バトルスピリッツ アナザースターター   作:謙虚なハペロット

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遅くなりました。
烈火伝2章も発売しさらに混迷を極める環境。
最近だとループを探すのが流行っているようで…。


烈火伝第2章 好評発売中!

オールキラブースター【名刀コレクション】。
2015年9月5日発売予定!
君も新たな剣刃『天下五剣』と、新たな剣使、ゾンビ化した大剣聖を手に入れよう!



Step.04 『不様ね』

 

「負けた〜!」

「チワワを盾に取った罪は重い。慈悲は無い」

「そのチワワに貫通効果使った人が言う?」

「私のログには何もない」

 

 既にデッキの調整だの何だのは関係無くなり、ただの対戦…いや、怨念返しとなった。悔いは無い。

 

「しっかし、ちょっと入れ換えただけで凛々のデッキ急に強くなったねぇ」

「うん。それは私も感じた」

 

 新しいのを数枚入れただけであれだ。

これなら、あいつの自信満々な顔を歪ませるのだって訳無いかも知れない。…っと、その前に理絵ちゃんに会って約束果たさないと。対戦するって約束したし。

 

「……ところでさ」

「うぃ?」

「深緒のデッキってどうなってるの?」

 

 それはそれとして、黄になった事を聞いてみる。

対戦して、深緒のデッキから赤や青やら…本当に緑なのかと疑いたくなる。

 

「あ〜、あたしのデッキは“緑タッチ赤”なんだよ」

「2色?」

 

 前に教わったときはなるべく1色にまとめた方がいいと言われてたけど、どういうこと?

 

「じゃあここから講座2回目。

今回は、『混色』についてかしらねぇ」

 

「混色ってのはそのままの意味で、デッキに2色以上混ざったタイプだね」

「最近は当たり前だけど、昔は単色が基本だったんだよ」

「へぇ」

「今の流行りは【赤緑】【白紫】【青緑】辺りかな」

 

 混色は、中心となっている色に対して補助的な意味で入れるのが基本で、デッキによっては色合いが半々になる場合があるらしい。

「あたしは緑をメインに据えて、赤を補助にしてる感じかな」

「凛々ちゃんの場合は無理に色を加えずに、メインを赤に置いて、防御寄りマジックの白とかを入れた方がいいかも。下手に混ぜるとデッキ事故の元だからね」

「なるほど」

 

 

 ——後日。

一人であのお店に行き、リエを捜した。が…2、3日学校終わりに通ったけど一度も会うことが出来なかった。店員さんに直接聞いてみたところ、“他のお店の子”と言われ、ここには手伝いで来ていただけだったようだ。

…なら会えるまで通い続けるしかないか。

 

 で、前に言われた白のカードが無いか見回り中。…カードの名前くらい聞いておけばよかった。

 

「……ん? これかな」

 

 ショーケースの中の1枚に目が止まる。……《デルタバリア》? これとかがそうなのかな。コスト4以上のスピリットのアタック、スピリットとマジックの効果の効果じゃライフが0にならないって結構とんでも無いんじゃ?

 

「何かお探し?」

「っ! …何だ早苗か」

「何だとは何よ」

 

 急に声を掛けられたと思えば、早苗だった。驚かせないでよ。

 

「で? 白マジックのところで何を探してたの?」

「防御マジックとかってのを。…早苗は? デッキ返せって?」

「それはいいの。とりあえず、あのバトルで熱い負けん気があったのは理解できたから」

「あっそ」

「ただし。またふて腐れるような事があれば、取り上げるかも」

「なにそれ」

 

 その自信満々の理解してるみたいな顔はなんなのさ。…まぁ別にいいけど。

 

「で、防御マジックだったかしら」

「うん。何かオススメがあるの?」

「ならこの《絶甲氷盾》ね。大概のデッキに2枚以上は入っているわ」

「マジ?」

「マジ。デッキのタイプによるけど、防御マジックに困ったらこれを入れておけって言われるくらいにね」

 

 早苗が指差した1枚。これが絶甲氷盾ってのなんだ。…1枚250円となかなかのお値段。光っているのは400円と、ちょっと高い。

 

