仮面ライダーディケイド ~The Darkness History~   作:萃夢想天

24 / 41


先週、先々週と投稿できず、大変申し訳ございませんでした‼

書こうとはしてたんですが思うように執筆がはかどらずに時間だけが
無為に費やされていった挙句に投稿を断念…………情けなく思います。
ですが今回は本気で挑ませていただきます!
それと、今後もおそらくこんな感じで立ち止まることが多くなるだろうと
思われますが、なにとぞこの作品をご愛読くださいますようお願いします!


それでは、どうぞ!





Ep,21『HELL BROTHER ~届かぬ光~』

 

 

 

 

そこはもはや、人は誰も寄り付かなくなってしまった無人の工場跡地。

かつては迫り来る脅威に人類が対抗するための兵器が製造されていた土地であったが、

その栄華も活気も今は見る影もなく廃れ、人知れず錆びて崩れゆくのみの廃墟となっている。

 

そんな物寂しい土地に普段は聞くことのない無数の音が響き渡っていた。

 

打撃音、斬撃音、射撃音、倒壊音、粉砕音。

 

数え上げればキリがないような無数の音が無人の地で鳴り響くはずもなく、

今その場所では人ならざる仮面の戦士たちが己の全てをかけて戦っていたのだ。

 

 

「ハァッ‼」

 

「………フンッ!」

 

 

これで幾度目かになる衝突音が廃墟に木霊し、動き回っていた二人の戦士が切迫し合う。

片方は、全身を色褪せた返り血の如きマゼンタで染め上げた翡翠の双眸を持つ、ディケイド。

もう片方は、悪意と敵意を混ぜ合わせたようなモスグリーンの装甲に身を包む、マディカ。

二人はそれぞれ互いの獲物を手にして激しく押し合い、両者の間に火花を散らせていた。

 

実力は拮抗しているらしく、両者とも自身の装甲に無数の傷がつけられているものの

致命傷や行動不能なほどの大きな怪我には至っておらず、決定打を与えられずにいた。

実際この戦闘において、俊敏性や動作性においては明らかにマディカの方が上回っているが、

相手に一撃を与えるための攻撃の手数や重さなどは逆にディケイドが相手より優れている。

当たれば脅威となる攻撃を軽やかに回避し続けるマディカが一見して戦場で有利なように

見えているが、現実には豊富かつ際限無く繰り出されるディケイドの攻撃に警戒して迂闊に

攻め入ることが出来ない状態に陥らされていたのだった。

 

このままでは時間の無駄だと確信したディケイドとマディカは二人同時に駆け出し、

先程まで戦っていた屋内から古びて老化した壁や窓を砕きながら屋外へと飛び出した。

ガラガラとコンクリートの壁や砕けた窓ガラスをまき散らしつつ二人は体勢を立て直して、

ディケイドは両手の埃をパンパンと払い落とし、マディカは首を二度ほどゴキゴキと鳴らす。

相手を見据えて距離を保ち、互いの次なる一手を見定めるべくしばらくの間静寂に身を委ねる。

 

 

「さ、第二ラウンドと行こうぜ?」

 

「………口が減らない奴だ」

 

「生憎だったな、まだそんだけ余裕があるんだよ」

 

「………それが油断にならないといいな」

 

「なんだ、油断してても勝てるって分かりやすく言わなきゃ分かんないか?」

 

「………遊びは終わりだ」

 

 

出方をうかがうディケイドはマディカを相手に軽口を叩いて挑発を試みようとするも、

常に冷静沈着かつ寡黙なマディカには効果が無く、逆に戦意を向上させてしまった。

腰を落として臨戦態勢を整えた新緑のライダーは腰にマウントしていた専用のゼクターを

右腕のクロッチ部分に装着し、さらにそこからレバーを引き起こして2本のクロウへ変形させた。

対するディケイドはライドブッカーから一枚カードを取り出し、バックルへ装填する。

 

 

【KAMEN RIDE BLADE】

 

 

