仮面ライダーディケイド ~The Darkness History~   作:萃夢想天

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どうも皆様、SSを書くのが久々で文章力が落ちた萃夢想天です。
ええ、サボリ過ぎた結果です。自業自得がこれほどしっくりくるとは。

余談ですが、超スーパーヒーロー大戦見てきました!
ですがその、何と言いますか………個人的には高校生料金の千円だったら
もったいないとは思わなかった感じが。千五百円で観る価値は…………。

あくまでも個人的な感想なのであしからず。
レーザー復活をCMで観てから期待していたのに、なんてザマでしょう!
ネタバレなので言えませんけど。あ、北岡先生ご本人は嬉しかったです!

さぁ、前回はラストの秘められた過去に焦点を当てたお話でしたね。
久々にSSを書くので、わざわざ前回の話を見返してきたんです。
と言うわけで今回からは、いよいよクライマックスに突入します!


それでは、どうぞ!





Ep,36『Tの狙撃 / カウントダウン・ナウ』

 

 

 

鳴海探偵事務所を発ってから優に一時間以上が経過した現在、ラストの強襲によって深刻な

ダメージを受けた翔太郎を安全な場所に置いて、士とユウスケ、フィリップの三人。

彼らは一路、今回の事件の主犯が待っているタワー最奥部へと両足を忙しく動かしていた。

 

正面から堂々と侵入したにも関わらず、相手からは迎撃はおろかその気配すら感じられない

ことに薄気味悪さすら感じた士だったが、逆に好都合だと内心で呟き、幾層もの階段を疾走する。

独尊ならぬ独走で背を見せている彼を、フィリップとユウスケもまた、必死に追いかけていた。

 

タワーに侵入する直前にフィリップから聞いた話では、犯行声明の動画で見せつけられた兵器、

エクストリームビッカーとやらがある場所は、一年半前の事件で用いられた超大型光線兵器の

設置されていた部屋と同じらしい。その情報を得た士は事前に伝えられた内部構造、つまりは

マップを頭の中で冷静に思い返し、自分達の現在位置と目的地への道筋と最短距離を解明する。

 

「このまま階段を二つ上がって、そこから伸びた通路を右。直進して左折して、また直進だ」

 

「え? えーと、階段を上がって、通路を右で左折して直進…………ん?」

 

「小野寺 ユウスケ。僕と門矢 士の後についてくればいい」

 

「え、あ、おう!」

 

自身の記憶以外はあらゆる方面で優秀な士とは対照的に、間抜けさが目立って仕方ない彼は、

階段を並走する爽やかな青年に見事に言い包められ、釈然としないまま首を縦に振り切った。

 

そうしている間にも三人は迅速に駆け抜けていき、目標の部屋のある階層にまで到達した。

あともう一息だと意気込むユウスケに無言の首肯で応えた士だったが、次の瞬間には彼の体は

重力に逆らうかのように空中へと浮き上がり、その高度を徐々に上へと高めていく。

何事かと目を瞠った二人は、床から足を完全に離してなおも上昇を続ける士の下腹部辺りに、

金属のような硬い光沢を放ちながらも柔軟に巻きついている、黄金色の太い縄を見つけた。

 

否、それは縄などではない。士よりもさらに上へ視線を向けて、その正体に気付く。

 

 

『イッショニタノシミマショォーー‼』

 

やたらと全身をくねらせながら濁声(だみごえ)で言葉を介する、黄金色のドーパントの姿があった。

 

肩から先にあるはずの腕が無い特殊な外観から、フィリップは上の階から士を連れ去ろうとする

怪物の正体とそのメモリにすぐ辿り着いたが、対策を立てる間もないまま、しなる鞭のような

形状の触手で捕らえた士とともに姿をくらませる。後を追うため、残された二人は踏み出す。

 

ところが、その一歩目を踏み出した直後、ユウスケは何かを感じてふと足を止めた。

 

自分でも訳が分からないが、これ以上先に進めば良くないことが起こると直感的に察知した

ユウスケは、連れ去られていった士を助けようと前だけ見て歩を進めようとするフィリップに

気付き、嫌な予感を拭えないままに意識を自分の内側に向ける。彼の中に宿る、古代の力に。

 

 

(何か分かんないけど、何かヤバい! 変身‼)

 

 

