違約・女神転生 A-DDS(Another Digital Devil Story)   作:mimimimi

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<消えなかったモノ>

<消えなかったモノ>

 

 「“教団”の“丙さん”から、貴方なら兄の……“狭間偉出夫”の居場所を知っていると聞きました。疾く答えてくださる事を願います」

 

 「魔神皇を名乗った少年の事なら、噂程度には聞いているよ。

  ―――しかし、生憎と彼の居る魔界との道は絶たれて久しい。

  

  “今”どうなってるかは分かりかねるのが……正直な答えだ」

  

 「……チッ(ボソッ

  そうですか、お答え下さり感謝します。

  

  ―――では、失礼致しますね」

  

 「まあ待ち給え、せっかちなお嬢さんだ。

  貴方の用件は終わったかもしれないが……私の要件は、まだ満たしてないのだよ」

  

 「M字パ……中年男性との語らいに、興味はありませんが?」

 

 「……」

 「……」

 

 新宿衛生病院。

 

 ここはソノ中にある、人気の少ない病棟の一角。

 

 数ある病室……妙に空き部屋の多い病棟の、その一室でひっそりと対峙する、一組の男女が居た。

 

 スーツを着た特徴的な髪型の中年男性は、氷川。

 **グループの**で、外国勢力に押され結束を強める振興組織“ガイア教団”の幹部。

 

 それに対するは、対極的な存在。

 

 縞模様が特徴的な、今は無き、軽子坂高校の制服を、喪服代わりに着続けるメガネの少女。

 

 忽然と校舎ごと消滅。一部の生徒は帰還したものの、大半は未だに行方不明のまま、とされている痛ましい事件。

 

 軽子坂高校消失事件の……被害者であり。

 

 世間一般には知られていないが、加害者である狭間偉出夫の実妹でもある。

 

 事件当時、母校を襲った悲劇に、彼女は果敢にも立ち向かった。

 

 たまたま目に付いた男子生徒を煽り、肉壁(パートナー)として事件解決を目指した。

 

 しかし、事件は、少女と男子生徒が確信に迫る前に終結する。

 

 何が起きたのか、少女にも分からない。

 

 ただ、母校は異界に消えたままで、少女を含めた。一部の生徒だけが現世に帰還を遂げた事だけは確かだ。

 

 狭間偉出夫。

 

 生き別れの兄

 

 可哀想な兄。

 

 少女は、兄との再開を願い、情報を集めた。

 

 世に蔓延する与太話とうわさ話から、か細い糸を辿り……ガイア教団に辿り着いたのは、運命か……少女の執念が実った結果だろう。

 

 そして今は、少女は真なる“実”をもぎ取り、兄を迎えに行くつもりであった。

 

 しかし、事態は彼女の想定外の方向に進み始めた。

 

 いつから少女の道が狂ったのか?

 

 それは恐らく……創世が遠因となり、異界より弾き出された事から始まったのであろう。

 

 だが、それを少女が知るのは、遥か先の話である。

 

 今語られるのは、現在進行形の物語。

 

 新たに綴られる、新たな物語。

 

 「件の事件だが……恐らく“アモン”と言う悪魔が関わっているはずだ」

 

 「……その話、詳しくお聞かせ願います」

 

 「しかしだ、お嬢さん。

  世の中、ギブアンドテイクで成り立っているのは、ご存知か?」

  

 「……体も心も売りませんよ。

  下着くらいなら考えますけど……友達のなら(ボソッ」

 

 「いやいや、私が望むのは……能力だよ

  ―――君の持つ、守護者(ガーディアン)と呼ばれるモノを宿す。

  

  軽子坂高校帰還者が示す……“巫女”としての力が欲しいのだ」

 

 手がかりを掴んだ高揚を押し隠し、凛と立つメガネの少女。

 

 対面に立つ氷川が、大仰に手を広げ、答え、囁き、促すのは……創世への誘い。

 

 「私は今の騒がしい世が嫌いでね。

  心地よい静寂(シジマ)に包まれた、規則正しい世界を望んでいる。

  

  そのためには、巫女が必要なのだ。

  

  ―――“創世の巫女”

  

  この爛れた世界を、正しく産み直す。

  

  どうだろう? 理想の世界に、興味はないかね?」

  

 眉をひそめ、嫌悪感を隠そうともしない少女。

 

 「イブに成る気はありませんけど……ソレが、情報の対価ですか?」

 

 「私もアダムに成る気はない。そして、君に求めるのはイブでもマリアでもない。

 

  ―――ただの依代だよ」

  

 少女の態度を咎めることもなく、己が要望を淡々と述べるスーツの男性。

  

 「……生贄に成れと?」

 

 「そうならないための“巫女としての素質”だよ。

  君なら、器を壊されることもなく、犠牲と成ることもないだろう。

  

  多少のリスクは否めないが……絶対に安全なものなど有りはしない。ソコは割りきって、納得してほしいものだが、どうかね?」

 

 対峙する二人の間に緊張が走る。

 

 コレは、運命の分岐点。

 

 選ぶ未来、掴む未来……掴まされる未来は良いものか?