バックルで読み取られたカードの情報が即座にディケイドに反映されて姿が変わっていき、

マゼンタカラーの戦士は青いパワードスーツに白金の鎧をまとった剣士、ブレイドへと変貌した。

唐突に外見がまるで変わったディケイドの姿を見て驚くマディカだったが、彼が異世界から来た

謎の力を持つライダーであるということは知っていたため、動揺するほどまでには至らなかった。

 

 

「………随分と様変わりしたな、手品か?」

 

「手品とは聞き捨てならないな。コイツは、『変身』だ!」

 

 

逆にマディカからの挑発に対し、ブレイドと化したディケイドもまた応々として答える。

そしてブレイドは答えながらライドブッカーをソードモードへと移行して右手に構えながら、

激しい踏み込みと共に駆け出して眼前のマディカへと迫った。

鋼色の刀身を揺らしながら迫るブレイドを正面から見据え、マディカは右腕のマンティスクロウ

という鉤爪状の武装を展開して肉弾戦に応じるが如く突進していき、剣の切先に爪をぶつけた。

 

金属同士がぶつかり合う甲高い音が両者の間で響き、同時に仮面に火花がわずかな燈を灯す。

しかし空中に散った火花がすぐに消えるのと同じく、両者の膠着もまたすぐに終わりを迎えた。

次いで振り下ろされるライドブッカーソードの切先の軌道を完璧に見切ってほんの半歩だけ

身体を逸らしたマディカはその場で即座に反転し、クロウを裏拳の要領で薙ぐように繰り出す。

横合いから風切り音をさせて迫る裏拳を、ブレイドはライドブッカーソードの柄で弾いて防ぐ。

裏拳を弾くのと同時に引いた剣先を再びマディカへと向けて今度は躱されにくい突きを剣士の

力によって特化された速度と重さを載せて繰り出され、その切先が装甲に突き刺さるその瞬間。

 

【Clock Up】

 

 

_______________世界が、止まった。

 

 

「…………言ったよな、遊びは終わりだと」

 

 

自分以外の何もかもが動くことを拒絶させられた、静寂と孤独(クロックアップ)の世界。

その中でごくわずかにしか動かない、というより動いているかすら定かではないほどの速度の

剣をやんわりと眺めながらマディカはそう呟いて右腕のゼクターのクロウ部分を一度引き戻し、

レバー状に戻して再びそれを押し戻し、ベルトからタキオン粒子をゼクターに収束させる。

バチバチと帯電しているかのような青い雷光の迸りを感じつつマディカは右腕を肩より上へ

持ち上げて構え、クロウ部分がブレイドの仮面の複眼辺りにくるように調節し、歩き出す。

 

 

「………三島のザビーを破ったと聞いていたが、過大評価だったか?」

 

 

ゆったりと歩きながら確実に必殺の一撃を叩きこめるように相手の微細な動きを正確に捉えて

腕の位置や角度を調節し、そのまま歩行から走行に、そして疾走へと速度を上げていく。

しかしそのマディカとは対称的に全く変わらない緩慢過ぎる動きで剣を振り下ろすブレイド。

彼我の距離はわずか数mにまで縮まり、あと二秒ほどあれば確実に息の根を止められると

内心でマディカは確信し、自身の攻撃の射程圏内にブレイドを収めた直後、右腕を振るった。

 

 

【Rider Hunt】

 

【Clock Over】

 

「…………終わりだ、異世界のライダー」

 

 

世界の時間が元に戻り始めるのと同時に、マディカのささやきと爆音が廃墟に鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐああぁ‼ あっ、ぐっ⁉」

 

気が付いたら新緑色のライダーに一撃を叩きこまれていた。

ありのままを見てしまえば相手が瞬間移動してブレイドの眼前に迫ったようにも

見えたのだが、この現象の正体を知っている彼だけは冷静に現実を分析していた。

 

(クソ、やっぱりクロックアップを使ってきたか………!)

