やはり俺の魔物の王を決める戦いは間違っている。 作:ホッシー@VTuber
それには一応、理由があるのでとりあえず最後まで読んでください。
あの後、俺は一度学校に戻った。雪ノ下の家をお暇しようとした時、由比ヶ浜が雪ノ下にもっと頼って欲しいと言い、雪ノ下も今回のことで少しは反省しているのか『いつか頼る』と約束していた。まぁ、何とかなったみたいでよかったよかった。因みにサイはいつの間にか消えていた。少しだけ学校で仕事して家に帰って来たら普通にリビングでノートパソコン弄っていたけど。
次の日から雪ノ下も復活し、荒れ始めた運営もそれなりに持ち直した。だが、結局は“それなり”なのだ。まだまだ安全圏とは言えない。そんな日々が続き、昨日、文化祭のスローガンにいちゃもんが付いた。雪ノ下が休んだ日にスローガンを適当に決めたらしく、さすがにあれはないと文句を言われたらしい。因みに『面白い! 面白すぎる! ~潮風の音が聞こえます。総武高校文化祭~』だ。いや、これ埼玉やん。
そのため急遽、会議を開いてスローガンを決めようとなったのだが、会議は一向に始まる気配はない。この場を取り仕切るはずの相模がホワイトボードの前で書記に任命した友達とお喋りしているからだ。
「相模さん、雪ノ下さん……皆、集まったけど」
さすがに見かねためぐり先輩が声をかけた。相模はすぐそれに気付いて雪ノ下の方を見るが雪ノ下はぼうっとしているのか議事録を見つめている。やはり、まだ疲れがとれていないのだろう。
「雪ノ下さん?」
「え……?」
相模に呼ばれてやっと状況を理解したのか雪ノ下は顔を引き締めた。
「それでは委員会を始めます。本日の議題ですが、城廻先輩から連絡があったように文化祭のスローガンについてです」
それから会議が始まった。しかし、挙手制で意見を求めるが誰も手を挙げない。もともと委員のモチベーションは下がっているのだ。やる気のある奴なんていない。そんな奴らに自主的に意見を出せと言っても無駄だ。
そんなことを考えていると俺の隣に座っていた葉山が紙に書いて意見を出して貰い、後で説明する、という代案を出した。雪ノ下もこのままじゃ会議は進まないと踏み、彼の意見を受け入れ、紙を配布した。だが、それでも紙に書いている奴なんて少数だ。しかも、書いている奴も仲のいい友達と見せ合って笑うだけ。ただのネタ。提出する時には素知らぬ顔で紙を隠していた。
「はぁ……」
ホワイトボードに書かれる数少ない意見もどこかの週刊漫画雑誌の3大テーマのような綺麗事ばかりだ。ただ1つだけ異質だったのが『八紘一宇』。もう誰が書いたか想像出来るね。あーあ、陽乃さん、すごくつまらなさそうにお茶飲んでる。俺の淹れた奴なんだが、もうなくなりそうだ。会議中でも淹れてと要求されるのかしらん。
「それじゃ最後にうちらの方から『絆 ~ともに助け合う文化祭~』っていうのを」
そう言いながらホワイトボードに自分たちで考えたスローガンを刻む相模。
ああ、そうだ。お前はそう言う奴だ。自分が一番じゃないと気が済まない。そのためには誰かを陥れ、利用し、笑顔で『ありがとう』と心にもないお礼を言う。そんなお前はこう言った公の場ではいい顔しようとお前の『偽善』が顔を出す。今までの自分の行いを忘れて。
じゃあ、今こそ教えてやろう。この時が来るのをずっと待っていたのだから。
「うわぁ……」
意図的に委員たちに聞こえるように声を漏らした。俺の思惑通り、会議室に沈黙が流れすぐにざわつき始める。皆も気付いたのだろう。『どの口がほざくか』と。特にサボらずに委員会に参加していた奴らが不満げだ。
(まぁ、お前らも同罪だけどな)
「……何かな? なんか変だった?」
ざわついている奴らを見ていると相模が顔を引き攣らせながら俺に質問した。このざわつきの原因である俺に矛先を向けたらしい。
ここで動いても意味はない。べらべらと話をしても他の奴らはただ困惑するだけだ。『え? いきなりどうしたのこの人。おかしくなった?』と思われて終わる。望ましいのは第3者によって俺が動かざるを得ない状況を作ること。
「いや、別に」
だから俺は誤魔化すように視線を逸らした。これが一番腹の立つ反応だろう。無意識にやっていて友達を失くした俺が言うのだから間違いない。
「何か言いたいことがあるんじゃないの?」
ほら、釣れた。
「いや、まぁ別に」
更に追加。見るからに相模のヘイト値が上がって行く。俺、タンクとか向いているかも。今度、サイを誘ってMMOでもやろう。あ、駄目だ。ぼっちだからソロだわ。ソロでタンクとか意味ないわ。サイ、2人パーティーでも許してくれるかな。
「ふーん、そう。嫌なら何か意見出してね」
その言葉を待っていた。俺はここでトラップカードオープン! 『八幡の意見』!