「…!? 1500円!? こっちのは2000円!?」

「こっちのは公式の“バトスピ部”特別仕様ので、こっちの“ミロク”が描かれてるのはアニメ特別仕様だからよ」

「………」

 

 これは手が出せない。

…早苗が言うには、コレクション目的じゃないのならこっちので十分とのこと。

よかった、これじゃなきゃダメなのかと肝が冷えた。

 

「…やめとこ」

「買わないの?」

「うん」

 

 もう少し後で買うことにしよう。急いで買う程じゃないだろう、多分。

 

 

 

「すげぇな!これで9人抜きだぜ!」

「やるなあの子〜」

 

 

 何やらお店の一角が騒がしい。

対戦スペースで何か起こってるらしい。

 

「気になる?」

「…別に」

「じゃあ見に行きましょう!」

「何でよ…」

 

 早苗に腕を取られその一角に引きずられるように向かうはめになった。興味無いのになんで…。

集まっているギャラリーの隙間から件の連勝してる人物を捜す。

 

(凛々)

(ん?)

(あのテーブルの女の子みたいよ)

(………あの子?)

 

 早苗が指し示す先には、何やら暗い雰囲気をしているような女の子と対面でうなだれている男性の姿が。

話からして、あの女の子らしいが…何でどんよりしてるの?

 

「くそ…。ありがとうございました…」

「…ども」

 

 よく見れば暗い雰囲気なんじゃなくて、ただ眠そうなだけっぽかった。小さく欠伸してる。

 

(本当に眠いのか、余裕の表れか。凛々はどっちだと思う?)

(…さぁ。興味ない)

(少しは興味を持ちなさいな)

 

 そう言われてもなぁ…。

さっき9人抜きとか言ってたし、誰が10人目になるかくらいとしか。

 

(…凛々、あの子に挑戦してみない?)

(何で私が。興味がある早苗がやればいいじゃん)

 

 私に10人目の生贄になれと言うのか早苗は。ただの吊るし上げにしか見えないようなのになんかやりたくない。

 

(何事も経験!私や深緒さん、羽月さんとは別の人とバトルするものよ!さあ!)

(ちょ…!)

 

「失礼!」

「…?」

「挑戦よろしくて?」

「…どぞ」

「よし!ほら凛々!」

「だから何で私…」

 

 強制的に座らされた。…こら!デッキまで勝手に出すな!

 

「ヘイヘイ女の子だ。悪かねぇぜ」

「そこのあなた。今度余計な事と言うと口を縫い合わすわよ」

 

 

 

「うぅ…」

「………」

 

 対面する女の子は長い黒髪で前髪が少し目に掛かり、黒い服装一式で纏めてる。…寝ぼけてるのか半目状態だ。

 

「……やめる?」

 

 止めるかどうか提案された。

そりゃ止めたい、けど…周りがそれを許さないというか、早苗ががっしり肩に手を置いて逃がしてくれない。

 

「…よろしくお願いします」

「ん…」

 

 やるしか無いのか…。

というか、9人抜きしてる相手に私が敵うのか?

 

「では!ゲートオープン、界放!」

「かいほー…」

「………」

 

 

    VS ???

     【???】

 

 

 先攻後攻決めはお互いサイコロを投げて出目が高い方が選ぶことに。私の分は、既に使われていたのを貸してもらった。

 

「よっ。……4か」

「…ほい」

 

 女の子が指を鳴らすようにサイコロを投げた。ちょっとカッコイイじゃないの。

勢いよく回転しながら、デッキにぶつかり止まる。…出た目は5。

 

「………」

「………」

 

 手札を確認。…これはどうする。

 

「……せんこー」

「了解」

 

<???・先攻第一ターン>

「…スタートステップ」

(リザーブ4)

(手札4→5)

 

 手つきはゆっくりだが、デッキからカードの引き方や手札の持ち方で早苗や深緒、羽月と同じ上級者だと見た。…いやだから9連勝してる時点でそうだろうに。

というか、何で連戦してるんだろう? 何かの修業か何か?