募る焦燥感に駆られた彼は、内側から浮き出てきたアークルに手を添え、簡略化した工程を

経て超古代の戦士であるクウガへと変身。その行動に驚くフィリップを勢いよく突き飛ばす。

 

 

「危ない‼」

 

 

後の事などまるで考えずにフィリップを突き飛ばしたクウガだったが、彼らがつい先ほどまで

立っていた場所に目視できない速度で何かが到達したのを確認し、仮面の下で冷や汗を流した。

 

超古代の戦士となった自分が、感覚の鋭敏化をしていないとはいえ目視不可能な速度の攻撃。

加えて咄嗟の事だっただけに不確かだが、行動を起こす寸前に鼓膜に響いてきた乾いた破裂音。

この二つの要素を加えて思考を巡らせたクウガは、答えに辿り着くと同時にはるか遠方を睨む。

 

真紅の双眸の延長線上には、左手を添えた右腕を構えてこちらを凝視している青い怪物がいた。

 

 

「アレは、ドーパントか!」

 

「小野寺 ユウスケ、いったい何を………」

 

「来ちゃダメだ! タワー展望フロアの屋外、そこの窓枠が見えるところから狙撃されてる!」

 

 

短く要点だけを凝縮した警告の言葉を聞き、フィリップもクウガと同じ方向へ視線を向ける。

しかし変身もせずに生身のままでいれば如何に危険かを察した彼は、この状況を打破しうる

対抗策をこの場で使うべきかと逡巡(しゅんじゅん)していると、その背に庇い立つ戦士が肩越しに見やる。

 

その視線を受け、戦う決意を固めたフィリップに向けて、クウガは再び端的に言葉を駆った。

 

 

「フィリップ君! ここは俺に任せて、君は先に行け!」

 

「けど、相手はドーパントだ。君が如何に異世界の戦士と言えど」

 

「分かってるさ、力の差くらい。だからこそ、ここで君は先を急ぐべきだ!」

 

「あまりに不合理だ!」

 

「いいから行けって‼」

 

 

仮面の下にその素顔を隠したクウガの言葉は、どんな時でも単純で端的で、それ故に明快だ。

自分をその背中一つで庇いながら、成すべきことをせよと彼は力強く語りかけてきている。

 

ここでクウガの言葉通りに動けば、青いドーパント__________トリガードーパントからの

一方的な遠距離攻撃に苦しめられ、最終的にはクウガの持ち味を生かせず死ぬかもしれない。

先日戦ったアイスエイジとの戦闘でクウガの戦闘力を把握しているからこそ、フィリップは

それ以上の実力を誇るであろうトリガーとの戦いを、彼一人に任せるわけにはいかなかった。

 

自分も残って戦うべきだと結論を出したフィリップだったが、クウガはそれを良しとしない。

 

 

「ここは俺が食い止めるから! 君は、この街の仮面ライダーなんだろ⁉ だったら‼」

 

「小野寺 ユウスケ…………」

 

「街のヒーローなんだろ? さぁ、早く‼」

 

 

これ以上は無いとばかりに、クウガは睨みつけていた相手のいる場所へと駆けだしていき、

向こうの狙撃の標的を無防備なフィリップから自分へと移し替えさせて時間を稼ぐ。

その行動の一つ一つが、自分を守るためのものであると理解したフィリップは、彼の決意を

無駄には出来ないと腹を括って、踵を返してタワー最奥部である目的地へ足を再稼働させた。

 

 

「…………うまくやってくれよ、フィリップ君!」

 

 

信じて送り出した戦友の背中を横目で見送りつつ、クウガはタワーの支柱や設置されている

案内板やオブジェなどで身を隠しながら、着実にトリガーとの距離を詰める作戦を決行する。

 

全身を覆い隠せる場所に逃げ込んだクウガは深く息を吐き、自分の状況を改めて確認した。

 

 

「相手は多分一人で、フィリップ君から聞いた話から考えても、トリガーのメモリを使う

ドーパントとみて間違いない。狙撃、かぁ。ここに拳銃でもあったら良かったのに…………」

 

 

フィリップを庇いながら相手を観察していた彼は、その外見的特徴とタワーに攻め入る前に

聞いていた相手の情報をもとにして、こちらを狙撃している敵の戦法に大まかな予測を立てる。

 

