仮面ライダーディケイド ~The Darkness History~   作:萃夢想天

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仮面ライダーゴースト公式絶対許さねぇ‼‼‼
何でや‼ ノブナガ様とかチートやチーターやそんなん‼

_____________とまぁ言ってみたりして。


実はこのくだりを書くのもニ度目でしてね(´;ω;`)
データが不定期にバイツァ・ダストするの止めてほしいね。


イライラしたりなんだりしましたが、
今回でブレイドの世界も佳境ということで。

それでは、どうぞ!


Ep,10『EXCALIBUR ~人類の希望~』

 

 

 

「あ、ちょっと待て!」

 

ユウスケは目の前で何が起こっているのか分からなかった。

先ほどまで鎖に繋がれていた人間がいきなり化け物に変身したことも信じられなかったが、

何より彼が自分の探していた『剣崎』という人物でなかった事の方が信じられなかった。

そんな状態のユウスケに意にも介さず、アンデッドは膝を曲げて大きく跳躍した。

地下のこの部屋でそんな事をすれば無論天井にぶつかるが、まるで薄く広げた紙を破くかの

ようにコンクリートを粉々にして突き破り、青空の彼方へと消えていった。

しばらくポカンとしていたが、頭を何度か振った後で考えを切り替えた。

 

 

「と、とにかく後を追わないと!」

 

 

そう決心したユウスケは自分の中へと意識を集中させる。

腰を軽く落としてゆっくりと大きく息を吐きながら体の奥に眠る力を呼び起こした。

彼の腰の辺りが眩く輝きだしたかと思うと、見慣れない形のベルトが浮き出てきた。

それをしっかりと確かめたユウスケは右手の人差し指と中指を立てて左前方へ突き出した。

一度目をつぶって、全神経を腰にあるベルトとバックルに寄せ集めて、再び目を見開く。

体の左側へと突き出していた右手を指を立てたままゆっくりと右側に動かした。

そして右手をグルンと回して腰に巻き付いているベルトの左側のボタンの上に移動させ、

左手の握り拳を下にしてカチッと小気味良い音が鳴るように押し込んだ。

 

 

「_________超変身‼」

 

 

ボタンを押し込んだ直後にユウスケの全身を神々しい光が包み込んだ。

光が段々と収まっていった後に立っていたのは、紅蓮の鎧を纏った仮面の戦士だった。

 

赤く分厚い上半身の装甲、それと同じ輝きを宿した双眸。

眉間の間から天に向かってそびえるクワガタのような形状の金色の角。

そこには、『仮面ライダークウガ』が立っていた。

 

「よっし、逃がさないぞ‼」

 

 

クウガに変身したユウスケは、先程逃げ出したアンデッドと同じように

膝を折り曲げて力を込め、一気に伸ばして青空の中へと飛び出していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ATTACK RIDE __________ILLUSION】

 

ディケイドがライドブッカーから一枚のカードを取り出してバックルに装填した。

バックルがカードの内容を読み取り、ディケイドの体へとその効果を反映させる。

するとディケイドの体が揺らぎ、その揺らぎが体から離れて二つに分離する。

分離した揺らぎが形を成していくと、それは本体となんら変わらないディケイドの

分身となって彼の横に並び立った。

 

 

「さて、コイツで形勢逆転、だな」

 

「予想外にメンドくせぇ相手だったが、これで一気に片付けるか」

 

「ああ、さてと…………行くぜカリス2号さんよ!」

 

 

