毎度毎度更新が遅くなってしまい、申し訳ございません。
ですが、私、まもなく受験生となってしまいますので、しばらくは投稿するペースを上げることができないかもしれません…。
誠に身勝手ながら、こんな物でよろしければどうぞゆっくりご覧くださいませ( ・ω・)つ
『恐怖の鬼ごっこ』から夜は明けて、地上へ繋がる穴から光がわずかに差し込む。それを知ってか知らずか、地底の、地霊殿の一日が始まる。もっとも、一人を除いては夜も活動できる時間ではあるが。
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ふと目が覚めると、まだ早朝。
そんな生活習慣は、何年生きたか忘れるくらい続けてきた私にとって、なかなか覆し難いものです。しかも、かなり時間が早いものですから、ペットが呼びに来るまで、私はずっと暇を持て余しているのです。ここでは太陽を見ることなどできないので、正確な時間はわからないのですが。かといって、地上になど戻りたくもありませんが。
いつも通り早く起きて、私は自室の本棚からある一冊の本を取り出し、ベッドに座って本の世界へ。この時間の屋敷はとても静かで、読書がはかどります。リリィがいる籠も、物音一つ聞こえません。
やっぱり、さとりお姉さまが選ぶ本は本当におもしろい。あっという間に読み終わってしまった…、そんな気がします。まだペットが来るまで時間がありそうなので、もう一冊。…あら。
コンコン
「おはようございます、かがみ様。朝食の準備が完了致しました」
少し小さめの、事務的な女の子の声が扉越しに聞こえました。この声は、おそらく耳の大きな兎の子でしょう。白くてふわふわしていますよ。だけど。
まだまだ読むつもりだったのに。でも朝ごはんができたのなら行かなくちゃ。
「いつもありがとう。すぐ行きます」
と、いつも通りこれだけ返し、手に取った本を渋々本棚へ。気がつくと、扉の外の気配は消えていました。
私は急いで部屋を出て、今日の朝食を思い浮かべながらダイニングへ走りました。
───もう、あんな惨めな思いなんて、しなくていい。
それだけで、私は幸せ。
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「ごちそうさまでした」
今日の朝食はトーストとスクランブルエッグ、あとよくわからないけれどスープ、というものでした。いつも通りふらりと現れたこいしお姉さまが言うには、西洋のお国の食べ物みたいです。何でこいしお姉さまがご存知なのか、ですか?地上にお住いの、お姉さまのご友人が西洋からいらしたみたいで、時々遊びに行っているらしいです。それで西洋の食事をいただくこともあるみたいで。
…あ、少々長くなりすぎてしまいました。ひとまず朝ごはんは食べ終わったからさっきの本を読むために部屋に戻りますね。
食べ終わった皿を流し台に置いて、私、古明地かがみは久しぶりの、否、初めてかもしれないゆるゆるとした私だけの一日を過ごすのでした。
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…なんてことがある訳がなかった。
私の部屋への、突然のこいしお姉さまの襲撃…ではなく、来訪によって私の時間は一瞬で終わりを告げてしまいました。お願いだから読書させて…。
今日も朝からお姉さまの底抜けに明るい声がよく響きます。
「かがみ~!弾幕ごっこして遊ぼー!」
………え?今、何と?確かに、『弾幕ごっこ』という様な単語が聞こえた訳ですけども。
「?そんなにお口おおきく開けてどうしたの?ペットたちが待ってるよ!」
ちょっと待って待って待ってお願い待って先走らないでこいしお姉さま。いかにも危険な匂いしかしないのに『ごっこ』って何ですか。『ペットたち』って、動物でもできるんですか。…まぁ、妖怪化した子も少なからずいるみたいですけども。
私、こいしお姉さまが部屋に入ってから、殆ど体の中しか動いていないんです。ベッドに腰掛けて、手に持つ本は表紙が中途半端に開いたっきり。顔はこいしお姉さまに向けたままですし、目や口は大きく見開いて。こんな状態でお姉さまを凝視しているわけですから、それはそれはたいそうな衝撃を受けているのです。精神的に。
そんな私に気づきもしないお姉さま───わざと見て見ぬふりをしているのかも知れませんが!───は悪意など微塵もない満面の笑みでベッド上の私の元へゆっくりと近づいて来ます。怖いやめて来ないでお姉さま。
とうとう私の目の前に来たお姉さまは、
「ねぇ、やろうよ?いいでしょ?できないなら教えてあげるからぁ」