全身を染め上げるのは空や海のような天然の青ではなく、緻密な設計で組まれた人工物の蒼。

頭部だけがやけに楕円を形作るようにして細長く伸び、目と思しき単眼には狙撃手にとっては

かかすことのできないスコープの模様が奔り、無言かつ無表情な佇まいから殺気を振り撒く。

そして最大の特徴は、右肘から先には人間としてはありえない、重火器の砲塔部分があった。

 

クウガを狙撃している敵は、情報と条件から考えて、トリガードーパントで間違いない。

 

 

「一番怖いのは銃の威力だけど、接近できれば俺に分がある!」

 

 

聞かされていた能力と現状を加味して、遠距離戦では勝ち目など万に一つもあるはずもなく、

逆に近接戦闘に持ち込めれば自分の勝利できる確率は高まると考え、作戦を立て終える。

思い立ったが即行動を体現する彼は、策を講じたと同時に隠れていた場所から即座に飛び出し、

狙撃されないために一目散にフロアを駆け抜けて、非常用の階段を駆け上がって屋外へ出た。

 

風都の全体を駆け巡って収束してきた風が流れるそこには、こちらに銃口を向けたまま一切の

震えも起こさずに戦意を立ち昇らせている敵が待ち構えている。彼我の距離は約25メートル。

攻撃手段である四肢の射程範囲内とは程遠い現在位置を把握しつつ、クウガはこじ開けた扉の

陰から飛び出していき、標的が物陰から抜けて姿を晒す事に驚くトリガーに肉薄していった。

 

 

「こっちから仕掛ける!」

 

『……………ゲームスタート』

 

 

遮蔽物が一切ない屋外でのアンフェアマッチのゴングが、音など鳴らさずに戦いの火蓋を切る。

 

持ち前の身体能力を持って果敢に前進するクウガは、トリガーの右腕である銃に最大限の警戒を

向けており、その銃口が自分の視線と交錯した瞬間、体をわずかにずらして射線上から離脱した。

遠距離戦では勝負にもならないと分かっている彼は、とにかく相手の攻撃は避けねばならないと

言い聞かせるように心の中で反芻させ、攻撃を放つ銃口だけに意識の大半を割いて動いている。

 

その方針が功を奏したのか、クウガの動きは自然とジグザグと多角的なものとなり、銃身を右に

左にと忙しなく動かさなくてはならないトリガーは、徐々に戦士が接近してくることに焦りだす。

 

 

『…………………エリアチェンジ』

 

 

撃たなければ攻撃できないが、やみくもに銃をぶっ放したところでそれは射撃とは呼べない。

それを理解しているトリガーは、遮蔽物が無いこの屋外での戦闘にクウガを誘い出したのだが、

相手の性能が予想よりも高いことを誤算と考え、別区画の窓に射撃で穴を開けて飛び込んだ。

 

距離を詰めていたのにあと一歩で取り逃がしたクウガは、確実に倒そうと青い異形の後を追う。

勢いよく突っ込んだことで一人分の通路ができた窓から落ち、赤い戦士も新たな戦闘区域へと

誘われる。そこで待ち構えていたトリガーが右腕の銃を構え、第二ラウンドの鐘を狙撃した。

 

 

「うっ! くそ、これじゃ、近付けない!」

 

『…………………』

 

 

素早いながらも的確に急所や死角を狙撃してくる相手から辛くも逃げ延び、すぐ近くにあった

タワーの案内板へと背を預けたクウガは、緩みなくこちらを見据えるトリガーに溜め息を吐く。

 

現状、彼に打開策は無かった。屋外での戦闘であれば、遮蔽物無しのデメリットがあれども、

その分だけ広くスペースを取りながら移動ができたため、徐々に距離を詰める事が出来た。

しかし、この場には射撃から身を守る遮蔽物が大量にあるが、それはクウガの移動できる範囲が

恐ろしいほどに制限されている。難易度があるとすれば、今の方がはるかに上であろう。

 

どうにかしなければとあれこれ考え始めたクウガだが、結局作戦と呼べる作戦など考えつかず、

最終的にはやはり自分にできる事をなどとのたまう。ただ実際、この場ではそうせざるをえない。

身を隠しながらの前進など不可能に近い。とくれば、知能指数が低いクウガに取れる戦法は一つ。

 