 

「………はふあ」

「………」

 

 …そうは見えないな。

 

「…メイン。ネクサスの《釣魂台》を配置」

(手札5→4)

(リザーブ4→0)

(トラッシュ0→4)

 

「ほう、また珍しいネクサスを」

「紫…」

「バーストをセットして、ターンエンド…」

(手札4→3)

{バースト:無し→セット}

 

 紫か…。これも話に聞いただけで何するか判らないんだよなぁ。

 

<凛々・後攻第二ターン>

「えっと…」

 

 ちらっと早苗を見る。目が合い、ギャラリーの目もあるからステップ宣言はちゃんとしとけと訴えかけてきている。

 

「…スタート、ステップ。コアステップ」

(リザーブ4→5)

 

「ドロー…ステップ」

(手札4→5)

 

「め、メイン、ステップ」

 

 深緒との対戦で、ライフを減らしたらスピリットが飛び出してきたんだっけ。…ならやっぱこれは強いんだ。

 

「《ベアードイーグル》を出すよ」

(手札5→4)

(リザーブ5→0)

(トラッシュ0→4)

[ベアードイーグル コア1 レベル1 BP3000]

 

「アタ…クステップで、ベアードイーグルで攻撃。攻撃したとき1枚引くよ」

(手札4→5)

 

「…ん。何も無し」

「なら、ライフを減らさないで1枚引くのに変える」

(手札5→6)

 

「ほう。相手にコアを渡さず1ドローに変えるとは、良いカードね」

 

「これで終わり。…た、ターンエンド」

 

 ステップを言うのやっぱりちょっと照れ臭い…。

 

<???・第三ターン>

「ん。…スタートステップ」

(リザーブ0→1)

(手札3→4)

(トラッシュ4→0)

(リザーブ1→5)

 

「メイン。…ネクサス《旅団の摩天楼》を配置」

(手札4→3)

(リザーブ5→4)

(トラッシュ0→1)

 

「配置時効果で…」

「…何で1コストだけ?」

「…?」

 

 相手の場に紫のシンボルは1つしかないのに何で1しかコスト支払わないの…?

 

「…釣魂台の効果」

「?」

「凛々。釣魂台の効果は、自身のバーストがセットされている間、ネクサスに紫シンボルを1つ追加する効果があるのよ」

「へぇ、そうなんだ」

 

 私の石剣に似てる効果なのか。…でも伏せるだけでシンボルを増やせるならこっちより使いやすいかも。

 

紫 ネクサス

釣魂台(ちょうこんだい)

コスト4 軽減紫2

<0> Lv1

<1> Lv2

シンボル:紫

Lv1・Lv2

自分のバーストをセットしている間、このネクサスに紫のシンボル1つを追加する。

Lv2『自分のエンドステップ』

自分の手札にある系統:<無魔>を持つスピリットカード1枚を破棄することで、自分はデッキから1枚ドローする。

 

「…いい?」

「あ、ど、どうぞ」

「ん。…摩天楼の配置時効果。1枚ドロー」

(手札3→4)

 

「……《ソードール》を召喚。レベルは1」

(手札4→3)

(リザーブ4→3)

[ソードール コア1 レベル1 BP1000]

 

「…次に、次代の闇の主。

 《悪魔皇デビッド》を召喚。レベルは3」

(手札3→2)

(リザーブ3→0)

(トラッシュ1→3)

[悪魔皇デビッド コア1 レベル3 BP9000]

 

「紫のアルティメット…」

「…ソードールのコアを釣魂台に移して、ソードールは消滅。釣魂台をレベル2へ」

[ソードール コア1→0 消滅]

[釣魂台 コア0→1 レベル1→2]

 

 出したのにもう退かした? 一体どういうこと?

 

「…エンドステップ、釣魂台レベル2の効果。…手札の<無魔>スピリットカード、《バットナイト》を破棄して、1枚ドロー」

(手札2→1→2)

 

 また引いた…。紫って、黄色に次いで変なタイミングが多い感じがする。

 

「…ターンエンド」

 

<凛々・第四ターン>

「スタートステップ」

(リザーブ0→1)

(手札6→7)

(トラッシュ4→0)

(リザーブ1→5)

 

「メイン、ステップ」

 

 …ベアードイーグルの効果を見たら相手だってタダじゃ放っておかないだろう。後は姉さんのアドバイス通り動いてみるか。

 

「《龍剣聖リューマン・マスターエッジ》を出すよ」

(手札7→6)

(リザーブ5→2)

