仮面ライダーディケイド ~The Darkness History~   作:萃夢想天

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舞い戻りました、萃夢想天です。
何とかここまで来れました(?)

随分お待たせしたと思うので、挨拶は抜きで!



それでは、どうぞ


Ep,04 『JOKER of JOKER ~切札~』

 

読み込んだカードの内容が、現実に反映される。

 

たった一瞬で完了した変身は、『見る者』を驚愕させた。

 

 

 

 

身体を灰色の水が混ざったような膜が覆い、士の肉体を包むようにして

色の抜け落ちたように見える仮面の戦士の鎧が装着される。

そして、様々な形や模様のエンブレムが空中に『九つ』浮かび上がる。

そこからさらに、士の装着した鎧を半透明にしたような何かが現れ、

磁石が引き寄せ合うかのように本体と一つになった。

 

その直後、血に染まったように真っ赤な長方形の物体が仮面の中から

飛び出して、大小合わせて9枚の板状の物質に変化し、仮面に突き刺さる。

 

仮面に突き刺さったその板から、赤色が全身に行き渡る。

全身のモノトーン調の部分が、鮮やかなマゼンタカラーに染まる。

薄いモノクロ部分は、対照的な白い色に塗り替えられていく。

 

最後に、頭頂部に付いているイエローのクリアパーツが瞬く。

と同時に、その双眸にライトグリーンの光が灯った。

 

 

 

『仮面ライダーディケイド』

 

 

 

 

世界の破壊者の異名を持つ、史上最強に最も近い仮面の戦士。

 

 

 

 

彼は変身が完了すると同時に、腰の左側に装着されたカードホルダー

いわゆる、『ライドブッカー』を手に取ってその機構を動かし始める。

装着されていたライドブッカーの底面部の黒いレバーを45度ほど回転させる。

すると、ちょうどハンドガンのグリップのような形状になり、それを右手で掴む。

そのまま人差し指のかかる位置にある『トリガー』を引いた。

 

 

バキュゥン‼‼

 

 

間隔の短い光線弾を放ち、銃口から硝煙を巻くライドブッカー。

その弾丸の射出された先には、一本の街路樹_________の後ろに潜む者がいた。

 

 

「出てこいよ………いるのは気付いてたぜ、『仮面ライダーギャレン』」

 

 

 

ディケイドに名を呼ばれた仮面の戦士が、その姿を現した。

今もアンデッドの足止めを食らっているブレイドと、同じ硬度の白金の装甲。

逆に、ブレイドとは違う全身を覆う装甲の下の小豆色のパワードスーツ。

胸部の分厚い装甲に刻まれた、彼と適合したダイヤのマーク。

ディケイドと比べ、丸い形状の両眼から上に伸びる『角』のようなクリアパーツ。

彼の右手には、彼の専用武器『覚醒銃(ギャレンラウザー)』が握られている。

 

彼もまた、ブレイドの世界のライダーの一人である。

 

 

ギャレンは自分に気付いたディケイドにこう問いかける。

 

「おい……お前も仮面ライダーなのか?だが、俺達とはまるで違う風貌……。何者だ?」

 

「………お前、俺を知らないのか?『ディケイド』を、知らないのか?」

 

「ディケイド………?いや、『所長』の作った『ライダーシステム』のデータの中に

そんな名前は何処にも無かったはずだ………答えろ、ディケイドとは何だ?」

 

「________この世界は、知らないのか……?」

 

 

 

かつて士の________ディケイドの旅してきた世界ではほぼ必ずと言っていいほど、

その世界のライダー達にその名を知られていた。否、知らされていた。

 

それは、『鳴滝』という謎の男の仕業だった。

 

鳴滝は何故かディケイドの事を『世界の破壊者』または『全てを滅ぼす悪魔』などと、

様々なライダー達にその謂れの無い悪名を伝えてきたのだった。

その真意は不明だが、士の他にいるもう一人の『世界を渡る力』を持ったライダーと

怪しげな取引を交わしたり、またある時は夏美に対してどういう訳なのか、

ある種の『警告』とも取れる言葉を残したりと、まさに謎の多い男だった。

 

 

しかし、ギャレンは自分を知らない。

仮面ライダーディケイドを、全ての破壊者たる自分を知らない。

 

つまりこの世界には____________

 

 

 

(鳴滝は来ていない……?いや、アイツに限ってそれは無いはずだ……)

 

 

ディケイドは何処か引っ掛かりを覚える幾つかの疑問を、一先ず胸の奥に

押し込み、目の前のギャレンに集中することにした。

 

 

 

「どうした、早く答えろ。でなければ……」

 

ギャレンの右手の人差し指が銃のトリガーにかかる。

しかしそれよりも速く、ディケイドは動いていた。

 

 

「撃つってか?それじゃあ遅いぜ」

 

 

バキュゥン‼‼

 

ライドブッカーから放たれた光弾は、ギャレンの左足より僅かに

手前の場所に撃ち込まれた。しかしこの距離で、普通なら外す事は余り無い。

明らかに意図的に外した。いつでも撃てる、お前(ギャレン)よりも速く。

そんな宣言のように思える一撃に、ギャレンは激昂した。

 

 

 

「ッ⁉__________貴様‼」

 

「質問には答えてやる。ただし、この俺に勝てたらな」

 

「………良いだろう、すぐに聞きだしてやる‼」

 

「出来るといいな」

 

 

再びトリガーに指をかけ、今度はディケイドより早く引き金を引いたギャレン。

しかし、二発の銃弾はディケイドが僅かに遅れて放った光弾によって相殺される。

ならば、とギャレンは射撃を止めてディケイドに向かって走り出す。

すぐに距離を縮められたディケイドは、ライドブッカーでの射撃を断念し、

敢えてギャレンの仕掛けてきた接近戦に応じる。

 

