やはり俺の魔物の王を決める戦いは間違っている。   作:ホッシー@VTuber

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LEVEL.79 台詞の裏に隠された言葉は彼女たちを救い、彼を傷つける

 会場の観客の反応はまずまず。話はかなり重いが拙い子供たちの演劇によって程よく緩和されている。更に話の続きが気になるように意識しながら台本を書いたおかげで飽きずに見てくれているようだ。問題は子供たちの集中力か。出来るだけカットしたつもりだが、話の展開の都合上、子供の演劇にしては長くなってしまった。それに例のシーンも刻々と近づいている。

『ゼツ』

 そんなことを考えているといつの間にかセットチェンジが終わっていたようだ。劇の始めよりボロボロになった鎧を着たゼツに話しかけるエル。その表情はとても心配そうだった。

『……なんだ?』

『何だ、じゃありません! 少しは休んでください……ここ数日戦いっぱなしではありませんか!』

『堕天使が攻めて来るんだ。そんなこと言ってられないだろ』

『ですが、この間の戦闘の時に受けた石化の呪いの影響はまだ残っているんですよ!?』

『だから、なんだ』

 それだけ言ってゼツはエルを放置して寝床にしている建物の中へ入ってしまう。

『……このままでは』

 そんな彼の背中を見ながらエルは嘆く。その時、舞台が薄暗くなり、声優を務めている子供たちが立っている場所にスポットライトが当たった。これも劇の時間を短くするための工夫の一つ。ナレーションによるダイジェストである。

『あれからエルとゼツは旅を続けていた。しかし、その旅路の途中で何度も堕天使に襲われてしまう。何とかエルの祈りの力で互角に戦って来たゼツだったが、いつ終わるかわからない戦いに疲れ、とうとう石化の呪いを操る堕天使の攻撃をまともに受けて石になってしまった』

 もちろん、ナレーションだけでは味気がないので舞台でその時の様子がわかるようにゼツとエルが大きく体を動かして演じている。このシーンはゼツたちの台詞が入らないので観客に伝わるように大げさに演技しているのだ。丁度、舞台では石になってしまったゼツにエルが泣きながら抱き着いている。

『石になってしまったゼツだったが、エルの祈りの力により何とか石化の呪いを解くことができた』

 エルを照らしているスポットライトが淡い赤に変わり、ゼツが動き始めた。しかし、このまま突っ込んでも再び石にされてしまう。どう戦うか悩んでいた2人の前に1人の天使と人間が現れた。その天使はエルとは別の目的で天界から送り込まれた人だったようで今回だけ協力してくれるらしい。エルの祈りの力で石化の呪いを無効にし、天使が堕天使の動きを止め、ゼツが止めを刺す。その作戦が上手く行き、堕天使を倒すことができた。

『一時的に協力してくれることとなった天使と共に見事倒すことができたエルとゼツだったが、石化の呪いを受けたゼツの体はボロボロだった。祈りの力で治療しているが、ゼツが倒れるのも時間の問題だろう』

 本来、この共闘するシーンはカットするはずだった。本当の物語では別の魔物が助けてくれるが、この物語の設定上、他の天使を出すわけにもいかないし、堕天使が協力するとは思えなかったからだ。しかし、ティオにそれだけは止めて欲しいとお願いされたのだ。どうやら、ティオはこのシーンが一番好きらしい。特に石化の呪いが解けたゼツ(本当の物語では彼は名前すら出て来ないが。もちろんエルも)に思わず、キスをしてしまうシーンがお気に入りだと言う。もちろん、劇でもそのシーンは入れた。まさかのキスシーンである。さすがにキスをする真似で済ませたが。少し強引な設定になってしまったが仕方ない。ナレーションにすることで印象に残らないように仕向けたが、果たしてよかったのだろうか。