(トラッシュ0→2)

[龍剣聖リューマン・マスターエッジ コア1 レベル3 BP5000]

 

「次に、《星騎槍ガクルックス》を龍剣聖に重ねて出す」

(手札6→5)

(リザーブ2→0)

(トラッシュ2→4)

星騎槍ガクルックス

  ↓ 直接合体

龍剣聖リューマン・マスターエッジ(合体)

[コスト:3+4=7]

[BP:5000+3000=8000]

[合体時:追加、発揮可能]

[シンボル:追加無し]

 

「……リューマン、赤のアルティメット、合体アルティメット…」

「…?」

「………」

「…気にしないで」

「う、うん。…じゃあ、ベアードイーグルのコアを龍剣聖に移して、アタックステップ」

[ベアードイーグル コア1→0 消滅]

[龍剣聖リューマン・マスターエッジ(合体) コア1→2 レベル3→4 BP5000→7000+3000=10000]

 

「龍剣聖で攻撃。両方の効果で1枚ずつ引くよ」

(手札5→7)

 

「それで、トリガー効果。龍剣聖のコストは7」

「……コスト8、スピリット《冥府三巨頭ザンデ・ミリオン》」

「ぅえ、外れた…」

「…アタックはライフで受けるわ」

(???ライフ5→4)

(リザーブ0→1)

 

「…ライフ減少で、バースト発動。《ラウンドテーブルナイツ》」

{???バースト:セット→発動}

 

「…バースト効果。…トラッシュにあるコスト5以下のスピリット1体を、コストを支払わず召喚する」

「トラッシュから…!?」

「…復活させるのは、さっき破棄した《バットナイト》」

(リザーブ1→0)

[バットナイト コア1 レベル1 BP2000]

 

「…バットナイトの召喚時効果発揮。1枚ドロー。…私の場にアルティメット、Uデビッドがいるため更に1枚ドロー」

(???手札2→4)

 

紫 マジック

《ラウンドテーブルナイツ》

コスト5 軽減紫2

【バースト:自分のライフ減少後】

自分のトラッシュにあるコスト5以下のスピリットカード1枚を召喚する。

その後コストを支払うことで、このカードのフラッシュ効果を発揮する。

フラッシュ:

カード名に「闇騎士」と入っている自分のスピリット1体につき、相手のスピリットのコア1個を相手のリザーブに置く。

 

 赤と同じくらい引きまくってる。

方法は違うけどここまで引いているのを相手にすると怖いものがある。姉さん曰く『潤沢な手札は選択の幅を増やして、相手にもプレシャーを与える』とか。

 

「…これで終わり」

 

<???・第五ターン>

「…スタートステップ」

(リザーブ0→1)

(手札4→5)

(トラッシュ3→0)

(リザーブ1→4)

 

「メイン。…やっぱり違うか」

「…?」

「…気にしないで。独り言よ」

「はあ…」

「…“毒蛇の心臓”、《毒蛇鎌アルファルド》をUデビッドに直接合体」

(手札5→4)

(リザーブ4→3)

(トラッシュ0→1)

毒蛇鎌アルファルド

  ↓ 直接合体

悪魔皇デビッド(合体)

[コスト:5+2=7]

[BP:10000+1000=11000]

[合体時:追加]

[シンボル:追加無し]

 

「っ…」

「…Uデビッドのレベルを4に。…で、バーストセット」

(リザーブ3→1)

[悪魔皇デビッド コア1→3 レベル3→4 BP9000→10000]

(手札4→3)

{バースト:無し→セット}

 

「…エンドステップ。手札の《冥府三巨頭クイン・メドゥーク》を破棄して、1枚ドロー」

(手札3→2→3)

 

 まだ攻めてこない…。

手札が悪いのか、はたまた窺っているのか。何か不気味なものを感じる。

 

<凛々・第六ターン>

「スタート、ステップ」

(リザーブ0→1)

(手札7→8)

(トラッシュ4→0)

(リザーブ1→5)

 

「………」

 

 1体だけなら何とかなるかもしれない。

だけど得体の知れない不安感は何だ。

 

「…ネクサスの《大地穿つ石剣》をレベル2で置くよ」

(手札8→7)

(リザーブ5→0)

