仮面ライダーディケイド ~The Darkness History~   作:萃夢想天

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皆さんいつもお待たせしてすみません………。
ようやく軌道に乗ってきました(のかな?)

それでは、どうぞ!


Ep,07『WILDCARD ~逆襲の切札~』

 

 

 

「ギラファには悪いが、ここで潰してくれるぞギャレン!」

 

 

突如士達の前に現れたスペードのK(キング)、コーカサスアンデッドがその巨体から

手にした大剣を目の前で硬直している四人に向けて振り下ろす。

四人は即座に回避行動をとってその攻撃を避けるが、ギラファは他の三人に目もくれず

たった一人に目標を絞って攻撃を続ける。

 

その標的は____________門矢 士だった。

 

士は自分が狙われていると理解した直後、すぐに光 写真館から離れて走り出した。

ユウスケは士の取った行動を理解出来ずに戸惑うが、橘はその行動の真意を把握して

同じように士の後を追いかけて行った。

 

 

「ユウスケ君、追いかけるぞ! 睦月行くぞ!」

 

「は、ハイ! 夏海ちゃん、ここで待っててね‼」

 

 

士が先に走り出し、その後を橘とユウスケが追う。

その姿を見てコーカサスが怒りを露わにして雄叫びを上げながら追いかける。

三人と一体が写真館から遠ざかる姿を眺めながら、その男は低くうっすらと呟く。

 

 

「……ハイ、すぐ行きますよ橘さん。________サテ、ソロソロ動クカ」

 

 

そう言ってその男_______上城 睦月(スパイダーアンデッド)は写真館へ戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真館から近くのデパートの立体駐車場まで走ってきた三人は、駐車場の中へと

入って少し息を整えながら背後を確認するが、コーカサスの姿は見えなかった。

その光景に安堵した士達だったが、駐車場の二階が轟音が響き何かが落下してきた。

灰煙を撒き散らしながら現れたのは一つの異形、巨漢のアンデッドだった。

三人はその姿を目視した直後、敵との遭遇とは別の緊張に襲われた。

 

 

「お、お前は…………『ギラファアンデッド』‼」

 

「コーカサスめ、ギャレンは私の獲物であるというのに………だがまずは‼」

 

「え、え⁉ さっきのヤツと違う!」

 

「今度はギラファか、やれやれ面倒になってきたな」

 

 

橘は憎しみの篭った視線を浴びせ、ユウスケは自分の見たアンデッドとの違いに驚き

そして士はただ冷静に目の前の状況に愚痴をこぼした。

突如現れたダイヤのK、ギラファアンデッドは手にした双剣で士に切りかかった。

 

「クソ、また俺か! 人気者でいるのも考え物だ、なっ‼」

 

「支配人よ、そろそろ気付くんだな。なぜ自分が狙われているかを!」

 

 

右が振り下ろされ、左が薙ぎ払う。

上から袈裟斬りに、下から逆袈裟斬りに。

絶え間ない連続攻撃を、士は息を切らしつつも避け続ける。

 

「待ってろ士!_____________変身‼」

 

「ギラファ………俺が相手だ、変身!」

 

 

ギラファが士に意識を向けている間に、橘とユウスケは既に変身するための

手順を完了していて、二人は士を援護するために変身した。

 

ユウスケは体内から浮き出たベルトの左側にあるスイッチを起動し、

橘はカードを挿入したバックルのレバーを引いてターンアップさせた。

徐々に身体に赤い鎧が装着され、頭部に金色の角が生えて変身を完了したクウガ。

ダイヤのカテゴリー1の紋章が浮き上がり、それが身体を通過して変身したギャレン。

二人は同時に走り出して士の援護に向かった。

 

 

「おおぉぉりゃぁぁ‼」

 

「なんだこの赤いライダーは⁉ ええい鬱陶しい!」

 

「今だディケイド、そこから離れろ!」

 

「…………感謝するぜ、これで俺も____________変身!」

 

 