『ゼツ、朝です。起きてください』

『……ああ。くっ』

『ゼツ!』

 回想も終わり、エルがゼツを起こすシーンが始まる。寝床から出て来たゼツは立ち上がった瞬間、バランスを崩して倒れそうになってしまった。それをエルが慌てて支える。

『限界なんです。休んでください』

『その間に堕天使が襲って来たらどうする』

『……私の力で時間を稼ぎます』

『出鱈目言うな。お前の力は俺にしか効果ないことぐらいわかってる。お前1人じゃ3秒も持たない』

 ゼツの指摘に彼女は口を閉ざしてしまう。そのままエルを押しのけてゼツは外に出て行ってしまった。その足取りは遅い。そして――。

『ッ! ゼツ!!』

 外に出てすぐ彼は倒れてしまった。駆け寄ったエルが揺すりながら声をかけるもゼツの反応は帰って来ない。

『ゼツ! ゼツ……お願いだから、目を覚ましてっ』

 エルの目から零れた涙がゼツの顔に当たり、彼の頬を伝って落ちていく。それを見て思わず、俺は驚いてしまった。留美が本当に泣いていたから。サイも小さく目を開けて留美を見上げていた。観客も涙を流している留美を見てざわつき始めた。

(まだあのシーンじゃねーぞ!)

 まさかここで動くつもりか? いや、駄目だ。打ち合わせ通りに動かなければ劇が破綻してしまう。頼む、堪えてくれ。声優を務める子供たちに指示を出す役割を担っている雪ノ下と由比ヶ浜にハンドサインで次の台詞に行くように指示する。すぐに雪ノ下が由比ヶ浜に声をかけ、それを伝えるべく由比ヶ浜も子供たちに話しかけてくれた。

『……運ばなければ』

 台詞が聞えたからかすぐに演技に戻る留美はぐったりしているゼツを拠点に運ぶ。その途中で舞台が暗転。何とか凌いだようだ。

 次のシーンは夜。そのため、舞台は薄暗く、ベッドで眠っているゼツとそれを心配そうに見ているエルをスポットライトが月の光のように照らしていた。

『ゼツ……』

 彼の手を握りしめながらエルは彼の名前を呟く。これまでエルは祈りの力でゼツを助けて来た。だが、それと同時に彼に守られていた。少しだけ俺とサイの関係に似ている。完全に立場は逆だが。

『どうして、あなたは傷つくことを恐れないのですか? 怖くはないのですか?』

 眠るゼツに話しかけるエル。今度は涙を流していないが、とても辛そうにしている。

『私は……怖いです。痛いのは嫌です。剣を向けられると震えてしまいます。怖くて泣いてしまいます。それなのにあなたは勇敢に立ち向かっていきます。それを私は見ているだけ。もう、嫌なんです。私の前であなたが傷つくところを見るのが。あなたが顔を歪ませながら堕天使に攻撃するところを見るのが。何もできない自分を嘆くのは』

 エルの言葉に俺は思わず、拳を握ってしまう。今、演劇を見ている人の中でエルの気持ちを一番理解しているのは皮肉にも台本を書いた俺だと思うから。やはり、俺とエルは似ている。パートナーを守ることも、助けることもできない。それどころかパートナーのことを何も知らない。だからこそ、台本を書くことができた。書けてしまった。

『そう言えば、あなたと旅をしてからそれなりの時間が経ちましたね。最初、あなたを見た時は少し怖かったんです。盗賊に襲われた直後でしたから。ですが、一緒に歩きながら話している内にゼツがとてもいい人だと気付きました。優しくて、強くて、不器用で……ぶっきらぼうな話し方でも私の質問には必ず答えてくれて。堕天使に挑む時は、とても……とても格好良くて。でも、私はあなたと一緒に旅をしようと思ったことを後悔しています。いえ、それどころかあなたと出会ったことすら。だって、私と出会わなければあなたはここまで傷つくことはなかった。私の、せいで……ごめんなさい』

 彼女は小さく謝った後、窓から外を見た。堕天使の気配を感じ取ったのだ。

『……大丈夫。今度は私があなたを守ります。天使でも助けてしまう優しいあなたはここで死ぬべきではないのですから』

 ゼツの手を離し、彼の頬に軽く口付けをしてエルは部屋を出ていく。

『……ふざけんじゃねーぞ』

 エルが出て行ってしばらく経った後、ずっと目を閉じていたゼツがゆっくりと目を開け、今までエルに握られていた手で拳を作る。その後すぐに場面が変わり、エルと堕天使が外で睨み合っていた。