(トラッシュ0→4)

[大地穿つ石剣 コア1 レベル2]

 

「…アタックステップ。龍剣聖で攻撃。2枚引いて、トリガー効果」

(手札7→9)

 

「……コスト4、マジック《絶甲氷盾》」

「当たり。石剣の効果で2枚引くよ。あとは…BPを5千足して、指定アタックってのはしない」

(手札9→11)

[龍剣聖リューマン・マスターエッジ(合体) BP10000+5000=15000]

 

「……手札の数で決まるものじゃないわ」

「っ、攻撃はどうするの」

「…焦らないの。…Uデビッドでブロック」

 

Sword Brave Attack!!

龍剣聖リューマン・マスターエッジ+星騎槍ガクルックス

BP7000+3000+5000=15000 →win!!

  vs

Defense!!

悪魔皇デビッド+毒蛇鎌アルファルド

BP10000+1000=11000 →Lose...?

 

「これで勝ってるよ」

「…破壊されるわ」

[悪魔皇デビッド(合体) 破壊]

 

「…でも、Uデビッドの破壊時アルティメットトリガー発揮」

「えっ!? 破壊されたら使えるの…?」

「…そうよ」

「そんなのが…。こ、コスト5の《太陽神剣ソルキャリバー》…」

「っ!?」

 

 突然相手が目を見開いて、驚いたような表情で立ち上がった。…び、びっくりした。何、急に何?!

 

「………」

「…な、何…?」

「あなたそのカードを何処で?」

「え?」

「何処で手に入れたかって聞いてるの」

 

 さっきの状態とは打って変わって早口で荒い口調で迫ってきた。掴み掛かられてはいないけど、顔が近いですはい…。

 

「し、知り合いに貰ったんだけど…」

「知り合いって誰」

「誰って…」

「ちょっと失礼」

「んおう…」

 

 すると早苗が割って入ってきて、相手の肩を押して優しく席へ戻した。

 

「まぁ落ち着きなさい。そんな剣幕で迫られては話もできないわ。オーケイ?」

「……オッケイ」

 

 …早苗の方を見れば、いつの間に作ったのか『I Love バトスピ』と書かれているハートの形をした用紙みたいのを持っていて、余裕たっぷりに椅子に腰掛けていた。

…感謝しようと思ってた気持ちが全部吹き飛んだ。

 

「凛々のデッキはうちの“従姉妹”が渡したものよ」

「………」

「太陽神剣も本物。私と麗ちゃんが保障するわ」

「…“蒼穹”が? ……ふん」

 

 納得したのかしてないのか不満そうな顔をして何か考え込み始めた。

 

「…バトルを続けるわ」

 

 少し考えて、まとまったのか対戦に戻るらしい。完全に私がのけ者状態だ。話が見えない。

 

「そうしてもらえると助かるわね」

「何なの…」

「とにかくヒット時効果発揮。1枚ドローして、回復状態で場に残る」

「なっ…!?」

(???手札3→4)

[悪魔皇デビッド(合体) 破壊→回復]

 

「これじゃいくらBPを上げても…」

「…ふふっ。…パワー押ししかできないトカゲはやることが単純よね」

「なっ…」

 

 突然馬鹿にされた…。

 

「…終わり」

 

<???・第七ターン>

「…スタートステップ」

(リザーブ1→2)

(手札4→5)

(トラッシュ1→0)

(リザーブ2→3)

 

「メイン。…さて」

「っ…」

「…《堕天剣聖モロク》を召喚。レベルは3」

(手札5→4)

(リザーブ3→1)

(トラッシュ0→1)

[堕天剣聖モロク コア1 レベル3 BP4000]

 

「…これで条件は揃った」

「揃った…?」

 

「堕天剣聖モロクは私の紫アルティメットの召喚条件を無視し、悪魔皇は私の究極シンボルを紫シンボルとして扱える…。

そして、私の場には究極シンボルが2つ。紫シンボルが3つ以上ある。

これで“骸の巨皇”が目を醒ます…!」

 

 これは、相手の切り札が来る…!

 

「骸の巨人は究極の命を啜り、新たなる皇となる…!

 《骸皇アルティメット・ギ・ガッシャ》…!