…正座と上目遣いと困り顔と首を傾げる動作と涙目です。これがいわゆる『ふるこんぼ』というものですかね。お姉さまあざとい。しかも閉じているはずの第三の目が僅かに開いているような気がするのですが。…幻覚ですねええ幻覚です。そんなことがあるわけがない。
こいしお姉さまに(色々な意味で)こてんぱんにやられました、はい。そんな私は、どうにか散々だった顔を元に戻し、立ち上がって本を座っていた場所にぽすりと置くや否や、辺り一帯にお花を撒き散らしたお姉さまに思いっきり腕を引かれ、私達は慌ただしく出ていきました…。
「………人の気も知らないで」
──心配症の姉のすぐそばで。
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「着いた!…うん、みんないるね、早速やろー!」
「待ってお姉さま!早いです早いですっ!」
危なかった…。知らないのにいきなり『弾幕ごっこ』なんて物騒なものやらされてたまるもんですか。
私が連れて来られたのは、今は使われていないであろう、地霊殿の大広間。と言っても、よく使われる方は比較的出入口からも近いのに対し、こちらはやや奥の方にあるみたいです。天井はとても高く、飛んでも支障はなさそうで、広さは屋敷の庭くらいはあるかもしれません。家具が隅に寄せられているのも相まって、とっても広々としています。常に掃除がなされているらしく、埃っぽさをほとんど感じないくらいには快適です。
さて、ひとまず『弾幕ごっこ』について、説明して貰えませんかね?本当に何にもわからないのです。里の人間には縁もゆかりもないものですし。
「…あれ?どうしたの?やろうよ~!」
そんなにわくわくしないで。目を輝かせないでお姉さま。
「こいし様、かがみ様はおそらく『弾幕ごっこ』をご存知でないと思いますよ?」
私達の後ろに控えていた少女が、早く早くと急かすお姉さまを落ち着かせてくれました。色白でやや細目の、すらりと佇む美形の狐の子でしたっけ。とにかく綺麗な子です。…あ、いけないいけない。
私は慌てて狐の子に説明をお願いして、規則をしっかりと覚えます。地底の妖怪の間では、『誰もができる遊び』かもしれませんから。
遠慮がちに了解してくれた狐の子が言うには、
一、元は幻想郷の妖怪のために管理人らが編み出したもの
一、妖怪がより異変を起こしやすく、人間がより異変を解決しやすくしたもの
一、弾幕そのものの素材は何でも良いが、必ず突破可能なものでなければならない
一、弾幕で相手を倒すのではなく、弾幕の美しさも重要である
一、相手を殺す目的で弾幕を展開してはならない
一、開始前に双方の『スペルカード』の使用数を決め、先にどちらかが全ての『スペルカード』を突破すれば勝利
一、『スペルカード』は使用時に相手がわかるように宣言しなければならない(必ずしも声に出す必要はない)
一、負けは潔く認める
おおよそこんな感じでした。要するに、『幻想郷の全ての種族の為の遊び』ですかね…。ううん、難しそう……。
そもそも、私って弾幕を作れるのかな…?
「かがみ、どうしたの?すっごい考えてる」
「わっ!?…お、お姉さま……」
いつの間にか、考え事をしていたみたいです。説明を聞いても何もしない私を心配してなのか、こいしお姉さまが私の顔を覗き込んでいました。突然目の前に義姉の困り顔が現れたのでだいぶびっくりさせられましたが…。
ひとまず、ある致命的な疑問を打ち明けてみました。
「お姉さま…、私、…あの、、弾幕…、できない、かも…しれないです…」
…誰かに何かを相談したことがほとんどなくて、だいぶしどろもどろになってしまったわけですが、こいしお姉さまをちらりと見てみると、
「それは大変だね…、ううん…どうすればいいのかなぁ…?」
とても真剣に考えてくれていました。首を傾げて、手を腰と頬にあてながら。そんなお姉さまに感謝をしみじみと感じつつ、私も考えます。もちろん、狐の子も。
───しばらく三人で思考を巡らせた後、あっと閃いたのはこいしお姉さまでした。
私が弾幕を展開する方法、こいしお姉さまが考え出したのは、私が人間だからこそできるものでした。
──全ての人間が持ちうる力、霊力。
それを使って、弾幕を打ち出せばいい、と。
私の弾幕修行(?)は、ここから始まった。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました!
かがみちゃん、あの時の記憶はどうやら残っていないみたいです。
自由奔放な義姉に振り回されっぱなしのかがみちゃんはどうなるのでしょうか(´-ω-`)
もし皆様がよろしければ、次回もゆっくりみていってね!
P.S.段落の作り方がわからぬまま更新し続けています。orz
↑と思っていたらできました。わぁお( ̄▽ ̄;)