『人間をどこにやった?』

『残念でした。もう彼とはお別れしました。今頃、温かいお布団の中で眠っていることでしょう』

『嘘を吐くな』

『天使が嘘を吐くと思いますか?』

 そう、天使は嘘を吐けない。実際、エルは真実しか言っていなかった。エルの中ではすでに“ゼツと別れたこと”になっており、今現在ゼツは“拠点の中で布団に包まり、眠っている”。何も嘘は吐いていない。そう、嘘は。

『……まぁ、良い。お前を消すのも任務の一つだ。死んでもらう』

『ッ……天使だって戦う時は戦うんですよ!』

 剣を向けられた瞬間、肩を震わせてしまうエルだったが、堕天使を睨んで構えた。

『あほ』

『きゃん!?』

 だが、背中をゼツに蹴られて顔から地面に倒れてしまう。

『ぜ、ゼツ!?』

 まさか彼が来るとは思っていなかった彼女は慌てて体を起こして後ろにいるゼツを見る。慌てて出て来たのか鎧すら着ていない彼の姿がそこにあった。

『戦うって言ってもそんなへっぴり腰じゃすぐにやられるに決まってるだろ』

『それは……いえ、そんなことよりどうして来たんですか! あなたは寝てたはずじゃ』

『耳元であんな独白されたら目も覚めるわ。それより、いつもの頼む』

 エルを守るように前に出て大剣を堕天使に向ける。心配そうにしていたエルだったが、状況がわかっているのかいつものように両手を組んで祈った。すると、ゼツの体に紅いオーラが(実際は紅いスポットライトを当てているだけだが)纏い始める。また、死闘が始まった。

『……』

 何とか堕天使を倒したゼツたちだったが無理が祟り、ゼツは熱を出してしまう。高熱に魘されている彼の額にタオルを置き、エルは目を閉じて祈る。祈りの力はゼツの身体能力を上昇させる他に疲労や病気、呪いを軽減または無効化することができるのだ。

『目を覚ましてください、ゼツ』

 だが、ゼツの体に蓄積されたダメージはエルの力をもってしても簡単に取り除けるものではなかった。何日も眠り続けるゼツのお世話をするエルもどんどんやつれていく。はっきり言って限界だった。きっとこのまま堕天使に襲われて殺されてしまうのだろう。エルはそんなことを考えながらタオルを取り換えていると不意にゼツが目を覚ます。

『……おい』

『ッ! ゼツ、目が覚めたんですね!』

 タオルを放り投げてゼツに駆け寄るエル。しかし、すぐに目を見開いた。

『ゼツ、あなた目が……』

『……光はわかる。それに気配は読めるから戦闘に影響はない』

『そんなことは聞いていません! 聞いていないんです……』

 石化の呪いの影響か、それとも今までの疲労が祟ったのか。ゼツの視力は著しく低下していた。焦点の合っていない目でエルを見ながらため息を吐く。面倒なことになったと思っているのだろう。

『別に困ることじゃない。それでいいだろ』

『よ……せん』

『あ?』

『よくありません!』

 絶叫しながらエルはゼツの肩に手を置く。温厚な彼女の大声に驚いたのかゼツは目を白黒させていた。

『私の気持ち……わかってくださいよ。愛している人が目の前で傷つくのは、とても辛いんです。お願いですから……もう少し自分を大切にしてください』

『……いつからだ』

 エルの言葉を聞いた彼は静かに問いかける。彼の質問の意味を理解しているのかエルは椅子に座り直して顔を俯かせながら口を開く。

『私も、覚えていません。それにわかってはいるんです。私は天使で、あなたは人間。こんな気持ち抱いてはいけないことぐらい。ですが、自分の気持ちに嘘を吐くこともできません。嘘吐いたら私、堕ちちゃいますから』