 

 少女は考える。

 

 考えて、考えて、答えを返す。

 

 「残念ですが、お断りします。

  兄に会うためのリスクなら、幾らでも専受?しますが……その前段階では、お話になりません」

 

 次元の扉を“超えるため”のリスクは受け入れても、次元の扉を“見つけるため”にリスクは犯せない。そういう事である。

 

 「そうか……こちらも実に残念だ。

  ああ、身構える必要はないよ、お嬢さん。

  

  ―――力ずくなど意味は無い。

  

  巫女は、自分の意志で、創世を受け入れなくては成らない」

  

 そう言って、氷川は身構えた少女に言葉を続ける。

 

 「だから、語り合おう。

  君にも、創世の素晴らしさが理解できるように……。

  

  無知であろうと、賢明であろうと、愚鈍であろうと……君が理解し、納得してくれるまで……延々と、永遠と、私と語り合おうじゃないか」

  

 怪しく怜悧に笑う氷川。

 その影に潜み、事態を見て取り、せせら笑う悪魔は思う。実に狂っている……と。

 

 「……今日は帰ります。

  そして、二度と会うことはないでしょう……捜さないでください」

 

 「誰かに送らせようか? ソレと、次の会談は何時が宜しいかな? お嬢さん」

 

 「次なんてねえよ」

 「誰だ……ガッ!?」

 

 ターン! っと、硬質的な銃声が響く。

 

 放たれたのは、クズノハ謹製の火炎弾。

 

 アグニシャインの力を、9mmの鉛弾に詰め込んだ、対悪魔用の特殊弾。

 

 打ち込まれた凶弾は、襲撃者の狙い違わず、氷川の広い眉間に吸い込まれ、紅い華を咲かせ、壁に鮮やかな彩りを与えた。

 

 「創世を企み、世界を壊そうとした異端者(クズ)が……お前は、ココで終わりだ」

 

 影から歩み出て、少女と倒れた氷川との間に立つは、時代錯誤染みた装束の青年。

 

 学帽に学生服。

 消炎の煙を漂わせるリボルバーと、腰のバッテリーとコードで繋がれた銃型のモノ、二丁拳銃を両手に構えた。

 

 それらの全てを覆い隠す、黒塗りのマントを翻す、端正な顔立ちの、今は遠き大正時代の書生を思わせる風貌の青年。

 

 

 退魔集団“クズノハ”所属―――

 

 コードネーム:夜雀07

 

 ―――通称:ライドウ07(オーセブン)

 

 

 かくして、闇に生き、闇に死す定めを持って生まれた、現代に生きる青年退魔師と、闇に墜ちた兄を追って、自ら影へと踏み入った愚かな少女は出会いを遂げた。

 

 望まぬ邂逅、有り得ぬ邂逅。

 

 ―――されど時は戻らず。

 

 そう、時は決して戻らない。

 

 “再誕した世界”で、こうして二人は出会った。

 

 血糊と脳漿撒き散らされ、ケモノが咆哮を上げ。悲鳴と怒号が交錯し、暴力的な喧騒に包まれる病院の片隅で、運命の歯車は……確かに、軋みを上げたのだった。

 

 

 ――――

 ―――

 ――

 

 ************

 

 PC03「美味しいは美味しいが……出番短くないか?」

 PC04「ザマァwww」

 GM「思ったより長引いたんで、イベント省略したわ。順番も微妙に変わったし」

 PC03「導入ラストじゃないし、玲子と氷川の語り長すぎ」

 GM「重要なんで省けないからしょうがない」

 PC01「玲子も性格違くね? ここまで酷かったか?」

 GM「途中帰還だし、色々あっただろうし、中の人がPC05だし、しょうがない」

 PC05「……私の中の玲子像は、こんな感じですが何か?」

 GM「お、おう」

 PC03「で、氷川死んだの?」

 GM「それはセッション中に、行動で確かめてくれ」

 PC06「……えと、GM~このキャラの出番だっけ?」

 GM「ああ、PC02とPC06は強制。PC01とPC04も登場は可能だね」

 PC03「ハブられた!?」

 PC05「場所が違うっぽいからしょうがない」

 GM「(省略したんで、地下に移動してないから、場所的には遠くないけど……中庭挟んだ向かい側だし、ま、いいか)」

 GM「んじゃ、サクッと、正真正銘、導入ラスト終わらせようか」

 PC06「あ、GM。ちょっとトイレ」

 GM「ちょww ……んじゃ、戻ってくるまで軽く、PC03とPC05の会話でもやっとくかね……」

 

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