「はぁ……じゃあ――」
わざとらしくため息を吐き、切り札を使用する。
「――『群青 ~群れる青は蒼には気付かない~』」
俺のスローガンを聞いた全員が首を傾げた。そりゃ、そうだろう。何の脈略もないのだから。
「……比企谷。説明しろ」
我に返った平塚先生が説明を要求して来た。
「え、わからないんですか? こんなにわかりやすいスローガンなのに。今の運営にはピッタリですよ?」
そうだ。普通、気付くはずなのだ。俺だからじゃない。真剣に仕事をしていたら誰だって気付いてもおかしくないのだ。
「あー……お前と私以外にはわからないだろうから説明してやってくれ」
どうやら、平塚先生は知っていたらしい。
「はぁ……こういうことですよ」
もう一度、ため息を吐いて手元のお茶を全て飲み干す。そのままコップをテーブルに置き、すぐにその場で手を動かす。そして、俺が置いたコップに伸ばしていた少女の手を掴み、他の人に見えるようにぐいっと上げる。
「あっ……」
まさか掴まれるとは思わなかったのかサイは目を見開いて声を漏らした。
「サイ、さん?」
突然現れたサイを見て硬直する中、雪ノ下だけサイの名前を呼ぶ。彼女も驚きを隠せないようで唖然としていた。
「あ、あはは……ばれちゃった、にゃん」
冷や汗を流しながらずれた猫耳を掴まれていない手で直すサイ。確かに猫の手も借りたいとは言ったが、サイにゃんになる必要はなかったと思うにゃん。
「とりあえず、これは没収」
「ああ、私の猫耳が! ペット虐待!」
それ、かなり際どい発言だから止めて欲しい。猫耳を鞄に突っ込んだ後、相模に視線を戻す。
「その子……前、教室に遊びに来てた子だよね? 何でこんなところに連れ込んでんの?」
やっと復帰したのか変態を見るような目で相模が言った。どうやら、俺が勝手にサイをここに連れて来たと思っているらしい。
「はぁ……そう言うことだったのね」
だが、その隣で雪ノ下が額に手を当てて呟いた。俺じゃなくてもショックを受けているのがわかる。雪ノ下ならすぐ気付くと思った。サイも嬉しそうである。
「え、雪ノ下さん? どうしたの?」
「ここまでしても気付いたのは雪ノ下だけか」
まぁ、雪ノ下はこの前、彼女の家でサイが運営について話したから他の人よりもヒントがあったので気付くに決まっているのだが。
俺が吐き捨てた失望の言葉に相模が目を鋭くさせた。わけがわからないまま失望されれば誰だってむかつくだろう。だが、その分、真実を知った時のダメージは大きい。そんな奴に限って自分の犯した罪に気付いていないのだから。
「相模、いくつか質問するぞ」
だからこそ、自分で気付くべきだ。己の過ちを。
「……勝手にすれば?」
「それじゃ、遠慮なく。文化祭実行委員長は誰だ?」
「はぁ? うちだけど」
「次。この委員会の中で一番、仕事をしてる奴は誰だ?」
「それは……雪ノ下さんじゃないの?」
少しだけ顔を歪ませながら答える相模。実行委員長である自分よりも副委員長の雪ノ下の方が仕事をしているという事実にやっと気付いたようだ。しかし、きっと彼女は『自分が補佐を頼んだから仕事してるだけだ』と思っているに違いない。
「じゃあ、お前も飲んでるお茶は誰が用意した?」
「え?」
「お前の目の前に置いてある資料をコピーしたのは誰だ?」
「……」
答えられない。そりゃそうだ。相模はずっと委員会の仕事をサボっていたのだ。雑用を熟している人が誰かわからないだろう。
「はーい、私のお茶を用意したのは比企谷君でーす」