クウガがギラファに飛びかかって士から引き剥がし、ギャレンの銃撃で牽制している

その隙に、士は懐からディケイドライバーを取り出して腰に装着した。

以前と同じ手順でカードをバックルに挿入し、バックルを回転させる。

 

 

『KAMEN RIDE__________DECADE』

 

 

音声ガイドと共に九つの幻影が浮かび上がり、一つに集合する。

大小さまざまな長方形の板が顔面に突き刺さり、鎧に色を付けていく。

最後に彼の双眸に翡翠色の輝きが灯り、変身を完了した。

 

 

「時間稼ぎご苦労さんっと、そこどけユウスケ」

 

『ATTACK RIDE_______BLAST』

 

「へっ? うおおおッッ‼⁉」

 

 

変身を終えたディケイドは即座にガンモードのライドブッカーからカードを取り出し、

ベルトのバックルに挿入して読み込み、射撃強化の効果を反映させて撃ち込む。

間一髪でディケイドの銃撃を避けたクウガが、ギラファを蹴り飛ばしながら愚痴る。

 

 

「あっぶないだろ士! 撃つなら撃つって「撃つぞー」早いよ‼」

 

「貴様ら………グウオォ‼‼」

 

「忘れるなカテゴリーK、俺もいるぞ……………」

 

 

クウガの蹴りとディケイドの銃撃を喰らって吹き飛ばされ、立ち上がった

ギラファに背後から鋭い角度でギャレンの射撃が襲い掛かった。

不意打ちに虚を突かれたギラファは再び体勢を崩してしまう。

好機とばかりにクウガが飛びかかるが、今度は彼が背後からの奇襲で

ダメージを受けて倒れてしまった。

 

 

「うっ!…………くっ」

 

「ユウスケ! ったくもう追いついてきやがったのか」

 

「クソ、カテゴリーKが二体とは…………分が悪過ぎる」

 

 

クウガを背後から襲ったのは、一振りの大剣。

その柄を握っていたのは、先程写真館にやってきたコーカサスアンデッドだった。

強襲に倒れたクウガを片手で掴んで駐車場の外へと放り投げる。

ゴロゴロと転がっていったクウガの先には、人影が二つ見えた。

ギャレンとディケイドはギラファと戦いながらもその人影を視認していた。

ディケイドは至って普通だったが、ギャレンは仮面越しにも絶望が見えた。

 

 

「おい………睦月、何故………何故ソイツと一緒にいる⁉」

 

「ギャレン、よそ見してんな! ぐっ……クソ!」

 

ギャレンが睦月ともう一人の方向を向いて動かなくなった。

その為、たった一人でギラファと対峙することになったディケイドは押され始めた。

クウガはよろよろと立ち上がって後ろを振り返って安堵のため息を漏らす。

 

「なんだ睦月君か、君もライダーなんだろ? 少し手を貸してくれ」

 

『…………………邪魔ダ』

 

「え? うわあぁぁぁ‼」

 

 

眼前のコーカサスに向けて構えをとっていたクウガを、生身の(・・・)睦月が殴り飛ばした。

突然のことで受け身も取ることが出来ないクウガは、またアスファルトの地面に倒れ伏した。

彼を殴った睦月の背後から、黒い革のコートと黒いサングラスをつけた強面の男が現れた。

その男の姿は、両手を顔の前でクロスさせて一気に振り下ろすと異形へと変貌した。

 

「さてと……準備は整った、やれ『仮面ライダーレンゲル』」

 

『ハァァァァ……………変身‼』

 

『OPEN UP』

 

 

猛毒の吐息でも吐き出すかの如くおどろおどろしい声を漏らしながら、ベルトを装着し

自らであるカテゴリー1のカードを挿入して、ギャレンとは違う機構を起動する。

自分の紋章をくぐり抜け、金と浅い黒色の鎧をまとった戦士が現れた。

その双眸は、いつにも増して毒々しい真紫色の輝きを宿しているように見える。

ギャレンはすぐに右手のギャレンラウザーの銃口をレンゲルの隣の異形に向けた。

怒りに肩と銃口を震わせながら、ギャレンはその異形に怒鳴った。

 

 