三人がそれぞれカリスに対して毒づくと、同時に攻撃を仕掛けた。

二人がライドブッカーをソードモードに変えて一気に肉薄し、残った一人が遅れて

ガンモードに変えて遠距離からの援護を開始した。

一人目が剣を走りながら上段に構えて目の前のアルビノカリスの濁った白い胴を

袈裟斬りにしようと振り下ろすが、それはアルビノカリスの左手の大剣を水平にして

突き出してくる牽制によって阻まれ、右手の薙刀状の双剣を下手から振り上げて

ライドブッカーソードを弾き飛ばして無防備なディケイドの腹部を回し蹴りで蹴り飛ばす。

転がってきた一人目を尻目に二人目のディケイドが剣を横から流すように斬り出したが、

アルビノカリスは自分が弾いた一人目の剣を足で空中に放り出し、左手の大剣で薙ぐように

してその剣を二人目に向けて風を斬り裂きながら飛ばしていく。

接近しすぎてその攻撃を避けきれなかったディケイドは上半身の装甲から火花を散らしながら

倒れ伏し、いつの間にか眼前まで迫っていたアルビノカリスの蹴りでさらに遠くへ吹き飛ぶ。

最後の三人目が銃口をアルビノカリスに向けて光弾を放つが、右手の薙刀状の双剣を

腕の回転を利用してグルンと一回転させて銃弾を一つ残らず払い落として歩み寄ってくる。

だがディケイドは先程自分の前まで飛んできた一人目の剣を拾い上げてガンモードに変え、

両手持ちにして一気に全弾を向かってくる白濁色の仮面の戦士に発射した。

今度はアルビノカリスの方が接近しすぎたようで、剣を振るっても全ての弾丸を払いきる事が

出来ずに装甲から大量の火花を噴出させながら大きく後ろへと後ずさる。

 

 

「………ったく、この2Pカラー野郎が」

 

「単なる色違いかと思ったが、案外違ったな」

 

「ま、それでも…………」

 

「「「俺の敵じゃあないけどな」」」

 

 

後退していくアルビノカリスを警戒しながら三人のディケイドが集結する。

三人がハモると共に手をパンパンとゴミを払うようにして打ち鳴らした。

その行動に苛立ったのか、アルビノカリスが荒い息を吐きながら剣を構え直す。

 

______だが、その直後

 

 

 

『ッガアアァァァァアアァァァァッッ‼‼⁉』

 

『フーッ! フーッ! ウオォォォォッ‼‼』

 

「ん? アレは………ジョーカー、か?」

 

「何でジョーカーがこんな場所に」

 

「心強い味方………にしては悪役な外見だな」

 

 

白いアルビノカリスの背後に突然現れた光沢のある黒い影が、白濁の腹部を貫いた。

三日月状に反り返った刃が、濁りながらも硬度を失わない装甲を容易く斬り裂いている。

アンデッド特有の緑色の体液を辺りに撒き散らしながら、二体の異形が蠢き合う。

その様をただただ見ていたディケイド達だったが、突如その姿が掻き消え一人に戻る。

アタックライド・イリュージョンの効果が切れたのかと、ディケイドが僅かに悔しがるが

それよりも目の前の光景から目が離せず、手に持ったライドブッカーガンを元の形状に戻す。

 

『ウガァァァ‼ ハ、放セェ‼』

 

『グルァァァァアァァァァッ‼‼』

 

 

アルビノカリスが腹部を剣と腕で貫かれ、その激痛にもがき苦しみ

ディケイドがジョーカーと呼んだアンデッドが腕に滴る体液を見て歓喜に震えた。

やがてジョーカーの腕が何かを探すようにアルビノカリスの体をまさぐり始めたが

直ぐに腰のバックルを掴むと、強引にそれを引き千切ろうとして力を込めた。

更なる苦痛に上げる悲鳴を絶叫に変えたアルビノカリスに構う事なく、

ジョーカーは右足を振り上げてアルビノカリスの腰に据えて思い切り蹴り飛ばした。

その反動で大きく弾き飛ばされた白濁の体を余所に、ジョーカーはその手を見つめる。

黒い異形の右手に握られていたのは、二枚のカードだった。

 

一枚は、青色のカブトムシのようなものの中央にスペードが刻まれた『スペードの1(エース)』。

もう一枚は、黒色のカマキリのようなものを中心にハートが刻まれた『ハートの1』。

 

その二枚を大事そうに見つめたジョーカーはゆっくりと一枚のカードを自分のバックルへ

近付けて、その中央にあるハートを分断するカードの読み込み口に差し込んだ。

 

 

【_________CHANGE】

 

 

カードが溝を通過すると、ジョーカーの体を半透明の液体が覆い隠した。

直後液体が凝固して弾け飛び、先程とは違った姿を白日の下に晒した。

まるでアルビノカリスと色を反転させたような全身の仮面の戦士。

彼こそが『相川 始』、『仮面ライダーカリス』であり『ジョーカー』でもあった。

 

