仮面ライダーディケイド ~The Darkness History~   作:萃夢想天

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東方Projectに続き、仮面ライダーでも小説を
書かせていただく事に相成りました!!

まだまだ稚拙な文章力且つ、不定期な更新になりますが
東方共々末永くお付き合いください!

それでは、どうぞ!


Ep,00 『Missing Raven』

 

 

「仮面ライダー」

 

それはいつだって、子供達に夢を与える希望の象徴だった。

それはいつだって、悪に屈せず正義を貫く者の称号だった。

それはいつだって、強き力と心を備えた戦士の証明だった。

 

 

 

 

_____________________あの時までは

 

 

 

 

とある荒野を、2台のバイクが駆けてゆく。

その背に、人の形をした人ならざる戦士を乗せて。

 

風になびく赤いスカーフ。

四肢に伸びる緑のライン。

胸部を守る厚いアーマー。

そして、頭部を覆うヘルメット。

 

 

世に蔓延る悪を倒し、自らの内に燃える正義の為に戦う戦士達。

 

 

人々は彼らを、『仮面ライダー』と呼んだ。

 

 

 

しかし、彼らは元々、世に蔓延るべき悪となる為に

「ショッカー」という悪の秘密結社の科学者の手によって生み出された存在。

 

 

「仮面ライダー1号」こと「本郷 猛」と「仮面ライダー2号」こと「一文字 隼人」の二人は

本来ならば、「ショッカー」に誘拐され、『バッタ型の改造人間』となるはずだったのだ。

 

しかし、脳の改造手術の直前で脱走した本郷は、自らを改造人間に仕立て上げた

「ショッカー」の野望を知り、それを止める為に死闘へと身を投じた。

一文字もまた、本郷と同じ経緯で攫われたが、脳改造手術の寸前で現れた本郷に

救われ、世界の平和を守ろうと奮闘する本郷と共に戦う道を選んだのだった。

 

 

 

_____________そして、今

 

 

 

彼らは、遂に「ショッカー」の最後のアジトを突き止め、潜入。

秘密結社のトップ、諸悪の根源である「大首領」の最期を見届けた後に、

自爆プログラムが作動したアジトから脱出した直後だった。

 

 

背後から、地面を揺るがすほどの爆音が響く。

本当の本当に、長かった彼らの戦いが終わったことを告げるゴングのように思えた。

 

「とうとう………やったんだな、本郷」

 

「あぁ……ショッカーの最期だ。今度こそ、本当にな」

 

「そうだな……勝ったんだよな、俺達」

 

「正義は必ず勝つ。……我々の中にある(せいぎ)の勝利だ」

 

 

二人はバイクのエンジンを吹かしながら、今までの戦いの日々を思い返していた。

 

 

 

__________だから、気付くのが遅れた

 

 

 

いつの間にか、荒野の端の方まで来ていた二人の前方に車が一台。

こちらにかなりのスピードで向かって来る。

車のボディに施されたカラーリングは、奇しくも二人の乗るバイクと非常に似ていた。

前部の白いフレームも、ボディからマフラーにかけて奔る赤いペイントも。

 

 

 

______鈍く輝くメタリカルな『ショッカーマーク』以外は

 

 

 

ショッカーのシンボルマークを認識した直後に、地面が爆発した。

 

 

_______否、前方から来るマシンに装備された機関砲が、二人を狙って放たれたのだ。

 

 

「本郷‼」

 

「おう! 行くぞ隼人!」

 

 

互いを呼び合い、即座に意思を疎通し、行動に移る。

バイクから同時に飛び降りた二人は、まず敵を確認しようとした。

 

すると、敵のマシンの速度が徐々に下がり、二人と少し距離を開けて止まった。

 

 

ドアが開き、運転手がマシンから降りる。

右足がゆっくりと大地を踏み締める。

足首に付けている鎖が、シャラン…と静かに鳴る。

 

二人の前に現れた謎の敵、それは予期せぬ相手だった。

 

 

「バカな……………‼」

 

「仮面……ライダー、なのか?」

 

 