そこで陽乃さんが野次を飛ばした。そう言えば何故か陽乃さんのお茶だけ俺が用意していた。チラリとサイを見るとプイッと顔を背けられる。話すことはないらしい。
「それは例外です……相模だけじゃない。陽乃さん以外の人が飲んでるお茶は誰が用意したか分かる人いるのか?」
俺の問いかけに答えられる人はこの中で2人しかいない。1人は平塚先生。だが、彼女は黙って見ているつもりなのか答えない。そして――。
「サイさん……よね?」
――残る1人は雪ノ下だった。
「そうだ」
「待って……あり得ないでしょ? そんな小さな子がここいる全員分のお茶を用意したなんて。普通、気付――」
「――だからおかしいって言ってるだろ。気付かないお前たちが」
相模の言葉を遮って俺は現実を叩き付けた。
「委員会中、この子を見た人はいるのか? いるわけないよな? だって、遅刻やサボって委員会に出ることが少ないんだから。こんな小さな子供がお茶を配ってるのを見る機会なんてほぼないだろうよ」
そこで一度、呼吸を整える。どうやら、俺の予想以上にイライラしているらしい。冷静になれ。言葉を選べ。ここにいる全員が最も苦しむ言葉を紡げ。
「まぁ、サイも気配を消して素早くお茶を配ってたから適当に仕事してたら気付けないはずだ」
つまり、気付けなかったお前たちは真剣に仕事をしていなかった。誰でも俺の言いたいことがわかっただろう。よくサボっていた奴らは顔を俯かせた。その分、少しだけ得意げになったのはちゃんと委員会に出ていた奴らだ。『サボっているから今、あんな奴に正論を叩き付けられているんだよ』と言いたげに。それを見て俺はそっとため息を吐く。お前らだってこいつらと同罪なのにまだ気づかないのか。
「この資料をコピーしたのは誰だって質問もあったな? 知ってる奴はいるか? この資料だけじゃない。この数日間、コピーをしたのは誰だ?」
ここまでくれば俺の質問の答えがわかる人もいるだろう。ほとんどの人がサイを見た。
「ファイルを整理したのは? 必要な資料を準備したのは? ちょっとしたミスを修正したのは? 決裁印が押されていないことに気付いて代わりに押したのは? 誰も気付いてないのか? 誰もこの子がして来たことを見てなかったのか?」
「ハチマン……?」
俺の様子がおかしいことに気付いたのか不思議そうにこちらを見るサイ。ハッとして頭を振った。まだだ。まだこいつらは何も気付いていない。冷静に、心を抉れ。
(落ち着け……落ち着け……)
深呼吸して怒りを鎮める。そもそもどうして俺はこんなに怒っているのだろうか。
「自分だけが忙しいって決めつけて。他の奴に仕事を押し付けて。被害者面でサボってた奴らを見下す……そんな奴らが被害者? 勘違いも大概にしろよ」
そう言ってやっと気付いた。許せないのだ。こんなに頑張っている子がいるのにそれに気付かず、我が物顔で手柄を持って行こうとしていたこいつらが。俺は知っている。サイがどれだけ委員会のために働いていたのか。平塚先生もサイの頑張る姿を見て勝手に手伝っていることを指摘しなかった。雪ノ下も真実を知ってショックを受けていた。それなのに他の奴らはまだ理解していない。
「本当に……終わってるな、ここ」
「……どういう意味? そもそも証拠は?」
ここに来て反論する相模。この俺が証拠を用意してないとでも思ったのだろうか。鞄からある物を出して相模のところに移動する。
「これを見ろ」
「……デジカメ?」
そう、サイのデジカメだ。平塚先生に頼まれて委員会の様子を記録することになったのは全員知っている。素早く操作して1枚の写真を彼女に見せた。雪ノ下がノートパソコンに情報を打ち込んでいる写真だ。気になるのか雪ノ下も写真を覗いた。
