

「はい。お待ちしてますね」

 しっかり自己紹介も終えて、スズが笑顔で大きく手を振るのに対して、「待ってるね」とシルは笑顔で手を振り返す。

 

 小さな子ども扱いに手馴れている感じがしているし、パンのことといい、ちゃっかりしてるけどシルは心優しい少女なんだなとベルは感じた。

 なのでスズが仕事の手伝いをする時もきっと、本当にさっき言った言葉通り、給仕服を着せて楽しく食事しているところを他の客への宣伝として使いたいだけなのか、もしくはただ可愛いスズに給仕服を着せて眺めたかっただけなのだろう。

 少なくとも子供に対して酷い仕打ちをするような人物には一切見えなかったので、店の手伝いも安心して見守ることができるんじゃないかなとベルは思った。

 

「大きな酒場だったけどどんな料理出してるんだろ。楽しみだね、ベル」

 スズがバスケットを大事そうに抱えながら嬉しそうに笑っている。

「そうだね。食事の値段もわからないし今日は少し余分に稼いどこうか」

「うん。立派なお店だし、三〇〇ヴァリスとか八〇〇ヴァリスとか、すごい料理ありそうだよね。冒険者さんのお店だからスタミナ料理がメインなのかな」

 ああなのかな、こうなのかな、とスズが想像を膨らませて楽しそうに話し掛けてくれる。

 そんな無邪気にはしゃぐスズの姿が、リンリンと踊るスズの音が心地いい。

 

 澄み渡る早朝の空、今日も幸せな一日が始まるんだなベルは実感できて、いつものように自然と頬が緩んだのだった。

 

 




少し甘えさせた結果がこれです。
シルさんが子供を呼んでいるシーンが「みんな」しかなかった気がしたので、色々迷いましたがスズのことは「ちゃん」付けの子ども扱いにしました。


そしてドラマCDをようやく視聴。
支給品のライトアーマーが分割払い可能とはいえ、バックパックとレッグホルスター合わせずにあのお値段だったことに驚愕しました。支給品ですらなくエイナさんからのプレゼントだったとは…最初から尽くしてくれるエイナさんがヒロインでいいんじゃないかなベル君!
原作文でベル君が独白していた通り、絶対ギルド本部は冒険者の足元見てますよね(笑)

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