二人の声は、明らかに動揺していた。

これまでも、「ショッカーライダー」という二人の偽物は現れていた。

姿かたちは瓜二つで、スカーフの色などの僅かな違いでしか見分けがつかないほど

精巧な改造人間達だったが。

 

 

だが、今目の前にいる敵は、全く違う。

 

 

全身の色合いも、マスクの形状も、何もかもがだ。

 

 

それでも、辛うじて分かる事はあった。

 

 

 

____________強い

 

 

 

本郷と一文字は、今まで体験してきた者達とは

一線を画した凄まじい強さを、この距離で感じ取った。

 

 

二人が攻めあぐねていると、向こうから声をかけてきた。

 

 

 

「____僕は、『仮面ライダー3号』……。お前達を倒すために生まれてきた‼‼」

 

 

 

そう言い終わった直後、既に1号と2号は『3号』を名乗るライダーに殴りかかっていた。

 

「「とうッッ‼‼‼」」

 

 

空中でほぼ同時に繰り出された「ライダーパンチ」。

 

 

それを3号は右方向への素早いステップで躱し、即座に振り上げた

左足で2号のガラ空きの脇腹を貫いた。

 

「ぐあァァッ‼‼」

 

「隼人⁉ うぐッ‼」

 

当然、直線上にいた1号もろとも吹き飛ぶ。

だが、空中ですぐさま体勢を立て直した1号は2号を抱えて着地した。

 

「スマン、本郷……」

 

「油断するな、来るぞ‼」

 

 

追い打ちをかける為に、既にかなり近づいてきた3号に対して

戦闘の構えを取り直し、迎え撃とうとする二人。

 

「フッ………そうやって気取っていろ。偽りの英雄(ヒーロー)共め‼」

 

 

駆けだした3号に、得意の接近戦へ持ち込もうとする2号。

 

構えた右拳を顔面狙いで前に向かって打ち出す。が、身体を左へ反らされて当たらない。

お返しとばかりに3号が繰り出してきた右足の蹴りを、左足を曲げ、脛の部分でガードする。

 

2号は振り戻した右手で薙ぎ払うが、3号はしゃがんで回避する。

素早く立ち上がる勢いをのせた3号のアッパーが、2号の顎を打ち抜いた。

 

「隼人‼」

 

「待っていろ1号、すぐにお前の番になる……」

 

崩れ落ちる2号を横目で見ながら、標的を1号へと変える3号。

先程までの「ショッカー」との最終決戦で受けたダメージがまだ残っている1号と2号。

 

 

戦う為の気力も体力も、既に限界だった。

 

 

__________それでも、

 

 

 

 

「行くぞ、隼人‼‼」

 

「おうよ、本郷‼」

 

「何ッ‼⁉」

 

 

 

 

_____________最後まで諦めないのが『仮面ライダー』なのだ

 

 

 

 

天高く飛び上がった1号と2号。

1号は脚に、2号は腕に、残された全ての力を注ぎ込んだ。

 

 

「ライダーキィィック‼‼‼」

 

「ライダーパァァンチ‼‼‼」

 

 

再び同時に繰り出される、蹴りと拳。

 

 

3号は二方向からやって来る攻撃にたじろいだ。

 

が、それでも結果は変わらなかった。

 

 

「とうゥッッ‼」

 

1号と2号よりも遥かに高く飛び上がり、二人が3号のいた場所へ

全てを掛けた技を届かせた頃、3号は既に繰り出していたのだった。

 

 

「せぇぇぇぇいッッ‼‼‼」

 

 

________最後の止め(ライダーキック)を。

 

 

「「ぐああぁァァァァッッ‼‼‼‼」」

 

 

 

壮大な轟音と共に、散っていった二人の戦士。

 

 

 

 

 

 

 

____________そして、歴史(せかい)が変わった

 




いかがだったでしょうか。


まさかの序章で2000超え……だと…⁉
既に泣きたくなってきましたよ………。

と、とにかくこれからも
萃夢想天の描くディケイドの世界を
どうぞお楽しみください!!


次回、Ep,01 『New Travel』

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