「貴様、睦月に何をした⁉ 答えろピーコック‼」

 

「…………ギャレン、橘……………お前にもう用はない」

 

 

そう言ってピーコックと呼ばれたダイヤのカテゴリー(ジャック)は、腕から

手裏剣のように自らの羽根を飛ばして攻撃してきた。

その全てを『RAPID』のカードを使用した高速弾で撃ち落としていくギャレン。

すると接近戦を挑もうとピーコックがギャレンに向かって走り出してきた。

ギャレンも同じように射撃を止めてピーコックへと突っ込んでいく。

そして両者共にぶつかる直前に互いの拳を突き出して打ち止める。

 

 

「貴様だけは、貴様だけはぁぁぁッ‼‼」

 

「復讐、か。いいぞ橘、もっともっと強さに溺れろ、歪んだ力に飲まれろ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何でなんだ睦月君! どうして俺を⁉」

 

『邪魔ダト言ッタダロウ‼』

 

睦月の変身したレンゲルの猛攻を受けて、状況を理解出来ずにただ

一方的に彼の攻撃を受け続けて既にクウガの赤い装甲にはヒビが入っていた。

それでもクウガはレンゲルに攻撃することが出来ないでいた。

 

「止めろ! なんでこんな事を⁉」

 

『エエイ邪魔ダ、失セロ‼』

 

『____STAB』

『____RUSH』

 

『____BLIZZARD』

 

 

『BLIZZARD STING』

 

 

レンゲルの放ったコンボ攻撃が、クウガの腹部装甲を貫いた_________かに見えた。

 

 

「…………よっし!」

 

『何ダト⁉』

 

 

クウガはレンゲルの突き出したレンゲルラウザーを、両手で見事に受け止めていた。

だが、その両手がみるみるうちに凍り、氷結していく。

それすらも構わずにクウガはレンゲルラウザーを握る力を上げていく。

ミシミシと音を立てて亀裂が奔っていく百杖を見て、レンゲルは焦りの表情を浮かべる。

 

「うおおぉぉぉぉッッ‼‼」

 

 

雄叫びを上げながらさらに力を込めていった結果、やはりと言うべきだろうか

冷気を纏っていたレンゲルラウザーの先端は、クウガの握力に耐え切れずに砕けた。

バラバラになった先端を驚愕の眼差しで見つめるレンゲルに、クウガは再度語り掛ける。

 

 

「はぁ……はぁ………なぁ、どうしちゃったんだよ睦月君! 目を覚ましてくれよ‼」

 

『……一体何ナンダ貴様ハ、ブレイドデモギャレンデモナイ、貴様ハ何者ダ‼』

 

「え………? そのセリフって俺に聞いて大丈夫なの? まあいいか」

 

 

そう言ってクウガは一旦構えを解いて、ただぶらりとしてただ立つ。

砕いたレンゲルラウザーの破片を踏み砕きつつ、クウガは堂々とした態度で言い放つ。

 

 

「俺は『仮面ライダークウガ』! あ、未確認4号の方が合ってるか?」

 

『訳ノ分カラン事ヲ‼ 貴様ノヨウナライダーハ存在シナイ!』

「訳が分かんないのはそっちだろ! でも、俺でも分かることが一つだけあるぜ‼」

 

『……………?』

 

「お前は睦月君じゃない、睦月君の身体を使った何かだな」

 

『ホウ…………ダガ、ソレガドウシタ』

 

「へっ、お前が睦月君じゃないなら手加減は要らないと思ってな!」

 

 

そう不敵に笑いながら駆け出したクウガは、右拳にクウガの紋章を発現させた。

その輝きに目が眩んだレンゲルは一瞬だがその身体を硬直させた、その隙をクウガは捉えた。

ダッシュによって加わった速度と共に、クウガの紋印の刻まれた拳をレンゲルに叩き込む。

クウガの攻撃を左手でいなしたレンゲルだったが、直後その左手に激痛が走り悲鳴を上げた。

ドクンドクンと熱を帯び、心臓の鼓動が早まるような感覚に襲われ_______________

 

 

 

 