走って来た勢いを乗せたギャレンラウザーでの殴打を、ディケイドは半歩下がって躱す。

その反動を使って繰り出されたギャレンの左足の突き出すような蹴りも、右手ではじく。

お返しとばかりに、今度はディケイドが左足で同じく突き出すような蹴りをかます。

胴体がガラ空きだったギャレンは、見事に後方へ吹き飛んだ。

 

「ホントに出来るのか?ハンデでもやろうか?」

 

「ぐ……ッ‼ ふざけるな‼‼ ここからが本番だ‼」

 

「そうか。なら、俺も『お遊び』はここまでにするか」

 

 

ディケイドは不敵な発言と共に、銃形態のライドブッカーを開いて

中から新たなカードを取り出そうとする。

それを見たギャレンも同様に、ギャレンラウザーのグリップの上にあたる部分に

仕込まれているカードホルダーから、カードを取り出す。

 

ギャレンはすぐさま『ダイヤの2』と、『ダイヤの4』を取り出して

ギャレンラウザーの砲身上部のカード読込を行う部分にインストールする。

 

説明が遅れたが、このブレイド世界のライダーは皆、カードで戦うのだ。

正確に言えば、『カードに封印したアンデッドの力を引き出して』戦うのだが。

以前、この世界の人類の脅威であるアンデッドについては軽く触れたが、

その名の通り、彼らは『死ぬことが無い』。いわゆる不老不死である。

故に、この世界のライダー達はこの敵を『倒す』のではなく『封印』する事にした。

 

『ラウズカード』と命名されたそのカードには、ダメージを与えて戦闘不能になり、

肉体の防衛活動の弱まったアンデッドを封印出来る機能が備わっている。

そして封印したアンデッドの『カテゴリー』に合うライダーが、封印されたアンデッドの

持つ特殊な能力をカードを読み込むことで、引き出すことが出来るのだった。

 

 

『スペードのカテゴリー』ならばブレイドが、

そして『ダイヤのカテゴリー』ならばギャレンが。

 

 

ギャレンラウザーがラウズカードの情報を読み込み、青い膜を投影する。

その青い膜には、先程読み込んだカードの絵柄が写っていた。

読み込んだカードの能力を、ギャレンラウザーに内蔵されている

音声ガイドが、かなり低めの音程で持ち主に宣告する。

 

 

『______BULLET』

『______RAPID』

 

『_____RAPID SHOOT』

 

 

特殊能力『バレット』と『ラピッド』

ラウズカードは(相性にもよるが)複数同時に発動させると、

コンボとしてより強力な力を引き出すことが出来る。

 

射出する弾丸の威力を強くするバレットと、

弾丸の弾速を引き上げるラピッドがコンボとして合わさり、

より強力な、『ラピッドシュート』が発動した。

 

 

対してディケイドは、焦っていた。

 

 

 

(何⁉ カードが一枚も……)

 

 

 

__________使えない⁉

 

 

 

ライドブッカーの中にファイルされているディケイド専用のカードが、

何故かその全てが色を失い、使用不能となっていたのだ。

 

前にも似たような事はあった。

 

しかし、全ての世界を渡った今、こんな事が起きるはずが無い。

そう思っていた為、ディケイドは動揺してしまった。

 

そして、ソレが隙となった。

 

 

 

「喰らえ‼‼」

 

「‼しまっ_______」

 

 

ギャレンの放ったラピッドシュートが直撃して、崩れ落ちるディケイド。

その衝撃で、ライドブッカーの中のカードが何枚か外に舞っていく。

威力の底上げされた銃撃に苦しみながらも、何とか体勢を立て直すが、

カードが散らばったのを見てすぐに回収に向かおうとする。

 

しかし、ギャレンがそれを阻む。

銃弾を浴びせ、ディケイドの動きを封じようとしている。

 

だが、勝利の女神はディケイドに微笑んだ。

 

ギャレンの銃による風圧でカードが舞い飛ぶ。

その中の一枚がディケイドの手元にフワリと落ちてきた。

それを掴んだディケイドは、安堵のため息をついた。

 

 

「………ったく。まさかお前が俺を助けるとはな」

 

「どうした、案外大した事はないようだな」

 

「言ってろ。どうせすぐに立場が逆転する」

 

「何?」

 

 

 

 

その手に掴んだカードは、色づいていた。

赤く分厚い上半身の装甲。それと同じ輝きを放つ光彩。

頭部には、天に逆巻く金色の『二本角』。

あの日からずっと隣で戦ってくれた最強の戦友。

いつだって絶やさない笑顔が、その強さの根源。

誰よりも優しく、誰よりも熱い、正反対の存在。

 

 

その手に、掴む。

 

この状況を裏返す、最高の『切札(ジョーカー)』を。

 

 

 

 

 

「頼むぜ、ユウスケ」

 

 

 

 

ベルトのバックルの取っ手を引き戻し、読み込み口を開く。

そして、手にしたカードをそこに差し込み、再び取っ手を逆に押し込む。

新たに挿入されたカードの情報を読み取り、音声が認識する。

 

 

 

 

 

 

 

 

『KAMEN RIDE_____KUUGA』

 

 

 

 




今日中に間にあった‼‼

疲れてても出来るもんですね~意外と。


そして皆さん、『切札』ってまさか
『ジョーカー』だと思ってましたか?


残念でしたねぇ~~
………………私もですハイ(;・3・)


カリス、出したかったなぁ~~
書いてくと案外詰まって書けないもんですね。
以後気を付けます。




次回、Ep,05『KING on the BOARD ~王の盤上~』

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