 自虐的な笑みを浮かべる彼女は見ているこちらが悲しくなってしまうほど無理をしていた。

『……』

 そんな彼女の告白をゼツは笑いもせずに黙って聞いている。その視線は視力が低下したせいでエルから若干逸れているが真剣だった。

『……何か、言ってくださいよ。なんか1人でバカみたいじゃないですか』

『お前結構バカな部類だと思うぞ』

『誤魔化さないでください』

 エルがそう言っても彼は何も言わなかった。ああ、そうだ。ゼツは――サイはそう言う子だ。自分のことを何も言わず、自分が傷つくことを恐れない。いや、自分を傷つけようとすらしている。だから、エルは……留美は――。

「お願いします。あなたの口から聞きたいんです」

「ッ――」

 ――自分から聞いた。物語でも、舞台の上でも。いきなり言葉を発した留美に驚く観客だったが、そういう演出なのかとすぐに納得する。

 サイの気持ちを台詞として聞き出す。これが俺の考えた作戦。これでサイは必ず自分の気持ちを言わなければならない。もし、言わなければ演劇は進まず、いずれ崩壊する。嘘を吐いてもきっと留美にはわかる。そして、言われるのだ。『嘘を吐かないでください』、と。助けてくれる人はいない。俺も、雪ノ下も、由比ヶ浜も、声優を務める子供たちも、海浜総合高校の奴らも、総武高校の奴らも、観客も、留美も。誰もがゼツの――サイの台詞を待っているのだから。自分でも卑怯だと思う。だが、だからなんだ。サイの気持ちを引き出せるのなら俺は卑怯者にだってなってやる。サイのためになるのならば俺は何だってやってやる。だから、サイ。後で作戦を考えた俺を罵っていいから。今は、素直になってくれ。

「……」

 俺の作戦に気付いたのか、サイがチラリとこちらを一瞥し、ため息を吐いた。しかし、すぐに留美に視線を合わせる。彼女は真っ直ぐサイの目を見ていた。その瞳に映る色はここからは見えない。

「わた……俺は――」

 踏ん切りがついていないのか言葉を詰まらせるサイ。怖いに決まっている。言いたくなかったことをこんな大勢の前で言わなければならないのだから。そんな彼女を見ていると不意にキュッと胸が締め付けられる感覚に陥る。いや、駄目だ。これは俺が仕向けたことなのだ。傷つく権利など俺にはない。だから……頼むから震えるなよ、俺。覚悟していたことだろう。この作戦を考えた時からわかっていたはずだ。なら、黙って見ていろ。自分が仕出かした惨事から目を離すな。責任を持って最後まで見届けろ。どんな結果になったとしても俺だけはこの後の物語を見逃してはならない。

「俺は……たくさん、人を傷つけた」

 胸に手を当てて深呼吸していると、サイがぽつりぽつりと言葉を紡ぎ出した。

「ッ……」

「取り返しのつかないことだってやって来た。許されないことだってしたことがある。そのせいで大切な人を失ったことだって……俺がいたせいでたくさんの人が傷つき、苦しみ、泣いた。そんな俺が、お前みたいな奴の傍にいちゃ駄目なんだよ。必ずお前を傷つけてしまう。だから、こんな俺なんか忘れろ。傷つけることしかできない俺なんか」

「……じゃあ、どうして私と一緒にいてくれたんですか?」

「お前といた時間が、楽しくて忘れてたんだよ。久しぶりに楽しかった。でも、この戦いの中で思い出した。俺は、誰かと一緒にいてはいけないってな。それを忘れるなんてバカだったのは俺だったみたいだ」

 サイは上手くゼツになりきりながら自分の気持ちを吐露して行く。そして、留美は台詞の裏に隠された本当の意味を汲み取ったのか顔を歪ませている。

「エル、短い間だったけど楽しかった。ありが――」

「――勝手なことを言わないで、ください」

 サイの言葉を遮って声を震わせながら留美が呟いた。目を鋭くさせてサイを睨んでいる。

「自分がいれば傷つく? 苦しむ? 泣く? そんなの当たり前のことです。誰かと一緒にいることはそういうことなんです。私だって今まで何人もの人を傷つけて来たことでしょう。私の迂闊な発言のせいで、知らないところで傷つけて来たことでしょう。きっとゼツも私のせいで傷ついたことがあるでしょう……人は人を傷つける生き物なんです」