キィィイィィンッ‼

 

 

__________浄化、爆発。

 

 

オレンジでも朱でもない、金色の炎を噴き上げて地面を転がるレンゲル。

その爆発の威力を見たクウガは、少しの違和感と罪悪感を感じた。

 

 

「あ、アレ? あの爆発ってあんな威力あったっけ?」

 

『グアァァァァァッッ‼‼⁉』

 

激痛にのたうち回るレンゲルの姿に更なる違和感を感じた。

光に充てられたレンゲルの影が、人型から異形へと変異を繰り返しているのが見えた。

その二つの影が入れ替わる間隔が段々と短くなるのを見て、彼は閃いた。

 

 

(少し、いやかなり痛むかもしれないけど…………許してくれ、睦月君!)

 

 

心の中で謝罪を述べた後で、クウガは少し距離を取った。

そしてそのまま右腕を身体の前に、左腕を折り曲げ、変身時と同じポーズをとった。

その直後、両腕をバッと開きながら上半身を折りたたみつつ腰を落とし

右足を僅かに左足より後ろへずらして、全身に流れるエネルギーをそこへ溜めた。

 

 

「はあぁぁぁぁ………………」

 

 

右足に充分にエネルギーを蓄えると、クウガは今ゆっくりと立ち上がっている敵に

狙いを定めて、一直線に向かって最大全速で駆け出していった。

クウガの接近に気付いたレンゲルは再びレンゲルラウザーで攻撃を仕掛けようとするが

肝心のラウザーの先端が先程へし折られていたことを思い出し、回避に専念する。

だが、突然レンゲルの意識が遠のいて貧血に陥ったような感覚にみまわれた。

 

 

『ナ……………ンダ、コレハ………』

 

『________させないぞ、クローバーのカテゴリー1! いや、スパイダー‼』

 

『何⁉ 貴様、上城 睦月カ! 何故ダ、貴様ハ俺ノ精神世界ノ底デ眠ッテ………』

 

『今のあの人の攻撃で、お前の支配が弱まったんだ。僕は、またお前に負けたんだな』

 

『フザケルナ‼ 俺ハ今度コソ、俺ハ絶対的ナ勝者二ナルノダ‼』

 

『無駄だ、諦めろスパイダー。僕だって痛そうなの我慢してるんだ、道連れになれ』

 

『ウッ……………ガアァァァァァッッ‼‼』

 

 

「おおりゃあぁぁぁ‼‼」

 

 

クウガが走る事を止め、両足で大きく跳躍する。

そしてその勢いのまま、光り輝く右足を前へと突き出しダイブキックをかます。

その間レンゲルは俯いたまま何もせず、まるでこれから起こる事を受け入れている様だった。

やがてクウガの蹴りはレンゲルの目前まで届き、そして_______________

 

 

 

 

 

 

『ギャアアァァァアァァァァッ‼‼‼』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい、こんなライダー……俺は知らんぞ」

 

 

一方、立体駐車場内部で二体の上級アンデッドを独りで相手取っていた士は

目の前に広がっている光景に、ただただ呆然としていた。

さっきまで戦っていた二体のアンデッドは、影も形も無い。

目の前に現れたライダー(・・・・・・・・・・・)によって、封印されたからだ(・・・・・・・・・・・・)

 

 

 

大きく浮き上がった白い両肩のアーマーに、胸部を覆う灰褐色の装甲。

その全身のスーツには、所々に赤く鋭角的なラインが刻まれている。

真ん中で二つに割れているようなベルトのバックルには、白濁色のハートの刻印。

 

そして、最も特徴的なハート型で濁ったような濃白色のアイカバー。

 

 

ディケイドの前に立ち塞がったのは、彼が今まで目にしたことも無い

不気味なまでにあるライダーによく似た謎のライダーだった。

 

 






午前中に「over lord」を見ながら書き始め
書き終えたと一息ついたら既に午後三時半過ぎ……。

アニメとは魔力の塊であるな‼‼




破壊者よ、運命の切札を掴み取れ!


次回、Ep,08『LASTCALL ~駆け引き~』

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