 

 

超高圧で圧縮したタキオン粒子を一気に展開、周囲に散布することでその範囲内のみに

局所的な異なる時間軸を発生させ、自分以外の全てを置き去りにする世界の中から一切

抵抗も反撃も受けることなく一方的に敵を蹂躙できる究極の特殊性能、クロックアップ。

それをひとたび使用されれば最後、対抗策を持たない者であれば成す術なく理解すらも

ままならずに息絶えていくのだが、ディケイドにはその対抗策がないではなかった。

しかしその策を講じようとした直前に相手に先手を打たれてしまい、そのダメージから

ブレイドの姿を維持できなくなり、強制的にライドが解除されてディケイドに戻ってしまう。

よろよろとおぼつかない足取りで立ち上がりつつも思っていた以上に受けた傷が大きい

らしく、すさまじい激痛によって仮面の下で苦悶に顔を歪ませる。

そこに必殺の一撃【ライダーハント】を浴びせたマディカがゆっくりと歩いて近付く。

 

 

「………大したことは、なかったな」

 

「くっ………相変わらず戦闘のセンスだけは一流だな」

 

「………いい加減俺を知っているような口ぶりは止めろ」

 

「止めろも何も、知ってんだから言ってるんだよ」

 

「………お前が俺の何を知っていると?」

 

ボロボロの状態でなおも交戦の意思を見せるディケイドにわずかながらも苛立ちを

見え隠れさせるマディカは、見ず知らずのディケイドについそう言葉を投げかけてしまった。

自分は何を言っているんだと少し後悔するが、その後悔よりも先にディケイドが答える。

 

 

「お前が誰とも共存できない、哀れな男だってことぐらいか?」

 

「ッ‼」

 

 

既に自分の与えた一撃で立つのもやっとの状態であるディケイドにそう言われ、

マディカは珍しく頭に血が上って眼前の死にぞこないをすぐさま消してやろうと考え、

右腕にマウントしていたゼクターを腰のベルトのバックルとして変身直後にあった位置へ

戻して再び装着し、カマキリの鎌を模したレバーを引き上げてタキオン粒子を加速させる。

 

目の前でバリバリと空気に悲鳴を上げさせるエネルギーの余波を仮面越しに浴びせられながら

ディケイドはなおも振るえる体に鞭を打って立ち続け、マディカに返答を返し続ける。

 

 

「所詮無理だったんだよ。お前みたいに自分の都合しか考えられない奴は、

いつだって一番失いたくないものを一番失いたくない時に失うんだ。そうだろ?」

 

「…………お前に、何が分かる⁉」

 

「分かるさ。少なくとも______________」

 

そこまで言ってディケイドはライドブッカーからカードを二枚取り出し、その内の一枚を

腰のバックルに装填して機構を動かし、情報を読み取らせながら言葉を紡いだ。

 

 

「お前には、信頼出来る仲間がいない。この世界のカブトや、俺のようにな‼」

 

【KAMEN RIDE KUUGA】

 

「待たせたな、士‼」

 

 

ディケイドライバーが読み込んだ情報を反映させた直後、だだっ広い敷地に佇む二人の

前に真紅色の生体鎧に身を包んだ赤い瞳の仮面の戦士が飛び込んできた。

さらにディケイドの姿が突然現れた赤いライダーとほぼ変わらぬ見た目に変化していき、

同じ顔と姿を持つ二人のライダーは共に肩を並べてマディカに対峙する。

 

 

「さぁ、こいつで決めるか。頼むぜ、ユウスケ!」

 

「おうっ! 任せとけ‼」

 

 

新緑色のマディカの目の前に、二人のクウガが並び立つ。

 

 







いかがだったでしょうか?
今回は本当に短くなってしまい、すみませんです。
本当なら今回を含めてあと二話ほどで完結させるはずだったのに、
全然書けなくなってしまっていて…………情けねぇです。

次回こそ! 次回までには以前ほどまでには書けるように自分を
鍛えなおしておきますゆえ、ぜひともお待ちくださいませ!


それでは次回、Ep,22『PERFECT HARMONY ~繋がる想い~』

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。