 レベル3、覚醒っ!」

(手札4→3)

(リザーブ1→0)

[骸皇アルティメット・ギ・ガッシャ コア1 レベル3 BP12000]

 

「い、色々何がなんだか…」

「…さっき言った通りよ。…モロクで召喚条件を無視。そしてUギ・ガッシャは召喚する際、コストを5として扱う。軽減は紫が3、究極が2。よって0コストで召喚できるの」

 

紫 アルティメット

《堕天剣聖モロク》

コスト3 軽減紫1極1 <次代・剣使・魔影>

【召喚条件:コスト1以上の自分のスピリット1体以上】

<1> Lv3 BP4000

<2> Lv4 BP6000

<3> Lv5 BP8000

シンボル:極

Lv3・Lv4・Lv5

自分の紫のアルティメットカードの召喚条件を無視する。

系統:<魔影>を持つ自分のアルティメットの究極シンボルすべてを紫のシンボルとしても扱う。

【合体時】【Uトリガー】Lv4・Lv5『このアルティメットの合体アタック時』

Uトリガーがヒットしたとき、相手のアルティメットのコア1個を相手のリザーブに置く。

 

紫 アルティメット

《骸皇アルティメット・ギ・ガッシャ》

コスト8 軽減紫3極2 <新生・無魔>

【召喚条件:系統:<無魔>を持つ自分のスピリット3体以上】

<1> Lv3 BP12000

<3> Lv4 BP18000

<5> Lv5 BP24000

シンボル:極

このアルティメットカードは、召喚するときコスト5として扱う。

Lv3・Lv4・Lv5 ???……

 

「…Uデビッドの毒蛇鎌をモロクへ換装」

悪魔皇デビッド

  ↓ 分離

毒蛇鎌アルファルド

  ↓ 換装

堕天剣聖モロク(合体)

[コスト:3+2=5]

[BP:4000+1000=5000]

[合体時:追加]

[シンボル:追加無し]

 

「…そして、バットナイトと釣魂台のコアをUギ・ガッシャに移し、レベルを4に」

[バットナイト コア1→0]

[釣魂台 コア1→0 レベル2→1]

[骸皇アルティメット・ギ・ガッシャ コア1→3 レベル3→4 BP12000→18000]

 

「なっ、ちょっと!?」

「ふふふっ…!Uギ・ガッシャの効果…! 私の<無魔>スピリットはレベル1の維持コアが0になり消滅はしない…!」

 

《骸皇アルティメット・ギ・ガッシャ》

Lv3・Lv4・Lv5

系統:<無魔>を持つ自分のスピリットすべてのLv1コストを0にする。この効果以外でLv1コストは変更されない。

 

「消滅しない!?」

「凛々、あれが紫のひとつの到達点。生も死も超越した存在、それが【無魔】よ」

「…くふふっ。さすが“蒼雷”。よく知ってるわね」

「その名で私を呼ぶなァッ!!」

 

 早苗が突然キレてテーブルを全力で殴った。コアやら何やら浮き上がったが無事だ。

 

「…バトル中よ」

「今の私は“叢空”! その称号は返上した!」

「…はいはい。…次は“ズル”されなきゃいいわね」

「ッッ…!!」

 

 

「あのさ、うちの“友人”を挑発するのはそこまでにしてほしい」

 

「…! 凛々…!」

「………」

「私のことはいくらでも挑発したっていい。だけど、嫌がっている人に責め立てるのは趣味が悪いよ」

「…失礼」

 

「凛々…!今私のこと、友人って!」

「知らん」

「凛々ぃ…!」

 

「…アタックステップ。Uギ・ガッシャでアタック。…アルティメットトリガー。コストは8」

「——コスト4のマジック、《ドラゴニックウォール》」

「ヒット。…では、骸を揺り起こすとしましょうか」

 

 骸を揺り起こすって、軽くホラーだよね…。

 

「…ヒット時効果。…私の墓場に眠る<無魔>スピリット1体を蘇らせる。対象は《冥府三巨頭ザンデ・ミリオン》レベルは2!レベル分にはUデビッドから確保…!」

[悪魔皇デビッド コア3→0 消滅]

[冥府三巨頭ザンデ・ミリオン コア3 レベル2 BP10000]

 