 夏休みの千葉村でのボランティア。そこで出会った留美は孤立していた。言葉で、視線で、空気で傷ついていた。だからこそ、知っているのだ。人は必ず人を傷つけてしまうものだと。留美は人を傷つけたことも、傷ついたこともある。だから、その事実を知っている。

「でも、人は人を傷つける生き物ですが、それと同時に一緒にいると幸せに感じる生き物でもあるんです。ゼツも言っていたではありませんか。“楽しかった”、と。私も同じです。あなたと出会ってから今日まで傷つくこともありましたが、それ以上に幸せだったんです。私はあなたと出会えて本当によかった。そう思います」

「……」

 留美の言葉にサイは顔を俯かせてしまう。まだ足りない。サイの心の扉を開けるにはもう一押し必要なのだ。留美もそのことに気付いている。そして、そのもう一押しを彼女はすでに手にしていた。

「ゼツ……あなたの過去に何があったのか私は知りません。きっと、言葉にすることすら憚れるほど辛かったことなんだと、自分を傷つけようとするほどその過去を悔いているんだと思います。ですが、私は知っていますよ。あなたはとても強くて、優しくて、不器用な人だって。自分をさらけ出すことを恐れる弱い人だって。そんなあなたの傍にいたい。だって、私にとってゼツは今のゼツなんです。過去のゼツを知らないからこんなことを言えるのかもしれませんが、これが私の気持ちです」

 今のサイを受け入れる。それが留美の気持ちだった。何が何でも離れない。そんな気持ちが言われたサイだけではなく、俺たちにも伝わって来た。そんな彼女の熱意を受けたサイはポカンと数秒ほど呆けた後、笑う。仕方ない人だと言わんばかりに。

 おそらく理由が欲しかったのだ。サイが留美の傍を離れなくてもいいようなはっきりとした理由が。それが今、留美から提示された。

「……お前は、本当にバカだな」

「はい、私はおバカさんなんです」

「そうだな……いつまで続くかわからないが最後まで諦めずに一緒に戦ってみるか」

「そうですね、一緒に頑張りましょう……それでお返事は?」

「……保留で」

 そう答えたゼツは照れるように顔を逸らす。それを見て楽しそうに笑うエル。すると、そこで舞台が暗転する。

『よりいっそう絆を深めたエルとゼツ。しかし、2人の旅はまだ終わっていません。堕天使を倒し、天界の平和を取り戻すその時まで2人の旅は続くことでしょう。そして、この物語に名前を付けるならば……『人間と天使の恋物語』。2人の仲がどうなったのかは、また別の機会に語ることにしましょう』

 ナレーションが終わり、舞台の幕が下りた。そして、観客たちから盛大な拍手が演者たちに送られる。しばらくして再び幕が上がり、一度でも舞台に立った子たちが手を繋いで現れた。もちろん、中心には主役を演じたサイと留美。2人は仲良く手を繋ぎ、目配せをして同時に頭を下げた。カーテンコールである。また観客たちから拍手が鳴り響き、顔を上げたサイと留美は顔を見合わせて笑い合う。

「……」

 それを見た俺は誰にも気づかれないようにそっと会場を後にした。




八幡、またやらかすの巻。
一応、サイと留美の仲は戻りました。
なお、エルの言葉と留美の言葉は矛盾している所もありますのでお気をつけてください。特にエルは出会ったことを後悔していると言ったのに、留美は出会えてよかったと言っているところです。まぁ、本当の物語でも最終的にはエルもゼツと出会えてよかったと言っていますが……。




次回、この後のお話と後日談の冒頭を少しだけ。


因みに今回はぼーなすとらっくがありますのでお楽しみに。内容はもちろん、カットしたあのシーンです。おまけもあります。

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