「これが、何?」
「……気付けよ、いい加減に」
「サイさん……」
相模よりも早く雪ノ下が気付く。この写真には雪ノ下しか写っていないように見えるが、実は画面の端に紙の束を持って走っているサイの姿が少しだけ写っているのだ。雪ノ下の言葉でやっと相模も気付き、急いで別の写真にする。今度は会議中の写真だ。
「う、嘘……」
写真に写っている相模の近くにお茶を置こうとしているサイがいた。次の写真には整理するためにファイルを持ち出そうとしているサイ。次は誰にも気づかれないようにサイが慎重に決裁印を押そうとしている姿が写っている。次も、その次も、他の奴らにばれないように仕事を片付けているサイの姿ばかり。まぁ、サイの写っていない写真ももちろんあるが今は必要ないので俺のノートパソコンに移したのだが、それでも3分の1の確率でサイが写っていた。
「い、いつから?」
声を震わせながら問いかけて来るめぐり先輩。この人なら気付くかもしれないと思ったが、委員会の仕事が忙しかったから周囲に気を配れなかったのだろう。
「この委員会を記録するようになった日からですよ。撮った写真を見てサイが紛れ込んでるのに気付きました」
「え……最初から気付いてたの!?」
「逆に気付かれないとでも思ったのか……」
注意深く見ていたらサイが仕事している姿は視えた。平塚先生も委員会に来た時は全体を見ていたので突然現れたお茶やコピーの束に違和感を覚えたのだろう。少しでも変だと思えばサイの存在に気付けるのだ。
「で、でも……その子が勝手にやったことでしょ!? うちは関係な――」
「あ? 何言ってんの? 実行委員長さん」
ここまで来て言い逃れられるとでも思ったのか、こいつ。相模はビクッと肩を震わせて半歩後ずさった。
「ハチマン……落ち着いて。怖い顔してるよ」
その時、俺の手をそっと握りながらサイが教えてくれた。おっと、そんなに怖い顔していたのか。さて、サイのおかげでそれなりに落ち着いたのでトドメといこう。
「葉山」
「あ、ああ……何だ?」
「雪ノ下が休んだ日、運営はどんな状況だった?」
「……正直めちゃくちゃだった。雪ノ下さんのお見舞いにヒキタニ君が行ってから崩れた感じかな。ヒキタニ君が戻ってからも雑用が溜まって……そう言えば、お茶もなかったな」
「そりゃ、私がハチマンの方に行ったからね。その後、家に帰ったし」
サイの言葉で葉山は納得したらしい。その後、何かに気付いたようで顔を青ざめさせる。雪ノ下とめぐり先輩も察したらしく、肩を落としていた。平塚先生がそっとため息を吐いた。
「相模、お前はまだ気付かないのか?」
「気付くって何を!? その子が働いていた事ならもう十分わかってる!」
本当にこいつは無能すぎて笑える。いや、もしかしたら俺たちが無能にしてしまったのかもしれない。あの日……相模が奉仕部に依頼しに来た日、彼女の依頼を断ればよかったのだ。そうすれば、雪ノ下が過剰なほど仕事をせず、倒れることもなかった。相模も頼ることのできる人物がいないから自分で何とかするしかなく、仕事をしたかもしれない。俺だって仕事を押し付けられず、家に帰ってからサイと一緒に遊べたかもしれない。由比ヶ浜も雪ノ下の心配をすることもなく、文化祭の準備を心の底から楽しめただろう。そして――サイがたった独りで、誰にも気づかれることなく雑用を片づけずに済んだ。
自分が出来もしないこと実行委員長に立候補した相模も悪ければ、俺たちの意見を聞かずに勝手に依頼を受けた雪ノ下も悪い。そして、そんな雪ノ下を止められなかった俺と由比ヶ浜も悪い。