だがカリスの変身した直後、彼は膝を地面について倒れかけた。

ブルブルと震えながら、それでもカリスは倒れずに顔を上げてもう一人の自分を見つめた。

するとその視線の先にいた白濁の戦士の体のあちこちにヒビが入り始めた。

そのヒビがどんどん全身に広がると、遂に白濁の体が砕け散った。

先程までアルビノカリスが居た場所には、意識を失った男が倒れていた。

 

 

「ハァ……ハァ………実験台は『剣崎』、お前の方だったか」

 

「あん? 剣崎だと?」

 

 

カリスがか細く呟いた声をディケイドが拾ったが、轟音に掻き消された。

音の発生源の方へと顔を向けると、一台の奇妙な形状のバイクと乗り手がいた。

そのバイクの乗り手はディケイドを見つけるとすぐに駆けよってくる。

 

「士! 無事だったんだな‼」

「当然だ。お前こそ今まで何してたんだよ」

 

「色々な。そんで…………こちらの方は?」

 

「カリスってライダーだ。お前も名前くらい聞いたことあるだろ」

 

「うぇ⁉ ……………あった、かなぁ?」

 

 

ジョーカーを追って来たクウガと合流したディケイドは改めて前方を見る。

つられてクウガも同じ場所に視線を送ると、地面に倒れ伏した男がいた。

クウガの頭に疑問符が浮かんだと同時に、カリスが立ち上がって男の元へ歩み寄った。

そして意識の無い男を抱きかかえると、二階と一階が吹き抜けになってしまった

立体駐車場の入り口の方へと運んで、ダランと下がった手に一枚のカードを握らせ

ゆっくりとその場に降ろした。

 

 

「おい、何やってんだ?」

 

「…………………お前達は?」

 

「ソイツらは大丈夫だジョーカー。いや、相川 始」

 

「あ、あなたは!」

 

「………橘、か」

 

ディケイドとクウガがカリスの問いに答えようとした時、彼らの背後から別の

男の声が聞こえて来た。それは紛れも無く橘の、ギャレンの声だった。

負傷した右腕を押さえ、足を引き摺るようにして近付いてきた彼の姿に

クウガは身を案じるような声をかけ、カリスは肩を貸すように歩み寄る。

 

「橘、コイツらを知っているのか」

 

「通りすがりの仮面ライダー、だそうだ」

 

「そう言う事だ」

 

「…………………………」

 

 

カリスは(いぶか)しむように二人を睨むが、ディケイドは逆に胸を張った。

そんな彼らを見て呆れたのか納得したのか、カリスは敵意を消して橘に向き直る。

そのまま橘の視線を促し、倒れている男の事について詳しく話させる。

 

 

「橘、俺のせいで『剣崎』が…………実験台に」

 

「分かっている。だがお前のせいじゃないのは確かだ」

 

「なぁギャレン、さっきからその実験台ってのは何なんだ」

 

 

ディケイドが二人の会話に割り込み、先程の会話の内容で疑問に思った事を尋ねる。

その言葉に橘は少し考え込むような表情を見せるが、何かを決心したように口を開く。

そこから語られたのは、ディケイド達にとって恐ろしとしか思えない話だった。

 

 

「お前達は他の世界から来たライダーだと言っていたな?

ならこの世界の成り立ちについてから話した方が伝わりやすいかもな。

………一万年前、この地球上には52種類の生命体しか存在していなかった。

その52種の生命体は、今この世界に生きる生物の始祖とも言える存在だったという」

 

「も、もしかしてそれがアンデッド?」

 

「そうだ」

 

 

話の途中でクウガが問いかけ、橘が返答しながら話を続けた。

 

 

「それらの生命体、アンデッドが自分の種族の存亡を賭けて戦ったのが生存竸争(バトルファイト)

本来ならば52種のアンデッドによって行われるはずだったその戦いに、予期せぬ乱入者が現れた。

それこそが存在しえない53番目の種族___________『ジョーカーアンデッド』だ」

 

「………………………」

 

「そいつは瞬く間に51種のアンデッドを圧倒的な力で滅ぼしていった。

そして…………ジョーカーを除いてたった一種族だけがこの地球に残された。

最後に残ったのは、『ヒューマンアンデッド』。そう、人間の始祖たるアンデッドだ」

 

「そ、そうやって人間が誕生したんですか」

 