 

「こんな距離! 突っ切るしかない‼」

 

 

回避行動の一切を切り捨てた、文字通りに読んで字の如く、捨て身の特攻と呼ばれるもののみ。

 

先程のような細かい回避が取れない環境では、受けるしかないと覚悟を決めたクウガはただ、

こちらに銃口を向けて接近してくる自分に震え一つ起こさない敵に、殴りかかっていった。

 

最短距離で迫り来るクウガに向けて銃を構えるトリガー。一射、二射と続けざまに弾を放つ。

そのどちらも真紅の装甲に着弾したものの、貫通するまでには至らず装甲の表面を抉っただけに

留まったものの、肉体を変質させたものであるために痛覚があり、電気信号は忠実に送られる。

 

受けた銃撃に仮面の下の顔を苦悶で歪めるクウガだが、それでも彼の疾走は少しもブレない。

むしろ、これ以上のダメージを負いたくないとばかりに速度を上げて急接近してくるクウガへ、

さらに追加で弾丸をくれてやったのだが、喉奥からかすれた唸りを上げるだけで足は止まらない。

 

 

「うおおぉぉぉおおぉぉッッ‼」

 

 

突貫という言葉が相応しい短距離走破で、自身の徒手空拳が届き得る射程範囲ギリギリへと

滑り込んだクウガは、受けた銃撃の痛みに歯を食いしばりつつ、握りしめた拳を二度振るう。

走ってきたことで勢いも上乗せされた拳だったが、それらは目標へ当たらずに空を薙いだ。

 

手ごたえが無いことに驚くよりも先に、クウガは拳を振り切る勢いを利用して体を反らし、

重心の移動をコンマの世界下で完遂して、右背面からひねりを加えた蹴りを突き出した。

しかし、それすらも手ごたえを伝えることなく空振り、トリガーは再び銃を構えてみせる。

 

「なんて身のこなしだ!」

 

 

外見からは想像もつかないほど軽快な身のこなしで、クウガの攻撃は悉く躱されており、

せっかく近接戦闘にまで引きずり出しておいて避けられた事で、彼は柔らに翻弄され始める。

 

真紅の装甲から鮮血を垂らしているクウガは、想定外の回避能力によって近接格闘攻撃を

封じられたも同然である事実に気付き、それだけはいけないと悟り、がむしゃらに攻撃へ移る。

 

 

「はぁっ! せい! どぉりゃああぁぁぁあぁ‼」

 

『…………………』

 

 

闇雲な攻撃などではダメージを与えられないことは、いくらクウガとはいえ分かっていた。

しかし、現状を打開するためにはとにかく攻め続けるしかないと、彼の直感が告げていた。

 

右拳を正拳突きの要領で鋭く繰り出せば、銃を支えていた左手で赤子をあやすように捻られ、

逆に蹴りを叩き込もうとすれば、それまで狙撃のためだけに使用していた右腕の砲身で殴る。

ボディをがら空きにしたクウガを射抜くべく、蹴りを弾いた右腕の銃をすぐさま構え直す。

 

どこまでも冷静沈着で恐ろしくなるほどにクレバーな彼は、油断なくクウガへ銃を向ける。

 

「………………強いな」

 

 

そんなトリガーにどうやって一撃を当ててやろうかと無い頭を捻って絞っているクウガは、

こちらを見据えたまま発砲もせずに、ただじっと待っているトリガーに違和感を見出した。

 

そうして知らず知らずのうちに膠着状態に陥っていた二人だったが、ふいにトリガーがその

右腕を真上へ向けて持ち上げ、攻めさせようとする誘いかと疑うクウガを無視して射撃する。

何も無いはずの空間へ向けて合計で七発撃ちこんだトリガーは、右腕を下して見つめてくる。

いったいどうしたのかと思ったクウガは、敵が何を撃ったのかが気になり、真上を仰いだ。

 

途端、彼は信じられない光景に目を剥かされることとなった。

 

 

「なっ__________________⁉」

 

 

クウガの頭上に影が差し、その上空から飛来してきているのは、この区画の上半分を固定

する役目であるいくつかのポールであった。トリガーはそれらでクウガを押し潰すようだ。

 