じゃあ、あの日、雪ノ下が相模の依頼を受けるのを黙って見ていた俺はこの後、何をなせばいいのだろうか。
「違う」
正解は俺にもわからない。でも、間違っていることだけはわかる。なら、指摘してやればいい。本当は相模自身に気付いてほしかったが、もう無理だ。俺が代表して教えてやる。
「この運営は……サイが抜けただけで崩れる。こんな小さな子1人だけ抜けてもな。高校生が10歳以上年下の女の子1人に支えられてるんだよ」
「……え」
それを聞いた相模は目を丸くし、サイを見る。サイは元々、相模のことを嫌っていたので無表情で見つめ返していた。いや、無表情ではない。その群青色の瞳は憐れみと失望の色に染まっていた。
「つまり、サイ1人いないだけで文化祭がなくなったかもしれない……というより、子供が手伝わないと成り立たない運営と言う時点でアウト。ですよね、先生」
「……そうだな。この事実が教師たちに知られれば文化祭を中止にするべきだと言う意見が出るかもしれない」
もう少しで文化祭がなくなっていたかもしれない事実を知ってショックだったのか脱力して椅子に座った相模。でも、俺は止まらない。
「ショックだよな? あんなに楽しもうって言ってた文化祭がなくなるかもしれなかったんだから。『クラスの方を手伝ってて運営の仕事が手に付きませんでした』とでも言い訳すれば助かるかもしれないぞ?」
「やめて……」
「他の奴らも『実行委員長がクラスの方に出ていいって言ったんでサボっちゃいました』とか『実行委員長がサボってもいいって言ったせいで仕事が増えまして人に押し付けちゃいました』とか『自分のことで精いっぱいで小さな女の子に気付きませんでした』って言えば大丈夫なんじゃないか? それが“事実”なんだから」
俺の言葉を聞いてここいる全員が顔を強張らせる。だからこそ、こいつらは“群青”なのだ。群れているから――皆、一緒に悪いことをしているから
「そ、そういうアンタは……どうなの?」
「ハチマンは自分の仕事を片づけながら私の手伝いもしてくれたよ。今、気付いたけどね……コピーが必要な書類がいつも決まった場所にあったのハチマンやってたんだね。整理が必要なファイルも私の手が届く場所に移動してくれてたし」
相模の脆弱な反撃もサイの手によって無効化された。サイさん、ちょっと恥ずかしいから言わなくてもいいんだよ、そう言うこと。おかげで助かったけど。
俺が助かった代わり、委員会の空気は重くなった。そりゃ、子供に支えられていたとなればかなり心に来るだろう。
(それじゃこれでおしまいだ)
「サイ、お疲れ様。独りで大変だっただろ? ゴメンな、手伝わせて」
そう言ってサイに視線を送る。それだけで彼女は俺の求めている返事を把握してくれたらしく、微笑んだ。
「ううん、いいよ。だって、“これからは皆、ちゃんと仕事してくれるんでしょ?” 私はハチマンが大変そうだったから手伝っただけだし。他の人も“お仕事、頑張ってね”。文化祭、楽しみにしてるから!」
静まり返っている会議室にサイの嬉しそうな声が響く。これでもうこいつらはサボることなどできやしない。罪悪感で心が抉れそうになるからだ。やはり無垢な子供の言葉が一番、効果がある。これテストで出るから覚えておけ。
今回の八幡はかなり怒っていたため、あまり冷静ではありませんでした。
そのため、少しだけ支離滅裂な感じになっています。
もうそろそろ文化祭編も終わりです。文化祭編が終わった頃にもう一度、アンケートを取るつもりなのでその時はご協力よろしくお願いします。