「ああ、始祖とジョーカーはある密約を交わして勝者を決定し、敗者たるジョーカーは

自分と共に全てのアンデッドと共に封印を施し、バトルファイトは集結した……はずだった」

 

 

そこまで語ってから橘は一呼吸おいた。

カリスとディケイドは無言で話を聞き、クウガは時折相槌を打つようにして聞いていた。

 

 

「だが封印されていたアンデッドを発掘した人間、BOARDの上層部の人間達はその不死身の

肉体と再生能力に目を付け、それをどうにか再現出来ないかと日夜研究をしていたらしい。

幾度もの実験の結果、とうとう奴らは最強のアンデッドたるジョーカーのクローンを

生み出す事に成功したようだが、それには重大な問題点が一つだけあった」

 

「……………単体での個体の維持が不可能、か」

 

「その通りだ。つまりクローンは培養液の外には出せない状態だったんだ。

ところがある日とてつもない地震が研究施設を襲い、クローンが脱走したと。

だが幾ら調べてみても、全国どこの震度計にも揺れは記録されていなかったらしい。

その日からなんだ、アンデッド達が徒党を組んでBOARDを占拠したのは」

 

「その地震が原因なんですか?」

 

クウガがまたも橘に疑問を投げかけるが、今度は返答に困っていた。

だがディケイドは先程の橘の言葉の中に思い当たることがあった。

 

 

(地震………? いや、まさかな……………)

 

 

「そしてBOARDを乗っ取ったヤツらが人工アンデッドの生成計画を引き継ぎ

歪めて完成させたのが、今あそこにいる『剣崎』に使われている技術だ」

 

「ぎ、技術?」

 

「一から人工でアンデッドを作ることが出来なかったと知ったヤツらは

人間をアンデッドに変えて、ソイツにジョーカーの因子を埋め込む事を思いついた。

元々ライダーシステムとの同調率が異様に高かった剣崎に目をつけるのは当然だったな。

そして剣崎を寄り代とすることで、54番目の種族を生み出す気だったんだろう」

 

自嘲気味に橘が鼻白んで、カリスが再び剣崎の方を向く。

クウガもディケイドも余計な口を出さずに話の続きを待ったいた。

だが橘が口を開くよりも早く、耳をつんざく絶叫が木霊した。

四人が同時にそちらの方へ顔を向けると、先程消えた白濁の戦士が立ち上がっていた。

ただ、先程とは違うのはジョーカーの色違いのような体色をしていることだった。

 

 

『ッアアァァァァアァァッッ‼‼』

 

 

そう、彼らの前にいたのは『アルビノジョーカー』。

先程現れたジョーカーとは色合いが真逆のアンデッドだった。

アルビノジョーカーは叫びながらも両手を体の上へと持ち上げて掲げ、

その手の上に巨大な黒色のオーラの弾を形成し、握りしめる。

四人が対応しきる前に、その漆黒のオーラで形成された弾幕を放った。

ディケイドとカリスはいち早く気付いて自分の身を守ったが、自分の目の前に

いた生身の状態の橘を見たクウガは自分の身を考えずに体を盾にして彼を庇った。

 

【________TURN UP】

 

 

だがクウガは何時まで経っても自分の背中に衝撃が奔らない事を疑問に思い

恐る恐る振り返ってみると、そこには鮮やか青色と銀色の仮面の戦士が立っていた。

 

 

鍛え上げられた鋼すらも上回る硬度を誇る美しき白金の装甲。

体内で燃え上がる正義の炎をそのまま宿した紅蓮色の双眸。

装甲の下腹部には、彼が適合したスートであるスペードの印。

 

 

たった一本であるにもかかわらず、そこにあるだけで安心感を与えるような。

まるで伝説に出てくるかのような輝きと清廉さを兼ね備えた剣の姿がそこにあった。

 

 

 

「大丈夫か、始」

 

「……………遅かったな、剣崎」

 

 

剣を構えたままの姿勢で、人類の希望(エクスカリバー)が微笑んだ。

 

 

 





ハイ、いかがだったでしょうか。
書き直す前の方が上手く書けていただけに残念です。
まぁ、今後気をつけるという事でいいですかね。


次回、Ep,11『LIGHTNING ~奇跡~』

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