《骸皇アルティメット・ギ・ガッシャ》

【Uトリガー】Lv4・Lv5『このアルティメットのアタック時』

Uトリガーがヒットしたとき、自分のトラッシュにある、系統:<無魔>を持つスピリットカード1枚を、コストを支払わずに召喚できる。

 

「さあ、このアタックはどうするの?」

「通す!ライフ!」

(凛々ライフ5→4)

(リザーブ0→1)

 

「次、ザンデ・ミリオンでアタック…!」

「くっ…」

「…【神速】を握っているか知らないけど、一応忠告。…私の<無魔>スピリットのアタックを止めたければ、あなたのスピリットを破壊しなければブロックは無理よ」

「っ!?」

 

紫 スピリット

《冥府三巨頭ザンデ・ミリオン》

コスト8 軽減紫6 <無魔>

<1> Lv1 BP7000

<3> Lv2 BP10000

<6> Lv3 BP14000

シンボル:紫紫

Lv1・Lv2・Lv3『自分のアタックステップ』

系統:<無魔>を持つ自分のスピリットがアタックしたとき、相手は、相手のスピリット1体を破壊しなければブロックできない。

Lv2・Lv3『自分のアタックステップ』

???……

 

「じ、じゃあ…」

「…あなたの場にスピリットは1体もいない。つまりブロックは不可能…!」

「…通す!」

「ザンデ・ミリオンはダブルシンボル…!」

(凛々ライフ4→2)

(リザーブ1→3)

 

「モロク、剣刃合体アタック…!」

「…フラッシュタイミング!」

「…悪足掻きかしら」

「《フレイムスパーク》を使う!石剣は自身の効果で赤のシンボルが2つになってるから2つコストを減らして、3コスト!」

(凛々手札11→10)

(リザーブ3→0)

(トラッシュ4→7)

 

「合計BP5千までそっちのスピリットを破壊する! 残ったバットナイトを破壊!」

[バットナイト BP2000 破壊]

 

「更にトラッシュのベアードイーグルを手札に戻して、これでライフは…」

(手札10→11)

 

「凛々っ!」

「口出しは不粋よ。あなたが私の<無魔>を破壊したことで、ザンデ・ミリオンレベル2からの効果が発揮されるわ…!」

「っ!」

「破壊された<無魔>スピリットよりコストの低いスピリット1体をノーコストで復活させる…!」

「また復活!?」

 

《冥府三巨頭ザンデ・ミリオン》

Lv2・Lv3『自分のアタックステップ』

系統:<無魔>を持つ自分のスピリットが相手によって破壊されたとき、自分のトラッシュにある、破壊されたスピリットよりコストの低いスピリットカード1枚を、コストを支払わずに召喚できる。

ただし、『このスピリットの召喚時』効果は発揮されない。

 

「復活させるのはコスト1の《ソードール》…! 勿論Uギ・ガッシャの効果によって、維持コアは0個でいい…!」

[ソードール コア0 レベル1 BP1000]

 

「凛々、ウカツ!赤のカトン・ジツは紫相手には効きづらい!」

「…っ」

「…経験不足どころか初心者ね。…モロクアタックは?」

「と、通す!」

(凛々ライフ2→1)

(リザーブ0→1)

 

「…これで終わりね」

 

「くっ…!」

 

「…プレイングもお粗末で合体アルティメットに振り回されてるだけ。…不様ね」

 

「……っ」

 

「ソードールでラストアタック。

 ……骸の澱に沈め、“紛いもの”…!」

 

「ま、紛いもの…!?」

 

(凛々ライフ1→0)

 

 

 

〔winner!! ???〕

 

 

 

 

 

「…10人抜き。…飽きたから今日は帰るわ」

「……くそっ」

「…悔しかったら、もっと強くなってきなさい。ビギナーさん」

「必ず…借りは返す!」

「…期待しないでおくわ」




合体アルティメットのパワーには参ったな!
vs紫の???とのバトルでした。
今回出せた冥府三巨頭最強の一角は脇役みたいな扱いでしたが、環境が変わったとはいえ今だ紫のトップに君臨するカードパワーはこういうところではなかなか使いどころが難しいものがあります。
現在は流石になりを潜めてはいる感じですが。

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