ポールと天井とを繋ぎ留めているはずの金具を、先程の射撃で目視することも無いままに

撃ちぬいて、あまつさえそれらで相手を押し潰そうなどと考えるものは一人しかいない。

考えつくこと自体も驚くべきことだが、最も驚愕に値するのはそれを成しえたその技量である。

 

驚く間も与えられないまま落下するポールの餌食になったことで、身動きの一切を封じられた

クウガは、またしてもしくじってしまったと反省し、後悔し、情けなさを仮面の下で悔やんだ。

 

 

「くそ、くそくそ、クソッ‼」

 

 

どうにか脱出せねばとポールをどかそうと試みるも、一本一本の重量がハンパではない。

加えて、クウガ自体を包み込むように落下しつつも他のポールと絶妙に噛み合っているのだ。

生半可な技量程度では実行不可能な攻撃を前にして、クウガは今度こそ自身の終わりを悟る。

 

先日のアイスエイジ戦でも、自分は助けようと戦っても結局は助けられただけであったし、

今回もフィリップをすぐに向かわせようと敵を引き受けたが、まさに手も足も出なかった。

 

その事実が、自分の弱さを物語る。

 

 

「うあああぁぁああぁぁぁあッ‼」

 

 

仮面で隠された顔を苦悶に歪ませたクウガは焦りのみを募らせていったが、全て徒労に終わる。

脱出すらも容易でない事を理解しているトリガーは、落下したポールの下敷きになっている

クウガのそばへと悠々とした態度で近付き、眉間部分に右腕の銃口をゆっくり押し付けた。

さらに確実性を重んじたトリガーは、左手で銃身を支えて一発で仮面に守られた頭部を

撃ち抜かんとし、抵抗しようと暴れるクウガに蹴りを入れて大人しくさせて銃口を突きつける。

 

またしても敗れるのか。

 

以前も今回も、時間稼ぎにすらもならないような足手まといの無様を晒したクウガは、悔しさの

あまりに肩を怒らせて上下させ、内出血を起こしそうなほど握りしめた拳でポールを殴った。

しかし、それで現実が変えられるわけではなく、銃口を押し付けられる感覚が強まっただけ。

 

どうにかして脱出せねばと、最後までみっともなく足掻きに足掻いたクウガは顔を上げた。

 

 

そして、そこで目撃する。

 

 

「______________え?」

 

 

けたたましいバイクのエンジンに似た音が聞こえた直後、トリガーがどこかへ吹き飛ばされた。

 

「………な、何が」

 

 

状況が呑み込めないクウガは、ポールに身動きを制限されながらも可能な動きで周囲を探り、

ふっ飛ばされていったトリガーから自分を庇うようにして仁王立つ、紅蓮の戦士を見た。

 

 

「……寝ている場合ではないと体に鞭を打って来てみれば、懐かしい顔と鉢合わせたものだ」

 

 

憮然とした口調と物言いに耳を傾けるクウガだったが、次の瞬間には自身の上に重たげに

のしかかっていたポールの数々が姿を消し、驚きのあまりに立ち上がった彼は戦士の右手に

握られていた長剣を見やる。それこそが、自分の上にあったポールを払った逸品であると。

 

瓦礫の中から音を立てて起き上がったトリガーに視線を戻すと、紅蓮の戦士が手に持った

剣の切っ先をクウガに向けて、底冷えするような声色でこちらを一切見ることなく告げた。

 

 

「地獄から何度蘇ろうと、俺は負けん」

 

 

ここから先は俺の領域、手を出すな。

 

そう言いたげな雰囲気を背中越しに醸す彼に何も言えず、押し黙ってしまうクウガ。

戦闘体勢に移行しなおしたトリガーを相手取る意思を見せ、背中にバイクのホイールを

背負った紅蓮の戦士が今、専用武器であるエンジンブレードを唸らせて声高に叫んだ。

 

 

「さぁ…………振り切るぜ‼」

 

 

今ここに、不死身の男【仮面ライダーアクセル】が立ち上がった。

 

 

 

 







いかがだったでしょうか?

前半は久々だった割には結構いい感じで書けていたと思うんですが、
後半は眠気も相まって完全に寝ながら書いたので支離滅裂になっているかと。



それでは次回、Ep,37『戦慄のD / 最終局面』


ご意見ご感想、並びに質問や批評など大歓迎でございます!

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